2020年2月29日(土)
- 日本
- 国貞の1855年の三枚続の浮世絵版画を、短波長赤外線ハイパースペクトルイメージング(short wave infrared hyperspectral imaging;SWIR HSI)で調査。有機物と無機物の着色剤を識別。
文献 Carole Biron, Aurélie Mounier, Gwénaëlle Le Bourdon, Laurent Servant, Rémy Chapoulie, Floréal Daniel "Revealing the colours of ukiyo-e prints by short wave infrared range hyperspectral imaging (SWIR)" Microchemical Journal, Volume 155 [ScienceDirect] - 北朝鮮
- 開城市・大興寺、平安北道香山郡・普賢寺、咸鏡南道栄光郡・龍興寺の大雄殿、咸鏡北道鏡城郡・鏡城南門、開城市・高麗成均館の明倫堂など40か所の歴史遺跡の復元補修工事を今年中に実施。[朝鮮新報]
- 中国
- 考古学と地質学の方法を用い、1642年の黄河の氾濫による開封の壊滅と回復を解明。歴史記録に記される死者30万人を検証。
文献 Michael Storozum, Peng Lu, Sanying Wang, Panpan Chen, Ruixia Yang, Qifeng Ge, Jinping Cao, Junwei Wan, Hui Wang, Zhen Qin, Haiwang Liu & Edward Park "Geoarchaeological evidence of the AD 1642 Yellow River flood that destroyed Kaifeng, a former capital of dynastic China" Scientific Reports. volume 10, Article number: 3765 (2020) [Scientific Reports] - UK(イングランド)
- リンカーンシャー州(Lincolnshire)レジンガム(Leasingham)で、ローマ時代のウマ形のブローチ。[Lincolnshire Live]
- UK(イングランド)
- ダービーシャー州(the county of Derbyshire)チェスターフィールド(Chesterfield)のクラウン(Clowne)で、ローマ時代の道路、ピンセット。アングロサクソンの竪穴住居。後期新石器時代・紀元前4000年〜前2500年のフリント製石器など。Archaeological Research Servicesの調査。[Derbyshire Times]
- UK(イングランド)
- ヨーク市(York)のギルドホール(Guildhall)敷地でローマ時代の石敷き道路、土器、銀貨。York Archaeological Trustの調査。[York Archaeological Trust]
▼ノース・ヨークシャー州(North Yorkshire) - USA
- サウスカロライナ州(State of South Carolina)ブラフトン(Bluffton)のスクワイアポープ(Squire Pope)で、南北戦争(American Civil War)前の柱の基礎。1863年の北軍によるブラフトン焼き討ち(Burning of Bluffton)で、南北戦争以前の遺構は失われたと考えられていた。[Bluffton Today]
サウスカロライナ州(State of South Carolina)ビューフォート郡(Beaufort County) - USA
- フロリダ州(State of Florida)ピネラス郡(Pinellas County)クリアウォーター(Clearwater)でアフリカ系アメリカ人(African American)の墓44基以上を確認。墓標がなく、従来知られていなかった。もとはノース・グリーンウッド墓地(North Greenwood Cemetery)の一部と推定。タンパ湾(Tampa Bay)のピネラス側(西側)でのアフリカ系アメリカ人の墓は初。[FOX13 Tampa Bay]
2020年2月28日(金)
- 横浜市
- 中区・横浜中華学院の新築・移転工事で、百三十年前の関帝廟と中華会館の遺構。横浜中華街で明治期の中国建築の遺構は初。[東京新聞]
- 新潟県
- 佐渡市・佐渡金銀山遺跡で崩落や損傷。[朝日新聞]
- インド
- タミル・ナードゥ州(Tamil Nadu)・ジャンブケシュワラ寺院(Jambukeswarar Temple)のうち、女神アキランデシュワリ(Akhilandeshwari)の神殿で金貨505枚、1716グラム分の入った真鍮容器。寺院はチョーラ朝・1800年前に建立したと伝える。[OpIndia]
- ロシア
