2004.04.27

誤字等No.064

【バングラディッシュ】(外誤科 固有亜科)

Google検索結果 2004/04/27 バングラディッシュ:13,200件

固有亜科に、「国名」の登場です。
外国の国名ですから、当然「外誤科」になります。

その国の正式名称は「バングラデシュ人民共和国」、英語表記は「People's Republic of Bangladesh」となります。
南アジア、インドに接し、ガンジス川の河口がある、自然豊かな国です。
国旗は緑地に赤い丸という、日本の日の丸とよく似た形をしています。

英語の発音には「促音(つまる音)」という概念がありませんので、「Bangladesh」は「バングラデシュ」とも「バングラデッシュ」とも表記できます。
ここまでは、理解できる範囲です。
しかし、「desh」の部分を「ディシュ」と表記することはないはずです。
ましてや「ディッシュ」では、「dish(皿)」になってしまいます。

現地の言葉である「ベンガル語」でどのように発音するかは分かりませんが、少なくとも「英語表記」をカタカナ読みする限りにおいては、「バングラデシュ」で十分です。
バングラディッシュ」などと発音をひねる必要はまったくありません。

デシュ」が「ディシュ」になってしまうのは、「ディスクトップ」と同じような理由によるものでしょうか。
さらに「ディッシュ(dish)」が既に外来語として定着していることから、その連想で「バングラディッシュ」となってしまうのでしょうか。
しかしこの理由では、「バングラディッシュ」と「Bangladesh」をわざわざ並べて書いているページの説明はつきません。
desh」であることを知っていながら、「ディッシュ」と読んでいるわけですから。
こうなるともう、「単に感性だけで書いている」としか考えようがありません。
(そして、その「感性」がずれていることに気付いていないわけですね)

バングラデシュ」という国のことをほとんど知らない人であれば、「正式名称」など気にもしたことがないかもしれません。
であれば、間違って覚えていたとしても仕方のないことと言えます。
しかし、検索結果に表示されるページの作者たちの多くは、そうではありません。
バングラデシュの素晴らしさを誇らしげに紹介するページを書いているような人が。
海外情勢の真面目なレポートを書いているような人が。
バングラデシュに関連する研究をしているような人が。
なぜ大事な「国名」を変にねじってしまうのか、私にはどうしても不思議でなりません。

表記バリエーションは、他にもいくつか見つかりました。
パングラデシュ」「バンクラデシュ」「バングラティッシュ」などなど。
このあたりは、濁音や半濁音に弱い日本人の特性が如実にあらわれています。
せめて「ティッシュ」くらいは、「何か変だ」と気付いて欲しいところですけどね。

どうやら日本人の中には、「他人と同じ表記」をしないことで個性を主張したがる困った人がたくさんいるようです。
そして、「斜に構えた発音」が「外国語っぽい」と思っている人も多いのでしょう。
それらを見境なく行っていれば、確実に「赤っ恥」につながります。
いつかそのことに気付いたとき、彼らがどんな反応を示すのか。
一度見てみたい気もしますが、一生気付かずに過ごす人も多いのでしょうね、きっと。

[実例]

日本人とは、かくも「外国語の発音」に弱いのでしょうか。
このような「外国語の発音」が原因と思われる誤字等の品種を、「外誤科(がいごか)」と命名しました。
そして、外誤の波は人名や地名などの「固有名詞」にまで及んでいます。
そのような品種を、外誤科から分岐した「固有亜科(こゆうあか)」と命名しました。

[亜種]

Bangladish:86件
Bangradesh:214件
Bankladesh:14件
バングラディシュ:11,700件
パングラデシュ:1,310件
パングラディシュ:9件
パングラディッシュ:10件
バンクラデシュ:42件
バンクラディシュ:13件
バンクラディッシュ:27件
バングラティッシュ:6件
バングラティシュ:6件
バングラテシュ:11件

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