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Space Saver II Keyboard で遊ぼう!

第8回

SSK II の後継? USB SSK を調べろ!

キーボード好きの皆さん(?)こんにちは。

さて、今回のネタは IBM Space Saver II Keyboard の後継機にあたる(のかなぁ?)、IBM Trackpoint USB Space Saver Keyboard (略称 USB SSK) 英語版です。さて、このキーボード、名前は似てるけど SSK II と似てるのか似てないのか?例によってバラしながら調べてみましょう。

(実は、USB SSK に手を出すつもりなかったんですけど Qwerters Clinic の K.Tanaka // さんが、「ついでにUSB Space Saverも是非とも・・・」なんて煽るもんだから、ついつい^^;)

本当は日本語版買おうかと思ったんですが、秋葉は若松の地下に行ったら、たまたま日本語版の在庫がなかったのと、店頭展示してたもののキータッチが、英語版のほうが良かったので(日本語版は単にヘタってたのかも)、英語版を購入しました。11500円なり(日本語版も同額)。たか〜(ネタに金使いすぎつーか)。

外観

では、まずは外観から。


(上がUSB SSK です。当然ですね。)

SSK II とほぼ同じ大きさ。まぁ、コンセプトは似てるんでしょうけど、わりと SSK II より今っぽいデザインになってます。TrackPoint のボタンとディープブルーなエンターキーは最近の Thinkpad と同じデザインモティーフですね。カーソルキーのあたりのデザインも、最近の IBM ブランドのキーボードに見られるものです。

IBM のロゴもシルバーですし、写真だと判り難いですけど、キーの色もファンクションキー等は微妙にグレーだったり。武骨な SSK II に比べると、ややデザインされているというか。

それら、ファンクションキーは随分小さいですね。SSK II と違い、カーソルキーと Delete キー等の間に、若干のスペースがあるものの、エンターキーより右の領域の配置は標準の101キーボードとちょっと違いますね。ま、私はファンクションキーもエンターキーより右のキーもあまり使わないんで問題ないですが、気にする人は気にするんでしょうね。

キートップはシルク印刷でしょうか。コーティングされていないので、初期型 SSK II と同様、使ってるうちに擦れてくるかもしれません。

USB なので、当然ながら SSK II とちがって、ケーブルは USB 端子一個のみでシンプル。2端子の USB ハブ機能もあるので、SSK II 同様(といっても USB ですが)マウスが繋げます。

次、裏です。



バラシの途中に撮影したので、ネジと左の足(画面では右側)は外してます。左の足の下にネジがあるのでバラす時は忘れずに!

剛性を上げるためと思われるバーが付いてます。このためか剛性感は SSK II より高いです。(追記(2003/03/18):このバーは余分なコードを巻き付けるためのものではないか、との指摘がありました。詳細は次回。)


裏のシールに記載されていた情報はこんな感じ。FCC ID は記載されていません。

Model No:
KPH0035
Power Rating:
5V 100mA
MFG:
CEM 02-33
PRINT:
CEM 02-33
REV:
A01
Fru P/N:
24P0340



SSK II よりはカーブしてますね。人によっては使いやすいかな?

使ってみて

SSK II と同じメンブレンタイプですが、キータッチは SSK II とは随分違います。SSK II は IBM (ブランド) のキーボードらしく、重めでクリック感が強いですが、USB SSK はそれほどでもないです。SSK II に比べればやや軽く、クリック感も、まぁフツーです。
ややカサカサ感はありますが、潤滑剤なしの SSK II に比べればひっかかりは少ないです。キートップのグラつきはやや SSK II より大きいかな?
良くも悪くも、現代的な、これといって特徴もないけれど、悪くもないメンブレンキーボードって感じです。

TrackPoint は SSK II と比べやや固く、移動量が少ないようです。
それより気になったのは、Windows Me の話ですが、附属ドライバの設定で、好みの感度に調整するのがちょっと難しい気がします。SSK II のほうが楽だったような。
あと、これも Win Me 版ドライバの問題ですけど、TrackPoint の真中のボタンをスクロールに割り当てられるのですが、これ、アプリケーションによっては効かないものもあります。(Netspace 7.0 等、IE は使えました。)またスクロールの動作も SSK II に比べ、やや不自然な印象もあります。
ま、個人的には、ポインティングデバイスとして使えればいいので、困りませんが、人によっては気になるかもしれません。

