2004.12.30

誤字等No.125

【非難場所】(誤変科)

Google検索結果 2004/12/30 非難場所:3,410件

今回は、「ネコジョンイル」さんからの投稿を元ネタにしています。

地震、台風、洪水など、2004年は数々の自然災害が日本列島に襲いかかりました。
日本だけではありません。
年の瀬も押し迫った時期になり、インド洋で発生した巨大な津波は、未曾有の惨事となりました。
これはまさに、「」の文字に翻弄された一年を象徴するかのような出来事です。

このような災害は、決して「ひとごと」ではありません。
いつ、自分の身に降りかかってくるかは分からないのです。
いざというときのために、各種の備えをしておくことは大切でしょう。
自分が住んでいる地域の「避難場所」を確認しておくことも、そのひとつ。
その「避難場所」を設定し、広く告知すること。
それは、地域住民を守るための、自治体の重要な責務のはずです。

ところが。
各地の役所が広報に記載している文章には、信じられないほど多くの「非難場所」が登場しています。
災害に遭遇して「避難」している方たちを前にして、「非難」してどうしようというのでしょうか。
これは、役所の人間たちが、これらの仕事をいかに軽視し、「片手間」にこなしているかを証明する誤字です。
タイトルすら正しく書けない人たちの示す情報を、どれだけ信用できるものでしょう。
ただのミスでは済まされません。
仕事に対する「姿勢」を疑ってしまいます。

各種の災害では、実際に避難場所での生活を余儀なくされた方々も、たくさんいます。
そんな被災地に関する文章を公開する際にも、「避難」を「非難」とした誤記は数多く目にすることができました。
それはまるで、被災者に追い討ちをかけるようなもの。
こればかりは、たとえ個人的な文章であっても、「やってはいけない」誤変換にあたるのではないでしょうか。

避難」を「非難」と誤記するケースは、他にも色々あります。
非難訓練」なんて、いったいどんな訓練をさせるつもりですか。
非難指示」など、従いたくはありません。
ショッピングサイトに並ぶ「非難用具」など、一体誰が買うのでしょう。

これらの誤記をしている人の中には、これが「間違い」だと思っていない人がいる可能性があります。
非常事態」あたりの語感と混ざり、「非難」で正しいと勘違いしているのかもしれません。
しかし、冷静にその意味を考えて見れば、ひどい間違いであることは明らかです。
その誤記自体を「非難」されることにならないよう、気をつけたいものです。

2005年は、「避難」という言葉自体に登場の機会がない年になることを祈りつつ…

[実例]

日本人とは、かくも「誤変換」に弱いのでしょうか。
このような「誤変換」が原因と思われる誤字等の品種を、「誤変科(ごへんか)」と命名しました。

[亜種]

非難訓練:907件
非難指示:161件
非難用具:937件
災害非難:1,510件
非難地域:38件
非難勧告:7,510件
非難地図:13件
非難住民:122件
非難情報:385件
非難準備:848件
非難小屋:5,700件
非難状況:99件
一時非難:2,910件
全島非難:103件
全村非難:29件
非難グッズ:589件
非難セット:289件
非難民:1,820件

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