2004.03.16

誤字等No.045

【確立が高い】(誤変科)

Google検索結果 2004/03/16 確立が高い:9,030件

今回は、ペンネーム「ミニット」さんからの投稿を元ネタにしています。

誤変換の定番メニュー、「確立」と「確率」の登場です。
確立」は、何かをしっかりと定めること。
確率」は、確からしさを表す度合い。
両者の意味には明確な違いがありますので、使い分けに悩む必要はありません。
間違った使われ方をしているものは、純粋な「ミス」と考えることができます。

さてこの言葉、どちらもよく使われる言葉です。
確立」は、その意味合いからニュースや報告書などの公的側面の強い文章に登場する機会が多いという印象があります。
一方の「確率」は、天気予報から学校の授業、ギャンブルの話に至るまで、公私問わず幅広い場面で使われます。
では、実際の使用頻度は、どちらが上でしょうか。
早速、Googleで調べてみましょう。

確立:953,000件
確率:1,010,000件

微妙に「確率」の方が多いですが、結構近い数値ですね。
しかし検索結果をよく見ると、どうみても「誤変換」というページがかなり目立ちます。
こういった誤変換が、結果に影響を与えているかもしれません。
試しに、「誤変換の確率」を調べてみましょう。
今回の表題である「確立が高い」は、文法的に明らかな間違いです。
正しい表記の「確率が高い」は、どれくらいあるでしょうか。

確率が高い:47,400件

確立が高い」の5倍程度しかありません。誤変換の確率は相当「高い」と言えそうです。
他にも「降水確立」「確立変動」などなど、数種のパターンで誤変換を見つけることができました。
探せばまだまだ、きっといろいろあります。
全部ひっくるめれば、「確立」の検索結果のうち、相当な数が誤字であると言えるでしょう。

無論、逆もあります。
語尾に「する」を付けることができるのは「確立」の方だけですから、「確率する」は誤変換です。
活用形も含めれば、それなりの数になると思われます。

結局、本当の意味で「確立」と「確率」のどちらがよく使われているかは、分からなくなってしまいました。
ただひとつ言えるのは、使用頻度の調査に影響が出るほど誤変換の多い言葉である、ということですね。
このことは、覚えておいて損はありません。
そして、少なくとも「報告書」のような「ちゃんとした文書」を書くときくらい、誤字のないように気を配りたいものです。
あ、そうそう。学校の授業も大事ですね。
数学のテストで「確立」なんて書いたら、たとえ正解でもバツになるかもしれませんよ。

[実例]

日本人とは、かくも「誤変換」に弱いのでしょうか。
このような「誤変換」が原因と思われる誤字等の品種を、「誤変科(ごへんか)」と命名しました。

[亜種]

確立が低い:714件
確立的に:929件
確立統計:510件
降水確立:484件
確立変動:779件
発生確立:194件
的中確立:95件
確率する:532件
確率した:423件
確率しない:57件
確率できない:21件
体制の確率:127件
制度の確率:40件

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※ 2007/04/22
ご紹介した「実例」のひとつが「誤変換ではない」というご指摘を頂きました。
よく見れば、確かに「確立」で正しい文章でした。
今まで気づかなかった私のミスです。申し訳ありません。
ということで、他の「実例」と差し替えました。