2004.05.11

誤字等No.069

【ずべて】(似字科)

Google検索結果 2004/05/11 ずべて:7,680件

以前ご紹介した「及ぴ」は「濁音」と「半濁音」の間違いでしたが、今回の「ずべて」は「清音」と「濁音」の間違いです。
某所で見つけて検索をかけてみたのですが、これほど見つかるとは思っていませんでした。
この様子から推察すると、濁点や半濁点に関わる誤字等は、かなりの数が潜んでいるようです。

ずべて」は平仮名の誤字ですので、平誤科という解釈もできました。
が、ここでは「す」と「ず」が見分けづらいことが誤字の原因にあるとの判断により、似字科に分類します。

検索結果のほとんどは、明らかに「すべて(全て)」のつもりで書かれています。
全て」を「すべて」と読むのは常用漢字表外の読みのようですので、平仮名表記することに問題はありません。
むしろ、推奨されるところ。
しかしそれが「ずべて」では、元も子もありません。
なんとなく、「鼻が詰まった」状態で発音しているような独特の雰囲気があるだけに、文章全体が台無しになりかねません。
文章が真面目であればあるほど、ギャップが目立つ誤字と言えるでしょう。

個人的な雑文であれば、「ずべで」のようにすべて濁点を付けるのもまた表現手法のひとつという主張があってもおかしくはありませんが…

似字科の誤字等ですので、OCRの読み取りミスを見逃したというケースももちろんあるでしょう。
小さなフォントで見ていれば、間違いを見逃してしまっても不思議ではありません。
それ以上に、この誤字等の場合は「ローマ字入力」にも原因があると考えられます。
通常のキーボードでは「s」と「z」が上下に並んでいますので、「su」と打ったつもりが「zu」だった、ということは十分に起こり得る話です。
無論、「かな入力」でも調子に乗って濁点キーを余分に打てば「ずべて」になります。

さて、「すべて」から生まれる誤字等は、他のパターンもありそうです。
濁点や半濁点を付けたり外したりして色々と検索してみたところ、「すぺて」の検索結果が、なかなかの件数になりました。
b」と「p」では位置が遠いですから、こちらは「かな入力」での濁点キーと半濁点キーの打ち間違いかもしれません。
他にも何種類か、見つけた誤字等を「亜種」の項に後述します。
さすがに、すべて間違っている「ずへで」や「ずぺで」は発見できませんでした。
そこまで「うかつ」な人は、そうそういるものではない、ということでしょう。

[実例]

日本人とは、かくも「似たような字形」に弱いのでしょうか。
このような「似たような字形」が原因と思われる誤字等の品種を、「似字科(じじか)」と命名しました。

[亜種]

すへて:567件
すぺて:2,810件
ずへて:28件
ずぺて:7件
すへで:86件
すぺで:52件
すべで:825件

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