2019年5月10日(金)
- 愛媛県
- 今治市・新谷古新谷遺跡(にやこにやいせき:第2次調査)で,8世紀後半の「凡直」刻書土器や「長年大宝」銅銭。公益財団法人愛媛県埋蔵文化財センターの調査。5/19現地説明会。[公益財団法人愛媛県埋蔵文化財センター]
- 北九州市
- 小倉北区・金田遺跡(かなだいせき:第3地点)で、江戸時代の長崎街道の一部。路面、側溝、井戸、鬼瓦が出土。北九州市芸術文化振興財団の調査。[西日本新聞]
- 日本考古学協会
- 日本考古学協会が総会で託児サービス試行。
日本考古学協会第85回(2019年度)総会開催のご案内[日本考古学協会] - 台湾
- 基隆市の和平島先史時代の貝塚、十三行遺跡のものに似た粗縄文陶、青花白磁、獣骨など、新石器時代・鉄器時代・明代・清代の遺物。[中央通訊社]
- トルコ
- ムーラ県(Muğla il)ミラス市(Milas)ヒサルバシュの丘(Hisarbaşı Hill)で、アケメネス朝・紀元前4世紀のカリア地域(Caria)のサトラップ(Satrap、太守)だったヘカトムノス(Hecatomnus)の墓の保存のための工事が終了し観光客に公開。2010年の盗掘で発見され、壁画は現在博物館に収蔵。[Hürriyet Daily news]
- 北欧
- エストニアやフィンランドのウラル語族(Uralic languages)は鉄器時代の初め・2500年前までにシベリアから到来。DNAの調査により判明。ヨーロッパ人の大半はヨーロッパの狩猟採集民、アナトリアの初期農耕民、ステップ地帯の牧畜民の子孫であるが、ウラル語族話者のみはシベリアのDNAをも有する。
Ancient DNA suggests that some Northern Europeans got their languages from Siberia[ScienceDaily]
The Arrival of Siberian Ancestry Connecting the Eastern Baltic to Uralic Speakers further East[Current Biology] - UK(イングランド)
- アーバーフィールド(Arborfield)で、冷戦時代の地下モニタリングポスト(UGMP)の遺構を発見。王立防空監視軍団(Royal Observer Corps)が1961年1月に建設。核攻撃が起こった場合の放射線を観測するためのもの。Wessex Archaeologyの調査。[Heritage Daily]
▼バークシャー州(the county of Berkshire) - UK(ウェールズ)
- カールレオン(Caerleon)で円形競技場の壁から石が抜き取られる被害。ウェールズでもっとも有名なローマ時代の遺跡。[WalesOnline]
- エジプト
- ナイルデルタのガザラ(Gazala)近くにあるテル・エル=ファルカ遺跡(Tell el-Farcha)で5000年前の醸造所や金色の像など。ポーランドのヤギェウォ大学(Uniwersytet Jagielloński;Jagiellonian University)などの調査。[Nauka w Polsce]
- モロッコ
- テトゥアン(Tetouan)のタムダ遺跡(Tamuda)でローマ時代・1世紀のマウレタニア・ティンギタナ属州(Mauretania Tingitana)の砦の堀。モロッコで同様の発見は初。カディス大学(Universidad de Cádiz;University of Cadiz)の調査。遺跡は1921年にスペインの考古学者セサル・ルイス・デ・モンタルバン(Cesar Luis de Montalbán)が発見。[Morocco World News]
- マリ
- タドメッカ遺跡(Tadmekka)での、金の精製方法を実験で再現して有効性を実証。金、砂、ガラスを高温で溶かしたのち、金を取り出す。
Scientists Prove Gold Purifying Process Used in Medieval West Africa Works[Northwestern University]
論文 "Refining gold with glass - an early Islamic technology at Tadmekka, Mali" Journal of Archaeological Science. Volume 49, September 2014, Pages 33-41[ScienceDirect] - レソト
- セホンホン(Sehonghong)とNtloana Tšoanaで、いずれも14000年前に、結晶石英(crystal quartz)製の1cmに満たない小さな石器の数が急増。チャートなど、ほかに得やすく有用な素材はあるのに対し、石英は砕けやすいため加工に熟練を要するが、鋭い刃部を得られる。複数遺跡で共通する石英の増加の現象は、環境が大きく異なる相互の遺跡間の交流を示す。加工時の火花を儀式で利用するなど象徴的に用いられた可能性。精神世界と現世を隔てるものとして岩肌の隙間に石英のかけらを置く民族例なども参照。
[University of Exeter]
論文 Justin Pargeter and Jamie Hampson "Quartz crystal materiality in Terminal Pleistocene Lesotho" Antiquity. Volume 93, Issue 367. February 2019 , pp. 11-27 [Cambridge University Press] - 社会の複雑さと不平等
- トーマス・ピケティ(Thomas Piketty)の経済学理論で先史時代の地中海地域のより小規模な社会を説明。高度に成長した経済状況は富の不平等を鈍らせ、低レベルの成長は不平等を促進するとする。紀元前3500年〜前1000年の地中海地域の階層社会は、ピケティの言う低成長社会に該当。これに対し、メソポタミアやナイル流域、黄河流域などの、より大きな都市社会では高成長の環境にあり、収入の不平等が生ずるのに時間がかかった。
Modern economic theory explains prehistoric Mediterranean societies[Florida State University]
論文 Thomas P. Leppard "Social Complexity and Social Inequality in the Prehistoric Mediterranean" Current Anthropology Volume 60, Number 3 | June 2019 [The University of Chicago Press Journal]
2019年5月9日(木)
- 東京都