- モスクワ(Москва;Moscow)のクレムリン(Кремль;Kremlin)にあるウスペンスキー大聖堂(Успенский Собор;Dormition Cathedral)で、修復作業中に15世紀のフレスコ画発見。ウスペンスキー大聖堂は15世紀後半にイタリアの建築家アリストーテリ・フィオラヴァンティ(Aristotele Fioravanti)により建築され、壁は1515年に壁画で覆い隠された。ボリシェビキ革命まで歴代ロシア皇帝の戴冠や婚礼に用いられた。[Archaeology News Network]
- イタリア
- ヴェネツィア(Venezia)のサン・ラッザロ・デッリ・アルメーニ島(San Lazzaro degli Armeni)の修道院で博物館に所蔵されている剣は、青銅器時代・紀元前3000年のアナトリアの銅・錫合金の剣。アルスラーンテペ遺跡(Arslantepe)の王宮で出土した剣によく似る。[ANSAmed]
- ドイツ
- リューベク(Lübeck)のブンテクー地区(Buntekuh)で、19世紀の醸造所跡。[Lübecker Nachrichten]
- UK
- 英国の遺跡で、違法な金属探知(Metal Detecting)による盗掘(Nighthawking)が2年で2倍に。犯罪組織が関与。[The Guardian]
- ナイジェリア
- イフェ(Ife)から違法に輸出されたヨルバ王国(Yoruba)のブロンズ像をメキシコシティの空港で押収。ナイジェリアに返還。[BBC]
- メキシコ
- パレンケ遺跡(Palenque)で出土した、「赤の女王」(Red Queen)の葬送用マスクとグリーンストーンの副葬品について素材を分析。赤の女王には独特の素材が選ばれており、パレンケのほかの支配者のものや同時代のマヤ遺跡とは異なる。赤の女王がパレンケのエリートに属すことを傍証。
文献 M. D. Manrique-Ortega, E. Casanova-González, A. Mitrani, A. González-Cruz, M. Cuevas-García, J. L. Ruvalcaba-Sil "Spectroscopic examination of Red Queen's funerary mask and her green stone offering from the Mayan site of Palenque, Mexico" Spectrochimica Acta Part A: Molecular and Biomolecular Spectroscopy. Volume 234 [ScienceDirect]
▼パレンケ遺跡関連記事→2018年8月26日
2020年2月27日(木)
- 高知県
- 安芸市・新統合中学校の建設予定地から古代の寺院跡。本格的な発掘調査のため、市立安芸中学校と清水ケ丘中学校を統合した新統合中学の開校が予定の2023年4月から少なくとも1年遅れる見通し。[高知新聞]
- 建造物
- 観光や参拝などの目的で一般の人が立ち入れる国宝・重要文化財の建造物のうち、耐震補強などの対策が完了したのは昨年11月末時点の文化庁調査で45%。[共同通信]
- 中国
- 安徽省 桐城市 孔城鎮 晴嵐村・魏庄遺跡で、新石器時代の集落。商周時代の住居跡や唐代の墓葬も。[中国社会科学院考古研究所]
▼安徽省 安慶市 桐城市 - チェコ
- 南モラヴィア州(Jihomoravský kraj;South Moravian Region)・ブルジェツラフ城(Břeclav Castle)の基礎から、中世・1000年前の祭祀による殺人の犠牲者とみられる人骨3体。近接して発見されており、お互い縛られて暴力的に殺された可能性。この地域は1050年ごろにキリスト教化したが、異教の風習が長く残っていた。[Radio Praha]
- スペイン
- カタルーニャ州(Cataluña)タラゴナ(Tarragona)のプラトハ・ジャルガ海岸(platja Llarga)で、暴風雨「グロリア」(tempesta Glòria)の通過後、ローマ時代の採石場が露出。[Diari Més]
- USA
- ヴァージニア州(Commonwealth of Virginia)ウィリアムズバーグ(Williamsburg)で、フランシス通り(Francis Street)とサウス・ナッサウ通り(South Nassau Street)の角にあるカスティス・スクエア(Custis Square)から、18世紀初めの政治家で農園主ジョン・カスティス4世(John Custis IV)に関する遺物。[The Virginia Gazette]
- USA
- フロリダ州(State of Florida)インディアンリバー郡(Indian River County)ワバッソ(Wabasso)のタートル・トレイル・ビーチ(Turtle Trail Beach)で、1725年のスペインの難破船に関連するとみられる銀貨22枚と、ベルトのバックル、短剣、食器、日用品など。スペイン船はキューバからの帰途、ハリケーンによりセバスティアン(Sebastian)近くで難破[NBC2]