では、さっそくバラしてみましょう。

スライダとレール部分から。

スライダはファンクションキーと通常のキーで構造が違います。(左がファンクションキー)
通常キーはキートップ、スライダ一体型で足こそ付いてませんけど、円筒系でありながら、ハウジング部との接触部分が少なくなるような工夫もされており、多少凝った作りになっています。ファンクションキーのほうは単純な長方形。 この基盤の裏側全体にオイルがスプレーされているようでした。「ややカサカサ」ですんでいるのは、このオイルのおかげですね。

ちなみに、このスライダのストッパー、ちょっと弱いようで、キートップリムーバで引き抜く際、斜めに力がかかると、折れたり傷付いたりしやすいようです。ということで、例によってスムースエイドは塗ったんですが、キートップを引き抜かずに裏面から塗りました。どうしてもムラになるんで効果の点では良くないですけどね。脱脂もしなかったし、かなり手抜きだったので、効果あるかなぁ?

ラバードームは SSK II と異なり、シート状になっています。比較的しなやかな材質です。SSK II とのキータッチの違いの大きな原因はここにあると思います。

メンブレンは通常の3層で、下にフラットな金属版があります。ただしこの金属版は匡体とのネジ止めは一箇所のみです。

TrackPoint はこんな感じ。モジュール化されていて、金属版にしっかりネジ止めされています。が、スティック部は単なる角柱状。なんか TrackPoint にはあまりコストかかってないような...。

基盤


基盤には結構チップが載っています。
なにかカスタムチップ使ってるかな?と思ったんですが、特になさそうです。
基盤にもメーカを示すような表示は特になし、残念。

ちなみに載っていたチップは

  1. Motorola XC68HC703 (3? 文字がちゃんと読み取れませんでした。ま、6800系の組み込み用 MPU かと。) 一番大きいチップ。
  2. Cypress CY7C63723 / enCoRe(TM) USB Combination Low-Speed USB & PS/2 Peripheral Controller 中ほど上方にあるわりと大きめのチップ。
  3. Philips TPM754 / Microcontroller with TrackPoint microcode from IBM 右にある小さめのチップ。

です。MPU がのってたのもオドロキですが、TrackPoint 用の専用コントローラチップなんてものがあるんですね!
ま、ThinkPad の出荷台数を考えると不思議でもなんでもないですが、Philips 製とはちょっと意外な感じ。

しかし、MPU は載ってるは、I/O のチップも2つもあるは、キーボードまで付いてわ(^^;)となると、ふた昔前のワンボードマイコン並みですねぇ(例えが古すぎか)。ま、でも、もし、プログラミングとかできたら楽しそうですね。

SSK II と比べてみて

このように、USB SSK は、名前と TrackPoint IV 付きという点では共通点があるものの、事前の予想とおり、キーボードとして見た場合、全く違うもののようです。

正直キーボードとしてどちらが良くできているかというと、全体的にはUSB SSK のほうがデキが良いような気もします。特に最初からローコストを意識して作ってあるようで、キーのスライダの形状や、剛性を上げるためのバーなど、 SSK II より、コストをかけずに必要な品質を確保するために工夫されているようです。

でも、ラバードームの特性のせいか、どうも普通というか安っぽいんですけどね。

前回、SSK II のラバードームが格別メリットないのに、なぜコストの高い分離式なのか疑問だった、てなことを書きました。前回は設計や部品や製造工程が共用できることで、結果的にコストが安くなるんだろう、というふうに結論付けたんですけど、実は、キータッチに関しては、分離式のラバードームはやっぱりメリットがあったのかもしれません。

Buckling Spring に相通じる(かな?)、あのクリック感の強さは、分離式のラバードームならではなのかもしれませんね。

ところで製造元は?

さて、ここまでくると気になるのが、製造元です。バラしてみた限りでは OEM 元がはっきり判るような証拠は見あたりません。

Qerters Clinic の K.Tanaka // さんによると Chicony 製らしいということです。でも私は Chicony 製のキーボードは持ってないので、他の Chicony のキーボードはどんな感じか、例によって Google ってみました。見つけたのがこれ
SAAB9000 On The Net の COMPAQ KB-9965 のページ
のねこがひらうキーボードの IBM KB-7953とKB-9910 解体編

なんかやっぱ似てるようです。特に似てるのが、ラバーシートと基盤の番号とそのフォントです。

でも、型番が KB 何とかじゃないとか、明らかな違いもあって、確証が得られません。さて、ほんとうのところどうなんでしょ?

ということで、少々疑問を残しつつも、

では、今回はこのへんで。


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