- 新宿区にある駐日韓国大使館 韓国文化院が開院40周年を迎え、特別企画展「水墨の独白」などを開催。黄星雲院長は「韓国文化の紹介と韓日文化交流の拠点の役割を果たしたと自負」。[聯合ニュース]
- 神奈川県
- 横浜市・三浦安針墓で、1905年の調査で毛髪等が発見され、三浦按針の墓と断定される根拠になっていた。浄土寺が所有する文献「安針塚修理及保存ノ概要」から発見。[横須賀市]
- 鳥取県
- 鳥取市・鳥取城跡(とっとりじょうあと)の二ノ丸跡にある五輪塔7基前後と灯籠が倒される被害。鳥取市教育委員会5/8発表。[毎日新聞]
- 中国
- 広西チワン族自治区 武宣県 三里鎮 古立村 勒馬屯・勒馬漢城遺跡は、秦漢時代の「桂林郡中留県故城」と確認。[広西新聞網]
▼広西チワン族自治区来賓市 - インド
- 東チャンパラン県(East Champaran)のケサリヤ(Kesaria)で、ラニワス(Raniwas)と呼ばれる仏教遺跡。1861年に英国の考古学者アレクサンダー・カニンガム(Alexander Cunningham)が報告していたもの。インド考古調査局(Archaeological Survey of India:ASI)の調査。[Hindustan Times]
▼ビハール州(Bihar) - イラン
- 東アーザルバーイジャーン州(Ostān-e Āzarbāyjān-e Sharqī;East Azarbaijan)タブリーズ(Tabriz)にある屋根付きのバザールで5/9出火。鎮火したが、100店舗が損害を受け、19名が負傷。[Mehr News]
- スイス
- グラウビュンデン州(Kanton Graubünden;Canton des Grisons)カツィス(Cazis)の更生施設「レアルタ」(Realta)の墓地から19〜20世紀の人骨を調査し当時の生活環境を推定。貧困に由来するさまざまな感染症、トラウマ、障碍など。グラウビュンデン州考古学サービス(Archäologische Dienst Graubünden)の調査。
Christine Cooper , Bernd Heinzle, Thomas Reitmaier "Evidence of infectious disease, trauma, disability and deficiency in skeletons from the 19th/20th century correctional facility and asylum 'Realta' in Cazis, Switzerland" [PLOS One] - ドイツ
- アイクスフェルト郡(Landkreis Eichsfeld)ライネフェルデ=ヴォルビス市(Leinefelde-Worbis)カルマーオーデ(Kallmerode)で青銅器時代・紀元前13・12世紀〜前800年の剣や紀元前9世紀後半〜前8世紀後半の留針(Fiebel)。[Eichsfelder Tageblatt]
▼テューリンゲン州(Freistaat Thüringen) - スペイン
- パレンシア(Palencia)のカルカビリャ公園(Parque de la Carcavilla)に以前あった墓地で、スペイン内戦時・1936年にフランコの弾圧で処刑された当時37歳の女性カタリナ・ムニョス(Catalina Muñoz)の遺体と赤ん坊用のガラガラを2011年8月に発見。材質がセルロイドと判明し、内戦当時のものと確認。カタリナの死亡当時、夫もファランヘ党支持者のファシストを殺害した罪で投獄されていた。カタリナもファシストに反対した罪を負わされ、証拠もないまま銃殺刑に。カタリナには当時、末っ子で生後9か月の乳児マルティン(Martín)がおり、ガラガラはその乳児のものと推定。マルティンは現在83歳。8歳から羊飼いやの農業など肉体労働に従事し、就学はできなかった。マルティンは母の埋葬場所も知らされていなかった。ガラガラの写真を知って、マルティンの娘マルティナ(Martina)が父の代理でパレンシアを訪れ、内戦犠牲者の記念碑に祖母カタリナの名を発見、遺体とガラガラの引き取りを希望。科学研究高等評議会(Consejo Superior de Investigaciones Científicas - CSIC)の調査。[El País]
▼カスティーリャ・レオン自治州(Comunidad Autónoma de Castilla y León)パレンシア県(Provincia de Palencia) - UK(イングランド)
- エセックス州(the county of Essex)サウスエンド=オン=シー(Southend-on-Sea)のプリトルウェル(Prittlewell)で2003年以来発掘された、初期キリスト教時代のアングロサクソンの王族墓は、従来考えられていたより古い。彩色された箱、角杯、ビザンティン帝国の細頸瓶フラゴン、金箔張りの十字架出土。角杯の中の有機物で放射性炭素年代測定し、580年ごろ。東サクソン王国(East Saxon)のサベルト王(Sæberht;Saberht;Sæbert)は616年に死去したので王自身の墓という従来の仮説は排除。王弟サクサ(Seaxa)の墓である可能性。教皇グレゴリウス1世がアングロサクソンの教化のため派遣した伝道師がケントに到着した597年よりもさらに古い。Museum of London Archaeology (Mola)の調査。[The Independent]
サクサ(Saexa)の母リクラ(Ricula)はケント王エゼルベルト1世(Ethelbert)の姉妹で、エゼルベルトの妻はフランク族のキリスト教徒の王女ベルタ(Bertha)。リクラがキリスト教に関する知識を有していた可能性。Museum of London Archaeology (Mola)の調査。[The Guardian]
Explore the Prittlewell princely burial chamber online[Museum of London Archaeology (Mola)] - UK(イングランド)
- リンカーンシャー州(Lincolnshire)スリーフォード(Sleaford)のラウスビー(Rauceby)で、ローマ時代・307年ごろの埋蔵銭。銅貨3000枚。内側に石を貼った穴の中に納めており、祭祀行為と推定。英国最大規模。[Sleaford Standard]
- スーダン
- 東部砂漠で50万年前のホモエレクトゥスの遺跡。人類の未知の移住ルートを示す。[Nauka w Polsce]
- メキシコ
- スルテペク・テコアケ遺跡(Zultépec-Tecoaque)で出土した奉納品を調査。スルテペクはアステカと連合し、1520年に捕虜を生贄にしたが、捕虜になったスペイン人の体を儀式的に毀損していた。メキシコ国立人類学歴史学研究所(Instituto Nacional de Antropología e Historia)の調査。[Phys.Org]