2020年2月26日(水)
- 石川県
- 七尾市・田岸遺跡で縄文時代中期中葉の集落。糸魚川産の蛇紋岩、長野県産の黒曜石など、広域な交流の証拠。公益財団法人石川県埋蔵文化財センターの調査。12/8現地説明会。[公益財団法人石川県埋蔵文化財センター]
- 兵庫県
- 朝来市・竹田城跡(たけだじょうあと)で、入口部分の「大手虎口」周辺の石段の下層からビニール袋や駄菓子の外装など。大部分は昭和後期に造られた。築造当初の石段も発見。朝来市教育委員会の調査。[神戸新聞]
▼竹田城跡関連記事→2019年12月23日 - 奈良県
- 明日香村・古宮遺跡の西南西約250mで、古墳時代中期初頭ごろの石釧。明日香村教育委員会の調査。[奈良新聞]
- 新型コロナウイルス
- 新型コロナウイルス対策で、国立博物館や美術館に2週間程度閉館するよう萩生田光一文部科学大臣が要請。国立文化財機構は東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館と、奈良文化財研究所の飛鳥資料館、平城宮跡資料館、藤原宮跡資料室が2/27-3/15臨時休館すると発表。[共同通信]
- カンボジア
- コンポントム州(Kampong Thom)プラサット・サンボー郡(Prasat Sambour)・サンボープレイクック遺跡(Sambor Prei Kuk)で火事。[Khmer Times]
- タイ
- チャイヤプーン県(Chaiyaphum)で、2500年前の彩色土器。[Southeast Asian Archaeology]
- ネパール
- ルンビニ県(Lumbini Zone)カピラバストゥ郡(Kapilvastu District)ティラウラコット(Tilaurakot)で、城壁・砦や銅貨、土偶、岩偶、土器など。[The Himalayan Times]
▼ティラウラコット関連記事→2016年3月11日 - インド
- ダバ遺跡(Dhaba)で、トバ火山(Toba)の大噴火前後に中期旧石器時代(Middle Palaeolithic)の石器づくりがいた証拠。ホモサピエンス(Homo Sapiens)が80000年前にはインドに居住し、74000年前のトバ火山の大噴火を生き抜いたと実証。従来、ホモサピエンスはトバ火山噴火後にアジアに拡散したと考えられていた。トバ火山はインドネシアのスマトラ島に所在。
ドイツ語リリース
Menschliche Bevölkerungsgruppen überlebten den Superausbruch des Toba-Vulkans vor 74.000 Jahren
英語リリース Human Populations survived the Toba volcanic super-eruption 74,000 years ago[Max-Planck-Institut für Menschheitsgeschichte]
文献 Chris Clarkson, Clair Harris, Bo Li, Christina M. Neudorf, Richard G. Roberts, Christine Lane, Kasih Norman, Jagannath Pal, Sacha Jones, Ceri Shipton, Jinu Koshy, M. C. Gupta, D. P. Mishra, A. K. Dubey, Nicole Boivin & Michael Petraglia "Human occupation of northern India spans the Toba super-eruption ~ 74.000 years ago" Nature Communications 11 [Nature Communications)] - アフガニスタン
- バーミヤン遺跡(Bāmiyān)の西大仏の壁龕修復や国立バーミヤン世界遺産センター設立などを実施する一般文化無償資金協力「バーミヤンにおける世界遺産の持続可能な管理計画(UNESCO連携)」に関し、日本とユネスコが書簡の署名・交換。
アフガニスタン・イスラム共和国に対する一般文化無償資金協力「バーミヤンにおける世界遺産の持続可能な管理計画(UNESCO連携)」に関する書簡の交換[外務省] - エジプト
- ツタンカーメン王の棺から発見された紀元前14世紀の鉄剣について、ポータブル蛍光X線分析装置と4K高感度カメラを用いた非破壊・非接触分析。鉄剣中の元素の二次元分布情報を得る。鉄隕石の使用を実証。鉄剣の製造方法および由来の解明を目指す。千葉工業大学地球学研究センターの研究。
【世界初】ツタンカーメンの鉄剣の元素分布分析を実施[千葉工業大学]
2020年2月25日(火)
- 長野県
- 松本市・弘法山古墳(こうぼうやまこふん)周辺で新たに古墳3基。松本市教育委員会の測量調査。[市民タイムスWEB]
- 滋賀県
- 大津市の滋賀県庁新館内に、滋賀県立公文書館4/1開設。[京都新聞]
