考古学のおやつ/NEWSLINK

2019年4月10日（水）

福井県: 福井市・福井城の百間堀の東側石垣が30m以上見つかる。これまでの推定より約12m西に位置。福井市の調査。[福井新聞]
福岡県: 糸島市・泊大塚古墳（とまりおおつかこふん）で、墳丘の表面を飾っていた葺石や、供献された土器。糸島市の調査。4/13現地説明会。[糸島市]
韓国: 忠清北道清州市・菩薩寺の大型の仏画、「菩薩寺霊山会掛仏幀」で、生糸の薄絹に裏彩色を施していた。朝鮮後期の掛仏幀で裏彩色確認されたのは初。朝鮮時代の肖像画に主に用いられる表現。文化財庁と聖宝文化財研究院が、紫外線・可視光線分光法を用いて顔料・染料を分析。
裏彩色：　絵画を描くとき、画絹の裏側に彩色し、これによって色彩の奥行きを出す技法。韓国では「背彩法」と表記。
掛仏幀：　野外で行われる仏教儀式で用いる、大型の仏画。[聯合ニュース]
UK（イングランド）: エーヴベリー（Avebury）のストーンサークルで地中レーダー調査。中心に新石器時代・紀元前3700年以降の住居があり、数世紀後の紀元前3000年ごろに同心円状のストーンサークルと円形の土塁が囲む。ストーンヘンジ（Stonehenge）やエーヴベリー（Avebury）周辺にあるストーンサークルが、新石器時代のエリートの一族を記念して始まった可能性。[LiveScience]
▼ウィルトシャー州（the county of Wiltshire）
エジプト: 第一次世界大戦中の英国兵士の排泄物から抽出されたコレラ菌（Vibrio cholerae）について、遺伝子調査で毒性がないと判明し、この兵士は別の病気に感染していた可能性。[Reuters]
USA: アラバマ州（State of Alabama）のマニトウ洞窟（Manitou Cave）でチェロキー族（Cherokee）の銘文を解読。シクウォイア（Sequoyah）が考案したチェロキー文字（Cherokee syllabary）で記す。1830年代の涙の道（Trail of Tears）で先祖の地を追われ西に移動させられた危機の時代の儀式行為や、球技などについて記す。チェロキー族の銀細工師であったシクウォイアは、文字を持てばチェロキー族にとって有用であろうと考え、彼ら自身の言語のための文字を考案した。
Cave Markings Tell of Cherokee Life in the Years Before Indian Removal[Smithsonian Magazine]

