2005.02.11

【誤字等の談話室 15】

誤字等の館 (ごじらのやかた) に寄せられる読者様のコメントに対して館主が答える「誤字等の談話室」、その第15弾です。

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いろいろ批判的な意見もあるようですが、僕はこういう感じは好きです。
誤字の拡充期待しています。

ありがとうございます。
同様のメッセージ、本当にたくさん頂きました。
応援してくれる人がいるというのは、心強いものです。

批判的な意見もありがたいのですが、それはいわば「苦い薬」のようなもの。
そればかり続いては、少々こたえてしまいます。

文章を「公開」している以上、「楽しく読んでもらう」ことは重要だと思っています。
読んだ人を不快にさせるとしたら、それは本意ではありません。
かといって、すべての人に受け入れてもらえる文章など、なかなか書けるものではないですね。
「当たり障りのない」方向に固執してしまったら、結局は「つまらない」ものになってしまうでしょう。

これからも、反省すべきところは反省しつつ、それでも「楽しく」やっていきたいです。
なにせ「趣味」の領域なもので、自分自身が「楽しく」なくなってしまったら、そこで終わりですから…

[060]

ところで、うちの小学5年生の娘にこのサイトを見せましたところ
先生が「こんにちわが正しい。」と言ったということなのです。

娘もそれまでは「こんにちは、こんばんは」と使っていたそうですが
そう言われたので今は「わ」を使っているとか。
その先生は45歳くらいで私より少し年齢が上の方なので、
多分学校では「は」と習っていたと思うのです。

どうやらどこの小学校も今は「わ」で教えているようです。
どちらでも良いという風に変わっているという話も聞きました。
「こんにちは」という言い方は、もはや古い人間だということなのでしょうか…。

そうですか…それは、残念な情報です。
「学校」で教える内容が、変化し続けているのは確かです。
しかし、「こんにちわが正しい。」とまで言い切るとは…
時代は変わったのでしょうかね。

きっと、言い分はあるのでしょう。
「こんにちは」の「は」は「助詞」としての役割を失っているから「は」と表記する必要がない、とか。
「こんにちわ」の表記も十分定着してきているから「慣用」として認めても良い、とか。
このあたりの現状をしっかりと考慮した上での主張なら、それも「あり」です。
しかし、既に「は」で習得している生徒に「わ」だけを正解として押し付ける姿勢は、納得できません。

もし、本当に「わ」が「正しい」と断言しているのだとしたら。
今の「学校」は、子供たちを「あなどっている」可能性があります。
それは、「学習能力が低い」と、最初から決め付けている態度です。

まだ、ひらがなを覚えたての段階であれば。
まずは「発音」と「表記」を関連付けて覚えさせるために、「こんにちわ」でもOKとしても良いでしょう。
しかし5年生にもなれば、「てにをは」程度は習得済み。
その段階になってもまだ、本当の「日本語」を教えてもらえないなんて。

今、子供たちの学力低下がさかんに報道されています。
しかし、それは子供たちの「学習能力」が衰えたことを示すものではありません。
「ゆとり教育」を推進したかと思えば急に方向を転換するなど、この国の教育方針は混迷しています。
「教える側」に、大きな問題があることは確実です。
子供たちを「なめてかかる」のは、間違いです。

無論、学力だけが人間の価値ではありません。
旧態依然とした官僚的組織を除いて、学歴だけで出世できた時代は、とうに終わっています。
学力がすべてではありませんが、学習の「機会」が平等に与えられるかどうかは、重要な問題です。
学習によって得られるものは表面的な「知識」だけではありません。
むしろ、その背景にある、「世界観」や「論理的思考」などの「知的能力の発達」こそが重要です。
「言語感覚」も、そのひとつ。

「学校」が「学習」の場でなくなってしまったら。
学習塾や家庭教師に頼らなければ、「勉強」ができない世の中になってしまったら。
経済的に余裕のない家庭の子供は、学習の機会を与えられず、見捨てられてしまいます。
行き着く先は、庶民の教育レベルが低かった、かつての日本です。
国民が支配者層と被支配者層に二極化された「貴族社会」の到来など、歓迎したくはありません。

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