- 韓国
- 慶尚南道 宜寧郡の洛東江の川岸で、柳谷山城の城壁と集水池、加耶時代の遺物、海水産の貝殻など。城壁は乱積みにしており、新羅の城郭ではみられない積み方。城が最初に築造されたのは、出土土器から加耶時代・5世紀半ば〜後半。海水産の貝殻は当時の自然環境の手がかり。頭流文化財研究院の調査。[聯合ニュース]
- トルコ
- スィイルト県(Siirt ili)スィイルト(Siirt)・バシュル・ホユク古墳(Başur Höyük)で2012年に発見された紀元前3100年〜前2900年のゲームの駒のうち、不足していた駒が新たに発見され、セットがそろう。副葬品と推定され、使用痕なし。ウルスダム(Ilısu Dam)水没地の調査。[Hürriyet Daily News]
▼バシュル・ホユク古墳関連記事→2018年7月2日 - イタリア
- サルデーニャ島(Sardegna;Sardinia)の中期新石器時代〜中世の6000年間の遺跡20か所以上で出土した70人のDNAを調査。遺伝的安定性を実証。中期新石器時代・紀元前4100年〜前3500年のサルディニア島民はヨーロッパ本土の人々に近く、ヌラーゲ文化(Nuragic)終末・紀元前900年までは遺伝的に安定。青銅器時代に人口移動が起こったヨーロッパ本土とは異なる。石造物ヌラーゲ(nuraghe)を築造するヌラーゲ文化は、ヒトの渡来に伴って生じたものではない。フェニキア人(カルタゴ)が渡来すると、以後、イタリアやスペインから継続的に新たな人々が渡来。5300年前のアイスマン「エッツィ」(Ötzi)など新石器時代・銅器時代のヨーロッパ本土の人々がサルデーニャ島民と遺伝的に近いことを説明。
Ancient DNA from Sardinia reveals changing genetic connectivity across the Mediterranean over 6,000 years [The University of Chicago]
文献 Joseph H. Marcus, Cosimo Posth, Harald Ringbauer, Luca Lai, Robin Skeates, Carlo Sidore, Jessica Beckett, Anja Furtwängler, Anna Olivieri, Charleston W. K. Chiang, Hussein Al-Asadi, Kushal Dey, Tyler A. Joseph, Chi-Chun Liu, Clio Der Sarkissian, Rita Radzevičiūtė, Megan Michel, Maria Giuseppina Gradoli, Patrizia Marongiu, Salvatore Rubino, Vittorio Mazzarello, Daniela Rovina, Alessandra La Fragola, Rita Maria Serra, Pasquale Bandiera, Raffaella Bianucci, Elisa Pompianu, Clizia Murgia, Michele Guirguis, Rosana Pla Orquin, Noreen Tuross, Peter van Dommelen, Wolfgang Haak, David Reich, David Schlessinger, Francesco Cucca, Johannes Krause & John Novembre "Genetic history from the Middle Neolithic to present on the Mediterranean island of Sardinia" Nature Communications volume 11 [Nature Communications]
文献 Daniel M. Fernandes, Alissa Mittnik, Iñigo Olalde, Iosif Lazaridis, Olivia Cheronet, Nadin Rohland, Swapan Mallick, Rebecca Bernardos, Nasreen Broomandkhoshbacht, Jens Carlsson, Brendan J. Culleton, Matthew Ferry, Beatriz Gamarra, Martina Lari, Matthew Mah, Megan Michel, Alessandra Modi, Mario Novak, Jonas Oppenheimer, Kendra A. Sirak, Kristin Stewardson, Kirsten Mandl, Constanze Schattke, Kadir T. Özdoğan, Michaela Lucci, Gabriella Gasperetti, Francesca Candilio, Gianfranca