▼トラスカラ州(Estado de Tlaxcala) - 南アメリカ
- 南アメリカの中期完新世(Middle Holocene)・8200年前〜4200年前の1400遺跡の5000試料の放射性炭素年代を調査。8200年前の気候の急変が南アメリカの文化の衰退を招く。8000年前の遺跡の放棄は大量の雨の時期に対応。狩猟採集民が栽培植物を試すようになり、6000年前に穀物栽培とともに回復。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(University College London)の研究。[Daily Mail]
2019年5月8日(水)
- 岩手県
- 野田村・古館山遺跡で奈良〜平安時代の竪穴住居跡。野田村教育委員会の調査。[岩手日報]
- 山梨県
- 山梨県立考古博物館から縄文土器を盗んだとして逮捕された山梨県埋蔵文化財センター元職員が処分保留で釈放された。[産経新聞]
- 奈良県
- 大和郡山市・郡山城三の丸で16世紀末の武士の屋敷跡とみられる礎石建物跡。大和郡山市の調査。[奈良テレビ放送]
- 奈良県
- 桜井市・稲荷山古墳は、3世紀に築かれた前方後方墳の可能性。埴輪や葺石はなく、周濠の幅が狭い。従来は5世紀後半〜6世紀と考えられていた。桜井市教育委員会の調査。[奈良新聞]
- 鳥取県
- 鳥取市・鳥取城跡(とっとりじょうあと)の二の丸にある古墓が何者かによって崩される。[日本海新聞]
- 中国
- 西安市・焦村墓地で十六国時代の巨大な墓2基。鎮墓のための俑や、東晋の影響を受けた緑釉陶器を副葬。[文匯]
- ヨルダン
- アンマン(Amman)のローマ時代の劇場近くの広場から、鉄器時代・紀元前9〜前8世紀のアモン人の王を表す玄武岩製の彫像。ヨルダン川の東西に類例なくシリア北部やイラクのアッシリア時代にあり。エジプトやアッシリアの影響も。[The Jordan Times]
- トルコ
- チャナッカレ県(Çanakkale il)ラープセキ郡(Lapseki) ギュレジ村(Güreci)の古代ギリシャ都市パリオン(Πάριον;Parion)近くで、違法発掘によりモザイク出土。幾何学文や銘文を表す。容疑者4名は拘留。[Daily Sabah]
- イタリア
- ローマ(Rome)のネロ帝(Nero)の黄金宮殿ドムス・アウレア(Domus Aurea)で、パン神(Πάν;Pan)やヒョウと戦う戦士、ケンタウルス(centaurs)やスフィンクス(Sphinx)などのフレスコ画で美しく飾られた部屋スフィンクスの部屋(Sala della Sfinge;Sphinx Room)。修復作業中に発見。ネロ帝の後にトラヤヌス帝によって埋め立てられていた。[ANSA]
- フランス
- モンブラン(Mont Blanc)の氷河から得られた氷のコアを分析し、過去5000年の鉛汚染を調査。紀元前250年ころと紀元後120年ごろの2度にわたり、鉛汚染が10倍以上に急上昇。ローマの勢力の拡大期に当たる。共和政から帝政に移行するころの前134年〜前44年のいずれかの時期に汚染の度合いが減少。ローマ時代の鉱山開発がヨーロッパの空気を汚染した度合いや期間は従来の想定以上。
Roman mining activities polluted European air more heavily than previously thought
論文 "Lead and Antimony in Basal Ice From Col du Dome (French Alps) Dated With Radiocarbon: A Record of Pollution During Antiquity" Geophysical Research Letters [AGU100] - スペイン
- ブルゴス県(Provincia de Burgos)アタプエルカ(Atapuerca)のグラン・ドリーナ遺跡(Gran Dolina)のTD6.2ユニットでの食人と動物食を最適採食理論(Optimal Foraging Theory (OFT))に基づき研究。最小のコストで最大の利益を得ようとするという予想。ほかの動物よりもヒトの方がコストに対し得られる食物が多い。ヒト同士の方が出会える頻度が高いためと推定。Centro Nacional de Investigación sobre la Evolución Humana, CENIEHの調査。
"Does optimal foraging theory explain the behavior of the oldest human cannibals?" Journal of Human Evolution, Volume 131, June 2019, Pages 228-239 [ScienceDirect]
▼カスティーリャ・レオン自治州(Comunidad Autónoma de Castilla y León)
▼グラン・ドリーナ遺跡関連記事→2012年9月6日 - UK(イングランド)
- ストーンヘンジの破片が、発掘から60年ぶりに、保管していたロバート・フィリップス氏(Robert Phillips)からイングリッシュ・ヘリテージ(English Heritage)に引き渡された。1958年、フィリップス氏が参加したダイヤモンド切断を行うバンモップス社(Van Moppes)のチームは、落下した石材の修復のため、石材から直径3cm、長さ108cmのコアを抜き取り、ここに金属棒を挿入する作業をした。その後コアはフィリップス氏の事務所で保管されていた。バンモップスを退社しアメリカに移住した際も持参。90歳の誕生日を控えて寄贈を決断した。[The Telegraph]
- UK(スコットランド)
- オークニー諸島(Orkney Islands)のフィンズタウン(Finstown)の変電所(substation)予定地で青銅器時代・3500年前の石棺墓。土質は人骨の保存に適さないが、若干の痕跡は残っている可能性。Orkney Research Centre for Archaeology (ORCA)の調査。[Heritage Daily]
- エジプト
- アスワン(Aswan)のワジ・アブ・スベイラ(Wadi Abu Subeira)で新石器時代の王に関する銘文や、キリン、ゾウ、ワニなど動物に関する銘文。[Luxor Times]
- 売立目録
- 売立目録デジタル・アーカイブ公開のお知らせ[東京文化財研究所]
2019年5月7日(火)
- 北海道
- 網走市・北海道立北方民族博物館が、2014年に閉館した山形県鶴岡市・アマゾン民族館と自然館に展示されていたアイヌ民族などに関連した民族資料約100点を購入。[NHK]
- 中国
- 北京市 海淀区で明清時代の石造りでアーチ形の橋。[中国新聞網]
- 中国
