2004.03.26

誤字等No.050

【プリント基盤】(誤変科)

Google検索結果 2004/03/26 プリント基盤:2,600件

今回は、「金子」さんからの投稿を元ネタにしています。

パソコンを構成する部品の中で、「基盤」となるものは何でしょうか。
それは、「基板」です。
「マザーボード」あるいは「メインボード」とも呼ばれ、まさに「主要部品」としての地位を確固たるものとしています。
プラスチック板の表面に配線をプリントして数々の電子部品を配置した「プリント基板」は、パソコンに限らず現代の電子機器一般における「土台」です。
しかし、その部品の名称はあくまで「基板」であって、「基盤」ではありません。
基盤」という言葉自体が指し示す意味は「ものごとの基礎となるもの」であって、特定の部品のことではないのです。

発音が同じ、意味も似通っている、でも「別の言葉」です。
プリント基盤」という記述をしてしまっている人は、はたしてそれが誤字であることに気付いているのでしょうか。

基板」のつもりで「基盤」と誤記している文章は、文字通りに読むとなかなか興味深いものとなります。
意気揚揚と、「基盤を購入した」などと報告している人は、パソコン売り場で「インターネット下さい」と言っているおじさんを笑えません。
基盤製造装置」なるものもあるようですが、いったいどんな土台を作る機械なのか、一度見てみたいものです。

無論、逆方向の誤変換も豊富です。
基板整備公団」とは、ハンダゴテを握った技術者の集団でしょうか?
情報基板センター」とは、各メーカーの基板を集めた展示場でしょうか?
基板となる立場」なんて、願い下げです。

このような誤字は、書いた本人が「全く気付いていない」という可能性があります。
それだけに、ただの誤変換とは少々毛色が違います。
間違いを指摘されても、それが間違いであることを認識できないかもしれないのです。
であれば、たとえ「手書き」の文章でも、同じ間違いを繰り返すことでしょう。

その背景には、言葉に対する関心の薄さがあるのかもしれません。
音が同じ、見た目的にも「それっぽい」、であればそれ以上気にする必要もない、といったところでしょうか。

そういった意味では、日本の「国語教育」は何の役にも立っていません。
単に漢字を丸暗記させても、登場人物の気持ちを考えさせても、作者の言いたいことを要約させても、「言葉に対する関心」を呼び起こすことにはならないからです。
国のお偉方には、「日本語の乱れ」を嘆く前にやることがあるのではないか、という気がしてなりません。

[実例]

日本人とは、かくも「誤変換」に弱いのでしょうか。
このような「誤変換」が原因と思われる誤字等の品種を、「誤変科(ごへんか)」と命名しました。

[亜種]

回路基盤:1,670件
基盤加工:149件
基盤表面:344件
実装基盤:242件
基盤製造:492件
基盤販売:182件
基盤購入:101件
ゲーム基盤:1,100件
ガラス基盤:568件
基盤メーカー:89件
モジュール基盤:80件
プラスチック基盤:67件
ユニバーサル基盤:470件
基板的:12件
基板産業:78件
基板技術:897件
基板整備:71件
基板計画:6件
情報基板:58件
流通基板:4件
社会基板:17件
研究基板:31件
政治基板:1件
基板センター:23件

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