2004.01.20

誤字等No.021

【スロットルマシン】(外誤科)

Google検索結果 2004/01/20 スロットルマシン:375件

スロットマシン。回転するドラムの絵を揃えるとコインが出てくる自動賭博機。
なんて、いちいち説明しなくても、もはやおなじみですね。
カジノにずらりと並ぶ本格的な機械から、電池で動く小さな玩具、パソコン上で動くソフトウェアなど、いろいろなバリエーションがあります。
その名前は、「スロット(slot:溝)」にコインを投入することに由来しているのでしょうか。

この「スロットマシン」を、なぜか「スロットルマシン」あるいは「スロットルマシーン」と呼ぶ人がいます。
単なる言い間違いや書き間違いではなく、本気で「スロットル」であると信じている風情の方も少なくありません。
マシンの中央で回転しているドラムのことを「スロットル」と呼んでいる人もいました。スロットルが回る機械だからスロットルマシン、という理屈のようです。

スロットル(throttle)」は、英語で「絞り弁」を意味しています。
車のエンジンに燃料を供給する途中に設置された絞り弁を操作しているのが、「スロットルペダル」です。
フル・スロットル(full throttle:全速力)」という言い回しは、耳にしたことがあるでしょう。
しかし、この「スロットル」という言葉自体は、車関係以外で日常会話に登場することは、あまりないように思われます。

一方の「スロット」の方も、「スロットマシン」の省略形として使われることがほとんど。
パソコンの世界では、増設カードを装着する「カードスロット」や、CD/DVDドライブの「スロットイン式」などの形でよく使われますが、それほどメジャーな外来語ではありません。

このあたりの、どちらもいまひとつ「有名になりきれない存在」であることが、多くの勘違いを呼んでいる原因かもしれません。
どこかで聞いたことはあるけれど、正確な意味を考えたことはない。
スロットル」という言葉に対してそんな印象を持っていれば、「スロットルマシン」という言葉も何の違和感もなく受け入れてしまうのではないでしょうか。

こういった「印象の弱さ」が原因であるならば、きっと「逆のパターン」も存在するでしょう。
試しに「フルスロット」で検索してみると…
予想通り、大量にヒットします。
中でも、映画のタイトルを間違えて覚えている人が、かなり多いようですね。

やはり、日本人はいつまでたっても外国語が苦手のようです。

[実例]

日本人とは、かくも「外国語の発音」に弱いのでしょうか。
このような「外国語の発音」が原因と思われる誤字等の品種を、「外誤科(がいごか)」と命名しました。

[亜種]

スロットルマシーン:142件
カードスロットル:570件
スロットペダル:6件
フルスロット:1,020件
throttle machine:2件

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