考古学のおやつ/NEWSLINK

2019年3月31日（日）

韓国: 高麗初期の古墳から出土する青銅容器は11世紀初めを起点として様相が変化する。これ以前は分布が限られて数も少なく、統一新羅時代の青銅容器の形態を引き継いでいたが、これ以降、分布地域が広がるとともに、統一新羅時代特徴から脱する。[聯合ニュース]
イスラエル: エルサレム（Jerusalem）のダビデの町（City of David）で、第一神殿時代・紀元前6世紀に破壊された行政センターの建物から古ヘブライ文字の銘文持つ印章2個。瑪瑙製と土製。土製の1個では、聖書に登場する侍従ナタン・メレク（Nathan-Melech）の名を記した初めての考古学的証拠。建物の破壊は紀元前586年のバビロニアによる破壊に対応。[The Times of Israel]
UK（イングランド）: サフォーク州（the county of Suffolk）ウッドブリッジ（Woodbridge）でしくじった偽造硬貨。メロヴィング朝・630～650年にドレスタット（Dorestad）で作られた硬貨を模倣するが、両面とも銘文にスペルミス。650年より数十年後に作られたと推定。2016年に金属探知で発見。[BBC]
USA: ノースカロライナ州（State of North Carolina）ソールズベリー（Salisbury）にある、南北戦争時のアメリカ連合国（いわゆる南軍）の捕虜収容所（Confederate Prison）跡で、レンガ、モルタル、石などが集中する遺構。ガラス器、土器片、建築資材など出土。2016年に地中レーダーで発見されていた遺構を発掘で実証。遺物の多くは捕虜収容所が1865年に破壊されたのちの数十年のものと推定。Cultural Resources Analystsの調査。[Salisbury Post]
頭蓋変形: 大移動時代・4～7世紀のジョージア、ハンガリー、ドイツ、チェコ、オーストリア、クリミアの変形された頭蓋骨を調査。頭蓋変形はハンガリーが中心地で、フン族の登場で頭蓋変形が起こった。方法は地域により異なり、各文化でメンバーシップの象徴。いくつかの地域では頭蓋変形を行う移民が、新たな土地で頭蓋変形の習慣をやめている。バイエルンでは移民を女性が主導。頭蓋変形自体は青銅器時代から始まるが、ローマ帝国では行われなかった。メルボルン大学（the University of Melbourne）の研究。
Deformed skulls were badges of belonging[Cosmos]

2019年3月30日（土）

アラブ首長国連邦: ウンム・アル＝カイワイン首長国（Umm al-Quwain；Umm Al Qaiwain）のエド・ドゥール遺跡（Ed-Dur）で、1世紀の墳墓15基、集落、青銅の彫像、土器、装身具。アレクサンドロス大王の硬貨の様式に従った硬貨も。[Emirates News Agency]
トルコ: デニズリ県（Denizli il）の古代都市ラオディキア（Laodicea；Laodikeia）で、113年に作られたローマ皇帝トラヤヌス（Marcus Ulpius Nerva Trajanus；Trajan；53～117年；在位98～117年）の巨大な石像。高さ3m、356個の破片から修復。後ろ手に縛られた敵兵の像を伴う。[Hürriyet Daily news]
イタリア: テッラチーナ（Terracina）の、昨年10月の嵐で被災した地域から、ローマ時代・2世紀の戦士の像。同地では以前に浴場（テルマエ）跡やユピテル像（Giove Anxur）、ディアナ像（Diana Cacciatrice）が出土していた。[La Repubblica]
▼ラツィオ州（Lazio）ラティーナ県（Provincia di Latina）
メキシコ: ユカタン半島の湿地でマヤ文明の農場跡とテルミノス湖（Laguna de Terminos）につながる運河。余剰の収穫物で交易をおこなっていた証拠。シンシナティ大学（University of Cincinnati）の調査。
Researchers find ancient Maya farms in Mexican wetlands[Phys.Org]

