2005.08.28

【誤字等の談話室 29】

誤字等の館 (ごじらのやかた) に寄せられる読者様のコメントに対して館主が答える「誤字等の談話室」、その第29弾です。

[077]

おめでとう!を何故か英語で言いたがる芸能人その他がいますが、ほぼ
100%、「コングラチュレーショーン!」と言います。面と向かっておめで
とう!のときは Congratulations!「コングラチュレーショーンズ!」なんで
すけどねぇ。とってもおバカに聞こえます・・

そうですね。
祝辞を述べる際の英語「congratulations」は、常に複数形です。
その理由は、「祝福」そのものというより「祝福の言葉」を意味しているから、と聞いたことがあります。
「word (単語)」が複数集まって、「words (言葉)」になるのと同じ理屈でしょうか。

確かに、日本人には「congratulation」と「単数形」で発音する人が多いです。
語学力の貧弱さを露呈する事象であって、「分かっている人」から見ればみっともないものですね。

ただ、これにはひとつ事情があると思います。
単数形で「コングラチュレーション」と話している人たちが使っているのは、「英語」ではなくて「外来語」なのです。きっと。
「英語」なら「単数」と「複数」の区別が明確に存在しますが、「外来語」すなわち「日本語」では、それは非常に曖昧です。
だから、発音しづらい語尾の「ズ」など省略しても平気でいられるのではないでしょうか。
はっきり「ズ」を発音したら、むしろ嫌味に聞こえてしまうかもしれません。

ということで、「日本語」として発話しているのなら理解できます。
しかし、もし、「英語」のつもりだったとしたら。
「英語」として「Congratulation!」と言ったら、それは本当に「知識不足」です。
この場合は、言い訳がききません。
なんとなく、カッコつけて英語(もどき)を使ってみました……という浅はかさが丸見えです。
無理しないで、素直に日本語を使った方が身のためですね。

ちなみに、英語の「Congratulations!」と日本語の「おめでとう!」は、等価ではありません。
そのニュアンスを理解することなく、単純な置き換えで済むと思うのは間違いです。
大概の場面では問題ないでしょうが、伝統を重んじる人たちの「マナー」に反する例もあるようで。

この件に限りませんが、「外来語」と「外国語」は別物です。
その国の文化を知ることなく、「外来語」レベルで「分かった気」になっていたら、とんだ恥をかくことになるでしょう。

前 目次 次