Salis, Stefania Vai, Edgard Camarós, Carla Calò, Giulio Catalano, Marián Cueto, Vincenza Forgia, Marina Lozano, Elisabetta Marini, Margherita Micheletti, Roberto M. Miccichè, Maria R. Palombo, Damià Ramis, Vittoria Schimmenti, Pau Sureda, Luís Teira, Maria Teschler-Nicola, Douglas J. Kennett, Carles Lalueza-Fox, Nick Patterson, Luca Sineo, Alfredo Coppa, David Caramelli, Ron Pinhasi & David Reich "The spread of steppe and Iranian-related ancestry in the islands of the western Mediterranean" Nature Ecology & Evolution [Nature Ecology & Evolution] - フランス
- オー=ド=フランス地域圏(Hauts-de-France)ノール県(le département du Nord)ファマール(Famars)のファヌム・マルティス遺跡(Fanum Martis)で、ガロ=ローマ時代・1世紀〜4世紀の手工業地域。17世紀〜18世紀にも再利用。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。
▶Découverte du quartier artisanal de Fanum Martis (Nord)[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives] - フランス
- フィニステール県(Finistère) プルガステル=ダウラ(Plougastel-Daoulas)の岩に刻まれた1786年の20行の銘文を、2名の言語学者が解読。ブルトン語(breton)で、船で遭難して死亡した男のことを記す。[Franceinfo]
▼ブルターニュ地域圏(Région Bretagne) - 婚後居住移動
- 考古学的な痕跡のたどりにくい婚後居住移動(Post-marital residence patterns)について、系統比較分析(phylogenetic comparative analysis)を利用し検討。民族誌的データの統計分析により推定された、農耕社会では住居が大きい場合は妻方居住(matrilocality)、住居が小さい場合は夫方居住(patrilocality)とされていたことを傍証。200m2以上の大型住居では婚後居住移動と相関しない。
文献 Václav Hrnčíř, Pavel Duda, Gabriel Šaffa, Petr Květina, Jan Zrzavý "Identifying post-marital residence patterns in prehistory: A phylogenetic comparative analysis of dwelling size" PLOS One February 24, 2020 [PLOS One] - サルモネラ菌
- ヨーロッパ、ロシア、トルコの6500年以上前の遺跡から出土した2739人の歯のDNAを、病原菌(disease-causing bacteria)からDNAを調べるHOPS法で調査し、サルモネラ菌のゲノム8個を復元。うち6個のサルモネラ菌の起源は、1グループの農耕牧畜民。しかし6500年前のロシアのサルモネラ菌は別グループで、そのうち1個はウマやヒツジに流産をもたらす。これが5500年前〜1600年前の農耕民に影響を与え、腸チフス(paratyphi C)の祖先となる。ユーラシアの初期農耕民が、遊牧から農耕への転換時に、ヒトや動物の排泄物と身近に生活するようになり、サルモネラ菌に感染。ブタは原因ではなく。むしろ人類がサルモネラ菌をブタにあたえた。
Farming gave us salmonella, ancient DNA suggests[Science]
ドイツ語リリースÄlteste bislang rekonstruierte Bakterien-Genome zeigen: Landwirtschaft und Viehzucht brachten neue Krankheiten mit sich
英語リリースOldest reconstructed bacterial genomes link agriculture and herding with emergence of new disease[Max-Planck-Institut für Menschheitsgeschichte]
