俺を見てくれえぇぇぇぇぇっ!
釜の中 ・ ごえもん の作品
「この先2kmで
パレスチナ、という標識が現れた。いよいよだ。まだ見ぬ故郷、パレスチナ。本当に長い旅だった。万感の思いが胸に込み上げてくる。ハンドルを握るバシールが「ミキ」と呼んだ。振り向くと彼は私に顔を向けて「大丈夫か?」という表情をしている。黙ってうなずく私。・・・「バシール、スピードを落してくれる。もっとよく見たいから」・・ 目の前に現れては後方へと飛び去っていた風景が スローダウンして鮮明に目に入ってきた。やっと母の故郷に帰ってこれた。ミキというミドルネームとも今日でお別れだ。 今までの様々な出来事が走馬灯のようによぎる。母の面影が、日本での思い出が、マサトやみんなの顔が浮かぶ・・。急に 抑えようのない思いに襲われた。「バシール、車を止めて、お願い!」 自分でも驚く言葉を口走っていた。頭は冷静なはずなのに、決して後悔はしないはずだったのに、気持ちの方が勝手に
渋滞のおそれあり」
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