2004.04.20

誤字等No.061

【東京都太田区】(誤変科 固有亜科)

Google検索結果 2004/04/20 東京都太田区:460件

あの「県名シリーズ」が、ぐっとスケールダウンして帰ってきました。
東京23区のひとつ、「太田区」の登場です。
これだけだと誤字とは断定できませんので、「東京都」を付けてみました。
東京ローカルなネタですみません。

本当の表記は、「大田区」です。点は付きません。
しかしこれを「太田区」と書いてしまう誤字が、散見されます。
どちらが正しい表記だったか、自信がなくなっている人も多いのではないでしょうか。

東京23区の南の端に位置する「大田区」は、実は23区の中で「一番広い」区です。
一番狭い「台東区」の六倍近い面積を誇っています。
それなのに、名前を正しく覚えてもらえないとは、なんとも不憫な区です。

おおた」が「太田」になる理由としては、「人名」の影響も無視できません。
太田」さんも「大田」さんも全国にいらっしゃいますが、人数が多いのは「太田」さんのようです。
太田裕美」「太田光」「太田道灌」などの有名人もいることですし、「おおた」と聞いて「太田」を思い浮かべることも自然なことと言えます。

同様の現象は、島根県の「大田市」でも発生しています。
もっとも、こちらの読みは「おおだ」市ですが。
島根県太田市」の検索件数は、「東京都太田区」に匹敵するほどでした。

群馬県の「太田市」では、ちょうど逆の変化が見られます。
それほど件数は多くありませんが、「群馬県大田市」を見つけることができました。
人名でも、上記の「太田」さんを「大田」と表記したページが結構あります。
単に一方通行の間違いではなく、「太田」と「大田」の双方向で混乱があるようです。

さて、どうしても「大田区」と「太田区」のどちらが正解か覚えられないという方に朗報です。
東京近郊にお住まいの方なら、JR京浜東北線に「大森」と「蒲田」という駅があることをご存知でしょう。
昭和初期までは、ここに「大森区」と「蒲田区」があったのです。
このふたつが合併して新しい区となるときに、それぞれの区名から一文字ずつとって「大田区」と命名されました。
だから「」ではなく「」なのです。
この歴史さえ覚えておけば、もう表記に迷うことはなくなりますね。

ただし、「大森」を「太森」と書いてしまう人にとっては逆効果となりますが…
いませんよね、そんな人。

[実例]

日本人とは、かくも「誤変換」に弱いのでしょうか。
このような「誤変換」が原因と思われる誤字等の品種を、「誤変科(ごへんか)」と命名しました。
そして、誤変の波は人名や地名などの「固有名詞」にまで及んでいます。
そのような品種を、誤変科から分岐した「固有亜科(こゆうあか)」と命名しました。

[亜種]

東京都夫田区:1件
島根県太田市:350件
群馬県大田市:58件
大田裕美:257件
大田光:272件
大田道灌:371件

前 目次 次