2004.08.08

誤字等No.102

【RICHO】(替誤科 固有亜科)

Google検索結果 2004/08/08 RICHO:4,110件

今回は、「シャノン」さんからの投稿を元ネタにしています。

替誤科に、初の「固有亜科」が誕生しました。
しかも、これまでとは違う新しい切り口、「企業名」が題材です。

日本有数の情報機器メーカー、「リコー」。
デジタルカメラやコピー機などで、お馴染みの方も多いかと思われます。
実は、カメラの大量生産体制を日本で最初に確立した会社でもあるそうです。

社名の由来は、旧社名の「理研光学工業株式会社」から「理」と「光」をとってつなげたものと思われます。
決して、お利口さんな理工系学生ばかり採用しているというわけではないはずです…

社名をアルファベットで表記するときのスペルは「RICOH」。
この名前で世界各地に事業を展開し、既に「世界規模」のブランドとなっています。

そんな「RICOH」は、スペルを間違えられることが非常に多いという不憫な一面も持ち合わせています。
その代表格が、今回の表題である「RICHO」です。
H」と「O」が、入れ替わってしまいました。これでは「リチョー」です。

日本国内だけでもたくさん見つけることができますが、全世界規模で検索すると、さらに件数は跳ね上がります。
さすがはリコー、誤字までも世界規模のようですね。

実は筆者自身、「RICOH」と打とうと思っても、指が勝手に「RICHO」と打ってしまいます。
しかも、よほど注意していない限り、ほぼ100%の確率です。
RICOH」と打つためには、「C」の時点でいったん指を止めなければなりません。
その理由はおそらく、「CH」を打ち慣れているから、だと考えられます。

英単語の中で、「CH」の順に文字が並ぶのは珍しいことではありません。
実際、「CH」で始まる単語だけでも数え切れないくらい存在します。
英語をタイプする機会が多くなるほど、指が「CH」の並びを覚えてしまうのではないでしょうか。

一方、「COH」という文字の並びは、そう簡単には出現しません。
まして、語尾が「COH」となっている(固有名詞以外の)単語は、思いつきません。
試しに、WEB全体で「cho」と「coh」の出現頻度を比べてみましょう。

cho:6,380,000件
coh:445,000件

意外と「coh」も多いものですが、やはり「cho」は桁が違います。
これで、「COH」と打とうと思っても「CHO」になってしまう理由は納得できます。

しかし、「書き間違い」や「打ち間違い」をすることと、それを見逃すこととは全くの別物です。
商品を扱うショッピングサイトでありながら、「RICHO」という誤字を平然と放置しているなど、弁解の余地はありません。
こういった「間違えやすい」上に「気付きやすい」類の誤字をいくつも見逃している組織は、「校正」がほとんど機能していないことを白状しているようなものです。
その体質は、「文章作成」だけのものとは限らないことでしょう。
組織のあり方自体を見直していかない限り、いずれは「信頼」を失うことになりかねません。
そこに待っているのは、「衰退」の道です。
「たかが誤字」と侮らない姿勢を持てるかどうかが、その組織の本質を問うことになります。

(ところで…まさか、当のリコーのサイトには「RICHO」なんて書いてないですよね?)

[実例]

日本人とは、かくも「入れ替え」に弱いのでしょうか。
このような「入れ替え」が原因と思われる誤字等の品種を、「替誤科(かえごか)」と命名しました。
そして、替誤の波は人名や地名などの「固有名詞」にまで及んでいます。
そのような品種を、替誤科から分岐した「固有亜科(こゆうあか)」と命名します。

[亜種]

RIKOH:244件
ROCOH:77件
ROCHO:166件
LICOH:3件
LOCOH:8件

※ 2004/08/09
「目安箱」より、このようなご意見を頂きました。

echo, chorus... チョーじゃないですね。英語ネイティブから見れば、richoのほ
うが自然な綴りです。どちらかというと、リコーさんが使っている英文表記に問題
があるような気がします。ローマ字にCを使うからややこしいんんですね。まあ、
固有名詞ですからしょうがないですけど。

なるほど。確かに、「cho」で「コー」と読む単語もありますね。「richo」で「リコー」と読んでもよさそうです。
でも、「チョ」になることも、ありますよね。「choice」「choke」「chocolate」など。

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