2019年3月29日（金）

山梨県: 山梨県立考古博物館から縄文土器を盗んだ山梨県埋蔵文化財センター専門員が逮捕された事件で、北杜市出土で現在所在不明の別の縄文土器がネットオークションの出品履歴に。[UTY]
ギリシャ: 古代都市ニコポリス（Νικόπολις；Nicopolis）にある、アクティウムの海戦（Actiaca pugna）の戦勝碑の分析から、クレオパトラ（Κλεοπάτρα；Cleopatra）らの船はオクタウィアヌス（Octavianus；後の初代ローマ皇帝アウグストゥス）のそれよりも大きく、操作性に劣ることを証明。戦勝碑の壁龕35か所の中に、クレオパトラ軍の戦艦から奪った衝角が納められていると詩に歌われていたが、壁龕は個別の衝角に応じて様々な大きさ。アクティウムの海戦は紀元前31年、オクタウィアヌスとクレオパトラ、マルクス・アントニウス（Marcus Antonius）との間の戦争。[The Independent]
スイス: ジュラ州（Canton du Jura）サン＝テュルサンヌ（Saint-Ursanne）で中世・14世紀後半の赤ん坊用のハーフブーツ。上部はヤギの革、靴底はウシの革。木葉文と幾何学文。靴の専門家によれば、12か月程度の子供のもので、14世紀後半に一般的なデザイン。[The Local]
▼ジュラ州（Canton du Jura）ポラントリュイ郡（District de Porrentruy）
フランス: ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏（Pays de la Loire）マイエンヌ県（Mayenne）ラヴァル（Laval）の11月11日広場整備工事で、15世紀の城壁と、1678年のサン＝ルイ病院（hôpital Saint-Louis）の礼拝堂。[Ouest-France]
スペイン: サラゴサ（薩拉戈薩；Zaragoza）、アルメリア（阿爾梅里亜；Almeria）、バレンシア（巴倫西亜；Valencia）で出土した唐～宋早期の陶磁器は、アラビア商人がインド洋から紅海貿易で地中海にもたらした。海のシルクロード（海上絲綢之路；Maritime Silk Road）は唐時代にすでに西ヨーロッパに及んでいた。従来は唐時代にはインド洋まで、明時代に西ヨーロッパに及んだとみられており、500年さかのぼる。英国ダラム大学（Durham University）と中国故宮博物院の調査。[新華社]
UK（スコットランド）: グラスゴー（Glasgow）のゴヴァン・オールド・パリッシュ教会（Govan Old Parish Church）の墓地で、中世ストラスクライド王国（Kingdom of Strathclyde）・10～11世紀の線刻石ゴヴァン・ストーンズ（Govan Stones）を新たに発見。14歳の中学生マーク・マクゲッティガン少年（Mark McGettigan）による。[The Scotsman]

