2004.06.12

誤字等No.083

【ホームスティー】(外誤科)

Google検索結果 2004/06/12 ホームスティー:552件

ホームステイ(homestay)」とは、外国の一般家庭に滞在し、生活体験を通して語学や習慣を学んだり、文化交流をしたりすること。
日本に来ている外国人も、外国に行っている日本人も、たくさんいます。
帰国して、自らの体験をWEBサイトに載せている人も少なくありません。

日本人にとって、第一に学ぶ必要のある外国語は「英語」であることが多いものです。
そこで、多くの日本人はホームステイ先に英語圏の国を選んでいます。
当然、そういった国にホームステイした人の英語力は、格段に向上しているはずです。

ところが。
WEBサイトの体験談をよく読んでみると、それは「ホームステイ」ではなく「ホームスティー」だったりすることがあるのです。
私は「スティー」と発音する英単語に覚えがないのですが、彼らは一体何をしに外国へ行ったのでしょうか?

stay」に含まれる二重母音「ei」は、日本語にはあまり馴染みがないかもしれません。
そのため、「エイ」の発音が「エー」となるのはよくあることです。
steak」が「ステーキ」になったり、射撃の標的「clay」が「クレー」になったりするのと同じです。
ホームステイ」を「ホームステー」と表記するのは、理解の範囲内と言えるでしょう。

一方で、「ei」が「イー」に変化することはほとんどありません。
ビーフスティーキ」「クリー射撃」と言っても、何のことだか分かりませんね。
例外としては、プロレス技「back breaker」が「バックブリーカー」になるくらいではないでしょうか。

不思議なことに、「stay」単独で「スティー」と表記する人はあまりみかけません。
これがなぜか「homestay」になると、「ホームスティー」になってしまいます。
彼らは、「ホームステイ」が「home」+「stay」であることを知らないのでしょうか?
いや、いくらなんでもそれは考えられません。

だとするとなぜ、「ホームスティー」などという表記になるのでしょうか。
そして、彼らは本当に現地で「ホームスティー」と発音していたのでしょうか。
それで、会話が成立したのでしょうか。
とても、信じられません。

考えられる可能性のひとつは、表記は「スティー」でもそれを「ステイ」と読んでいることです。
フィルム(film)」を「フイルム」と読んだり、「ファン(fun)」を「フアン」と読んだりするように、小文字を大文字化して発音する人は珍しくありません。
同じ論理で考えれば、「スティ」が「ステイ」と発音されることはあり得る話です。

実際に検索してみると、「ホームスティ」の件数は圧倒的であることが分かります。
これだけの人が実際に「ホームスティ(homesti?)」と発音しているとは考えにくいことです。
多くは、「ティ」と表記しつつ、「テイ」と読んでいると見るのが妥当でしょう。

そう解釈したとしても、「ホームスティー」にはまだ最後の長音があります。
大文字化し、さらに伸ばして「ステイー」とでも発音しているのでしょうか?
これはこれで、わざわざ音を伸ばす意図がさっぱり理解できません。

もうひとつ考えられる原因は、「スティルス戦闘機」と同じように、無分別に「」を「ティ」へと変えてしまっていることです。
あるいは、「ティー」と発音する外来語(アルファベットの「」、紅茶の「tea」、ゴルフの「tee」)も影響しているかもしれません。

stay」を本当に「スティー」と発音しているのなら。
その人は、英語の素養がないことになります。
英語を大切にするといった「思い入れ」も、ないかもしれません。
そんな状態で英語圏の国にホームステイするなど、まさに地獄そのもの。
それだけの苦行に、よく耐えられたものです。

stay」を「ステイ」と発音しているのに、それを「スティー」と表記しているのなら。
その人は、日本語の素養がないことになります。
ホームステイ先の家庭に、間違った日本文化を残してきているのではないかと心配になります。
外国の文化を学ぶ前に、まず日本を理解する必要がありそうです。

いずれにしても、わざわざ外国まで行ってホームステイする前に、学ぶべきことがあるのではありませんか?

[実例]

日本人とは、かくも「外国語の発音」に弱いのでしょうか。
このような「外国語の発音」が原因と思われる誤字等の品種を、「外誤科(がいごか)」と命名しました。

[亜種]

ホームステー:862件
ホームスティ:18,300件
ホームステイー:43件
ホームスディー:2件
ホームスディ:1件
ホォムスティ:3件
ホームステイング:1件

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