2006.08.27
誤字等の館 (ごじらのやかた) に寄せられる読者様のコメントに対して館主が答える「誤字等の談話室」、その第49弾です。
コンシューマーという単語は、英語の先生にコンスーマーと発音しろ!と怒られました。 コンシューマーは不正確なのでしょうか?
「英語」としての発音は、「コンスーマー」に近い場合も、「コンシューマー」に近い場合もあります。
両方あるんです。どちらか片方だけが正解というわけではありません。
学校教育では仕方ないのかもしれませんが、正解をひとつしか認めない姿勢は、なんとも狭量です。
カタカナ表記の「外来語」としては、「コンシューマー」の方が一般的です。
もしかすると、先生は「外来語」と「外国語」の区別を明確にしたかったのかもしれません。
だとすると、他の単語でも徹底的に「カタカナ発音」を排除しようとすることでしょう。
もしそうなら、「教育熱心」な先生と言えそうです。
もっとも、「外来語」としても「コンスーマー」と発音/表記する人もいます。
自分だけは正確な「英語らしい」発音をしているというつもりなのでしょうか。
やや、斜に構えた印象を受けます。
定着している「コンシューマー」でも原音とかけ離れているほどではないですし、他の単語と間違えることもありません。
「日本語」としての文章中に、わざわざ「コンスーマー」を登場させる必要はないと思うのですが……
広告で、「Wチャンス」とか「Wプレゼント」とか書いてあるけど、文面から想像すると、ダブル(Double)の事としか思えない。 「ダブリュー・チャンス」とか「ダブリュー・プレゼント」では意味不明。 何かの本で、WにはDoubleと同じ意味があると書いてあったと記憶しているが、 確かにVを2つ並べればWになるけど・・何か変・・ これって、ダブルとダブリューの発音が似ているだけの事なのでしょうか? 大手の企業でも結構使っているので、調べていただけるとありがたいです。
「W」という文字は、見た目どおり「V」をふたつ並べた形から生まれました。
「V」の発音が何通りもあったため、そのうちのひとつを示すために「VV」と表記したことから始まったようです。
実際、フランス語では「W」自体を「二重のV」と呼んでいます。
ドイツ語読みの「ヴェー」も、「V」系の発音ですね。
例外は、英語です。
英語では、「W」を「二重のU」として扱っています。
「double U (ダブル・ユー)」から「ダブリュー」になったわけですね。
英単語中に登場する「W」の発音が「U」と同じ「ウ」になるのも、そのためです。
このように、文字自体に「double」の側面がある「W」ですが、「double」そのものを意味するわけではありません。
「W」一文字で「ダブル」を表現するのは、日本独特でしょうね。
「ダブリュー」と「ダブル」の発音を区別しない (区別できない) からこそ可能となった表現です。
完全に定着していますのでいまさら否定はできないでしょうが、「海外では通用しない」ことだけは覚えておいた方がよさそうです。
突然ですが、建物のことを「たてや」と表記する際、 漢字では「建家」と書いたり、「建屋」と書いたりしますが どちらが正しいと思われますか?
どちらも正解だと思いますよ。
その差は、「家」と「屋」の漢字が意味する範疇の違いです。
どちらがふさわしいかは、その場面によって変わるはずです。
人が住んでいる建物、「住処」としての性質があるなら「建家」。
住居以外の「工場」などの建築物であれば「建屋」、といったところでしょうか。