2019年4月9日（火）

神奈川県: 平塚市・平塚城跡（第2地点）で、古墳時代後期～平安時代の遺構調査。玉川文化財研究所の調査。4/20現地説明会。[平塚市]
ニュージーランド: アフアフ＝グレート・マーキュリー島（Ahuahu-Great Mercury Island）のヘ・ワイテコテ・ミレ（He Waitetoke Mire）でタロイモやノゲシ（pūhā）の花粉。放射性炭素年代で14世紀。初期のマーオリ人（Māori）においてサツマイモ（kūmara）だけでなくタロイモやノゲシ、クレソン（watercress）も重要な作物であったことを示す。仏領ポリネシアのライババエ島（Raivavae）やラパ島（Rapa）でも同様の作物。ニュージーランドでは16世紀以降サツマイモがメインに。従来、ほかのポリネシアより寒冷なニュージーランドではタロイモなどは適さないと考えられ、サツマイモの栽培が重視されていた。
New fossil evidence claims first discovery of taro in Māori gardens[University of Auckland]
イラク: イラクの考古学者レイラ・サリ氏（@ArchLayla）は、ニーナワー県（Nineveh）モスル（Mosul）で考古学を学び、モスル博物館に勤務していたが、ISの占領のためモスルを離れ、イラク軍の反攻とともにモスルに戻った。荒廃したモスルで、ギルガメシュ・センター（Gilgamesh Center for Antiquities and Heritage Protection）を設立。遺跡の調査と文化遺産の再建に努めている。
Mosul archaeologist aims to reclaim her city's lost heritage[AL-Monitor]
ギリシャ: アロニソス島（Αλόννησος；Alonissos）沖の紀元前5世紀後半に難破した輸送船プリステラ号（Περιστέρα；Peristera）が、ダイバーにとっての水中博物館に。ギリシャで最初の一般に公開された難破船。アンフォラを多数積み、ワインを輸送したと推定。[H KAΘHMEPINH（Kathimerini）]
ドイツ: ザクセン＝アンハルト州（Land Sachsen-Anhalt）イェリヒョウアー・ラント郡（Landkreis Jerichower Land）ゴンマーン（Gommern）で後期青銅器時代・3000年前の石灰モルタル4kgを納めた土器。建材として貯蔵されていたと推定。ケルトの例より500年さかのぼりドイツ最古。[Deutsche Presse-Agentur]
栽培: モロコシ（Sorghum bicolor）の遺伝子は過去6000年間の人類の利用で傷つき、多様性も失われてきた。遺伝子の損失は、ほかのモロコシ属との間の遺伝子侵入で補われてきたが、多様性が失われてそれもまた危機に。家畜の資料やアルコール作りに用いられる作物。
Beer and fodder crop has been deteriorating for 6,000 years[EurekAlert]

2019年4月8日（月）

カンボジア: プレイベン州（Prey Veng）TakorのTnort Tret村で扶南・1～6世紀の墳墓6基。[The Phnom Penh Post]
