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Space Saver II Keyboard で遊ぼう!

第4回

3台の SSK II

Last Modified: Tuesday, 26-Nov-2002 21:35:41 JST

キーボード好きの皆さん(?)こんにちは。

さて、今回は適正化はお休み。私の持っている、3台の SSK II の違いについて見てみたいと思います。

さて第1回にも書きましたが、私が持っているのは、英語版の Rev. A01が一台、 日本語版の Rev. A02 が2台です。日本語版の2台は同じ Revision なので、同じものか、というとこれがキータッチが違ったりします。他にも違う点がいくつかあるみたいです。

まずは見た目

まずは、見た目の違いです。さすがに日本語版の2台は、見た目違いがわかりません。では、英語版と日本語版の違いはどうでしょうか?キー配列の違いは当然として、他で最初にパッと気付くのは、材質の違いです。 写真 だと判らないと思いますが、同じ黒でも、日本語版のほうがやや光ったような印象です。一方英語版のほうはややくすんだ印象です。触った感じでも、英語版のほうが剛性が高そうな感じです。材質がたぶん違うんだと思います(とはいえ、重量はどれもケーブル込み920g程度で、ほとんど変わりません)。
次に気がつくのは、キートップの印刷です。日本語版のほうは、印刷にコーティングしてあるのですが、英語版のほうは、コーティングがありません。そのため、3年も使ってますしだいぶ印刷が擦れてしまいました。

TrackPoint

他に見た目で違うところはあまりないんですが、TrackPoint の赤いゴムを外してみると....
6219 TrackPoint 英語版(Rev.: A01)
よーく見るとキートップの印刷にコーティングされていないのがわかります。キーの印刷とか擦れてるいるのも。

5032 TrakPoint 日本語版(Rev.: A02)
よーく見るとキートップの印刷にコーティングされているのがわかります。

ってな感じで形状がちょっと違います。どういう理由で変ったのか皆目検討もつきませんが。でも赤いゴムはどれも一緒で、手持ちの ThinkPad 240 に付いているものとも同一でした。当然ながら部品は共通化されてるんですね。

ま、見た目はこんな感じであんまり違いません。でも、キータッチはずいぶん違うんですよねぇ。

キータッチの違い

さて、次は恐らく多くの人が関心あると思うキータッチについてです。
本当は、SPARC さんの キーボードの部屋 のように押圧のヒステリシスカーブでも計測できればいいんですが、そんな計測ができる測定機器も腕もないので主観的かつ感覚的なことしか言えませんが...

まず、三枚共通の特徴としては、
  1. メンブレンキーボードとしては、キータッチは重め
  2. メンブレンキーボードとしては、クリック感は強め
  3. わりとプラスティックぽいカチャカチャ音がする。
  4. 押し抜き時のゴム感(ペコペコ感)は少ない。
というのがあると思います。他のNMBのキーボードと較べてどうかは良くわかりませんが。

次に3枚の違いです。

英語版(Rev.: A01)

  1. カッチリした感じがある。
  2. 押し下げ時、プラスティックが擦れるカサカサ感がある。
  3. 斜めに押し込んだ場合の引掛りがある。

日本語版(Rev.: A02, 店頭展示品)

  1. 押し下げ時、最初は非常に固い(重い)が、その後スコっと軽くなり、底付きが強い。
  2. 押し下げ時、プラスティックが擦れるカサカサ感がある。
  3. 押し下げ時の引掛りが3台の中で一番大きい。

日本語版(Rev.: A02, 新品)

  1. しっとりした打鍵感。カサカサ感は全くない。
  2. 引掛りは少なくスムーズなキーの動き。
といった具合で、それぞれ結構違います。(あと私の記憶が確かならば、初期型の日本語版は、フニャフニャしてゴムっぽかったと重います。)

さて、これらの特徴はどこから来るのでしょうか?

キートップの構造

ということで、原因を探るため、キートップを外してみました。構造的には3台とも、特に違いは見当たりません。
Key Top
スライダ一体型です。スライダ部は四角です。また、外れないように左右に突起があるのが判ります。

Body
これは匡体側、キートップの突起に対応した溝が見えます。

この構造から考えるに、このキーボード特有の引掛りやカサカサ感はこの大きめの四角いスライダ部が原因なんでしょうね。角部がでっぱっているので、実際にはそれほどではないのかもしれませんが、この形状では、接触する面積がそれなりにありそうです。カサカサしそうです。それに、隙間もそれなりにあって、ちょっとガタついてるので、斜めに力が掛った時、かなり引掛りやすそうです。

それにしても、正直な印象、値段のわりにはけっこうチャチな構造のような気もしますねぇ。コスト的に有利なのはよく判りますが。
Qwerters Clinic やみみラボ!を見ると、同じ NMB 製の Compaq RT685BTWDEC 101 (RT6856T) と似た構造のようですね。しかし、みみラボ!の COMPAQ 101(RT6656TUS)COMPAQ Erase-Eaze(RT231BTW) とか見る限りでは、NMB のキーボードの中には、もっと凝った作りをしているものもあるし...マージンとれる商品なんだから、もうちょいコストかけてくれても... とか思ってしまいます。

一方、日本語版新品は同じ構造なのに、カサカサ感もなければ、引掛りも殆んど感じません。人気の高い SSK II ですが、以前から多く方が、問題点としてこのキータッチの悪さ--- カサカサ感と引掛り---を指摘していたのですが....。最近になって改良された、ということですかね?
そこで、もう一度キートップを外して良く見てみと.....やっぱり湿式の潤滑剤が塗布してありました。なるほどキータッチが3枚の中で一番良いわけです。それにしても、この湿式の潤滑剤、メチャメチャ効果がある感じです。引掛りが少なくなってるだけでなく、適度な粘性のためか滑り感(なんじゃそりゃ?)がしっとり上質な感じになってます。スライダ部の隙間に潤滑剤が入り込んでいるのもいいんでしょうね、カチャカチャ感も大分軽減されています。ほんと、他の2つに較べてもの凄く違います。

さて、同じ Revision にもかかわらず、店頭品のほうは、潤滑剤が塗られていた形跡もありません(それとも完全に蒸発しちゃったんでしょうかね?)。英語版のほうは、最初からこんなキータッチだったので、潤滑剤が塗布されてたとも思えません。とすると潤滑剤を塗布してやれば、英語版も店頭展示品もキータッチが改善するかもしれませんね。

それにしても、不思議なのは、第1回でも觝れた店頭品の極端なキータッチの悪さです。幾ら店頭で手荒な扱いを受けてきて、各部の劣化も激しい(特にスライダ部の隙間は摩耗で増加してそう)だろうとはいえ、このキーの極端な押し下げ圧特性は気になります。ゴムは劣化でしなやかさを失ない固くなるんで、この押し下げの初期だけ極端に固いという特性は、ラバードームの劣化のせいと考えられます。が、英語版は古い上にかなり使い込んでいるにもかかわらず、こんな極端な特性になっていません。 はて?ちょっと謎が残ります。ゴムの材質が違うんでしょうか。でもこれは、調べようがないですねぇ....。

ま、多少の疑問を残しつつ、

では、今回はこのへんで。

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