2020年2月24日(月)
- 三重県
- 松阪市・松坂城跡(まつさかじょうあと)の史跡整備に関連して、石段の段差を小さくする舗装や手すりの整備が検討されている。[中日新聞]
▼松坂城跡関連記事→2011年10月22日 - 鳥取県
- 鳥取市・青谷上寺地遺跡の出土人骨に含まれる炭素から、弥生時代後期後半・2世紀後半の青谷の弥生人の食生活に占める海産物の割合は10%前後にとどまる。[山陰中央新報]
- 韓国
- 文化体育観光部は、新型コロナウイルスの危機警報が「深刻」段階に至っため、所管する国立博物館・美術館・図書館など24機関を3月8日まで暫定休館すると発表。[聯合ニュース]
- インド
- ヴァーラーナシー(Varanasi)のバブハニヤフ村(Babhaniyav)で、4000年前〜3500年前の手工業村落と、2000年前の城壁、5〜8世紀の寺院。バナラス・ヒンドゥ大学(Banaras Hindu University)の調査。[The Hindu]
▼ウッタル・プラデーシュ州(Uttar Pradesh) - パキスタン
- イスラマバード(Islamabad)で初期青銅器時代・5000年前のハークラー貼付文土器(Hakra appliqué type pottery)などの遺物。また、仏教の時代の土器・玉・くるぶし飾り・貴石も出土。[Gulf News]
- カナダ
- ケベック(Quebec)で、過去4世紀間の500万人の系図と、Y染色体(Y chromosome)とミトコンドリアDNA(mitochondrial DNA)の遺伝情報を用いて墓地の被葬者6体を分析。ケベックでは、19世紀後半になるまで、墓標の使用は一般的でなく、被葬者のわからない墓が多かった。
Anonymous no more: combining genetics with genealogy to identify the dead in unmarked graves[EurekAlert]
文献 Tommy Harding, Emmanuel Milot, Claudia Moreau, Jean‐Francois Lefebvre, Jean‐Sébastien Bournival, Hélène Vézina, Catherine Laprise, Carles Lalueza‐Fox, Roger Anglada, Brad Loewen, Ferran Casals, Isabelle Ribot, Damian Labuda "Historical human remains identification through maternal and paternal genetic signatures in a founder population with extensive genealogical record", American Journal of Physical Anthropology, 16 February 2020. [Wiley Online Library]
2020年2月23日(日)
- 新潟県
- 糸魚川市・寺地遺跡から出土した用途不明の木片は、縄文丸木舟の一部と確認。[上越タイムス]
- イラン
- ラザヴィー・ホラーサーン州(Ostān-e Khorāsān-e Rażavī)ネイシャーブル(Neyshabur)のセ・タペ遺跡(Seh Tappeh)が鉄器時代であることを確認。[Tehran Times]
- オマーン
- ドファール特別行政区(Dhofar Governorate)・サムフラム遺跡(Sumhuram)で出土した先イスラーム時代(Pre-islamic period)・紀元前2世紀〜紀元後5世紀の花粉(pollen)など植物遺体の分析により、先イスラーム時代の食用植物利用について研究。穴から出土した穀物花粉は、食料所蔵の仮説を実証。ナツメヤシ(date palm)の利用も確認。木本植物(woody plant)の減少は、乾燥化よりもむしろ灌木地(shrubland)の伐採のため。サムフラム遺跡は乳香(frankincense)の貿易で栄えた港町。
文献 Cristina Bellini, Alexia Pavan, Lia Pignotti, Tiziana Gonnelli, Marta Mariotti Lippi "Food plants in pollen records from ancient Southern Arabia: The evidences from Sumhuram (Southern Oman)" Journal of Arid Environments. Volume 177 [ScienceDirect]
2020年2月22日(土)
- 長野県
- 松本市・松本城三の丸跡土居尻(第11次調査)で、中世・15世紀後半〜16世紀初頭の流路から墨書のある木片大量出土。市内初確認のこけら経も。松本市教育委員会の調査。[市民タイムスWEB]