タイ: ロッブリー県（Lop Buri）ムアン郡（Muang district）のKhok Phutsa遺跡で、新石器時代・8000年前の巨大なハマグリの殻と、貝殻で作った装身具など。近くまで海が迫っていたことを示す。鉄器時代の人骨2体と副葬土器。鉄器時代・3800年前～3100年前からドヴァラヴァティ時代・6～11世紀まで、人が居住。[Bangkok Post]
バングラデシュ: バゲルハット県（Bagerhat District）モレルガンジ郡（Morrelganj upazila）パンチャカロン村（Panchakaron）にあるDibraj Dighi池の中からワニの頭骨。ムスリム君主カーン・ジャハーン・アリ（Khan Jahan Ali）の治世で作られたという360の池の一つで、彼は池にワニを放した。[The Daily Star]
▼クルナ管区（Khulnā）
ギリシャ: トラキア地方のロドピ県（ΡοδόπηRodopi）ヤスモス（ΊασμοςIasmos）で、敷石が施されたエグナティア街道（Via Egnatia）の一部。ローマが紀元前2世紀に建設。イリュリクム（Illyricum）、マケドニア（Macedonia）、トラキア（Thrace）を通過しアッピア街道（Via Appia）につながる。[Archaeology News Network]
イタリア: ポンペイ遺跡（Pompeii）の「錨の家」（Casa dell'Ancora；House of the Anchor）で、ガードレールを越えて床のモザイクのテッセラを剥がして盗もうとした容疑で、英国人女性旅行者（20歳）がイタリアの警察に拘束される。[BBC]
フランス: カルヴァドス県（Calvados）ヴェール＝シュル＝メール（Ver-sur-Mer）で紀元前500年にさかのぼるガリア人の畑跡。[La Manche Libre]
▼ノルマンディー（Normandie）
アイルランド: 南ダブリン市（south Dublin）ノックライオン（Knocklyon）のスカラーズタウン・ロード（Scholarstown Road）にある元首相リーアム・コスグレイヴ（Taoiseach Liam Cosgrave）の旧居近くで青銅器時代の土塁で囲まれた防御性集落や墳墓。[The Herald]
アイルランド: リムリック州（County Limerick）アデア（Adare）で青銅器時代・紀元前1000年の袋状銅斧。無許可の金属探知で出土。アイルランド国立博物館（National Museum of Ireland）からの情報提供でアイルランド警察（Gardaí）が回収。アイルランドでは遺跡内で無断で金属探知機を用いたり発掘することは違法。[The Irish Times]
USA: ジョージア州（State of Georgia）サバンナ（Savannah）のプワスキ記念碑から出土したカジミエシュ・プワスキ（Kazimierz Pułaski；Casimir Pulaski）とみられる人骨は、骨格自体は女性的であるが外見的な特徴はプワスキに一致。親族とのDNA検査で本人と確認。間性（インターセックス）であった可能性。プワスキはアメリカ独立戦争で活躍したポーランド人で、「アメリカ騎兵隊の父」とされる。[The New York Times]

