2004.12.02

【誤字等の談話室 9】

誤字等の館 (ごじらのやかた) に寄せられる読者様のコメントに対して館主が答える「誤字等の談話室」、その第9弾です。

[041]

SONYのブラウン管といえば・・・そう トリニトロンですよね
IMEを使ってるかた(なおかつカタカナ語英語辞書使用)はぜひとも変換して
みてください
「trinitrin」とでるんです!w
トリニトリン?w
(正確にはtrinitronですw)

本当ですね。「トリニトロン」を変換すると「trinitrin」になります。
果たしてこれは、SONYの開発した「トリニトロン管」のスペルミスなのか。
それとも、狭心症の薬「trinitrin」(ニトログリセリンの別名) のローカライズミスなのか。
どちらとも、判断がつきません。

仮にこれがSONYの「トリニトロン」だとすると。
三菱の開発した「ダイアモンドトロン」が変換されないのは、不憫ですね。

[042]

プログラムとインフルエンザのところでぬけてるのがあります。
プログラム→プロフラム
インフルエンザ→イングルエンザ
fとgは、キーボード上で隣同士なので
手が滑ってこういう間違いがおこることがあるみたいです。
vとb、mとnとかでもこういうミスが結構あるようです。
リニューアル→リミューアルなど。

ウェブ→ウェヴも発音を正しく理解できないんじゃなくて
半分くらいはvとbの押し間違いが原因だと思いますよ。

情報ありがとうございます。確かに、結構な件数がヒットしますね。

なるほど。「キーボード上で隣同士」ですか。
それは、見落としていました。
「隣のキーを打ってしまう」失敗は、私もよくあります。
よくあるだけに、大抵は打った瞬間に気付くのですが…
そのまま見逃してしまっていることも、あるでしょうね。
誤字等の原因として、かなり有力な説になりそうです。

ちなみに、「プログラム」の「G」は、左右どっちにずれても「プロフラム」になりますね。
一方、「インフルエンザ」の「F」が左にずれると、「インヅルエンザ」になります。
探してみたら、これも見つかりました。

うーむ、他のキーの打ち間違いも、大量に見つかりそうです。
「オウログラム」とか、「プトグラム」とか、「プログラヌ」とか…
誤字等のバリエーションが、一気に広がりました。

[043]

祟は、ウィンドウズに内蔵される史上最低のIMEが「たたり」変換すると「崇り」と変換してしま
うことにも実は由来します。OCRのしょぼさとは別に、コンピュータ任せのこの時代を良く反映し
ているモノだと思われます。あとは、「きっかけ」「切欠」でしょうか?僕のMacで変換すると管
理人さんのご指摘の誤変換はほとんど発生しませんので、ATOKなどのIMEでの誤変換比較という
のも面白いネタなのかもしれません。これからもご活躍を期待しています。

「IMEがそう変換したから」という理由で生まれてくる誤字等もあるわけですね。
人間が作っている以上、間違いを撲滅することは難しいのかもしれませんが、言い訳にはなりません。
IMEの出来が、日本人の書く文章の「質」に直結する時代は、既に訪れています。
各メーカーには、そのことを十分に自覚し、何よりも「正確さ」を優先することを期待します。
「派手な新機能」の追求にばかり躍起になっているようだと、ユーザーの支持を失っていくことになりますよ。

[044]

2ch を排除するのではなく、逆に特定のドメインについてカウントしてみると
いうのはどうでしょう。
たとえば…
■ 大学なのに
"講議" site:ac.jp = 26,400 件
■ 企業なのに
+キャノン株式会社 site:co.jp = 638 件
■ 政治家 & 役人なのに
"侯補" site:go.jp = 158 件

はい。実は既に、ほとんどの回で「ドメイン指定」の検索もやっています。
「実例」の文章は、できるだけ「あんたが間違えちゃマズいでしょ」といったサイトから拾うようにもしています。

「大学なのに」「役人なのに」といった類の誤字は、彼らが「WEB上に文章を公開する」仕事を片手間に行っている証拠となります。
それらは「責められるべき」怠慢であり、弁解の余地はない、とも思っています。
だから「さらしもの」にしても構わない、という理屈にはつながりませんが、もう少し、自分の仕事に「誇り」を持っても良いのではないかと…

[045]

こんにちは。
誤字等の館を見させていただきました。

ざっとリストを見て、すぐに間違いがわからなかったのは、
「寸暇を惜しまず」です。
これは他にも間違って使っている人が多そうな気がします。
私の中での勝手な解釈はこうでした。

寸暇=余暇、休憩時間
休憩時間でさえ、それを惜しまず、勉強している。
休憩時間でさえ、それを使わないことを惜しいと思わないで、勉強している。

私の言いたい意味、わかっていただけたでしょうか?

このパターンで勝手に納得して使っている人、
他にもいるんじゃないかなぁと思います。

分かります。
本来は「寸暇」となるべき時間を、惜しまずに勉強や仕事に注ぎ込む、といったところですね。
あるいは、「寸暇を得る機会」を自ら手放すことを惜しまない、といった解釈も可能です。
類似表現の「寝る間も惜しまず」も、「睡眠時間を他の目的に費やすことを惜しまずに」という意味でしょう。
これらの言葉を使っている人の多くは、おそらく、このような解釈をしていると思います。

聞き手・読み手の方もそう解釈してくれれば、意図は正しく伝わります。
きちんとセンテンスを構成するには、上記のようにいくつかの言葉を補わなければならないはずですが、大抵はその必要はありません。
なぜなら、この言葉は「文字通り」に解釈されるものではなく、単に「努力している」姿勢を強調するだけの役割しか期待されていないから。
言葉の持つ「雰囲気」さえ伝われば、それで十分なわけです。
こんなときは、日本語の特徴である「曖昧さ」が上手く機能していると言えそうですね。

しかし、「曖昧な知識」のままでも通用してしまうからこそ、「正しい知識」を得る機会を失っているとも言えます。
日本語の特性に依存し、「話が通じれば、それで良い」といった安直な姿勢のままでいると、その人の「日本語力」はどんどん低下していくおそれがあります。
気をつけたいものですね。

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