2003.12.17

誤字等No.003

【絶えられる】(誤変科)

Google検索結果 2003/12/15 絶えられる:2,900件

誤字等の館、第3回は「絶えられる」です。
文脈からすると、「耐えられる」が正しいと思われる場面での「誤変換」です。
耐える」は「持ちこたえる」「我慢する」といった意味、一方の「絶える」は「途切れる」「尽きる」といった意味です。
「耐えきれずに、息が絶えた」などという用例を考えれば、まったくの「」と言っても良いでしょう。

そもそも、「絶えられる」という言葉が存在するのでしょうか?
一般的に、助動詞「られる」は「受身」「可能」「自発」「尊敬」という四種類の意味があるとされています。
ほとんどの誤字は、「可能」の意味で使われています。「可能」、何かをすることができる、という意味ですね。
耐えられる(耐えることができる)。これはよく分かります。
絶えられる(絶えることができる)。文法的には通じないこともなさそうですが、やっぱり変です。
「られる」の他の意味、「受身(他から何かをされる)」「自発(心情が自然とそうなる)」だとしても、通じません。
唯一、「尊敬(相手への敬意をあらわす)」であれば理解できなくもありません。
そのような使い方をされている場合もあるようですが、検索結果全体では圧倒的に少数派です。

耐えられる」の意味で「絶えられる」を使う間違いが、結構、散見されているのです。
こんな間違い、一見しただけで「変」と感じるはずです。
それが普通に使われているという状況は、何を意味しているのでしょうか。
絶えられる」で正しいと思っているのか、それとも自分の書いた文章を読み返す習慣を持たない人が多いのか。
これが新聞社の社説だったりすると、なんとも悲しくなってしまいます。

[実例]

手書きで文章を書く機会の激減した現代、漢字変換におけるミスは、誤字を生み出す主要原因と言えます。
そのミスに気付かないまま文章を公開してしまうことも、ある意味仕方ないと言うしかないのかもしれません。
しかし、中にはそれが正解であると思い込んでしまう不憫な人もいるのです。

日本人とは、かくも「誤変換」に弱いのでしょうか。
このような「誤変換」が原因と思われる誤字等の品種を、「誤変科(ごへんか)」と命名します。

[亜種]

衝撃に絶え:145件
空腹に絶え:136件
痛みに絶え:221件

※ 2006/05/15
このページにあった誤変換をひとつ修正しました。
× 小数派
○ 少数派
でした。ご指摘ありがとうございます。
客間にも飾ってある誤字でしたが、まったく気付きませんでした。
筆者は、数学マニアではありません…

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