2004.04.06

誤字等No.055

【杜会】(似字科)

Google検索結果 2004/04/06 杜会:4,770件

(もり)」という言葉があります。
樹木がたくさんある「森」の意味で使われることもありますが、狭義には神社の周りを囲む木立のことを示すようです。
この漢字、「」と非常によく似ています。
神社の木立を「鎮守の杜(もり)」と呼ぶことがありますが、「鎮守の社(やしろ)」という言葉もありますので余計にややこしい事態となります。
これだけよく似ている文字ですから、「社会」と書くつもりで「杜会」となってしまっても仕方ないのかもしれません。

しかし、検索結果の中にあったページのひとつには、正直あきれてしまいました。
印刷すれば紙1枚に収まる程度の文章の中に、十数個の「杜会」、「白立意識」、「二一ズ」、「人ヵ」などの誤字が「これでもか」とちりばめられているのです。
まるで、文章校正用の練習問題のようです。
これを書いているのは、ある県の保健福祉部、要するに役人です。
誰かが書いた原稿をOCRで読み取って、HTML化して、おしまい。
謳っている「障害者計画」とやらも、お題目ばかりで具体性が全然ありません。
真面目に仕事をしているように見せかけて、実は「やる気」など皆無であることを、この文章は如実に証明しています。
こんなレベルの低い「やっつけ仕事」で税金を吸い上げようなんて、虫が良すぎます。
こんなことをしているから、「お役所仕事」と言われて軽蔑されてしまうのです。
全国の役人さん、こういった怠慢を糾弾しない限り、あなたたちも「同類」とみなされますよ。

また、「杜会科」という形で調べると、教育関係のサイトが大量に釣れます。
そんな調子で、ちゃんと教育ができているのでしょうか。
もし生徒に指摘されたら、威厳も何もなくなりますよ。

社会」の文字の順序を入れ替えると、「会社」になります。
であれば当然、「会杜」という誤字もたくさんあることでしょう。
予想通り、「杜会」に引けをとらない件数がヒットしました。
「日本○○協会」さん、会員企業の社名を大量に間違えていますが、大丈夫ですか?

ところで、「会杜」の検索結果の中に、究極的なツワモノを発見しました。
上述の保健福祉部をはるかに上回る暴走ぶりは、見事のひとことに尽きます。
通常、誤字等の館では誤字のあるページへの直接リンクは張らないのですが、特別に紹介させていただきます。
一体何種類の誤字があるのか、そう簡単には数え切れません。
同じ漢字が、多種多様の似字に入れ替わって次々と登場します。
これをすべて校正する手間を考えたら、全文手打ちの方が早いです、きっと。

たとえわざとやったとしても、ここまで徹底するのは至難の技。
このページの解説だけで、本が一冊書けてしまいそうです。
興味のある方は、どうぞ一度ご覧下さい。

※[2005/07/09 追記] 残念ながら、該当のページは消滅してしまいました。

[実例]

日本人とは、かくも「似たような字形」に弱いのでしょうか。
このような「似たような字形」が原因と思われる誤字等の品種を、「似字科(じじか)」と命名しました。

[亜種]

会杜:3,320件
杜長:346件
杜員:270件
出版杜:171件
新聞杜:260件
弊杜:82件
貴杜:28件
社撰な:7件

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