2004.03.08

誤字等No.041

【カプティーノ】(外誤科)

Google検索結果 2004/03/08 カプティーノ:175件

カタカナ表記の「外来語」として定着している言葉を、その本来の綴りを知らないままに「ちょっと気取って」発音したり表記したりすると、それは外誤科の誤字等となることがあります。
今回の表題「カプティーノ」も、そのひとつ。
イタリア語での表記は「cappuccino」ですから、カタカナ読みするなら「カプチーノ」で十分。
t」なんてどこにも入っていませんので、「ティ」にする理由は、ないんです。

カプティーノ」を使う人たちは、英語の「team」を「チーム」と発音することに抵抗があるのでしょうか。
でも「ティーム」が「外来語」として広く認められているかというと、疑問ですけどね。
しょせんカタカナ語なんですから、一般的に使われている「チーム」でいいじゃないか、と私は思ってしまいます。

「ティ」にこだわる人は、「steam(スチーム:蒸気)」も「スティーム」と発音するのでしょうか。
だったら中途半端に「スティームアイロン」などと言わず、「スティームアイアン」と言って欲しいものです。
それじゃ意味が通じないでしょうけど。

話を戻して「カプティーノ」、検索結果を見ていると、いくつもの「失敗例」に出会いました。
そのほとんどが、外国でカプチーノを注文しようとして「カプティーノ」と発音したら、「紅茶」が出てきた、というストーリーでした。
どうやら、「a cup of tea」と聞き間違われたようです。
たぶん、「ティー」にアクセントを置いたのではないでしょうか。
それじゃ仕方ありませんね。日本人だって、「ティー」と言われたら「紅茶」だと思います。

なるほど、「カプティーノ」は、はっきりと「実害のある」誤字等のようです。
カプチーノの代わりに紅茶が出てくるくらいならたいした害でもありませんが、「気取ったつもりで赤っ恥」という経験は、あまりお勧めできるものではありません。
まぁ、別に他人から責められるようなことでもありませんので、大げさに考える必要もないですが。

さて、「」が含まれる外来語には、他にどんなものがあるでしょうか。
チーズ」「チキン」「キッチン」「ランチ」などなど。それほど珍しくもありません。
(食事関連ばかりに見えるのは、単なる偶然です…)
これらすべてを「ティ」で発音しているなら見上げたものですが、そんな人は滅多にいないでしょう。
何でも「」を「ティ」にすれば、「それっぽく」なるというわけでもないんですよね。

」の表記については、面白い事例がひとつありました。
イタリアのローマ市内にある世界最小の国家、「バチカン市国」です。
英語では「Vatican」、イタリア語では「Vaticano」ですから、「原語主義者」なら「ヴァティカン」と表記したくなるところでしょう。
表記バリエーションを検索した結果は、こうなりました。

バチカン市国:8,080件
ヴァチカン市国:2,890件
バティカン市国:18件
ヴァティカン市国:389件

これを見る限りでは、「」を「ティ」にしたがる人より、「」を「ヴァ」にしたがる人の方が圧倒的に優勢ですね。

「外来語」の範囲では、「」で通用するものを無理して「ティ」にする必要など、なさそうです。
海外でも、自信を持って「カプチーノ」と注文してみてください。
変に気取るより、ちゃんと伝わる確率は高いですよ、きっと。

[実例]

日本人とは、かくも「外国語の発音」に弱いのでしょうか。
このような「外国語の発音」が原因と思われる誤字等の品種を、「外誤科(がいごか)」と命名しました。

[亜種]

capputino:24件
ハンカティーフ:24件
ティーズケーキ:5件
ローストティキン:5件
ポテトティップ:5件

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