2019年3月28日（木）

福島県: 白河市・小峰城跡の石垣の修復が、東日本大震災から8年ぶりに完了。[毎日新聞]
山梨県: 北杜市・原町農業高校前遺跡から出土した5000年前の土器を山梨県立考古博物館の収蔵庫から盗んだとして、山梨県埋蔵文化財センターの職員を逮捕。ネットオークションで売る。2月に発覚。[UTY]
2001年出土。[日刊スポーツ]
博物館に学芸課長として勤務していた2013年に盗む。[日本テレビ]
容疑者のアカウントでネットオークションに出品され、7万円で落札されていた。今月、センター関係者が出品に気づき、県警に通報。[毎日新聞]
和歌山県: 白浜町・梵音寺（ぼんのうじ）の本堂から2月に盗まれた釈迦如来坐像が見つかる。[紀伊民報]
広島県: 福山市・神辺町で前方後円墳とみられる地形。[山陽新聞]
中国: 河南省南陽市方城県・平高台遺跡（第2次調査）で新石器時代・4000年前の酒器。黒陶で、白い彩釉をほどこし、表面が磨かれている。そのほか土器、石器、骨器など。[網易]
イラン: ファールス州（Ostān-e Fārs）ナクシェ・ロスタム遺跡（Naqsh-e Rustam）で、豪雨や洪水により、歴史的に重要な壁の亀裂が広がるなど、毀損の危機に。[Radio Farda]
▼ナクシェ・ロスタム遺跡関連記事→2019年1月30日
イラン: アルダビール州（Ostān-e Ardabīl）ハルハール（Khalkhal）でマンナエ王国（Mannaean kingdom）・紀元前850年～前616年の銀杯。[Daily Sabah]
パレスチナ: 東エルサレム郊外のシャラファート（Sharafat）で第二神殿時代・2000年前のユダヤ関連遺物。オリーブやワインの圧搾機。洞窟墓やミクワー（mikvah，水槽）など。マカバイ戦争（Maccabean revolt）の後継者によるもの。[The Jerusalem Post]
トルコ: イスタンブル（İstanbul）のアヤソフィア（Ayasofya；Αγία Σοφία；Hagia Sophia）に対し、エルドアン大統領（Recep Tayyip Erdoğan）が博物館からモスクに変えるとしたことに対し、ユネスコは、トルコによる機能変更にはユネスコの承認が必要としている。6世紀にギリシャ正教の総主教座となり、オスマン帝国に征服されてモスクに、1935年から博物館。エルドアン大統領は、今回の措置を、アメリカのトランプ大統領がゴラン高原（Golan Heights）をイスラエル領と承認したことの報復としている。[H KAΘHMEPINH（Kathimerini）]
イタリア: ポンペイ（Pompeii）の発掘現場「レッジョV」（Regio V）でローマ時代・2000年前のテルモポリウム（Thermopolia）を発掘。テルモポリウムは簡単な調理施設を持つ飲食店で、低所得の住民のためのの「ファストフード」バーのようなもの。[The Guardian]
オーストリア: ニーダーエスターライヒ州（Niederösterreich）ザンクト・ペルテン＝ラント郡（Bezirk Sankt Pölten-Land）でローマ時代の墓石2基。うち1基はウィンディリウス（Vindillius）のもので、上部に浮彫。もう1基はローマ市民権はなかったが裕福な人物のもの。[derStandard.at]
スイス: ジュラ州（Canton du Jura）サン＝テュルサンヌ（Saint-Ursanne）で中世・14世紀後半の赤ん坊用のハーフブーツ。上部はヤギの革、靴底はウシの革。[Arcinfo]
▼ジュラ州（Canton du Jura）ポラントリュイ郡（District de Porrentruy）
ドイツ: ラインラント＝プファルツ州（Land Rheinland-Pfalz）マインツ（Mainz）でローマ時代の床暖房システムをもつ2階建ての高級住宅。20世紀初めの印刷所跡と酒瓶のラベルの版も。[Süddeutsche Zeitung]
フランス: バ＝ラン県（Bas-Rhin）エルガースハイム（Egersheim）で新石器時代・紀元前5400年～前4700年の集落。Archéologie Alsaceと国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。[20minutes.fr]
▼グラン・テスト地域圏（Grand Est）バ＝ラン県（Bas-Rhin）モルサイム郡（Canton de Molsheim）
フランス: ローヌ川（Rhône）流域のボーメ・ムラ＝ゲルシー（Baume Moula-Guercy）にある洞窟で、最終間氷期に当たる12万8千年前～11万4千年前の地層から、1990年代にネアンデルタール人の人骨6体。骨には食人の証拠となる多くの傷。石器で切られたり、四肢がバラバラになったり、ヒトの歯型など。動物遺存体から見て、同時期には大型哺乳類が減少し地中海地域の小動物が北上。間氷期の急速な気候温暖化が食人を促したと推定。
Warm weather pushed Neanderthals into cannibalism[Cosmos]
スペイン: シウダード・レアル（Ciudad Real）のアラルコス城（el castillo de Alarcos）の堀から、1195年7月19日のアラルコスの戦い（la batalla de Alarcos）の際のカスティリア王国側守備兵200人の遺体。紀元前5～前3世紀の集落や、10世紀のムスリムの砦、カスティリア王アルフォンソ8世（Alfonso VIII）による未完成の都市や、陥落後のムワッヒド朝の都市も。カスティーリャ＝ラ・マンチャ大学（Universidad de Castilla-La Mancha）の研究。[El País]
▼カスティーリャ＝ラ・マンチャ州（Castilla-La Mancha）
UK（イングランド）: ポンテフラクト（Pontefract）のポンテフラクト城（Pontefract Castle）の15世紀のキングズ・タワー（King’s Tower）の外壁から、1000年前～500年前の人骨。近くの遺跡から、ヴィクトリア朝ごろの工事で婚入したものか。Wessex Archaeologyの調査。[Pontefract and Castleford Express]
▼ウエストヨークシャー州（West Yorkshire）
アイスランド: グルーフ（Gröf）で焼けたクジラの椎骨。切断した跡あり。焼けたクジラの骨はアイスランドでは2例目、内陸では初。海岸から30kmの地点だが海岸地域から輸入。17～18世紀に内陸の農地の住民が暖をとるために燃料としてクジラの骨を燃やした証拠。クジラの骨は陸上の哺乳類よりも多孔質で、脂肪がたまっており、浮力を保つ。また燃えやすい。燃やされたクジラの骨は、ブリテン島の中石器時代の遺跡でも見つかっており、ノルウェーでは16世紀半ばの記録がある。
Inland Icelanders Burned Whale Bones for Warmth[HAKAI Magazine]
エジプト: アビドス（Abydos）のラメセス2世の神殿（Ramses II Temple）で礎石を発見。石材にはラメセス2世のカルトゥーシュ。[Luxor Times]
▼アビドス関連記事→2017年5月19日
エジプト: アスワン（Aswan）のコム・オンボ（Kom Ombo）で、ナイル川西岸に、神殿を建設するための石材をジェベルエルシルシラ（Gebel el-Silsila）から運搬するために用いた港。[CNN]
アルジェリア: ミラ県（Mila）タジュナネ（Tadjenanet）のEttineでローマ時代の埋葬。[El Moudjahid]

