2003.12.16

誤字等No.002

【ディスクトップ】(外誤科)

Google検索結果 2003/12/16 ディスクトップ:41,700件

コンピュータ業界における誤字の代表格と言えば、「ディスクトップ」です。
専門家、一般人を問わず、様々な場面で目にすることができます。
文字としてもよくみかけますが、実際にこう発音している人も少なくありません。
無論、普通に発音すれば「デスクトップ」となるはずです。

確かに、「disk/disc(円盤)」はコンピュータと大きなかかわりがあります。
しかし、「円盤の上」では意味が通りません。
本来の語源となった英単語「desktop(机上、卓上)」は「desk」+「top」です。
この場合、「desk」を「デスク」と発音することについては異論がないでしょう。
それとも、「ディスクトップ」派の人は、「desk(机)」を「ディスク」と発音するのでしょうか?

なぜこのような勘違いが発生するのでしょう。
その原因は、「原語に近い発音の方がカッコいい」という思い込みから発しているという説があります。
このような人はきっと、「digital」を「デジタル」と読まずに「ディジタル」と発音することでしょう。
DC」を「ディースィー」ではなく「デーシー」と読むことなど、恥ずかしくて決してできないかもしれません。

一度でも原語のつづりを考えてみれば「ディスクトップ」が間違いであることに気付いてもよさそうなものです。
しかし、彼らはそれに気付きません。
語源なんて、考えたこともないのでしょうか。
自分が間違っているかもしれないということを想像すらしていないのかもしれません。

ディスク」という単語が実際に存在するという安心感も寄与していることでしょう。
わざわざ「disktop」という表記を使う人もいますし。
これでつづりが合っていると、本気で思っているのでしょうね。

この現象は、商品名にも及びます。
ショッピングの商品一覧で、「富士通FMVディスクパワー」なんて書いてあることがあります。
(当然、正しい商品名は「デスクパワー」です。)
これでは、いかにも「ニセモノ」という気がしてしまいます。怖くて注文できません。

デスクトップ」という言葉は、「デスクトップ型」というパソコンの形状を示します。
その他、Windows等、GUIを使ったOSの「作業画面」を示す場合もあります。
壁紙やショートカットアイコンが貼ってある画面です。
ディスクトップ」の使用例を見る限り、後者の意味で使われている場面の方が多いかもしれません。
ある種の「固有名詞」ととらえれば、語源を気にせず勘違いして覚えている人がいても理解できます。
しかし、それをシェアウェアの名称として使ってしまっている人を見ると、何と言うか、少々、イタいですね。

[実例]

一般的に、日本人の多くはカタカナ語が大好きです。
(毛嫌いする人も、いることはいますが…)
本来は外国語の単語であったものが、カタカナ語になった途端、「外来語」という名の「日本語」に化けます。
これは日本語の大きな武器のひとつと言えるでしょう。
そういったカタカナ語の中には、対応する日本語訳が存在しないものもあります。
無理に訳すと違和感が生じるような言葉も少なくありません。
そういったケースでは、カタカナがカタカナのままで、特に意味を考慮されることなく定着します。

desktop」もそういった言葉のひとつでしょう。
デスクトップ型のパソコンを「机上型計算機」と示すことには、少々無理があります。
作業画面を示す「デスクトップ」は、訳してしまうと意味が通じなくなってしまいます。
こういったカタカナ語は、本来の発音が日本語にはない場合が多く、表記に揺れが生じることは仕方ありません。
日本語に取り入れられた時代によっても影響を受けます。
そういった「揺れ」から生じると思われる勘違いも、数多く存在します。

日本人とは、かくも「外国語の発音」に弱いのでしょうか。
このような「外国語の発音」が原因と思われる誤字等の品種を、「外誤科(がいごか)」と命名します。

[亜種]

disktop:1,470件
disctop:99件
ディスクワーク:787件
ディスクワーカー:6件
ディスクパワー:168件
ヘルプディスク:1,550件

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