イスタンブールトホホ紀行その2. 

●アヤソフィアでトホ妻人身売買の危機

 スタンブールがイスラム・トルコ勢力に陥落する前、まだ「コンスタンティノープル」という名称だった頃はこの街は東ローマ帝国の首都、すなわちキリスト教世界だったわけでございまして、昨日観たトプカピ宮殿や数多くのモスクなどのイスラム建築と並んで、キリスト教文化が数多く残るのもイスタンブールの魅力。本日はそんなキリスト教の遺構の中でも最も有名なアヤソフィアから観光のスタートでございます。坂の多いイスタンブール。なまじ観光に便利なロケーションのホテルだけに、アヤソフィアに行くのもタクシーなどではなく、はぁはぁ言いながら登り坂を上がる我々…。

 親とトホ妻を日陰に待機させ、ワタクシ一人が行列に並んで4人分のチケットを買って戻ってみると、日陰にいた3人がトルコ人の親父と何やら笑いながら話をしているではございませんか。トルコは世界でも有数の「対日感情のイイ国」として有名ですし、街を歩いていれば怪し気な客引きからただのヒマ人に至るまで、話し掛けられることは多うございますから、たまたまトルコの親父とちょっと話をした…というだけならドウということはございません。しかし、ワタクシがチケットを買っている間になされたこの時の会話は実はスゴいもので、3人の証言を元に再現致しますと、大体こういう会話だったそうでございます。

トルコ親父「お前たちは日本から来たのか?」

いわんや父「さようである」

トルコ親父「(トホ妻を指して)コレはお前の娘であるか?」

いわんや父「(広義に捉えれば娘とも言えるから)まぁ…さようである」

トルコ親父「日本の女性は実にヨロシイ。この娘サンは二十歳くらいであるか?」

いわんや父「(動揺のあまりトッサの返答に窮して)あ…いや、まぁ…」

トルコ親父「お前の娘を、ラクダ何頭とだったら交換してくれる?」

いわんや父「!!!」

 

 ぁもちろん、これはこのトルコ親父のジョークではございますが、しかし本当に「ハウ メニィ キャメルズ」と言ったそうでございまして、後で聞いたワタクシもこれには大笑い致しました。しかし東洋人は一般に若く見られる上に、トホ妻がコドモに見られやすいのはすでにモロッコでも証明済みではございますが、それにしてもハタチとはねぇ…。

いわんや「実際には二十歳の娘がいる母親くらいの年齢だってのに、まぁ…」

トホ妻 「アタシの本当の年齢を知れば、“ラクダ何頭”じゃなくて“ナツメヤシ何つぶ”くらいか(笑)」

 

 …などと、バカな話をしつつ、さてアヤソフィアでございます。ココもまた実に素晴らしいところで、キリスト教とイスラム教の建築装飾が混じりあって内部は一種異様な神秘的ムードを漂わせております。ワタクシ、アラビア文字のステンドグラスなんて見たのは生まれて初めてでございます。

アラビア文字のステンドグラスとわッ!

 かし、アヤソフィア最大の見物と言えばやはりビザンチン時代の宗教壁画の数々でございましょう。これはイスラム教勢力によって一度は漆喰で塗り固められ、その存在も忘れられていたものが今世紀になって発見されたもので、ワタクシも世界史の教科書の「ビザンチン文化」のあたりでキリストの壁画の写真を見たような記憶がございますが、その実物を目の当たりにできるとは…いや〜、ワタクシけっこう感激してしまったのでございます。

キリスト・マリア・洗礼者ヨハネを描いた壁画

 ヤソフィアでビザンチン文化の名残りを堪能したあとは、イスタンブールを代表するイスラム寺院である通称ブルー・モスクで純然たるイスラム建築に酔いしれると致しましょう。このブルー・モスクと、さっきまで見学していたアヤソフィアとは、緑あふれる公園を挟んで相対するような位置に建っておりまして、この公園の眺望は本当に天下一品でございました。

後ろを振り返ればさっき見たアヤソフィア

前を向けばブルー・モスク。なんてキレイ。

 ヤソフィアは現在は博物館でございますが、このブルー・モスクは博物館でも美術館でもなく現役?のレッキとしたイスラム寺院。中にはお祈りのための広大なスペースに一面に絨毯が敷かれておりますが、いやぁこの内部がまた素晴らしい。ため息しか出てこないような絢爛たるアラビック装飾にしばし時を忘れてしまいます。ブルー・モスクは土足厳禁でございますから観光客は靴を持って中に入り、絨毯の上に思い思いに座り込んでみんな口を開けて天井を見上げ、その美しさに呆然とする、というわけでございます。

しばし時を忘れるブルーモスク内部の美しさ

 やしかし、今日もよく歩きました。昨日ほどではないにせよ、ブルー・モスクを出た頃にすでにオフクロの万歩計は1万歩超。ホテルでひと休みした後、夜はまたもや4人で波止場まで足を延ばし、ガラタ橋下のシーフードレストランで夕食とシャレこんだわけでございまして、最終的には1万6千歩くらいになっていたはずでございます。

 なみに、我々の泊まったホテル。一応3ツ星ではあるものの、真夜中に火災報知器が誤作動するわ、部屋に無言電話がかかってくるわと、なかなかワイルドなホテルでございましたが、屋上のテラスレストランから見た眺望だけは見事でございまして、この日もワタクシは夜の12時頃ビールを飲みに行き、ついでにライトアップされたアヤソフィアを写真におさめてきたのでございます。このアングルから撮った「昼間バージョン」はINDEXページに使っておりますが、夜ともなればこんな感じ。さて、明日はいよいよボスポラス海峡クルーズでございます。

ホテル屋上から見た夜のアヤソフィア

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