- 重慶市 合川区・釣魚城范家堰南宋衙署遺跡で出土した宋時代・13世紀後半の「鉄火雷」の一部について、世界最古の爆弾の可能性。[Agence France-Presse]
- フィリピン
- 東ミサミス州(Province of Misamis Oriental)アルビジッド(Alubijid)のカルマット遺跡(Calumat)で新石器時代・紀元前3000年の遺跡。黒曜石など出土。紀元前500年のSa/win Kalanay土器や、13〜15世紀の中国磁器も出土。フィリピン大学(University of the Philippines)の調査。[Rappler]
- トルコ
- 【学ナビ】考古学一筋 ヒッタイトの鉄追う[産経新聞]
- ポーランド
- コシツェ(Koszyce)で見つかった後期新石器時代・球状アンフォラ文化(Globular Amphora culture;Kultura amfor kulistych;Kugelamphoren-Kultur)・紀元前3300年〜前2700年の大規模墓地で人骨15体のゲノムを調査。すべての遺体は頭を残忍に殴り殺されていたが、丁寧に埋葬されていた。被葬者は大規模な拡大家族(extended family)。母と子供たちともに埋葬され、兄弟は並んで埋葬。ステップ地帯にかかわる遺伝子を持たない点で、近隣の縄目文土器文化(Corded Ware culture;Schnurkeramische Kultur)とは遺伝的に明確に異なる。大量死の原因は不明であるが、縄目文土器文化とは無関係。
Unraveling ancestry, kinship, and violence in a Late Neolithic mass grave[PNAS]
▼マウォポルスカ県(Województwo małopolskie:Lesser Poland Voivodeship) プロショヴィツェ郡(Powiat proszowicki;Proszowice County) - オランダ
- ライデン大学(Universiteit Leiden;Leiden University)で、土器研究に3D技術を応用。数十年のフィールドワークの成果として蓄積された大量の土器を3Dスキャンし公開へ。[Universiteit Leiden]
- フランス
- コルシカ島(Corse;Corsica)アジャクシオ(Ajaccio)のパラタ岬(La Parata)で中世末期・14世紀の人骨。災害によるものか、通常の墓地か。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。[Corse-Matin]
- フランス
- ブルターニュ地域圏(Région Bretagne) フィニステール県(Finistère) プルガステル=ダウラ(Plougastel-Daoulas)の碑文を解読した人に、市長が2000ユーロの懸賞。ブルターニュ語ともロシア語ともいわれ、さらに三日月形や帆船形なども。[France bleu]
- ノルウェー
- オスロ(Oslo)・ヴァイキング船博物館(Vikingskipshuset på Bygdøy;Viking Ship Museum)に1932年以来展示されている木造のヴァイキング船「ゴクスタ船」(Gokstadskipet;Gokstad ship)に、さらに多くの亀裂を発見。崩壊を防ぐために新たな支持具も追加したが、船体すべてを支える設備は開発できず、現在の台座や空間は限界。[NEWS in ENGLISH]
▼ゴクスタ関連記事→2012年3月13日 - デンマーク、ルーマニア、ドイツ
- デンマーク、ルーマニア、ドイツで出土した紀元前4200年〜前3800年の貝製装身具ダブルボタンズ(double-buttons)からたんぱく質を抽出して比較。それらは等しくカワシンジュガイ。6000年前のヨーロッパで文化伝統を共有するような長距離の交流があった。従来、ダブルボタンズは、在地の素材で作られたと考えられていたため、外来品である海の貝類ほど威信財の価値はないとみなされていた。[EurekAlert]
- UK(ウェールズ)
- グウィネズ州(Gwynedd)のカーナーヴォン=ボントネウイズ・バイパス(Caernarfon and Bontnewydd bypass)予定地で青銅器時代・紀元前1500年の被熱した集石遺構バーントマウンド(burnt mound)と木桶3個。木桶の1つはオーク材の幹から彫り出した丸木舟を再利用した可能性。北西ウェールズでは先史時代の丸木舟として最初の例。カーナーヴォンのセゴンティウムの砦(Segontium)とカイルヒン(Caerhun)のカノウィウムの砦(Canovium)を結ぶローマ時代の道路を確認。初期中世・8世紀の産業遺跡では、発掘で金属の痕跡は出土しなかったが、事前の採集で鉄の鍛造剥片(hammerscale)が出土。
Bronze Age discovery at site of Caernarfon and Bontnewydd bypass[Welsh Government] - ボリビア
- リペス高地(Lípez highlands)の岩陰遺跡で発見された、ティワナク(Tiwanaku)の終焉ごろ(放射性炭素年代で905〜1170年)の儀式セットに、5つの向精神性の化学物質コカイン(cocaine)、ベンゾイルエクゴニン(benzoylecgonine)、ブフォテニン(bufotenine)、ハルミン(harmine)、ジメチルトリプタミン(dimethyltryptamine)。南アフリカの1か所での同時発見では最多。治療や儀式のために用いたと推定。発見地のような高地の原産ではなく、交易網によるか、シャーマンの移動によってもたらされた可能性。
Traces of five drugs found on 1000-year-old South American ritual kit[New Scientist]
Melanie J. Miller, Juan Albarracin-Jordan, Christine Moore, and José M. Capriles Chemical evidence for the use of multiple psychotropic plants in a 1,000-year-old ritual bundle from South America [PNAS] - 言語
- シナ・チベット語族(Sino-Tibetan)は新石器時代・磁山文化(Cishan)晩期〜仰韶文化(Yangshao)早期・7200年前の中国華北地方に由来。アワ(Setaria italica)栽培とともに起こる。50言語に基づき系統を推定。
Origin of Sino-Tibetan language family revealed by new research
Neue Erkenntnisse zum Ursprung der sinotibetischen Sprachen[Max-Planck-Institut für Menschheitsgeschichte]
