2005.05.15
誤字等の館 (ごじらのやかた) に寄せられる読者様のコメントに対して館主が答える「誤字等の談話室」、その第20弾です。
はじめまして。 最近このサイト見つけたので、以前から疑問に思ってたことを書きます。 「携速」という仮想ドライブを作るソフト持ってるのですが、 CDを入れ替える手間が省けて便利です。 サイトはここです。 http://www.sourcenext.com/products/keisokuxp/ 質問なのですが なぜ仮装ドライブとか仮装CDとか言わずに 仮想ドライブや仮想CDと言うのでしょうか。 反対語は実装だから、仮装でいいと思うんですが。
「仮装」にすると、意味が違ってしまうからです。
「仮想」は、実際には存在しないものを、存在するとみなして扱うこと。仮の想定。
「仮装」は、他のものの姿をして、それらしく見せかけること。仮の扮装。
「仮想ドライブ」は、ハードウェアとしては実在しないドライブに対して、ソフトウェアでその虚像を作る技術と説明できます。
「仮想CD」があれば、CDが入っていなくても、CDを必要とするアプリケーションを使えるわけですね。
「仮装ドライブ」では、「ドライブに見えるけど、実は別物」という意味になってしまいます。
モバイルPCによく添付されている「ウェイトセイバー」のようなものでしょうか。
重量を軽くするため、光学ドライブや増設バッテリーの代わりに取り付ける「張りぼて」の部品です。
言葉を変えてみましょう。
重要なのは、「みかけ」か「本質」か、という観点です。
「仮想」に相当する英単語「virtual」には、「本質的な」「実質的な」という意味があります。
「仮想CD」の例で言えば、物理的なディスクの有無にかかわらず、「実質的な効果」が同じになるわけです。
一方、「仮装」に相当する英単語「disguise」には「見せかけ」の意味が含まれます。
「仮装CD」は、みかけはCDのようでも、実際にはCDとして使えない「偽者」と解釈すればよいでしょうか。
すなわち。
みかけは違っていても、本質的には等価と言えるものが「仮想」。
みかけは似ているけど、本質的には異なっているものが「仮装」。
と考えてみてはいかがでしょうか。
ちなみに、「実装」の反対語は「仮想」でも「仮装」でもなく、「非実装」だと思います。
「仮想ドライブ」は、「実装」状態でも「非実装」状態でもありません。
あえて言うなら、「仮想実装」状態といったところですね。