医 学 生 日 記  

'03年度 五年生/夏休み

ER  ビデオ三昧な夏休み
違う夏  ガラリと
兵六餅  パッケージが・・
ハリセンボン  のーます♪
子供将棋大会  ハシゴ
糸切りバサミ  ゾーリンゲン

ER 
ER(救急救命室)というのはアメリカの医療ドラマで、日本でも深夜によく放映している人気ドラマ。 普段たまたまチャンネルを合わせた時に観るという感じだったのだが、シリーズの初めから見て みようとビデオを借りてきた。主人公(?)のカーター君はシリーズの初めでは実習に来ている3年生、 ちょうど日本の医学部の5年生にあたる。採血をしたことがないといってあたふたしていたりでまさに ちょうど同じ頃!指導医にあれこれ質問されてもしどろもどろで、おやおや、これは私のほうが知って るぞ!などと楽しく見ていたのも束の間、あぁっと言う間に、カーター君は遥か彼方のハイレベルな ところに行ってしまった。

アメリカの学生は日本とは比べ物にならないぐらい勉強する上に、実習が非常に実践的。学生当たりの 教官の数も断然多い。卒業時の実力が日米では雲泥の差とよく言われるが、それが実によく分かる。 学生時代は患者さんに手を出さず、ひたすら見学という旧ドイツ式を何とかアメリカ式に変えようと 今現在大学でも色々奮闘しているが・・。

子供の頃からもともと医療ものは好きではあるが、今までと違う、思いもかけない変化があって 自分の事ながら非常に驚いた。走り回る登場人物たちが交わす会話、所々は分かるけどあとは それっぽい「効果音」として聞いていた専門用語のせりふが殆どと言っていいぐらい意味のある言葉と して聞こえてきたのだ。何が起こり、どんな診断で、何の検査をしようとしているのか、そこで出て いる症状が何を表すのか、レントゲンに何が写っているのか、・・。もちろん知らない手術の名前や 薬品名などがあるにはあるのだが、まるで外国語がいきなり日本語に切り替わったような、そんな感 じだった。(ちなみに英語で見ていたわけではない。(^^;)軟弱にも吹き替え版で見ていた。)

それからはもう楽しくて、1日1本借りていたのが2本になり3本になり、結局夏休み中で69話分を見た。 ただ見るのももったいなくて、なんか分からないことが出てきたら即座にビデオを止めてメモしては調べ、 なるほど〜と一人納得する、というのを繰り返していたのでメモの山が出来た。それと、これは昔から 興味深く観ていたのだが、文化の違いとか、保険制度の違いとか、病院システムの違いとか、そういう 比較の面白さも尽きない。

違う夏

今までと、がらりと違う夏だった。
もっともそれは親にとってのことで、当人達は全くそういう自覚はなさそうだけど。小さい子供というのは 日々目覚ましく変化していくので、毎年毎年、どんどん状況が変わるのはいつものことなのだが、 今度の変わり方はいつもと違う。今までは一つの時代の中の階段を上っていたのに対して、今度は時代の 分かれ目の大きな区切りをまたいだ感じ。  →えにっ記

兵六餅

つるの実家のある沖永良部島に帰省していた時、スーパーの お菓子売り場をふらついていたら強烈に目を引いた。『 南国名物 兵六餅 』 和菓子であることは分かる。 しかしこの箱の柄(→)は一体?おいしいお菓子のアイキャッチである。なのに人魂。 お侍はこの世のものとは思えないとんでもなく大きなカニ(?)に足を挟まれている。 どう見てもお菓子どころではない、エマージェンシーだ。

兵六って誰・・?調べてみると、薩摩文学の中に、毛利正直氏作の「大石兵六夢物語」というのがあり、 滑稽なストーリーの中にも政治を諷刺したり、思想を語ったり、人情の機微を説いたりで、よく郷土人に 愛読された、との事でその主人公らしい。

ところで、この柄は小箱6個詰めの大箱用で、キャラメルの箱のような小箱の柄はこちら(左図)。 勇ましい若者が妖怪退治に出向かんとする図で、まあ昔話の 絵としては普通。つるはこっちのほうがなじみだとのこと。しかし、大箱にあのインパクトあふれる、 知らない人には購買欲よりも恐怖感をあおるような絵を採用したセンスが大変つぼにはまった。ちなみに お菓子のほうの味は、きな粉&抹茶&青海苔風味の、和風キャラメル餅菓子といった感じで、美味しかった。

この柄を採用したいきさつは、地元の開発者が兵六夢物語のように皆に愛される土産物を・・・と苦心研究の 末に出来たのがこのお菓子で、郷土文学普及の一助にもと思い、「兵六餅」と名付けたということらしい。 鮮やかな挿絵と共にお調子者の兵六の大活躍が描かれる「大石兵六夢物語」や、お尻丸だしの柄がいかんと GHQともめたりといった歴史などが詳しく載っている セイカ食品のHPが大変楽しかった。

ハリセンボン

南の海で浮き輪でぷかぷか。網を持って魚を追いかけまわす。きれいな熱帯魚がたくさんいるが目の前に いてもなかなか捕まらない。すばしっこい上に、サンゴが見事に隠れ家になっている。枝サンゴの周りに 何百と小さい魚が泳いでいるところにさっ!と近づくと、魔法のように一瞬にしてみんなサンゴの枝の間 にぱっと吸い込まれてしまう。何度見てもお見事。

それでも、とろいタイプというのはいるもので(大体、体の表面が硬くて動きに制限のあるもの)私は初めて ハリセンボンをすくって、わーい!と子供達に見せつつ観察。本当にまん丸のトゲトゲになっていた。 白いイガグリみたいだが、触ると意外とヌルヌルしている。娘はハギの仲間と思われる小さくてカラフルな 魚をつかまえ、息子は魚は諦めてナマコをすくって遊んでいた。そこで私も大物を狙ってジャノメナマコと いう南の海に住むナマコをすくった。50cmはあり、おまけにぶっとくて枕サイズで重い。網の首が曲がった。 もって帰ってもどうしようもないので皆に見せて嫌がられてから逃がした。