論文Dated language phylogenies shed light on the ancestry of Sino-Tibetan[PNAS]
2019年5月6日(月)
- 群馬県
- 渋川市・滝沢石器時代遺跡の本格的な整備へ渋川市が着手。縄文時代の集落跡。[上毛新聞]
- 埼玉県
- 川越市・川越城跡で古墳時代・6世紀末〜7世紀中期の円墳の周溝と石室。直径23mと推定。川越市教育委員会の調査。[朝日新聞]
- 大分県
- 宇佐市で、市道下の地下水道などから新たに4基の石橋を確認。[毎日新聞]
- UK(イングランド)
- ノーサンバーランド州(the county of Northumberland)ヴィンドランダ(Vindolanda)でハドリアヌスの城壁(Hadrian's Wall)からローマ時代・3世紀の石に刻まれたボードゲーム「ルードゥス・ラトルンクロールム」(Ludus latrunculorum)の盤。建物の床に再利用された状態で発見。もとは浴場で用いられたが壊れたのちに転用されたと推定。碁盤目になったなった盤上で、2人のプレイヤーがそれぞれの色の駒を移動させて、対戦相手の駒を取り囲むことによって盤上から取り除く。相手の駒をすべて奪えば勝ち。これまでに出土した駒は土製、ガラス製、石製など。[ChronicleLive]
2019年5月5日(日)
- 英王室属領ガーンジー
- オルダニー島(Alderney)のローマ時代の砦、通称「ナナリー」(Nunnery)から出土した38週程度の赤ん坊の遺体は19世紀初めに埋葬。放射性炭素年代で1820年ごろ。砦が軍事目的で使用されていた時期に当たる。死産の可能性。[BBC]
- UK(イングランド)
- ノーフォーク州(norfolk) ワイモンダム(Wymondham)で1200〜1300年のブローチ。発見した27歳のトム・ラッキング(Tom Lucking)は11歳の時に金属探知をはじめ、学生時代の2014年にノーフォーク州ウィンファーシング(Winfarthing)でアングロサクソン・630年ごろのペンダントを発見し、売った金で家も買った。現在は本職の考古学者だが余暇には金属探知機で遺物探し。英国では300年以上前の金銀製品を発見した場合、法律に基づく報告が必要。[BBC]
▼英国で素人の金属探知機による遺物探しが認められていることは知っていたが、この人は11歳で金属探知を始め、プロの考古学者になっても金属探知を続けているとは、日本の常識とはかなり違う。困惑。 - エジプト
- ツタンカーメン王墓に副葬されていた、金の装飾が施された戦車は、同じ場所から見つかった天蓋と組み合わせて使用。ヒエログリフの記録や戦車についている部品の位置などから推定・河合望・金沢大学教授の研究。[NHK]
2019年5月4日(土)
- 千葉県
- 木更津市・松面古墳(まつめんこふん)の壕から、土木運搬用のそり「修羅」が2014年に出土していた。ムクノキ製。古墳は方墳45m、7世紀前半。木更津市教育委員会の調査。従来は大阪府藤井寺市・三ツ塚古墳の2点しか見つかっていなかった。[朝日新聞]
- 中国
- 西川伸一氏「デニソーワ人ゲノムをめぐる2つの謎が解けてきた 2、デニソーワ人の高地順応遺伝子」[Yahoo! Japan ニュース]
- ドイツ
- ノルトライン=ヴェストファーレン州(Land Nordrhein-Westfalen)ウンナ郡(Kreis Unna)で旧石器時代・6万年前のハンドアックス(Faustkeil)。ヴェストファーレン地方では稀。ネアンデルタール人の幅広い交流を示す。ヴェストファーレン=リッペ地方連合(Landschaftsverband Westfalen-Lippe (LWL))の調査。
Westfälische Neandertaler hatten weitreichende Kontakte[Landschaftsverband Westfalen-Lippe (LWL)] - ドイツ
- ヘッセン州(Land Hessen)グロース=ゲーラウ郡(Kreis Groß-Gerau) ケーニヒシュテッテン(Königstädten)で、新石器時代・線帯文土器文化(Linienbandkeramik;Linearbandkeramik)・7000年前の土器。[Frankfurter Neue Presse]
- フランス
- アンドル=エ=ロワール県(Le département d'Indre-et-Loire)ロシュ(Loches)・聖ウルスス教会(collégiale Saint-Ours de Loches)の祭壇近くで、ミラノ公ルドヴィーコ・スフォルツァ(Ludovico Maria Sforza;Ludovic Sforza;1452〜1508年)とみられる遺体を発見。そのほか、司教座聖堂参事会員ピエール・ボクザン(Pierre Beaucousin;14世紀)やロシュ城(château de Loches)の隊長でシャルル7世(Charles VII)の助言者だったロラン・ド・レスクエ男爵(Rolland de Lescouët;1467年死去)、さらに18世紀の棺も。アンドル=エ=ロワール県考古学サービス(Service de l’archéologie du département de l’Indre-et-Loire: Sadil)の調査。[la Nouvelle République]
▼サントル=ヴァル・ド・ロワール地域圏(Centre-Val de Loire) アンドル=エ=ロワール県(Le département d'Indre-et-Loire) - フランス
- ノルマンディー(Normandie)沖の海底で、1944年6月6日のノルマンディ上陸作戦(Le Débarquement)の時の150隻の船を確認。[La Provence]
- エジプト
- ギザ(Giza)で古王国時代の墓地。最古は第5王朝・紀元前2500年ごろの家族墓で被葬者2名。1人は肩書き7つ、1人は肩書き5つ。被葬者と妻子の石灰岩製の彫像出土。墓地は末期王朝時代・紀元前7世紀以降に再利用され、木製彩色の人形棺や葬送用マスクも多数出土。[Luxor Times]
- 西アフリカ
- アフリカの重要な作物の由来をDNAで調査。アフリカのヤム(yam)の栽培化の場所を西アフリカのニジェール川流域と推定。栽培化の時期は特定できず。トウジンビエ(pearl millet)もすべての変異がニジェール川流域の単一の先祖に由来。アフリカ米も西アフリカのマリに始まる。
Plant genomics unearths Africa's ‘fertile crescent’[Science] - USA
