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Space Saver II Keyboard で遊ぼう!

第11回

プチ改造のススメ

キーボード好きの皆さん(?)こんにちは。

いや、まずは、ごめんなさい、すっかり遅くなりまして(って、皆さん、この連載のこと、もう忘れてましたよね:-)。いざ最終回 となると、筆、いやキーボードが進まなくて...。(いったい何回書き直したことや ら...)

さて、2002年の10月から始めたこのページ、SSK II をネタにいろいろ遊んできたわけですが、とうとうSSK II も製造終了とのこと(2004年3月上旬現在、お店によっては、まだ在庫はあるみたいですが。Rev. B も出たというのにねぇ...)。同じ型番の USB SSK と同形状の PS/2 版まで出ちゃっいましたし、もうこれは完全に終わりですね。

名残り惜しいですが、肝心のネタが仕入れられなくなるんじゃ、しようがありません。この連載もこれが潮時ですね〜。

ということで、今回は、子ネタを少々と、この連載を通じて感じたことを振り返って、締め括りにしたいと思います。

最後のプチ改造(!?)

この連載で、散々いじりまくった実験機君、ジャンクだったので、買ったとき既にTrackpointの部品が一部なかったので、パテ埋めして修正したの は、第二回でレポートしたとおりです。が、しばらく使ってみて、どうも、フィールが硬くて操作に力が必要なんですよね。たぶん、修正した時のキャップの位 置が、やや低すぎてたようです。もう少しキャップの位置を高くしたほうが使いやすそう(てこの原理で、キャップの位置が高く(長く)なれば、それだけ力も いらないわけです)。で、高くできるかどうか、ま、とりあえず、キャップをはずしてみて考えることにしました。はずすといっても、パテで直接スティックと キャップをパテで接着しちゃったので、簡単にははずれてくれません。まずは、キャップをやすりで削ってみたんですけど、これはどうも時間がかかりそう。そ こで、直接ニッパーでキャップを切って、さらにむしり取ってみました。やってみたら、こんな感じ。
trackpoint1
ま、わりとちゃんとちゃんと取れましたね。ゴムとはそんなにくっつかないみたいです。キャップの型がちゃんととれてます。
さらにパテをもってみたのが、これ。
Trackpoint after
パテは、使う前に良く練りこむ必要があるんですが、パテがやや硬化したようで、硬くて練り難くなってました。で、練 りをテキトーにしたら、ちゃんと硬化せず、こんなことになってしまいました。が、ま、使えます。やはりプチ改造は完璧を目指さないのがコツですね(ホント か?)。ちゃんと硬化したら、やすりで整形するつもりだったんですけど、ちょっとやわらかいんで、このままキャップをかぶせることにしました。

キャップをかぶせてこんな感じ。使ってみたところ、以前よりかるーくポインタが動くようになりました。まぁ、新品で買ったやつに比べたら、まだフィールは いまいちなんですが、大分良くなりました。そもそも店頭展示品だったので、大分ヤレてたってこともありますし、これ以上のフィールの向上は難しいのかも。

シリコーンスプレー

さて、Trackpointの改善と併せてやってみたのがこれ、近くのホームセンターで売っていたシリコンスプレーです。

spray
値段は300-400円ぐらいだったかな?量を考えると安いです。
前回試したチタングリースは、その後硬化しちゃったのか、引っかかるは、重くなるはで、かなりフィールが悪くなっていました。そこで、グリースを綿棒でふ き取った上で、塗ってみました。缶には素材を侵さないと書いてあったものの、半信半疑試してみたのですが、一応大丈夫そうです。スプレーした結果ですが、 そもそもス ムースエイドを塗ってあったので、どちらの効果かわかりませんが、すべりはよくなりました。とは言うものの、やや引っかかりは残りますねぇ。値段を考える と悪くはない といった感じでしょうか。耐久性についてですが、このSSK IIにはもともとスムースエイドを塗ってあるので、残念ながら調べられないですね。シリコンスプレーが剥げてもスムースエイドが効いてくれるハズなんで。 他のキーボードに試す機会があったら調べてみようかと思います。

以上で、小ネタ、最後のプチ改造は終わりです。次か らはいよいよこの連載のまとめです。

入力デバイスとしての SSK II キーボードとしての SSK II

この連載では、SSK II のキーボード部にばかり焦点をあてて、あまり、ポインティングデバイスとキーボードの複合体、総合的な入力デバイスとしての SSK II にはあまり触れてきませんでした。SSK II の魅力は、キーボード部というよりは、Trackpoint がついているってことにあるのに。まぁ、これと言うのも 、SSK II の Trackpoint は完成度が高かったので、逆にネタになることもなかったってことなんですよね。(修理はした わけですが。)