2019年3月27日（水）

岩手県: 奥州市・胆沢城跡に奥州市が「胆沢城跡歴史公園（仮称）」を6月下旬にオープン。[岩手日報]
福島県: 川俣町・前田遺跡で縄文時代中期の火切り臼。縄文時代では3例目。国内最古。福島県教育委員会の調査。[福島民友新聞]
佐賀県: 佐賀県立九州陶磁文化館と韓国の国立光州博物館が学術交流協定を締結。[NHK]
UK（スコットランド）: オークニー諸島（Orkney）フィンズタウン（Finstown）でScottish and Southern Electricity Networksが計画する新たな変電所計画で、地中の未知の遺跡が危険にさらされる可能性。オークニー考古学会（Orkney Archaeology Society）も関心を寄せる。[The Scotsman]
アメリカ領ヴァージン諸島（U.S. Virgin Islands）: セント・トーマス島（Saint Thomas）のサラドイド文化（Saladoid culture）・400年ごろの貝塚は、貝殻の大きさにばらつきがあり、子供が貝の採集を手伝ったと推定。大人はより深い地点で大きな貝を採り、肉を取るとすぐに殻を捨てたので、貝殻が貝塚に蓄積することは少ない。民族誌とも対比して推定。従来は、ほかの食糧が不足していた時に貝を採集したと考えられていた。フロリダ自然史博物館（Florida Museum of Natural History）の調査。担当者ウィリアム・キーガン（William Keegan）は、「遺跡の形成や分布に子供がかかわっていたことも考慮する必要がある」「これまで考古学者の子供に関する関心は、出来の悪い遺物や小型品、おもちゃのような遺物を強調してきたが、これは正しい考え方ではない」と指摘。
Ancient Caribbean children helped with grocery shopping in AD 400[EurekAlert]
遺伝学: アメリカ人類遺伝学会（The American Society of Human Genetics）が2018年10月、「人種差別のイデオロギーに遺伝学を使うことを非難する」と異例の声明。「遺伝学では人類を生物的に分けることはできない」「『種の純血』などという概念は、科学的に全く無意味だ」などと批判。[朝日新聞]