ところでハリセンボンといえば、♪指きりげんまん、嘘ついたらハリセンボン飲〜ます・・というのを思い 出すが、あれはこの魚を丸呑みするわけではなくて、針を千本飲ませるということらしい。ついでに「げん まん」というのは拳で一万回殴るぞという意味だそうで、指切りするような人に嘘つくと・・・という なかなか情念のこもった歌であることを再確認した。

子供将棋大会

息子(2年生)の将棋大会はいつもはつるが連れて行っているのだが、夏休みで平日の大会が続いたので私 (と娘)が付き添い。上野松坂屋の子供将棋大会と、八王子将棋クラブの多摩小学生名人戦。松坂屋は2日 あったのだがクラス別ではなく、有段者がそろっていて、まあ早々に帰るでしょうと思っていたら予選を通過 してしまい、2日目に。16人の総当たり戦に付き合うんかい・・(見てはいないけど。分からないし。)昼に様子を 見に来たつるが、周りにいる大人たちを示してあれが三段のだれだれ君のお父さん、あれがお兄さんが もうすぐプロになるだれそれのお母さん・・と教えてくれたのにびっくり。大会慣れしてます(^_^;)。 結局入賞はしなかったが5勝したらグローブを買ってもらうという線はクリアしたので本人は一応納得。 最近、大抵の大会で常連入賞している3年生の子がいるのだが、みごと15連勝!すごーーい。

ところで上野松坂屋といえば 私にとっては本館の昭和初期の古い優美な建築のほうがずっと関心があり、広い階段の踊り場の天井の装飾 (→)や、階数表示が真ちゅうの時計型をしている映画に出てきそうな美しいエレベーターをチェックして 回った。日本初のエレベーターガール(昇降機ガール)は昭和4年にここで誕生したそうだ。古い大学にもよく こういう階段の踊り場がよくあって楽しいのだが、今行っている大学にはそういうものは皆無・・。

翌日、八王子将棋クラブへ。町中の個人の道場なのだが、かの羽生さんが子供の頃通っていたので有名な所。 低学年の部で出場。見ると子供達も、付き添いの両親もなんか昨日見たような人だらけ。お母さん同士が 「いっそバスチャーターして皆で移動したら」なんて言って笑っていた。 この前は○○でこう来て負けちゃった、とかもう少しあそこで××しとけばいけたかもしれないのに、等と おのおの子供達の将棋について話し合っていて、なんかもう、回りがみんな賢い〜(^_^;;)わかんな〜い。 って感じ。なのでそこにいても仕方ないので娘と隣のダイエーで暇をつぶす。

道場発行の新聞をもらったので見てみると歴代小学生大会の入賞者の一覧があり、初代の低学年の部の2位に 羽生善治(当時2年生)の名前。それから6年で卒業するまでずっと1位か2位に名前がある。その少し後には 中倉彰子という女流プロの名も。(他にもあるかもしれないけど分からない)モノクロ手作り新聞なのに 中身がなんだか華やか。

何回目かに様子を見に行ったら、ここまで勝ったけど負けちゃった〜もう終わりだって。と言うので、 まあ良く頑張ったんじゃないの、と帰った。後日電話があり、3位だったんだけど帰っちゃって表彰できな かったから賞品を送ると言われて、えっ?(^_^;)。本人も分かってないし。送られてきたのはチャン ピオンベルトと新しい号の新聞。千駄ヶ谷(※)や東京の大会でよく見る子供達の写真がずらりと載っている中、 一人だけ「先に帰られたため、写真が掲載できませんでした」の文字だけ。あぁまぬけ〜。こんなチャンスめった になかったのに。でもおめでとう。

※・・日本将棋連盟の本部がある東京将棋会館内にある道場。料金を払えば誰でも利用できる。小さい子供から老人 までの老若男女の様々な組み合わせが真剣勝負している様は、素人の私から見ると他ではなかなか見られない面白い情景。

糸切りバサミ

休みになる毎に、なんだかんだ縫い物をするので裁縫道具が活躍する。 裁縫用具のなかでも良し悪しがすごく出るのがハサミ。裁ちばさみももちろんだが、子供の頃ただの小さな ハサミに見える糸きりバサミを初めて使ったときも、その切れ味に惚れ惚れしたのを良く覚えている。 (その頃は、一般用のハサミで切れ味が非常に悪いものがよくあったので、よけい感動した。)

糸きりバサミとして作られているものはたいてい良く切れるのだが、中でも昔旅行土産にもらったドイツの ゾーリンゲン社の糸きりバサミ、非常に良く切れる上に、刃先が細く、細かいところをほどくのにも 使いやすい。どのぐらい切れるかというと外科用のはさみぐらい切れる。といっても全然分かりやすく ないが(^^;)実際、大学で外科用器具を扱っている時など、このはさみの切れ味も匹敵するなぁと思える。 (実際、糸切りバサミで肉や皮を切ったことはないので、あくまで感触の話だが・・・・)

おまけに!このデザインである。クラシカルな鶴型と金銀のあしらいがなんとも美しい。似たような型が 日本製でもあるのだが、羽の彫りの細かさなどが違うのだ。鳥はしなやかに首を曲げているが、くちばしで ある刃先の角度はしっかり使いやすいラインをキープ。、質にもデザインにもこだわった職人気質 が憎い。古風で装飾的で優美で性能が抜群。昨今なかなかそんな道具は見ないのでお気に入りの一品。


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