この、完成度の高さについては、第8回でも触れましたけど、SSK II より新しい USB SSK と比べても明らかだったりします。USB SSK の Trackpoint は今一ドライバの出来が良くないのか、それともハード的に何か問題あるのか、操作のフィールが良くなく、調整も難しい感じです。少なくとも剛性感という か、操作フィールのしっかり感は SSK II のほうが上ですね。

やや、難点とされてきたラバーキャップにも、新型が登場して選択の幅が広がり、ますます手を出す必要がなくなりました。

とまぁ、Trackpoint 部はなかなか素晴らしいんです。が、キーボード部の質がそれに相応しいかというと....。既に散々書きましたけど、Trackpoint 部の完成度と比較しちゃうとどうしても見劣りしちゃいます(特別悪いってわけ じゃないんですが)。値段も安くはないんだし、もう少しなんとかならなかったんですかね。仮に Trackpoint 部が3000円(根拠はまるでありません:-)としても、キーボード部だけでも4,5千円。それぐらいの値段出せば、けっこう品質の良い、使って楽しい キーボード買えちゃいますよね?

ということで、デザイン上は Trackpoint と キーボードがほどよくまとまっているんですが、操作感という点では、バランスがいまいちで、ちぐはぐな印象を受けます。ハンドリングがチャチでシフト フィールだけ立派な車みたいです。

価格相応の操作感というものがあると思うんですが、SSK II のキーボード部は Trackpoint の良さをスポイルしちゃっててますね。だいたいキーボード打ってる時間と Trackpoint 動かしてる時間では、ふつーキーボード打ってる時間のほうが長いしね。

その点、USB SSK や PS/2 版の新型 SSK II はある意味バランスがとれていて良いんじゃないかと思います。まぁ、 SSK II より、全体的になんとなく安っぽくて、これと言った特徴も少ないため、キーボード好きの人の心に、いまいち響き難いようですが、実用の道具としては良いん じゃないかと思いますよ。

それに対して、 SSK II は良くも悪くも特徴はいろいろあると言えますね。

キーボードの不満の解消法

さて、ここからは話は変ってちょっと一般的な話。

こんな風に SSK II に限らず、実際にキーボード等の入力デバイスを使っていると、いろいろ不満が出てくるものですよね。そんな時に皆さんはどうしますか?だいたい なんてパターンがあるんじゃないかと思います。

まず、最初のパターン、自分に合うキーボードを見付けるため、次々とキーボード遍歴を重ねていく(こう書くとなんかカッコいいな)。コレクションす るのが楽しいってのもあると思いますし、これは一つの形ですよね。

でも、これってお金持ちの解決法ですよねぇ(^^;)、私にゃ、無理です。仮に宝くじあたってウハウハ状態だったとしても、予算 は、ソフトや CPU やマザーボードなんかに回してしまいそうです。人はキーボードのみに生くるにあらず、です(なんのこっちゃ)。

それに、ユーザの必要とするものが特殊な場合、そもそも選択肢がなかったりしますよね。身近な例:-)では、SSK II がそうですよね。こいつに似たキーボードってそんなないんですよね。現在のところ入手が容易なのは USB SSK や OKI Minikeyboard シリーズぐらいのもんでしょうか?これじゃ、お金持ってても、なかなか難しいですね。特注ってわけにもいかなそうですし。

次のパターンは不満を我慢する、というものです。我慢する、というのがネガティブに聞これるなら、自 分をキーボードに合わせる自らをキーボードに適応させる、とポジティブに言 いかえてもいいかもしれません。

一見、なんじゃそりゃ!って解決法ですが、実は、コレ、良く考えると悪くない方法かもしれません。例えば、101キーボードじゃなきゃイヤだ!とい う人は結構いますけど、109も打てるようになったほうが、キーボードの選択肢が広がりますし、出先などで他所様のキーボードを打たなきゃいけない時に便 利です。また、重いキータッチのキーボードも軽いキータッチのキーボードも、最適な打ち方を使いわけられれば、色々なキーボードを楽しめるし、キーボード を買う時も選択肢がものすごく広がります。なにより、どんなキーボードにでも短期間で慣れる技を身に付けられたら、これは強いです。

あまりこだわりを持ち過ぎず、間口は広くしておいたほうが、キーボードとの楽しい出会いのチャンスが増えますよね。そして相手に合わせてある程度柔 軟に対処できるスキルも重要です。これは異性と付き合うのと、ある意味一緒ですね:-p)。