2019年3月26日（火）

福島県: 川俣町・前田遺跡で、赤と黒の漆で塗り分けられた縄文時代中期の漆器。福島県教育委員会3/26発表。
福井県: 坂井市・丸岡城の天守は江戸時代寛永年間に建造。部材に含まれる酸素同位体の比率などを調べたところ、その多くが1620年代後半以降に伐採された木材だった。従来は現存最古との説もあった。坂井市教育委員会3/26発表。[毎日新聞]
韓国: 昌寧郡・校洞・松峴洞古墳（キョドン・ソンヒョンドンこふん）で異形土器出土。[聯合ニュース]
中国: 江蘇省常州市溧陽市上興鎮・子午墩土墩墓のうち、の春秋時代・2500年前の11号墓で、壺の中に壊れていないニワトリの卵20個余り。[中国新聞網]
中国: 浙江省徳清県・中初鳴遺跡で良渚文化の100万平方メートルに及ぶ大規模な玉作工房跡。[新華社]
▼浙江省湖州市徳清県
インド: マディヤ・プラデーシュ州（Madhya Pradesh）シングラウリ県（Singrauli）でカラチュリ朝（Kalachuri Dynasty）・6世紀のヴィシュヌの神殿のレンガに、異国の衣装にひげ面で、頭蓋骨のカップを持つ人物が線刻されていた。何を表しているか不明。[The Times of India]
イスラエル: ネゲブ砂漠（Negev Desert）のビザンティン時代のエルサ遺跡（Elusa）でごみ捨て場を調査。放射性炭素年代により、150年間にわたって堆積したのち6世紀半ばに終わることが判明。ビザンティン帝国の滅亡の百年前には衰退の兆し。「古代後期の小氷期」（Late Antique Little Ice Age）に当たる。ハイファ大学（University of Haifa）の調査。[LiveScience]
ノルウェー: ヴェストフォル県（Vestfold）ボッレ（Borre）でヴァイキング船を埋めた墳墓を、地中レーダーにより発見。周囲に円形の凹みがあり、船を覆う墳丘が削平されたことを示す。[Agence France-Presse]
エジプト: ワディ・エル＝フウディ（Wadi el-Hudi）の紫水晶鉱山跡で、古代エジプト中王国時代・3900年前の岩に刻まれた銘文100以上。石碑14。ローマ支配に転ずるころ・2000年前の銘文陶片45。紫水晶は中王国時代に普及し、宝飾品に加工。3400年前のクシュ（Kush）の総督Usersatetの名のもとに刻まれた石碑は、ワディ・エル＝フウディで紫水晶の採掘が行われていなかった時期に当たり、なぜわざわざここに持ち込まれたのか不審。[LiveScience]

