2004.06.10

誤字等No.082

【重います】(誤変科)

Google検索結果 2004/06/10 重います:1,660件

思い」と「重い」の誤変換は、誤字の中でも「よくあるパターン」に属すると思われます。
某TVアニメの主題歌に登場する「思い込んだら」という歌詞を「重いコンダラ」だと思い込んでいたという有名な話もあるくらいですから。
(「コンダラ」という名の重いローラーを引きずって体を鍛えるトレーニングだと勘違いしたわけですね。私には思いもつきませんでした)

確かに、「おもい」という発音だけであれば、それを「思い」と解釈することも「重い」と解釈することも可能です。
しかし、文法的には「動詞の連用系または名詞転用」と「形容詞の終止形または連体形」であり、その違いは明確です。
例として「おもいます」という形にすれば、「重います」は明らかな誤字となります。
もっとも、「重い枡」であれば、文法的には合っているのかもしれませんが…

おもいます」という文節単位でかな漢字変換を行った結果が「重います」になったとしたら、その変換プログラムは「未熟」です。
日本語の文法を解釈する機能が足りません。
そのようなプログラムが実際にあるかどうかは分かりませんが、「おもい」まで入力した時点で変換してしまっては、どうにもなりませんね。
検索結果に登場するページの作者たちは、どのように入力しているのでしょうか。

さて、「思い」を動詞としてみれば、終止形は「思う」です。
これを「重う」にした誤字も、意外なほどありました。
重う」だけでは誤字かどうかの見分けが付きづらいですが、「〜と重う」の形にすれば、ほぼ確実に誤字となります。

他にも、「思う」の活用形は「思わない」「思えば」などいくつかあります。
まさか、これを「」にしてしまう誤字はないだろう…と思ったのですが、ありました。
さすがに件数はごくわずかですが、実在します。
ここまで来ると、もう「わざと間違えて書いている」以外の説明は思いつきません。

他にも、いくつかの形で検索した結果を「亜種」の項にご紹介します。

今度は、「逆方向」を見てみましょう。
重い」と書くべきところを「思い」にしてしまう誤変換です。
当然のごとく、簡単に見つかりました。
気が思い」「荷が思い」など、三桁ヒットを記録しています。

頭が思い」と言って嘆いている人がいましたが、「思う」のは頭ですから、当たり前のことです。悩む必要はありません。
これが「腰が思い」「足が思い」となると、問題です。医者に相談した方が良いかもしれません。

おもい」と読む漢字表記には、もうひとつ「想い」があります。
こちらは、「空想」や「回想」などの「イメージ」に関わる場合、あるいは「思慕」の感情に関わる場合に使われます。
ときどき、この言葉を妙に気に入ってしまい、普通に「思い」と書けば良いところを片っ端から「想い」に変えてしまう人がいたりします。
それがその人のスタイルであれば、とやかく言いません。
でも、「想いっきり」という表記は、さすがに、「変」だと思いませんか?

[実例]

日本人とは、かくも「誤変換」に弱いのでしょうか。
このような「誤変換」が原因と思われる誤字等の品種を、「誤変科(ごへんか)」と命名しました。

[亜種]

重わない:1件
重えば:4件
と重う:594件
と重って:134件
重われる:1件
重いません:22件
重い出す:22件
重いがけず:4件
重いきり:66件
重いっきり:156件
重いもよらない:16件
気が思い:386件
荷が思い:159件
頭が思い:226件
腰が思い:43件
足が思い:120件
思い負担:67件
思い足取り:363件
想いがけない:31件
想いきり:145件
想いっきり:939件

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