- アラスカ州(State of Alaska)で、過去10年ほど、氷が解けることで、クインハガック(Quinhagak)やヌナレク遺跡(Nunalleq)などのユピック人(Yupik)の遺物が多数発見されて解明が進む一方、永久凍土の溶解で、凍っていた先史時代の遺跡に崩壊の危機。[Agence France-Presse]
- ペルー
- ウアルメイ(Huarmey)で、2012年に見つかったワリ帝国の貴族墓のふもとから、20歳程度の男の墓。儀式で殺された兆候はなく、座った状態で繊維にまかれて埋葬。青銅製ののこぎり、斧、ナイフ、鑿を胸のところに置き、両手を乗せる。用いられた青銅は銅と砒素の合金で、使用痕あり。銅滓を副葬しており、1200年前の冶金技術者の墓と推定。大型のナイフ1点のみ黒曜石製で、直線距離で1000km以上はなれたキスピシサ(Quispisisa)産。ワルシャワ大学(Uniwersytet Warszawski)の調査。[Nauka w Polsce]
▼アンカシュ県(Departamento de Áncash)ウアルメイ郡(Provincia de Huarmey)
2019年5月3日(金)
- 三重県
- 名張市・福成就寺から出火し、本堂や庫裏などを全焼。本堂に置かれていた重要文化財「黒漆厨子」は運び出されて無事。[読売新聞]
- シリアほか
- シリアをはじめ中東で盗掘された遺物がソーシャルメディアを介してヨーロッパで売りさばかれている。2014年にFacebookで遺物を売ろうとするページが登場したことに始り、小さな遺物から、モザイク、彫刻、金銀貨のような高価なものまであらゆるものがネット上に。2012年にアラブの春のもたらした紛争から盗掘が蔓延し、ISは盗掘をかつてない規模で行い資金源に。市民生活が破壊されると市民の生活の糧に。ヨーロッパの各地が市場や流通拠点に。[Euronews]
- ベルギー
- ブリュッセル(Bruxelles;Brussels)の駐車場跡、市庁舎予定地で、中世のセンヌ(Senne)河岸の波止場など集落跡と10世紀の遺物。革靴や木製櫛など、さまざまな工芸にかかわる遺物は7世紀までさかのぼる可能性も。[The Brussels Times]
- USA
- マサチューセッツ州(Commonwealth of Massachusetts) チャパキディック島(Chappaquiddick)ケープ・ポジ(Cape Pogue)のリトルネック(Little Neck)沖で、プロペラやブロウニング重機関銃(Browning machine gun)。1946年2月に墜落したカーティス社の爆撃機SB2C ヘルダイヴァー(Curtiss SB2C Helldiver)と推定。引き揚げ調査へ。第二次世界大戦で活躍。現地は第二次世界大戦中の爆撃練習場。[Vineyard Gazette]
- ウマ
- 42000年前にさかのぼるユーラシア各地のウマ278頭のDNAを現代のウマ30頭と比較し、5000年間の歴史を再構成。従来知られていなかった2つの血統を新たに見出す。4000年前に現在のスペイン・ポルトガルにいた系統と、同じころシベリアにいた系統。いずれも絶滅し、現代のウマのDNAにはつながらず。カザフスタンのボタイ文化(Botai)は、ウマを家畜化した最初の例とみられていたが、DNAは現在のウマとは別系統た。現代のウマの属性はもっと新しい段階、7世紀にアラブ馬がヨーロッパに拡大して以降に生じた。アラブの種馬が牡馬を大量生産し、牡馬の遺伝的な多様性が失われた。ウマの選択的な繁殖は約200年前に特に強化され、1000年前とは別の生物のようになった。
Ancient DNA reveals two lost lineages of horses-but not their elusive origins[Science]
2019年5月2日(木)
- 韓国
- 慶州・南山の都堂山西北麓古墳(識慧谷古墳)は新羅第28代・真徳女王陵の可能性。径16.1〜19.8mの楕円形、高さ6.5mで王陵級の規模。現在、真徳女王陵とされている慶州市内の古墳は、8世紀中ごろに登場する十二支像を伴っているので、真徳女王陵ではない。三国史記新羅本紀で真徳女王は「沙梁部」に葬られたとされており、これに該当する王陵級の古墳は伝・逸聖王陵と都堂山西北麓古墳のみ。伝・逸聖王陵は真の景哀王陵と考えられているので、都堂山西北麓古墳は真徳女王陵にふさわしい。朴洪国・威徳大学校博物館長の研究。[聯合ニュース]
- 台湾
- 台南市・赤崁園区で先史時代の大湖文化の文化層や貝塚、オランダ統治時代(荷據時期)のプロヴィンティア城(Provintia;普羅民遮城)、清朝統治時代の建物や、日本統治時代の明治公学校(成功国民小学の前身)の遺構。公園整備の工程が滞り、設計も変更へ。[中央通訊社]
- 中国
- 浙江省 湖州市 長興県 東山村で、石造りの古墓を、墓誌により明時代の内閣首輔を務めた徐階の墓と特定。[中国新聞網]
- 中国
- 甘粛省夏河県・白石崖溶洞で出土したヒトの下顎骨は16万年前のデニソワ人(Denisovan)のもの。タンパク質の分析から。チベット高原最初の人類はデニソワ人。中期更新世後半の段階で高地に適応していた。従来、東アジアの低地やチベット高原で遺伝的な痕跡は見いだされていたが、化石の証拠はシベリアのデニソワ洞窟でしか見つかっていなかった。
A late Middle Pleistocene Denisovan mandible from the Tibetan Plateau[Nature] - シンガポール
- 福康寧山で元時代の青花白磁や褐釉など。シンガポールが海のシルクロードの重要拠点であったことを示す。[早報]
- マレーシア
- ペラ州(Perak;霹靂州)イポー(Ipoh;怡保)のグルンダトゥク(Gunung Datuk;拿督山)の石壁で、日本の漢字で書かれた「南無妙法蓮華経」「大正二年九月」の文字。当時、日本の仏教徒が儀式を行う道場であったことを示す。[星洲網]
- インド
- ウッタル・プラデーシュ州(Uttar Pradesh) バーグパト県(Bagpat District) サナウリ(Sanauli)でハラッパー文化(Harappa)・紀元前2000年の墓から地下の「聖なる部屋」。装飾された脚つきの棺。銅剣、兜、盾、馬車、コメやアズキが入った土器、獣骨などが出土。インド考古調査局(Archaeological Survey of India:ASI)の調査。[The Pionieer]
- ヨルダン