2019年3月25日（月）

石川県: 小松市・加賀国国府で、国府の総社跡と推測される石部神社境内の一角が、総社のあったとされる平安時代後期に平らな地面だったことが判明。小松市埋蔵文化財センターの調査。3/24現地説明会。[北國新聞]
名古屋市: 名古屋城天守の石垣に関する「石垣部会」で、名古屋市が2019年夏に計画する天守解体に向けた準備工事について有識者から異論相次ぐ。[日本経済新聞]
和歌山県: 田辺市・南方熊楠顕彰館の常設展示がリニューアルし3/23一般公開。[紀伊民報]
岡山市: 南区・彦崎貝塚（ひこさきかいづか）の縄文前期末の地層から、東関東に限って分布する「粟島台式土器」の破片。岡山市教育委員会3/25発表。[山陽新聞]
▼彦崎貝塚関連記事→2018年2月27日
韓国: 国立中央博物館が、常設展示室3階のアジア館インド・東南アジア室のうち、ベトナムの常設展を拡大。ハノイのベトナム国立歴史博物館との展示協約に基づく。[聯合ニュース]
中国: 江蘇省常州市金壇区唐陵村で元代の磚室墓3基。M2号墓では朱色の鮮やかな漆棺。竹べらに墨書の文字。M3号墓で出土した金銀首飾には「明慶寺東徐壹郎」の文字。常州博物館の調査。[中工網]
中国: 貴州省畢節市納雍県百興鎮楊家寨村で明代中後期～清代後期の土坑墓、石板土坑墓、石板墓を調査。失われた民族のものである可能性。[Agence France-Presse]
ミャンマー: マンダレー管区（Mandalay Division）チョークパダウン（Kyaukpadaung）Yaysone村で見つかったアヴァ王朝（Ava Kingdom）のストゥーパ120基以上のうち、68基が修復を要する。[ELEVEN]
トルコ: カマン・カレホユック遺跡（Kaman-Kalehöyük）で、紀元前2500年～前2250年の地層から、酸化鉄を多く含む分銅形をした塊。最古の製鉄関連遺物。製鉄は同遺跡の位置するアナトリアで始まったと考えられてきたが、含有する鉛の同位体比からみて、鉄塊はほかの地域からもたらされた可能性。中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所の調査。[朝日新聞]
ジャージー島: ジャージー島（Jersey）グラウヴィル（Grouville）で見つかった紀元前1世紀の金銀貨7万枚と金製トルク11個の埋納「Le Câtillon II」は、フランス、ブルターニュのディナン（Dinan）とノルマンディーの2つの部族がもたらしたものと判明。ローマ人の侵略から免れるため一括して埋納されたか。従来、単一では最大規模のケルト硬貨の埋納とみられていた。[Daily Mail]
USA: ペンシルバニア州（Commonwealth of Pennsylvania）フィラデルフィア（Philadelphia）市内の工事現場数か所で、近年、攪乱されたアフリカ系アメリカ人の墓の発見例が相次ぐ。奴隷制から北方に逃れてきたが、都市の白人の墓地に入ることを拒まれた人々のもの。建設推進の必要性と、墓地の保護・保存の責任との間で議論に。[Billy Penn]
メキシコ: メキシコシティ（Ciudad de México；Mexico City）のテンプロ・マヨール遺跡（Templo Mayor）でアステカの犠牲。戦士に見立てて飾り立てられたジャガー、戦争や太陽の神に見立てられた少年、真珠貝や貴石で飾られたフリント製ナイフなど。アステカの皇帝の墓につながる発見か。メキシコ国立人類学歴史学研究所（Instituto Nacional de Antropología e Historia）の調査。[Reuters]

2019年3月24日（日）

レヴァント: 古代のレヴァント地域（Levant）で、ナトゥーフ文化（Natufian period）・11000年前～先土器新石器時代B（Pre-Pottery Neolithic B；PPNB）の末まで行われた、死者の頭蓋骨を取り外し装飾する風習（Crania plastering）は、温度上昇とともに増加し、PPNBで農耕社会の発展とともに多様化。[The Jordan Times]
ノルウェー: ヴェストフォル県（Vestfold）ボッレ（Borre）でヴァイキング船を埋めた墳墓を、地中レーダーにより発見。[Forbes]
UK（イングランド）: エセックス州（Essex）マーシー島（Mersea Island）で青銅器時代・3000年前の頭蓋骨。[BBC]
UK（イングランド）: ケント州（the county of Kent）シーソルター（Seasalter）のテムズ河口（Thames estuary）に沈み、潮汐により露出した18世紀の船「オールド・ブリッグ」（Old Brig）は戦艦か密輸船か、また沈没の原因は何か。良好な保存状態が確認され、Wessex Archaeologyが発掘に着手へ。18世紀のケント州北部の塩商人は、火薬や染色の材料を密輸していた。[The Observer]

