2006.01.15

【誤字等の談話室 41】

誤字等の館 (ごじらのやかた) に寄せられる読者様のコメントに対して館主が答える「誤字等の談話室」、その第41弾です。

[088]

僕は台湾人です。日本語学科で日本語を勉強しています。いつも、勉強させていただきまして、
ありがとうございます。これからもこのサイトを友達に紹介してあげたいと思っております。
感想ですが、X’masという字を見て、親切って言う感じがした。台湾もそうです。サイトで
日本しかないらしいと書いてあるけど、僕自身もXmasをずっとX’masと思っていた。こ
のサイトを見た後何人かの友達に聞いてみて、Xmasは正しいということを知っているは一人
もいなかった。大変勉強になりました。
もしお時間ありましたら、文を「日本人と台湾人特有の勘違いらしいです」にしたほうが面白く
なると思っています。
多分、台湾のクリスマスやバレンタインディーなどでの全ての習慣や風俗などは全部日本から来
たものだと思います。だから、その文字もこのまま台湾に使われてしまいました。
もう一つは、うっとおしいという字。僕自身の見解かもしれませんが、見ていただけると嬉しい
です。
「うっとおしい」と「うっとうしい」どちらにしても、「うっとーしい」と発音するが、日本語
では、漢語の場合、長音は必ず「う」、和語の場合は必ず「お」を使っていると思ってます。で
すから、「そのとうり」や「うっとおしい」漢字が分かればあのような発音、まずありえないと
いうことも分かっているはずだと思います。
台湾で応援しますから^^、これからもよろしくお願いします。どんどん勉強させてください。

面白い情報、ありがとうございます。
「X'mas」は日本人だけの間違いではないのですね。

このサイトが、日本人以外の方にも読んでいただけているとはありがたい限りです。
これからも応援よろしくお願いします。
少しでも日本語を勉強する役に立っているのなら、うれしいです。

ただ、私は「言語学の専門家」ではありませんので、常に正しいことを書いているとは限りません。
私自身の思い違いによって、間違ったことを主張している場合もあり得ます。
このサイトに書いてあることを鵜呑みにせず、自ら調べて確実な知識を身につけるようにしてください。

[089]

○舌つづみ(舌鼓) ×舌づつみ(舌包み)
先日、テレビでアナウンサーがきちんと「舌鼓」と発音していたことに、ふと感心したので
検索してみましたら、正用の「舌つづみ」が45,700件なのに対し、「舌づつみ」が60,600件
とかなり多く、驚きました。

「舌つづみ」が正解であることは、間違いありません。
しかし、「舌づつみ」も「許容範囲」であると私は思っています。

日本語には、「連濁」という現象があります。
二つの語を合成する際、後の語の語頭にある「清音」が、「濁音」に変化する現象です。
「包む (つつむ)」が「小包 (こづつみ)」になる変化が、この「連濁」にあたるでしょうか。

連濁が起きるか起きないかといったことには、「確実な法則」が見つかっていないようです。
そのため、連濁する場合としない場合のどちらを「正解」とするか、定義しづらいケースもあるのです。

「鼓」を単独で読めば、「つづみ」です。
これが「連濁」の影響を受けると、「づづみ」となります。
しかし、これではなんとも「発音しづらく」なってしまいます。
そこで、さらにもう一段変化させた結果が「づつみ」です。

「連濁」の効果は、「語の連結を深める」ことにあります。
「舌」と「鼓」という二語ではなく、「舌鼓」という一語にするために、連濁の発生は有効なのです。
連濁によって語をつなぎ、なおかつ発音しやすいように「清音化」まで組み込んだ変化。
それが「したづつみ」の実態である、と私は考えています。
「慣用」として認められるだけの存在には、なっているのではないでしょうか。

もっとも、「舌包み」と誤解されるようでは問題ですけどね。

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