2019年4月7日（日）

アゼルバイジャン: ゴランボイ県（Goranboy）で青銅器時代から鉄器時代の墓地。大きな墓は長さ3.3m、幅2m。土器や金属器、装身具など出土。[AZERTAC]
フランス: ジロンド県（Le département de la Gironde）サン＝ローラン＝メドック（Saint-Laurent-Médoc）・「砂の陵墓」（Le Tumulus des Sables）で2000年間にわたって墳墓を使用・再使用を続ける。出土した骨や歯の分析から判明。古いものは紀元前3650年～前3522年、多くは鐘状ビーカー文化（Bell Beaker culture）、新しいものは紀元前1277年～前1121年。従来、中期新石器時代・紀元前5500年ごろ、鐘状ビーカー文化・紀元前2500年～前1800年、さらに鉄器時代・紀元前1000年の土器が出土していた。
Two millennia pile-on at burial mound[Cosmos]
▼ヌーヴェル＝アキテーヌ地域圏（Nouvelle-Aquitaine）

2019年4月6日（土）

三重県: 鈴鹿市・神戸城跡近くで、江戸時代の城主・本多家の家紋が付いた屋根瓦の破片。[中日新聞]
京都市: 伏見区・伏見城跡で大規模な石積みの階段。石に焼けた痕跡があることから、秀吉が最晩年を過ごし、関ケ原の戦いの前哨戦で焼失した木幡伏見城の遺構とみられる。京都市の調査。[産経新聞]
中東: 機密指定解除された、冷戦期のU2機の画像により、失われた中東の遺跡の姿が明らかに。
An aerial shot of Aleppo, Syria, taken by a U-2 spy plane in 1959[Science]
エジプト: ソハーグ県（Sohag）アル＝ダヤバット（Al-Dayabat）で彩色されたプトレマイオス朝の高官ツツ（Toutou）とその妻で音楽家の墓。盗掘を摘発した時に発見。小さな部屋2つと、石灰岩製石棺2基、保存の良いミイラ2体。ハヤブサ、ワシ、イヌ、ネコ、トガリネズミなどのミイラも。[Ahram Online]
ブラジル: リオ・デ・ジャネイロ市（Rio de Janeiro）キンタ・ダ・ボア・ヴィスタ公園（Quinta da Boa Vista）内で、19世紀初頭～20世紀初頭のブラジル王室の遺物。[サンパウロ新聞]

