2004.08.26

【誤字等の談話室 2】

誤字等の館 (ごじらのやかた) に寄せられる読者様のコメントに対して館主が答える「誤字等の談話室」、その第2弾です。

[006]

Googleで見つけて以来ずーーーーーーーと気になっていたのですが、

「休育祭」
「夏体み」

このような単語もヒットします。どうしてこういう変換がされるのか
りかいに苦しみます。OCRかなーとも思うんですが、、、でもやっぱり変です!

いや、私は結構「休」って漢字を「体」って書いてしまう子だったんですよ。
ついつい棒線ひいちゃうんです。で、懐かしいなと思ってぐぐったら、、
どういう結果こういう変換するのかアンケートとりたいです。

「ついつい棒線ひいちゃう」というその感覚、分かります。
私も子供の頃は、「休」の字に無意識に横棒を書きかけて、「違う違う」と手を止めた覚えがあります。
手書きなら理解もできますが、「変換」となると話は別。
なぜそういうことになるのか、本気で聞いてみたいものです。

[007]

あと、誤変換とは逆のアプローチで「赤い」「青い」は言っても
「緑い」「紫い」とかありますよね。文法的に間違っていなくても
なぜか誰も言わない言葉とか。

これは私も気になって、調べたことがあります。
日本語で「い」を付けて「形容詞」になる色は、「白」「黒」「赤」「青」「黄色」「茶色」の六色だけですね。
このうち「色」なしで形容詞になる四色が、日本に古来からある色の概念だそうです。
むろん、たった四色ですべての色を表現できるわけではありません。
この四色は、現在「色の三属性」として知られる要素のうち、「明度 (明るさの度合い)」と「彩度 (鮮やかさの度合い)」を示す尺度となっていたようです。
すなわち、「赤 (明)」と「黒 (暗)」、「白 (顕:はっきりした様子)」と「青 (漠:ぼんやりした様子)」がセットになっているわけです。
残る属性の「色相 (色あい)」が示されていませんので、これだけで「色」を決めることはできません。
その代わり、日本人は「草木染め」の染料など自然の植物から「紫」「茜」「藍」「桜」「藤」といった多種多様な色名を作り出しました。
色を示す形容詞が四つしかなくても、日本人が色に無頓着だったわけではないのですね。

後に、中国から「陰陽五行説」が導入されると、四つの形容詞が「色」として確立され、さらに「黄」が加わります。
東方の守護神、「木」と「春」を司り「鱗」に覆われた「蒼竜」が「青」。
南方の守護神、「火」と「夏」を司り「羽」に覆われた「朱雀」が「赤」。
西方の守護神、「金」と「秋」を司り「毛」に覆われた「白虎」が「白」。
北方の守護神、「水」と「冬」を司り「甲」に覆われた「玄武」が「黒」。
そして中央に位置し、「土」と「土用 (季節の境目)」を司り覆うものを持たない「人間」が「黄」となるようで。
中国人や日本人は「黄色人種」ですので、「黄」を割り当てたことには納得してしまいますが、単なる偶然でしょうか。

以上、聞きかじりの雑学でした。

[008]

絶対音感と絶体音感はどちらが正しいか?
また(趣旨に外れたものですけど)絶体絶命のほかに絶体を使った熟語があ
るのか?

「絶体」と「絶命」は、九星占いにおける「凶星」の名前、だそうです。
このあたりは詳しくないのですが、何やら「逃れようのない窮地」を意味するとか。
そういった極めて不吉な状態を指す言葉が、「絶体絶命」なのでしょう。
他に「絶体」を使った言い回しは、見たことがありません。

ちなみに「絶対」とは、「なにものにも依存せず、それ自体において完全であること」を意味する哲学用語です。
「それだけでは独立せずに、他との関係にあること」を意味する「相対」の対義語となります。
ということで、「すべての音がドレミで聞こえる」という特殊能力は、比較対照なしに音の高低を認識できるところから「絶対音感」と呼ばれています。
「絶体」が「不吉な言葉」であることを知っていれば、間違えることもありませんね。

[009]

また、一部の誤字にはユーザスキルに付いての考慮が必要では無いでしょうか。
コンピュータ初心者の中には一語ずつ打ち込み変換する人が少なからず居ます
し、私の知人には 「を(wo)」の入力方法が分からずに「お」を使用していた
人が数名居ます。

「一語ずつ打ち込み変換する」人がいることは、理解できます。
それは「誤変換」を生む理由にはなるかもしれませんが、見逃す理由にはなりません。
一語ずつ打ち込むならなおさら、一発で望みの漢字が出てくる確率は低くなります。
「文法」や「文脈」の補助を受けづらくなるわけですから。
普段から変換には注意を払っていないと、文章など書けないはずです。
このあたりは、スキルというよりも「考え方」の問題になりますね。
「人に読んでもらう文章」を書こうとしているかどうか、という姿勢の有無が問われます。

入力方法が分からない、といったレベルでのユーザスキルについては、確かに考慮が欠けていました。
このレベルでつまずいている人の書く文章について、批判するつもりはありません。
きっと、パソコンで文章を書くこと自体がチャレンジであり、むしろ応援すべきものなのでしょうね。
でも、ローマ字を知らない人なら、素直に「かな入力」を使えば良いと思うんですけど…

[010]

そして意見というか希望なのですがgoogle検索結果を更新なされてはいかが
でしょうか?
というのも検索結果が著しく増えているものが多いと思うからです。
私が気に入った誤字の一つの「年棒」で検索してみましたが現在書かれてい
る検索結果が15,900件であるのに対して約 1,090,000 件でした。
IT革命のせいか低年齢化のせいかわかりませんがここまで多いと日本の将来
が見えてくる気がしてしまいます。
ということでお忙しいとは思いますが、検索結果の更新を考えていただけた
らと思います。

再検索してみたところ、「年棒」は18,400件でした。
「"年棒"」のようにダブルクォーテーションで括らないと、Googleは「年」と「棒」の書いてあるサイトをすべて検索してしまいます。

とはいえ、増えているのは事実。
近頃は「ブログ」の流行もあり、「個人」が雑文をWEB上に載せる機会が激増しています。
(ここも、似たようなものですが)
個人的な日記であれば、「正しい日本語」とやらにこだわるかどうかは、個人の裁量の範疇です。
また、公開する前に誰かが文章をチェックするようなことも、普通はありません。
「誤字なんて、気にしない」と言い切る人も多いですし、「正しい言葉」という概念自体に全く関心のない人さえも珍しくありません。
このような情勢が続く限り、WEB上の誤字はどんどん増えていくことでしょう。
定期的に検索件数を更新してみるのも、また一興ですね。

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