読書感想
5月24日

・名前がいっぱい 清水義範(新潮文庫)

 今月2冊目の清水義範の本。最近、清水義範の本ばかり買っている気がする。こういう、ユーモアたっぷりの本ばかり読みたがるってのは、ストレスが溜っている証拠だな。

 今回の本は『名前』に纏わる短編10本。どれもこれも、「なるほど。いわれてみればそうだよなぁ」といいたくなるものばかりだった。特に1話目の「匿名物語」、4話目の「人は死して」、6話目の「誰でもない人」、9話目の「無名人物列伝」が面白かった。
 特に6話目の「誰でもない人」は昔、ちょっとしたものを書いていた事があるだけに「そうそう、そうなんだよなぁ」と共感を覚えてしまったし、そういう人なら絶対に共感を覚えると思う。

推薦度 ★★★☆☆


5月22日

・星ぼしの荒野から ジェイムズ・ティプトリー・Jr(早川SF文庫)

 ティプトリーの書く話には、いつも少しホロリとさせられる。この短編集に収められた話も、なにかもの悲しいものがいくつもある。そして、物語の登場人物にハッピーエンドと思えるような終わりかたなのが、さらに悲しくさせている。
 特に「たおやかな狂える手に」は読み終わったあと谷山浩子の「冷たい水の中を君と歩いていく」なんかが聞きたくなってしまうくらい悲しい話だった。ただ、この短編の主人公にとってはきっとハッピーエンドなんだろうなぁ。
 久しぶりに悲しい本を読んだ。

推薦度 ★★★★☆


5月5日

・宇宙の戦士 R.A.ハインライン 矢野徹訳(早川SF文庫)

 「スターシップトルパーズ」で映画化したもの。ていうか、原題がスターシップトルパーズなんだけど、やっぱり「宇宙の戦士」って方がカッコイイよなぁ。最近の洋画は原題のままで邦題つけてくれないからつまんないよな。もう、二度と「死霊の盆踊り」みたいな邦題がみられないのかなぁ。
 映画は観てないからこの小説にどれほど剃って作られているのか知らない。ていうか、パワードスーツが出てこない時点でだいぶ違っているのだろうと想像はできる。

 この本を読んだのは3回目。最初は中学の頃でそのときは退屈なだけの本だった。2回目は専門学校の頃で、その時に「面白い」と思った。

 小説は半分が主人公の訓練時代の話で占められている。残りの半分が実戦に参加している頃の話と士官学校の頃の話になっている。訳者後記からこの話は軍隊賛美のような印象を与えるらしいが自分はそんな感じはしなかった。平和呆けしてるからか?

推薦度 ★★★☆☆


5月3日

・騙し絵 日本国憲法 清水義範(集英社 文庫)

 憲法記念日にこの本読んだのは単なる偶然。

 知ってる人もいるだろうけど、清水義範ってすごく観察眼のある作家さんだとおもう(時々自分が考えていたネタを取られたりするからそう言う訳じゃないけど)。みんなが、「んー、なんだかなぁ」と思っても口に出すことが無いことを面白おかしく、そして考えさせてくれるような文章を書く(と、個人的には思う)。
 たとえば、「永遠のジャックアンドベティ」とか「国語入試問題必勝法」とかを読んでみると良くわかると思う。

 今回は表題の通り「日本国憲法」について。もっとも、三年前に出版されたものの文庫化だからそれほど新しいものじゃないけど。
 内容は落語、ドリンク剤「使用上の注意」書き、ソフトウェアのマニュアル風など21通りににアレンジして書かれた憲法の前文や象徴天皇、「第九条」、基本的人権などについて考えさせる短編小説、国会、内閣、裁判所などの問題点?を書いた寄席風短編など多彩。読んで損はしない、絶対に。と、力説してしまえる位おもしろかった。

推薦度 ★★★★★


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