2019年4月5日（金）

青森県: 青森市・三内丸山遺跡センター4/6オープン。[河北新報]
中国: 西安市・秦始皇帝の兵馬俑とともに埋葬された青銅武器の表面の微妙のクロムは、木質部の表面処理に用いられた漆による汚染の可能性。クロムによる防錆処理とする仮説に疑問。
Surface chromium on Terracotta Army bronze weapons is neither an ancient anti-rust treatment nor the reason for their good preservation[Nature]
ベトナム: ザライ省（Gia Lai）アンケー（An Khe）で80万年前の石器1000個以上、隕石600個以上出土。初期人類の証拠。[VietNamNet]
ニュージーランド: サウスランド地方（Southland）やオタゴ地方（Otago）で見つかる、火山石を加工したブロックは、タヒチ（Tahiti）の東の無人の火山島・メヘティア島（Mehetia）に由来。初期のマーオリ人がタヒチから4000kmを渡って直接渡来した可能性。[OtagoDaily Times]
キプロス: ラルナカ（Λάρνακα；Larnaca）で、初期青銅器時代からローマ時代・4世紀までの墳墓110基以上。また古代キティオン王国（ΚίτιονKition）の建物。[archaeology & arts]
ベラルーシ: バブルイスク（Бабруйск；Bobruisk）で建設工事中に9世紀後半～11世紀前半の保存状態の良い兜が見つかる。ベラルーシ国内では初の発見。ウクライナのチェルニーヒウ（Чернігів；Chernigov）の戦士の墓などに類例。出土地点で発掘調査を実施へ。[Belarusian Telegraph Agency]
ドイツ: ノルトライン＝ヴェストファーレン州（Nordrhein-Westfalen）オルペ郡（Kreis Olpe）アッテンドルン（Attendorn）ノイ＝リスターノールドイツ（Neu-Listernohl）で鉄器時代・紀元前750年～紀元前後の集落。1000度以上の高温で用いられた円形の炉。パン焼きや土器づくりには温度が高すぎ、用途不明。[Lokal Plus]
ドイツ: ノルトライン＝ヴェストファーレン州（Nordrhein-Westfalen）クレーフェルト（Krefeld）でローマ帝政期のゲルドゥバ砦（Gelduba）で女性像や銘文入り土器など。[Archaeologie Online]
UK（イングランド）: デヴォン州（county of Devon）ニュートン・アボット（Newton Abbot）で中世・500年前の建物跡。[DevonLive]
エジプト: ルクソール（Luxor）近くのデル・エル・バハリ（Deir el Bahari）の戦士の墓で、合葬されていた古王国時代・紀元前2150年ごろのミイラ60体は、すべてが男性とみられ、ひどい傷を負って死亡していた。頭蓋骨は割られるか粉々に。体には矢が刺さる。戦死者とみなされ、籠手を身につけたものもいた。参考となるのはペピ2世（Pepi II）の墓。墓自体は治世の安定を物語るが、王の死後間もなく盗掘され王の権威が失墜したことを示す。[LiveScience]
カナダ: アルバータ州（Alberta）で出土した黒曜石3点を携帯用蛍光x線分析装置により産地同定。2点はイエローストーン（Yellowstone）産、1点はさらに遠いベアー・ガルチ（Bear Gulch）産。アルバータ州内には火山がなく、黒曜石を産出しない。産地までの距離は、黒曜石が先住民にとっていかに貴重であったかを示す。
Where does the Obsidian we find come from?[Tree Time Archaeology]

2019年4月4日（木）

韓国: 慶尚南道固城郡の巨流山頂上付近で、高麗前期の磨崖薬師像。高さ2.5m。頭は浮き彫り、体は線刻。国立加耶文化財研究所の調査。[聯合ニュース]
イラク: 紀元前6世紀に新バビロニア王ナボニドゥスが記した別れの手紙が見つかる。[TRT]
イスラエル: ベエルシェバ（Beer Sheva）で第二神殿時代・1世紀～バル・コクバの乱・135年の2000年前のユダヤ人集落。出土した石油ランプにはユダヤ教の燭台メノーラーの表現。儀式に用いる石灰岩製容器や、物見櫓。ユダヤ人の反乱の際に利用された地下通路も。古代ユダ王国の南側国境近くに当たる。[Arutz Sheva]
▼ベエルシェバ関連記事→2018年11月7日
ドイツ: ザクセン州（Freistaat Sachsen）マルシェンドルフ（Malschendorf）近くの畑で、新石器時代・紀元前2800年～前2300年の石斧を発見。[Tag24]
▼ザクセン州（Freistaat Sachsen）ドレスデン（Dresden）
フランス: セーヌ＝エ＝マルヌ県（Seine-et-Marne）モワシー＝クラマイエル（Moissy-Cramayel）で鉄器時代のガリア人の農村跡で並行する溝や掘立柱建物。ガロ＝ローマ時代の農村跡で石造りの建物基礎。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
▼イル＝ド＝フランス地域圏（Île-de-France）