ってなわけで、特に若い人は、キーボードに文句を言う前に自分をキーボードに合わせるスキルを積んだほうが、その後の長い人生幸せになれそうです。

しかし、これ、30半ばのオジサンにはなかなか辛いんですよねぇ...。もうヘンなクセ付きまくりですからね。

それに、どうしても越えられない物理的壁も存在しますね。指や手の大きさや形状、筋肉の付きかた、使用する環境は、人によって違い、最適なキーボー ドも当然異なります。使う人の努力である程度はカバーできるかもしれませんが、限界があります。へたすりゃ体壊してしまいます(身近にも結構いませんか? そ ういう方)。

プチ改造(適正化)のススメ

となると、最後の解消法の出番。この連載でコツコツやり続けてきたこと、プチ改造です。いや、べつにプチじゃなくてもいいんですけどね。気負わず、コツコ ツカスタマイズです。

ほとんどのキーボードは、大量生産の工業製品なので、既製服と一緒、買ってきて、そのままピッタリということは、あまりありませんよね。たまたま ユーザがメーカが想定する標準的な人ならピッタリってこともあるでしょうけど。

となれば、服と一緒で多少の不具合は手を入れてなんとかするのが現実的なんじゃないかと思います。服であれば、普通プロに頼みますけど、キーボード は...カスタマイズのプロってあまり耳にしませんよね。服好きの人には、自分でリフォームしちゃう人もけっこういます。ならば、キーボードも自らプチ改 造に挑戦してみてみるのもいいんじゃないでしょうか?

改造といってもなにも身構える必要はありません。出来ることからやればいいんです。とりあえず、スムースエイドのような潤滑剤を塗ってみたり、キー ボードの掃除をするところからでも始めてみてはいかがでしょうか?わりと簡単なことですが、これだって、キートップを外すとか、多少はバラすことにはなり ます。

そうこうしているうち、キーボードの機構的な点についても知識がついてきて、自然といろいろ試してみたくなると思いますよ。それにキーボードを見る目がよ り深まること、請け合いです。

ま、ただ改造は自己責任で、ということだけはお忘れなく。それでも、Note PC を改造するのに比べたら、リスクは大分低いですよね。

プチ改造で出来たこと、出来なかったこと。

さて、では、最後にそのプチ改造をして、私の SSK II はどう変わったのか、変えられなかった点はなんだったのか、簡単に纏めてみましょう。

出来たこと

出来なかったこと、しなかったこと

といったところでしょうか。

実は匡体の剛性向上は、考えてはいたんですが、個人的に剛性感の不足はそれほど気にならなかったこと、対処がちょっと面倒だったので結局やらず仕舞 いでした。(底面に鉄板でも張ろうかと思ったんですけどね)。ま、自分が気になったところだけ手を入れればいいんです、プチ改造なんで。それに、おそらく匡 体の剛性の向上だけを行っても、全体的なフィーリングの向上にどこまで繋がるか、ちょっと疑問があります。車のボディ剛性の向上と一緒で、全体的なバラン スも結構重要だったりします。そもそも、SSK II はキーボード部の構造がいまいちですからねぇ。

それから外観についても何もしてません。私自信 SSK II のシンプルなデザインが気に入っていたのと、スキルがないのが理由です。でも、ドレスアップ系の改造は、スキルのある人ならだいぶ楽しめそうですね。塗装 やカッティングシートを貼るとか、けっこう楽しそう。私にスキルがないのが、ちょっと残念です。

まぁ、結局、設計上の問題や製造の良し悪しは解消することが難しいけれど、ちょっとしたチューニングなら出来ないこともない、ってことですかね。あ た りまえと言えばあたりまえです。けど、キータッチなんかはかなり変えることができたので、効果のほどは、プチ改造とは言え、あなどれないものもあります。

そんなわけで、ちょっと気に入らないところがあるキーボードでも、基本設計や製造品質が悪くないなら、プチ改造してみる価値はあるんじゃないか、 キーボードの 楽しみ方として、こういうのもありだよ、というのがこの連載の結論ですかね。そしてそれは、自分が気に入った素性のいい素材をゲットするところからはじま るんじゃないかと。(うーん、当たり前の結論だなぁ。)

最後のご挨拶

さて、長きに渡り(とはいえ、内容はそれほど無いですが:-)お付き合い頂き、どうもありがとうございました。この連載はこれで、お仕舞いです。もちろ ん、この連載が終わっても、私のキーボードとの付き合いはまだまだ続くはず。何か機会があったら、またお合いしましょう。この連載がささやかながらも皆さ んのキーボードライフに何かの彩りを与えることができたならうれしいです(SSK II は真っ黒ですが:-p)

では、キーボード好きの皆さん、さようなら。


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