2004.02.26

誤字等No.036

【自身があります】(誤変科)

Google検索結果 2004/02/26 自身があります:14,600件

今回の誤字は、いわゆる「商売用語」として頻繁に使われる言葉です。
取り扱う商品やサービス、技術力などについて「○○には絶対の自信があります!」と謳うのは、広告においての「常套句」とも言えるでしょう。
自信をもってお勧めします」という表現も、よくみかけます。
商売以外でも、世の中、自信に満ち溢れた人は多いようで「体力には自信があります」などといった自己アピールも珍しくありません。

でもよく見ると、実は「自身があります」だったりすることも多いものです。
多いだろうとは思っていましたが、検索結果の件数にはさすがに唖然とさせられました。
そりゃ、「自身」がなかったら大変です。幽霊になってしまいます。
そんな調子で本当に「自信」があるのかどうか、疑わしいです。
せっかくのアピールが、まるっきり「逆効果」になりかねません。

自信」と「自身」は、誤変換の代表格とも言えるエース級の誤字です。
自身がある」「自分自信」と、双方で誤変換が多発します。
自身満々」なんて、まるで「太りすぎ」と言っているようで面白いものですが、笑ってばかりもいられません。

文章を書く際、常に「誤字をしないように」気を使うということは、なかなか難しいものです。
ただ、これが「誤字の多い言葉」であることであることを知っていれば、状況は変わります。
じしん」という言葉が出てきたときに、「おっと、これは気をつけないと」と気付けるかもしれません。
知識のひとつとして、覚えておいて損はないと思います。

もうひとつ「地震」もよく使われる同音異義語ですが、さすがに「自信」と「地震」を間違えているようでは「注意力不足」としか言いようがありません。
これはもはや、意図的な「ボケ」としてごまかすしかないですね。

人間に間違いはつきもの。
たったひとつの誤字で信頼感を失うとは、ずいぶん狭量だと思うかもしれません。
しかし私は、ここに「自信」と「過信」の境界線があると考えています。
自信と過信を分けるのは、自己を客観的な目で見つめ直すことができるかどうか。
自分もまた間違い多き人間であることを謙虚に認め、振り返ることのできる者だけが、本当の「自信」を得ることができるのではないでしょうか。
大事な商売文句で誤字を見落としている人たちの「自信」にどれだけの裏付けがあるのか、疑いたくもなろうというものです。

自信があります」とアピールする前に。
本当にそれが「自信」なのかどうか、振り返ってみてはいかがでしょうか。

[実例]

日本人とは、かくも「誤変換」に弱いのでしょうか。
このような「誤変換」が原因と思われる誤字等の品種を、「誤変科(ごへんか)」と命名しました。

[亜種]

自身をもって:3,530件
自身がある:7,190件
自身がない:5,170件
自身満々:4,620件
自身過剰:558件
私自信:14,600件
自分自信:13,000件
あなた自信:2,420件
自分地震:63件
地震過剰:38件

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