- 古代都市ディバン(Dibon;Dhiban)で19世紀に発見され、現在はルーヴル美術館(Musée du Louvre)で展示されている紀元前9世紀の「メシャ碑文」(Mesha Stele)について、碑文と拓本を高精彩撮影して分析。碑文は19世紀に破壊されたが、失われた部分が破壊前に採られた拓本に残っていた。碑文31行目には支配者名として頭文字がヘブライ文字ベット(「B」に当たる)に始まる3音節。王の所在「ホロナイム」(Horonaim)は、モアブ(Moab)の領土として聖書に4回登場する地名。該当する王は「バラク」(Balak)で、旧約聖書民数記(Book of Numbers)のみに記載されるモアブの支配者。伝説の王バラクの実在性を示す。テルアビブ大学(Tel Aviv University)とコレージュ・ド・フランス(Collège de France)の研究。メシャ碑文は古代モアブの王メシャ(Mesha)の領土拡大を記す。メシャ王は旧約聖書列王記下(Second Book of Kings)にも記載あり。1994年にフランスの碑文学者アンドレ・ルメール(André Lemaire)が31行目を「ダビデの家」(House of David)とみなし、紀元前9世紀にユダ王国がモアブを支配していたとみなしていた。
New Reading of the Mesha Stele Inscription Has Major Consequences for Biblical History[American Friends of Tel Aviv University]
Restoring Line 31 in the Mesha Stele: The ‘House of David’ or Biblical Balak?[Taylor & Francis Online] - トルコ
- ギョベクリ・テペ遺跡(Göbekli Tepe)で初期新石器時代の穀物製粉具が出土し、穀物の調理を実証。
Cereal processing at Early Neolithic Göbekli Tepe, southeastern Turkey[PLOS One] - ドイツ
- ノルトライン=ヴェストファーレン州(Land Nordrhein-Westfalen)ビーレフェルト(Bielefeld)で、トイトブルクの森(Teutoburger Wald)の端から2000年前のローマ軍部隊の跡。[Deutsche Presse-Agentur]
- スペイン
- イベリア半島で出土した紀元前6千年紀〜前2千年紀の琥珀を調査した結果、ラ・モリーナ(La Molina)で紀元前3千年紀の洞窟墓から出土した2個と、コバ・デル・へガント(Cova del Gegant)の紀元前2千年紀の墓から出土した4個は、琥珀に似せた模造品。在地の透明な鉱物や彩色による。いずれも高い人物の墓で外来の威信財を副葬しており、財力の問題ではない。そのような人物でも得られないくらい、琥珀の受容が高く入手困難であったか、あるいはニセ商品でだます仲介人が新石器時代にもいたと推定。今後は、琥珀とされている遺物の化学的な検証が必要。
‘Amber’ beads revealed as prehistoric fakes[Cosmos]
▼ラ・モリーナはアンダルシア州(Comunidad Autónoma de Andalucía) セビリア県(Provincia de Sevilla) ロラ・デ・エステパ(Lora de Estepa)に所在。
▼コバ・デル・へガントはカタルーニャ州(Cataluña)バルセロナ県(Provincia de Barcelona)シッチェス(Sitges)に所在。 - UK(イングランド)
- ノートン・プライオリー(Norton Priory)で出土した、35歳程度で死去した中世の人骨に骨ページェット病(Paget's disease of bone ; PDB)に似た骨の病気。ページェット病は西欧・英国に始まるとみられ、ローマ時代の例は知られているが、その歴史はよく知られていない。[Earth.com]
▼チェシャー州(the county of Cheshire) ランコーン(Runcorn) - アイルランド
- スライゴ州(County Sligo) コルーニー(Collooney)で、嵐で古木が倒れ、木の根に絡まって人骨発見。数か所の刀傷を負った若い男。放射性炭素年代で1030年〜1200年。アングロ=ノルマン人侵入以前のゲール人と推定。[The Epoch Times]
- USA
- ニューメキシコ州(State of New Mexico;Estado de Nuevo México)クロライドクリーク(Chloride Creek)での先史時代ロックアートの遺跡が毀損された被害状況をヒラ国立森林公園(Gila National Forest)の担当官が画像で公表。ロックアートの脆弱性について注意喚起し、森林公園に来場する人に、ロックアートなどの遺跡を見学するときの下記のようなエチケットリストを作成。
肌に着いた油は岩の表面に悪影響を与えます。ロックアートとその周りの岩の表面には触れないようにしましょう。
ロックアートの表面には、水をはじめ、いかなる物質も触れさせないでください。
ロックアートからいかなるものも取り去らないでください。
ロックアートの遺跡から遺物を持ち帰ったり荒らさないでください。
遺跡への被害を避けるため、大声で話すのは控え、また、ロックアートへの何らかの破壊を見かけたら通報しましょう。
[KRQE] - チリ
- チンチョーロ文化(Chinchorro)では紀元前5000年ごろにミイラづくりの技術を発展させる。最初は赤ん坊に始まり、その後成人に。4000年間の間に5つの様式。古代エジプトのミイラより古い。[CNN]
- アメリカ大陸
- 落花生をDNAで調査した結果、すべての変異は同一の祖先に由来。しかし、落花生は地下に実が生るので、動物や風で種子を遠くに運ぶことが不可能。1万年にわたるヒトの介在を推定。ジョージア大学(University of Georgia)などの研究。
UGA researchers help identify ‘the mother of peanut’[University of Georgia]
The genome sequence of segmental allotetraploid peanut Arachis hypogaea Nature Genetics volume 51, pages877-884 (2019) [Nature]
2019年5月1日(水)
- 皇室
- 水島宏明氏「改元特番でNHKだけが伝えた”不都合な真実”」[Yahoo! Japan ニュース]
- 韓国
- 全羅北道 井邑市 古阜面・古沙夫里城の南門跡東側で、百済時代の石築城壁。高さ3.5m。自然地形を階段状に加工し、前後に石壁を積み、その間を石や土で埋める。統一新羅・高麗・朝鮮時代にも修築され、高麗時代には土城に変更、朝鮮時代には1765年まで邑城として利用。全羅文化遺産研究院の調査。百済の地方行政制度「五方」のうち「中方」に該当。[聯合ニュース]
- インド
