2005.03.13

【誤字等の談話室 16】

誤字等の館 (ごじらのやかた) に寄せられる読者様のコメントに対して館主が答える「誤字等の談話室」、その第16弾です。

[061]

× 「一」を漢数字で書くと「壱」。
× 「壱」は「一」の旧字。
× 「嶋」は「島」の旧字。
× 「はしごだか」は「高(くちだか)」の旧字。

「一」自体が漢数字。
「壱」は新字。「壹」が「壱」の旧字。
「島」や「高」に新旧の別はない。

最近、旧字ずきのひとがふえているような気がしますが、旧字とはなにかにつ
いて誤解されているかたもふえているような気がします。むずかしい(画数の
おおい、あるいはみなれない)漢字を盲目的にありがたがっているだけのような……

「漢数字」に関する誤解、「旧字」に関する誤解。
「難しそうに見える漢字」をありがたがる人。
いますね、実際。
「齋藤」さんなんて、手書きで書いたら大変だろうに…と心配してしまいます。

私は、自分の名前の画数が非常に多いので、「簡単な名前」がうらやましかったものです。
「小川一 (おがわ はじめ)」君なんて、羨望の的でした。
そんな視点で見ると、「齋」のような文字を好む思考は理解できませんでした。
「斉」と「斎」では漢字の意味が違うので、「斎藤」までは分かるんですけどね。

「はしご高」は、いわゆる「異体字」と呼ばれるものですね。
中でも、人名にしか使われない「人名異体字」は、かなり特殊な事情を持つ漢字です。
「立つの崎」や「土の吉」など、「ちょっとだけ違う文字」を「正統」だと言い張る人は多いものです。

文字と言えば「手書き」しかなかった時代、「文字の形」を規定する根拠など曖昧なものです。
そんな環境であれば、「異体字」が生まれた理由もいろいろと考えられます。
誰かが間違って書いたか、あるいは達筆すぎる文字が正しく判別されなかったか。
「他とは違う文字」を発明して、喜んでいる人もいたかもしれません。
「喜」の代わりに「七」を三つ書いたり、「機」の右半分を「キ」にしたりする「略字」も同類と考えます。

自分の名前を「正しい文字」で表記することにこだわる気持ちそのものは、「あって当然」です。
本当に「別の文字」と間違われるのは、あきらかに「問題」です。
「荻原」さんと「萩原」さんでは「別人」ですから。

しかし、「くち高」と「はしご高」は、本当に「別の文字」なのでしょうか。
本当に、そう言い切れるのでしょうか。
「はしご高」でなければならない理由が、どこかにあるのでしょうか。

これら「異体字」は、コンピュータシステムを扱うものにとっては、ちょっと「厄介」です。
これらの文字は環境によって表示できたりできなかったりするので、システム間のデータ連携には「障害」となってしまいます。
「自分の名前」を違う文字で書かれることにどうしても納得しない人がいると、もう大変です。

私は、「異体字」は形が違うだけの「同じ文字」だと思っています。
「楷書」と「行書」のような「書体の違い」と大差ない、とまで言ってしまえばさすがに極端ですが、感覚的には似たようなものです。
もしただの「俗字」なら、それを「正統」なものだと思い込んでしまうのは「勘違い」に他なりません。
それは、数々の不利益をもたらすことになります。

このあたり、異論は多々あるはずです。
私が無知なだけで、本当はもっと深い「由来」があるのかもしれません。
自分の苗字が「はしご高」であると信じている人なら、説得力のある論拠をお持ちかもしれません。

しかし、これからのコンピュータ社会を生き抜くには、「異体字」などにこだわらない方が、本人にとって幸せです。きっと。

[062]

濡れ手に泡(粟)の紹介ページに、「〜はは」と二重に文字が重なっている部分があ
りました。責める気はございませんが、誤字を扱うHPと言う事と、以前「にに」と
言う誤字の紹介があったと言うだけに、「もう少し誤字には気をつけて欲しい」と
思ったのが正直な気持ちです。
ちなみに、修正に関してはどのようになされても結構です。

ご指摘ありがとうございます。該当のページは、すぐに修正しました。

「他人の間違い」をネタにする以上、自分自身が間違えているようではいけません。
結構、神経は使っているつもりなのですが、まだまだですね。
私自身の「思い込み」が原因で「間違ったこと」を書いているページも、ないとは言い切れません。
「組織」の書く文章であれば「校正担当」が修正してくれるのでしょうが、個人ではそうもいきませんし。

とは言え、サイトの性格上、誤字はできるだけ排除したいものです。
幸いなことに、インターネットの世界は「双方向」です。
このご指摘のように、素早い反応がダイレクトに返ってきます。
そしてWEBページという媒体は、きわめて簡単に修正が可能です。
私は「間違いを放置する」よりも、「迅速に修正する」ことを選びます。

何か間違いを見つけた方、何か疑問を感じた方。
どうぞご指摘ください。お待ちしています。

[063]

これからも楽しく拝見させて頂きたいと思います。更新作業は大変かと思いますが
期待して待たせて頂きます^^
毎日、新語のチェックしております。大変おかしく、役に立っております。
人の文章を見るとき、間違いを指摘してあげたり、非常に活躍しています。
これからも楽しみにしております。

応援のメッセージ、たくさん頂いています。
ひとつひとつが、本当に励みになります。
忙しい毎日の中でも更新する気になれるのは、楽しみにしてくれている方たちがいればこそ。
最近は「本業」の忙しさが半端ではない状況なのですが、なんとか時間をみつけたいと思っています。
しばらく間隔があいたとしても、気長にお待ちくださいませ。

それから、今、「ある計画」がひそかに進行中です。
近いうちに発表できると思いますので、お楽しみに。

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