2日目は早めに朝食を済ませて、8時30分にバス2台に分乗して広島市立大学へ移動した。「科学と芸術を軸に世界平和と地域に貢献する国際的な大学」を建学の基本理念とする広島市立大のキャンパスは、斜面を利用して実に広々としている。講堂小ホールに集まり、藤本学長の挨拶に続いて広島市の森元助役から歓迎の挨拶があった。予定では秋葉広島市長がお見えになる筈だったが、生憎ドイツ副首相の広島来訪と重なってしまったという。秋葉市長はアメリカの大学や広島修道大学などで教授を勤めた経験を持つ数学者であり、私の後輩に当たる。お会いできるのを楽しみにしてきたのだが、都合がつかなかったのは残念だった。
10時20分から56名の参加者が6班に分かれて13時20分まで分科会討議を行った。テーマは特に指定せず自由に選んで時間の許す限り議論をしてもらった。分科会終了後、食堂に集まって慌ただしく昼食をとり、14時から3つのグループに分かれて学内見学をした。驚いたことに校舎やキャンパスは開学7年目というのに全く汚れていない。国際学部、情報科学部、芸術学部の3学部合わせて入学定員400名という規模からは想像できない位恵まれた施設・設備である。LL教室3室と自習室を備え8ケ国語の学習ができる語学センター、情報処理実習室3室を備えあらゆる環境に対応できる情報処理センター、芸術学部教員の作品が展示されている芸術資料館など、何れも羨ましい限りの素晴らしいものだった。広島市の「広島市立大学」にかける熱意が並々ならぬものであることを肌で感じることができた。
再び講堂小ホールに集まり、「独立行政法人化問題」に関する議論を行った。先ず第1委員会委員長である高崎経済大学の石井学長から委員会の報告をして頂き、次に文部省の「国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議」のメンバーである北九州大の田中学長、横浜市大の加藤学長、愛知県大の森学長及び大阪市大の児玉学長から会議の状況を報告して頂いた。引き続き特別出演をお願いした都立大学の磯部法学部長から、独立法人化問題について行政法の専門家としての見解を講義して頂き、これらを基にして活発な議論を展開した。議論の後、国立大学等の動きを見ながら公立大学協会としての対応を検討するために、田中学長、加藤学長、森学長、児玉学長、長野県看護大の見藤学長及び磯部教授で特別委員会を構成することが承認された。
白熱した議論を終えて、17時に大学を出てホテルに戻り、懇親会が開催された。懇親会終了後22時(!)から1階のロビーに田中学長、加藤学長、森学長、児玉学長、見藤学長と私が集まり、早速第1回の特別委員会を開催した。カラオケ帰りで上機嫌の錦君達事務局のメンバーも加わって盛り上がり、“午前会議”になったところで散会にした。
最終日は、前日の分科会の議論の様子を、座長をお願いした釧路公立大の荒又学長、岡山県大の本田学長、前橋工科大の道脇学長、富山県大の川端学長、茨城県立医療大の阿部学長及び静岡県大の廣部学長から報告して頂き、それを元に全員で活発な意見交換を行った。内容は「財政問題」「法人化問題」「評価」「学長のリーダーシップ」「教員任期制」「特任教授」「地域貢献」「入試」「教育」など多岐にわたった。12時過ぎに研修会の全ての日程を終了し、昼食をとった後、2泊3日の学長研修会は解散となった。
学長研修会は今年が2回目であるが、昨年を大幅に上回る参加者を得て、極めて活発な意見交換ができたことは有意義だった。お忙しい中を日程をやりくりして参加して下さった学長の皆さんに御礼を申し上げるとともに、会場をお引き受け頂き至れり尽くせりのお世話をして下さった広島市立大学に心から感謝申し上げたい。
これからも学長研修会が益々有効に機能し、全国の公立大学 72校の絆となり、また公立大学の一層の繁栄の礎となることを願ってやまない。