2004.03.22
誤字等No.048
Google検索結果 2004/03/22 大坂府:524件
帰ってきた県名シリーズ。
「県」から「府」に範囲を広げて、「大坂府」の登場です。
明治初期までは本当に「大坂」だったようですので、その頃のことを書いた文章であれば、誤字とはなりません。
一説によると、縁起かつぎで「阪」が使われるようになったとのこと。
「坂」は「土に返る」だから縁起が悪い、という解釈のようです。
かつて「国鉄」が「金を失う」のは縁起が悪いからと「金偏に矢」の字を使おうとしたことが思い出されます。
といった影響で、明治初期の文献には「大阪」と「大坂」が混在しているようです。
とは言っても、無論、現代には「大坂府」は存在しません。
「出身地は大坂府」と自己紹介している人がいたら、「明治初期のお生まれですか?」と返してあげましょう。
しかし、現代人が「大坂府」と誤記してしまうのも理解できなくはありません。
世間一般で、「さか」と言えば「坂」です。
「阪」の字は、大阪とそれに関連する地名や団体名等以外では、ほとんど馴染みがありません。
しかも「さか」ではなく「はん」と読むことが多くなります。
単純に「おおさか」を漢字にしたときに、「大坂」となってしまうのも、仕方のないところでしょう。
さて、大阪府に関する誤字は、他にもまだあります。
点の付いた「太阪府」や、別の県名と紛らわしい「大板府」などは似字科の範疇ですね。
「大阪付」「大阪符」「大阪附」といったパターンもあります。
まぁ、確かに「府」の字も馴染みは薄いかもしれません。
「大阪県」や「大阪府県」は、ちょっと異色。誤字と言えるかどうかは、微妙です。
「府」だの「都」だのややこしいこと言わず、全部「県」でいいじゃないか、という主張が感じられるのは…気のせいですね、きっと。
ところで、プロ野球の球団「阪神タイガース」や、その親会社「阪神電鉄」の「阪」は、「大阪」の「阪」ですね。
「大阪」が「大坂」になるなら、「阪神」が「坂神」になる人がいてもおかしくありません。
調べてみると…いました。ごく少数ですが実在します。
「坂」を「はん」と読む機会は多くないので、少し無理のある誤字ですが。
やはり、「小学校で習わない漢字」の立場は、想像以上に厳しいようです。
明治の人たちも、罪なことをしてくれたものです。
日本人とは、かくも「誤変換」に弱いのでしょうか。
このような「誤変換」が原因と思われる誤字等の品種を、「誤変科(ごへんか)」と命名しました。
そして、誤変の波は人名や地名などの「固有名詞」にまで及んでいます。
そのような品種を、誤変科から分岐した「固有亜科(こゆうあか)」と命名しました。
太阪府:6件
大板府:4件
大阪付:49件
大阪符:243件
大阪附:24件
大阪県:690件
大坂県:18件
大阪府県:527件
大阪県府:6件
大坂市:608件
大坂城:6,390件
坂神電鉄:3件
坂神タイガース:2件