2019年4月3日（水）

神奈川県: 小田原市・小田原城跡の御用米曲輪の土塁整備が一部完了し、北西土塁を公開。[神奈川新聞]
京都府: 大山崎町の埋蔵文化財の出土品を耐震不足で閉鎖中の中央公民館の本館ホールに保管している問題で、新たな仮置き場として出土品の約7割を町役場敷地内の旧バス車庫に移した。[京都新聞]
佐賀県: 伊万里市・日峯社下窯跡で、大規模な階段状の構造物。使用目的は不明。[毎日新聞]
中国: 江蘇省蘇州市張家港市・黄泗浦遺跡で長沙窯や越窯の陶磁器、唐の開元通宝、海獣葡萄鏡、石製の蓮華座など、六朝～唐時代の物流拠点だったことを示す発掘成果。また、当地で唐時代の寺院跡を初めて発見。日本の唐招提寺に似ており、鑑真が6回目の渡東で出港した場所と確認。[新華社]
▼黄泗浦遺跡関連記事→2009年1月8日
中国: 中国西南部の岩灰洞で見つかった24万年前～17万2千年前の古人類・桐梓人の歯は従来のホモエレクトゥスの形態学的パターンに一致せず。従来は末期のホモエレクトゥスか初期のホモサピエンスとみなされていた。
Tongzi hominids are potentially a new human ancestor in Asia[Centro Nacional de Investigación sobre la Evolución Humana, CENIEH]
▼貴州省遵義市桐梓県
中国: チベット自治区（西藏；Tibet）ガリ地区（阿里；Ali）ツァンダ県（札達；Zanda）・格布賽魯墓地は、放射性炭素年代により2620年前～2150年前。吐蕃の時期よりもさかのぼる。[中国新聞網]
パレスチナ: エリコ（Jericho）にある第二神殿時代のハスモン朝の宮殿の墳墓が近隣の農民に盗掘され、人骨が散乱。[Arutz Sheva]
トルコ: アンタルヤ県（Antalya ili）クムルジャ（Kumluca）のリュキア＝ルッカ地域（Lycia-Lukka）で、青銅器時代・紀元前16～前15世紀の難破船。銅とみられるインゴットを多数積む。
A new Bronze Age shipwreck with ingots in the west of Antalya-preliminary results[Taylor & Francis Online]
オランダ: フリースラント諸島沖の北海で、難破船を発見。木材は1536年に伐採されており、カール5世治下の1540年ごろに建設。オランダ領海で発見された最古の船。銅板を積載。銅板には16世紀に銅生産を独占したフッガー家（Fugger family）のマーク。[Ouest-France]
UK（スコットランド）: オークニー諸島（Orkney Islands）カークウォール（Kirkwall）の聖マグヌス大聖堂（St Magnus Cathedral）近くで、1379年に建てられ1614年に解体されたカークウォール城の一部とみられる遺構。[BBC]
エジプト: テル・エル・ダブア（Tel al-Dabaa；Tell el-Dab'a）で出土した71人分の歯のストロンチウムを分析。ストロンチウムは、食物をとった場所を反映。対象の半数はヒクソク支配の数世紀前に死亡、残り半数はヒクソク王朝（Hyksos）の時代。ヒクソク支配直前にエリートの墓地に葬られた女性27人のうち21人は、ナイル流域以外の出身であるが、男性に他地域出身は少ない。ヒクソス支配下では男女ともほぼ半数が外部からの移民。西アジアからやってきて、同遺跡を首都としてエジプトを支配したヒクソス（Hyksos）の王朝は、武力によってではなく、ヒクソク女性とエジプト王族との婚姻関係を利用して権力の座に就いた。後の時代のファラオらはヒクソスによる第15王朝を侵略者として叙述。
Foreigners may have conquered ancient Egypt without invading it[ScienceNews]
▼テル・エル・ダブア関連記事→2015年11月25日
エジプト: 南サッカラ（Saqqara）で、ジェドカラー王（Djedkare）のピラミッドの近くから、古王国第5王朝末の高官クウイ（Khuwy）の墓。上部構造は、L字形の副葬室を伴う。白石灰岩が再利用のため失われていたが、レリーフ装飾の最下部が遺存。ピラミッド複合体の柱に未知の王妃セティブホル（Setibhor）の名。
Discovery of a unique tomb and the name of an ancient Egyptian queen in south Saqqara[Český egyptologický ústav（Czech Institute of Egyptology）]
性分業: 石器時代の狩猟採集民は、女性も狩猟を行った。男性が狩猟し女性が子供の世話をしたという、先史時代の性分業に関するステレオタイプな理解を排する。考古学者ブリギッテ・レーダー氏（Brigitte Röder）へのインタビュー記事。しばしば想像される、危険で英雄的な大型獣狩猟は、極めてまれで、考古資料から見ると、小型獣や魚に多く依存している。猟具自体からは使用者の性別はわからず、文献などの典拠が必要であるが、イヌイットの場合は女性が大型獣の狩猟に従事している。先史時代の狩猟から女性を排除する根拠は存在しない。男が扶養し、移動し、工芸や建設に携わって女が主婦や母親としてカマドの火を守るという発想は、18～19世紀の市民社会において新たに構築されたもの。など。
Die Steinzeitfrau jagte wohl auch: Archäologin räumt mit Klischees auf[Aargauer Zeitung]
▼ヨーロッパでは、男が外で稼ぎ、女が家庭を守る生活スタイルは、資本主義が登場して離農した人が都市の労働者になることで生じたとみなされています。この点、アジアとは少し様相が異なるかもしれませんが、このような違い自体、性分業を安易に一般化できないことを示しています。