2019年3月23日（土）

熊本県: 玉東町・半高山・吉次峠古戦場（はんこうやま・きちじとうげこせんじょう）に、玉東町が、町発注の町道工事で出た廃土1トンを無許可で放置。文化財保護法違反の状態。[熊本日日新聞]
インド: マハーラーシュトラ州（Maharashtra）シンズダル県（Sindhudurg）カンカバリ（Kankavali）のコロシ村（Koloshi）で、洞窟から石器800点以上。数百点は中石器時代で、後期旧石器時代・52000年前にさかのぼるものも。出土した細石器は、隣接するラトナギリ県（Ratnagiri）の岩絵との関わりでも重要。[MumbaiMirror]
ブルガリア: ヴァルナ（Варна；Varna）で古代都市オデッソス（Одесос；Odessos）のローマ時代またはビザンティン時代の門。紀元前7世紀の集落も。[The Sofia Globe]
ポルトガル: ラゴス（Lagos）のガファリアの谷（Valle da Gafaria）で、まともな墓も作られず捨て去られたアフリカ人奴隷の遺骨158体。いくつかは死亡した時に縛られていた。この場所は15世紀から17世紀にゴミ捨て場として用いられ、輸入陶器や解体された獣骨、アフリカ風の装身具などが出土。遺伝子調査で南部アフリカのバントゥー語話者と推定。[Forbes]

2019年3月22日（金）

埼玉県: 寄居町・鉢形城跡（はちがたじょうあと）の伝逸見曲輪地区は盛土に寄る大規模な造成工事による構築と判明。堀と考えられる遺構も確認。寄居町の調査。3/23現地説明会。[埼玉新聞]
▼埼玉県大里郡寄居町
▼鉢形城跡関連記事→1999年11月12日
奈良県: 明日香村・キトラ古墳の石室に描かれた極彩色壁画のうち、壁面の漆喰に獣頭人身の十二支像の「辰」が残っている可能性。文化庁3/22発表。[朝日新聞]
オーストラリア: アボリジニの伝統文化では真珠よりも真珠貝の貝殻を重視。[Australian Broadcasting Corporation]
ドイツ: エアディング郡（Landkreis Erding）で、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタなどの動物骨や、後期新石器時代・アルトハイム文化（Altheimer Kultur）・紀元前3800年～前3600年の廃棄物、粘土採掘坑など。[Merkur]
▼バイエルン州（Freistaat Bayern）
ドイツ: ジーゲン（Siegen）のSiegener Friedhofで人骨15体。1843年から1907年まで用いられた公共墓地。[Westdeutsche Allgemeine Zeitung]
▼ノルトライン＝ヴェストファーレン州（Land Nordrhein-Westfalen）ジーゲン＝ヴィトゲンシュタイン郡（Kreis Siegen-Wittgenstein）
フランス: モルビアン県（Morbihan）ヴァンヌ（Vannes）のサンピエール大聖堂（Cathédrale Saint-Pierre de Vannes）の地下で、聖ヴァンサン・フェリエ（Saint-Vincent-Ferrier；Vicente Ferrer）の最初の墓所を示す、彼に捧げられた16世紀の祭壇。[Le Télégramme]
▼ブルターニュ地域圏（Région Bretagne）
UK（イングランド）: ノーサンバーランド州（the county of Northumberland）ウーラー（Wooler）のタンカービルアームズホテル（Tankerville Arms Hotel）の建設工事で発見された、青銅器時代・紀元前2200年～前1750年の石棺では、女性の人骨とともに。フリント製のナイフ。[The Scottish Sun]
▼タンカービルアームズホテル建設予定地関連記事→2019年3月20日
コロンビア: コーヒー産地エヘ・カフェテロ（Eje Cafetero）で、コロンブス以前の紀元前5世紀から後15世紀におよぶ遺物。人骨、土製印章、金製の鼻飾や完形土器68個、復元された土器20個、石器・石製品1029個など。大半はミラドール期（Mirador period）・1200～1500年に属す。[Finance Colombia]
訃報: ジャン・アブラネ（Jean Abelanet）氏3/21死去。93歳。カタルーニャ考古学の父。トータヴェル遺跡（Tautavel）の発見者。[La Clau]

