2003.12.25

誤字等No.009

【不可をかける】(誤変科)

Google検索結果 2003/12/12 不可をかける:84件

「ネットワークに不可をかける」「筋肉に不可をかける」「環境に不可をかける」
文字だけ見ていると何のことだか分かりませんが、読んでみれば「負荷をかける」の間違いであることが判明します。
音だけ聞いていれば、「負荷」も「不可」も見分けが付きません。
しかし、文字から受ける印象は、大きく異なります。
ネットワークに「負荷」がかかっているだけなら「反応が遅くなる」程度で済みそうですが、「不可」となると、完全に停止してしまっているように見えます。
環境に「不可」をかけるというのは、いったいどれほどの環境破壊なんでしょうか?

こういった、「同音異義語」に由来する誤変換は、誤字の中でもポピュラーなものと言えます。
他にも、「付加をかける」という表記も見つけることができました。
さすがに、「孵化をかける」は見つけられませんでしたけど。

自分の書いた文章を読み返す習慣のない人はもちろん、読み返してチェックしている人でも頭の中で「音読」している人は、こういった間違いに気付きにくいものです。
「字形」を目で見れば簡単に間違いに気付いても良さそうなものですが、そうもいかないのでしょう。
そういった意味で、「似字科」の誤字等とは対極の位置にあると言ってもよいかもしれません。

実は「不可をかける」という誤字、誤変科第1弾の「絶えられる」と組み合わせて使うことができます。
「負荷に耐える」という表現です。
これを「負荷にえる」「不可に耐える」などと表記しているページ、探してみたら結構ありました。
不可える」とまでなると(なんか絶望的な雰囲気がありますね、この言葉)、ここまで間違えている人はいないようですが、「付加える」だったら少数ながら見つけることができました。
まだまだ応用例はありそうです。

WEB上を探してみると、プロバイダーやレンタルCGIサービスなどの「利用規約」に、「不可をかける」が目立ちました。
サーバーに大きな負荷をかけるプログラムの実行を禁止するのは、常套手段なのでしょう。
しかし、何回もチェックを行っているはずの大事な「規約」で、こんなに目立つ誤字が放置されているとなると、その規約自体の有効性が疑われてしまいます。
私だったら、その組織には信頼できる専門家がいないのではないかという心配から、契約を躊躇します。
組織の信頼性を失わないためにも、こういった間違いを確実に見つけられる人材を確保しておくことが重要なのではないでしょうか。

[実例]

日本人とは、かくも「誤変換」に弱いのでしょうか。
このような「誤変換」が原因と思われる誤字等の品種を、「誤変科(ごへんか)」と命名しました。

[亜種]

付加をかける:58件
不可に耐え:29件
付加に耐え:21件
付加に絶え:3件

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