- ウッタル・プラデーシュ州(Uttar Pradesh) バーグパト県(Bagpat District) サナウリ(Sanauli)でハラッパー文化(Harappan culture)に並行する・紀元前2000年の墓から地下の「聖なる部屋」。装飾された脚つきの棺。銅剣、兜、盾、馬車、コメやアズキが入った土器、獣骨などが出土し、戦士階級の墓と推定。インド考古調査局(Archaeological Survey of India:ASI)の調査。[The Hindu]
- トルコ
- ギョベクリ・テペ遺跡(Göbekli Tepe)の神殿の象徴を読み解き、13000年前に彗星が地球に衝突した証拠とみなす説。ギョベクリ・テペを天文台ともみなす。亜氷期ヤンガードリアス(Younger Dryas)が彗星の衝突により起こったとする初めての証拠。彗星の衝突のころに起こったヤンガードリアスと呼ばれる亜氷期は1000年程度継続し、寒冷化への適用により農耕の開始や新石器時代の始まりをもたらしたとされる。[ScienceAlert]
- スロバキア
- ニトラ県(Nitriansky kraj)レビツェ(Lavice)で、17〜18世紀の遺物や、新石器時代・線帯文土器文化(Linienbandkeramik;Linear Pottery culture)・紀元前5000年の遺物も、層を成さず混在。井戸からは20世紀のおもちゃの鉄砲。[The Slovak Spectator]
- UK(イングランド)
- リンカーン(Lincoln) ベイフォード・ワーフ・ノース(Brayford Wharf North)でローマ時代の墓地。人骨22体出土。PCAS Archaeologyの調査。[The Linolnite]
▼リンカーンシャー州(Lincolnshire) - UK(ウェールズ)
- クームセリン渓谷(Cwmcelyn Valley)で違法なロードバイクなどで重要な考古学的遺跡が毀損の危惧。[South Wales Argus]
- アイスランド
- Haffjarðarey島の聖ニコラス教会墓地で、中世・1200年〜1563年の顔が変形した若い女性人骨。ゴールデンハー症候群(Goldenhar syndrome )によると推定。[Forbes]
- チュニジア
- ウティカ(Utique;Utica)近くのメジェルダ川(Medjerda)デルタ地帯の紀元前6千年紀以来の土壌サンプルによると、カルタゴ(Carthage)の後背地での鉛銀山開発は、ギリシャとのシケリア戦争中(guerres gréco-puniques;Greco-Punic Wars;前480〜前307年)に始まり、ローマとのポエニ戦争中(guerres puniques;Punic War;前264〜前146年)も継続。ローマに連敗して地中海の利権を失っても戦争を継続できたカルタゴの経済回復力を裏付ける。ウティカは紀元前1100年以来のフェニキア人の主要な根拠地の一つ。リエージュ大学(Université de Liège)などの調査。
Expliquer l’exceptionnelle résilience économique des Carthaginois durant les guerres puniques[Université de Liège]
Economic resilience of Carthage during the Punic Wars: Insights from sediments of the Medjerda delta around Utica (Tunisia)[PNAS]
Exploration of the maritime façade of Utica: the potential location of the Phoenician and Roman harbours Quaternary International [ScienceDirect] - エチオピア
- ラミダス猿人(Ardipithecus ramidus)と、霊長類の複数の骨の大きさの比率を比較。アフリカの類人猿には、地上生活に適応した兆候があり、人類と類人猿の共通の祖先も同様であった可能性。ニューヨーク大学(New York University)の研究。
Human Ancestors Were “Grounded,” New Analysis Shows[New York University] - USA
- アリゾナ州(State of Arizona)ノガレス(Nogales)で、見つかったネイティヴアメリカンの人骨は、ホホカム族(Hohokam)と同定。[Nogales International]
- メキシコ
- ベラクルス州(Veracruz de Ignacio de la Llave)ビジャ・リカ海岸(Playa Villa Rica)沖の海底で15世紀の碇。木材はスペイン北部でのみ得られるオーク材。木材の年代は1417年〜1492年または1450〜1530年。征服者エルナン・コルテス(Hernán Cortés;1485〜1547年)の1519年に沈んだ船に関連する可能性も。メキシコ国立人類学歴史学研究所(Instituto Nacional de Antropología e Historia)の調査。[20 Minutos]
コルテスの艦隊のうち10隻はベラクルス付近で1519年に沈んだ。その後1521年までにコルテスはアステカ帝国を征服。メキシコは先住民の大半を殺害した征服から500年の今年をいかに記念するかに苦慮しており、メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(Andrés Manuel López Obrador)大統領はスペインに謝罪を求めてい。[The Associated Press] - メキシコ
- ユカタン半島(Península de Yucatán;Yucatán peninsula)の水中洞窟オヨ・ネグロ(Hoyo Negro)から12000年前の人骨や、氷河時代の絶滅生物。これらの絶滅生物は従来、南アメリカにのみ生息したと考えられていた。[Australian Broadcasting Corporation]
▼キンタナ・ロー州(Estado de Quintana Roo)トゥルム(Tulúm)
▼オヨ・ネグロ関連記事→2014年5月16日 - グアテマラ
- ジャングルでレーザーマップによりマヤ文明の遺跡を発見。ホルムル遺跡(Holmul)では、古代都市が従来の想定より大きく、発掘では王と女王とみられる遺体や、チョコレートを飲むための王名が入った儀式用の容器を発見。放射性炭素年代で554〜558年。ウィツナ(Witzná)郊外ではレーザーマップで発見されたピラミッドを調査。ピラミッド前の広場ではいけにえとなった子供の頭蓋骨など。[The Guardian]
▼ホルムル遺跡、ウィツナともペテン県(Departamento de Petén)
▼ホルムル遺跡関連記事→2016年9月29日
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