2019年4月2日（火）

岩手県: 一戸町・御所野縄文博物館が4月から小中高校生の入館料を無料に。[岩手日報]
さいたま市: 緑区の木造2階建て建物が全焼。隣接するさいたま市立浦和くらしの博物館民家園に展示されている民家1棟の瓦葺屋根に類焼。[埼玉新聞]
長崎県: 平戸市・三浦按針墓地で出土した人骨はミトコンドリアDNAからみてヨーロッパ人男性。コラーゲンの炭素年代から1590年～1620年に死亡した可能性高い。ウイリアム・アダムズの可能性が高い。平戸市4/1発表。2017年に複数の骨片が入ったつぼが見つかっていた。[長崎新聞]
韓国: 全羅北道全州市・馬田古墳を教育目的で文化大公園に移築復元したが、その後の管理が及ばず、ところどころに損傷。[全北日報]
韓国: 慶尚北道亀尾市海平面金山里・安東高氏墓のうち高湜（1470-1530年）の墓の移葬中に文化財級の副葬品が盗まれる。高氏一族は、墓の移葬を担当した業者を告発。警察が捜査に乗り出す。400年前の高応陟のミイラが出土した墓所。[慶北トップニュース]
韓国: 慶州月城の壕で340年～410年の盾2枚。長さ40cmの儀礼用の船の模型。「幢主」銘墨書木簡。植物63種の種、イノシシやクマの骨、水晶など出土。国立慶州文化財研究所の調査。[聯合ニュース]
韓国: 1642年に63歳で死去した李澄のミイラの肝臓の中に、寄生虫・ウェステルマン肺吸虫（Paragonimus westermaniI）。肺吸虫症を引き起こす。生のカニか貝を食べたことによって感染。[The Epoch Times]
中国: 内モンゴル自治区アルシャー盟（阿拉善盟）アルシャー右旗（Alxa）曼徳拉ソム（Mandela）で、4000年前の岩絵。出生の時の儀式を表す。手に手を取って踊る人々を一面に描き、他面には3人の人物と中央の女性を描く。[新華社]
中国: 河南省三門峡市義馬市上石河村で虢国邦墓100基。[新華社]
ベトナム: ラオカイ省（Lao Cai）バオタン県（Bao Thang）Gia Phu社のTa Thang村でドンソン文化（Dong Son culture）・2500年前～2000年前の銅鼓や骨、銅斧出土。銅鼓は高さ38cm、幅67.5cm、鼓面の直径63cm。古代貉越族（Lac Viet）の発展を示す遺物。[Nhân Dân]
オーストラリア: シドニー（Sydney）郊外のブルーマウンテン鉄道を妨げる岩を移動するとき、アボリジニのロックアートを発見。[NITV]
アラブ首長国連邦: アブダビ首長国（Abu Dhabi）マラワー島（Marawah Island）で、新石器時代・8000年前の集落。同首長国で最古。彩色された石膏容器など出土。[Khaleej Times]
エジプト: ミヌーフィーヤ県（Muhafazat al-Minufiyya；Minufiya governorate）ケスナ（Quweisna；Quesna）で、金で飾った石灰岩製の石棺。内部には保存状態の悪いミイラ2個が重なって入っていた。壺、アンフォラ、皿、護符、金やファイアンスで装飾したスカラベなど出土。プトレマイオス朝の銅貨も。[Ahram Online]
ボリビア: ティティカカ湖（Lago Titicaca；Lake Titicaca）Khoa reefでティワナク文化（cultura Tiwanaku；cultura Tiahuanaco）の祭祀遺跡。金製品や貴石、香炉、貴重な貝殻、動物犠牲など。[The National Geographic Society]
ペルー: ペルーで100年前に発見されたエヴァーハート博物館（Everhart Museum of Natural History, Science and Art）所蔵のパラカス文化（Paracas）のミイラは、X線スキャンにより十代の少年と判明。ペルーの鉄道建設に従事した人物が持ち帰り、その息子で歯科医のG. E. ヒル博士（Dr. G. E. Hill）が1923年に博物館に寄贈。[LiveScience]

2019年4月1日（月）

大阪市: 公益財団法人大阪文化財研究所は4/1から一般財団法人大阪市文化財協会に名称変更。[一般財団法人大阪市文化財協会]
岡山県: 津山市・桑山2号墳で6世紀中ごろの横穴式石室。県北最古級。環頭大刀や馬具などを副葬。岡山県古代吉備文化財センターの調査。[山陽新聞]
韓国: 慶州・皇南大塚の南墳から1973年に出土したガラス杯が修復終える。欠失部分の破片を探し出して接合。[聯合ニュース]
マルタ: マルサ（Marsa）のアルド・モーロ通り（Aldo Moro thoroughfare）で雨水排水管の工事中にローマ時代の墳墓。獣骨や人骨、土器などが出土したが、現場は調査後に雨水管の下に埋め戻された。Facebookのグループ「Temple Rescue Malta」は、調査がおざなりで現場や成果が公開されないと、文化遺産監督局（Superintendence of Cultural Heritage）を非難。[MaltaToday]
オーストリア: シュタイアーマルク州（Steiermark）ライプニッツ郡（Bezirk Leibnitz）ヴィルドン（Wildon）の中学校NMS Wildonの近くで、後期青銅器時代～初期鉄器時代・紀元前1000年～前600年の墳墓12基。[Meinbezeirk]
USA: テキサス州（State of Texas）Lower Pecos Canyonlandsで、蛍光X線分析によりロックアートに用いられた顔料を非破壊的に調査。[Phys.Org]

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