2004.01.16

誤字等No.020

【粉らわしい】(似字科)

Google検索結果 2004/01/16 粉らわしい:68件

紛らわしい」という言葉から生まれた替誤科の誤字等「紛わらしい」は、前回ご紹介しました。
この言葉から生まれたもうひとつの誤字等、その原因は「」とよく似た形の漢字、「」の存在です。
それが今回のテーマ、似字科の誤字等「粉らわしい」です。

ひとつの言葉から、全く違うアプローチで二種類の誤字を生み出すとは、なんとも紛らわしい言葉です。
両者を組み合わせた「粉わらしい」という表記ですら、一見しただけでは誤字とは気付かれないかもしれません。

「粉らわしい」と語尾が少し違うだけの、「活用形」とも言うべき亜種も確実に存在します。
粉らわす」「粉れる」「粉れもなく」と、すべて見つけることができました。
気まぐれ」という言葉も、素直に平仮名で表記していれば良いものを、わざわざ漢字にして「気粉れ」などという奇妙な間違いをしている人が、意外なほどたくさんいたりします。
OCRを使っているとはとても思えないものが多いのですが、この人たちはどうやってこの言葉を入力しているのでしょうか?
つくづく、紛らわしい言葉です。

さて、この誤字等は似字科ですから、当然のごとく「逆」のパターンが存在します。
本来「」と書くべきところを「」と表記しているものですね。
こちらの方が件数は多そうです。
しかも、「金紛」や「小麦紛」などの平易な言葉より、「紛体塗装」「紛粒体処理装置」といった「専門用語」での誤字が目立っています。
私は専門外ですから、実は本当に「紛体塗装」という言葉があって、私が知らないだけかもしれません。
しかし、「粉末状の塗料を静電気によって塗装したい物に付着させ」なんて解説があるくらいですから、「粉体」が正しいんですよね、きっと。

「○○工芸社」さん、トップページのタイトルくらい正しく表記しましょうよ。
「○○製作所」さん、「会社概要」は誤字のない文章で書いた方が良いですよ。

[実例]

日本人とは、かくも「似たような字形」に弱いのでしょうか。
このような「似たような字形」が原因と思われる誤字等の品種を、「似字科(じじか)」と命名しました。

[亜種]

粉らわす:6件
粉れる:27件
粉れて:38件
粉れもなく:24件
気粉れ:105件
粉争:312件
金紛:133件
小麦紛:21件
紛体:2,500件
紛粒体:283件

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