2019年3月21日（木）

京都府: 亀岡市で、故上田正昭氏の蔵書を閲覧できる「上田文庫」の創設を目指し、資料を整理。[京都新聞]
佐賀県: 唐津市・旧唐津銀行に、3/25新たな別称「辰野金吾記念館」を加える。唐津出身の建築家・辰野金吾が亡くなって100年となるため。[佐賀新聞]
中国: 河南省・漢魏洛陽城（かんぎらくようじょう）で、『魏書』などに記載される太極殿の西門「神虎門」を発見。[新華社]
▼漢魏洛陽城関連記事→2010年3月16日
中国: 広東省沖の宋代の沈没船・南海1号の16万件を超える遺物の整理が完了。[新華社]
中国: 新疆ウイグル自治区イリ・カザフ自治州（伊犁哈薩克自治州；Kazak）ニルカ県（尼勒克県；Nilka）科蒙郷恰勒格爾村・吉仁台溝口遺跡で、先史時代で最大規模の、かつ保存状態の良い石造りの建築物。紀元前1600年～前1000年。イリ川流域（伊犁河谷）[新華社]
▼吉仁台溝口遺跡関連記事→2016年11月3日
サウジアラビア: ハラットカイバル（Harrat Khaybar）で9000年前の石造りの遺構400基。多くは溶岩ドームの上に建つ。[The Epoch Times]
スペイン: カナリア諸島（Islas Canarias；Canary Islands）に最初に住み着いた人類は北アフリカ中央部出身が大半で、西暦1000年までに到達。カナリア諸島に最初に到達したとされるベルベル人はこの時点で地中海との交流が進んでいたと推定。25遺跡から48個体のミトコンドリアDNAを分析。
North Africans were among the first to colonize the Canary Islands[ScienceDaily]
Mitogenomes illuminate the origin and migration patterns of the indigenous people of the Canary Islands[PLOS One]
スウェーデン、フィンランド: スウェーデンのストックホルム地域やフィンランドのオーランド諸島（Landskapet Åland）から出土したオオムギは、放射性炭素年代で5300年前～4300年前。そのほかにもハシバミの殻やリンゴの種なども確認。新石器時代の刺突文土器文化（Pitted Ware Culture）に当たる。従来、刺突文土器文化はアザラシ猟に依存しているとみられていたが、小規模な農耕も採用していたことが明らかに。南のフンネルビーカー文化（Funnel Beaker）から交易を通じて習得。ヘルシンキ大学（Helsingin Yliopisto；University of Helsinki）の研究。
A 5,000-year-old barley grain discovered in Åland, southern Finland, turns researchers’ understanding of ancient Northern livelihoods upside down[Helsingin Yliopisto（University of Helsinki）]
▼Pitted Ware Cultureを「刺突文土器文化」と訳してしまいましたが、既存の訳語をご存知の方はお知らせください。
UK（スコットランド）: オークニー諸島（Orkney）のスカラ・ブレイ遺跡（Skara Brae）で，1929年に撮影されたと思われる写真の女性4名は旅行者や地元民ではなくゴードン・チャイルド（Gordon Childe）のもとで学ぶ考古学者。調査を指導したチャイルドの方を見て、鏝を手にしていたり、靴が泥で汚れている。オックスフォード大学のダンン・ヒックス教授（Prof Dan Hicks）が氏名を特定。
マーガレット・シンプソン（Margaret Simpson）：スカラ・ブレイ遺跡に関してチャイルドから謝辞を送られている人物
マーガレット・ミッチェル（Margaret Mitchell）：エディンバラで考古学の博士学位を取得
メアリー・ケネディ（Mary Kennedy）
マーガレット・コール（Dame Margaret Cole）：考古学から転向して作家になった
従来は女性への先入観のため、考古学に従事する女性たちが学史から排除されていた。[BBC]
アフリカ: 7万年前にホモサピエンスが南アフリカから東アフリカに拡散したことが、アフリカで拡散したことが、世界への人類の移住のきっかけに。遺伝子の研究に基づく。
Researchers shed new light on the origins of modern humans[University of Huddersfield]
USA: コネティカット州（State of Connecticut）ウェザーズフィールド（Wethersfield）で、1637年のウェザーズフィールドの虐殺（Wethersfield Indian Massacre）にかかわる遺物。[Connecticut Magazine]

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