▼松本城三の丸跡関連記事→2018年2月5日 - 奈良県
- 天理市・ヒエ塚古墳で、前方部の端から基底石。墳丘全長129mと推定。埴輪はない。オオヤマト古墳群の北端。箸墓古墳と同時期の前方後円墳。天理市教育委員会2/21発表。[産経新聞]
- 岡山市
- 中区・金蔵山古墳(かなくらやまこふん)で、前方部斜面の葺石や、平坦面の埴輪列を確認。岡山市埋蔵文化財センターの調査。2/29現地説明会。[岡山市]
▼金蔵山古墳関連記事→2019年1月31日 - インド
- タミル・ナードゥ州(Tamil Nadu)ヴェールール県(Vellore)クディヤーッタム郡(Gudiyatham)Sendoor Malaiで、新石器時代の灰塚(ash-mound)。タミル・ナードゥ州では初。灰塚は牧畜集落にある、焼けた糞の塚。[The Times of India]
- ベルギー
- オースト=フランデレン州(Oost-Vlaanderen;East Flanders)スヘレベル(Schellebelle)で、青銅器時代・2000年以上前の円形墓地(grave circle)2か所。火葬骨を収める。うち1基は、直径55mで、フランデレン地域で最大。[The Brussels Times]
- エジプト
- フランス、リヨン(Lyon)のコンフリュアンス博物館(Musée des Confluences)が所蔵する、古代エジプトのワニのミイラを調査。ワニのミイラの製作法の手がかり。
文献 Camille Berruyer, Stéphanie M. Porcier, Paul Tafforeau 'Synchrotron “virtual archaeozoology” reveals how Ancient Egyptians prepared a decaying crocodile cadaver for mummification' PLOS One. Published: February 21, 2020 [PLOS One]
2020年2月21日(金)
- 茨城県
- つくば市・元中北東藤四郎遺跡(もとなかきたひがしとうしろういせき)で、古墳時代の集落跡。公益財団法人茨城県教育財団の調査。3/8現地説明会。
つくば上河原崎事務所(元中北東藤四郎遺跡)現地説明会のお知らせ。[発掘情報いばらき] - 石川県
- 小松市・一針C遺跡で、二重の堀に囲まれた中世の屋敷地や井戸。井戸の上部に壊された五輪塔や石臼、石製の行火、土師器皿や陶磁器。井戸の埋土から漆器椀、木製品、仏具。公益財団法人石川県埋蔵文化財センターの調査。
小松市一針C遺跡 (その5) 銅製の仏具「三具足」が出土しました[公益財団法人石川県埋蔵文化財センター] - 佐賀県
- 唐津市・厳木川の町切堰(ちょうぎりぜき)から取水する町切用水の一部で、築造時のものと思われる江戸時代の石組構造。
- 韓国
- 慶州市にある、朝鮮時代に築かれた慶州邑城の東北で、防御用の構築物の基壇に、統一新羅時代・9世紀半ばの石塔の側面に用いられた八部衆像が再利用。[聯合ニュース]
- 韓国
- 慶尚南道 河東郡 興龍里古墳群で三国時代の石槨墓8基と朝鮮時代の灰隔墓2基。灰隔墓は、棺の周辺を石灰で満たしたもの。[聯合ニュース]
- インドネシア
- スラウェシ島(Sulawesi)の洞窟壁画が、セメントの採掘により危機に。半人半獣の図像を描いた4万年前の壁画として昨年12月に報道されたが、セメント会社の管理下にある。[The Guardian]
- トルコ
- Türkmen-Karahöyükの近くで潅漑水路から、ルウィ語(Luwian Language)による紀元前8世紀後半の銘文が入った石。ハルタプ(Hartapu)という王が隣接するムシュカ王国(Muska)=古代フリュギア王国(Φρυγία;Phrygia)を滅ぼしたとする。Türkmen-Karahöyükはハルタプ王の都とみられる。
OI archaeologists discover lost city that may have conquered the kingdom of Midas[The University of Chicago] - ロシア
- ウラルと西シベリアの狩猟採集民による初期の土器のAMS年代28件について、淡水リザーバ効果(freshwater reservoir effects)を考慮し、西シベリア森林地帯とウラル山麓で紀元前7千年紀に土器が出現し、続く数百年にタイガ地帯に急速に広まったと推定。土器の出現は新たな土地への進出、防御性集落や儀式用のマウンドの登場などと関連。土器に残る炭化物の安定同位体分析から、土器の用途は魚介類の調理にとどまらず。東アジアの更新世後期の土器とは関係がなく、8200年前の気候イベントとの関係が考えられる。
文献 Henny Piezonka, Lyubov’ Kosinskaya, Ekaterina Dubovtseva, Yuri Chemyakin, Dmitri Enshin, Sönke Hartz, Valentina Kovaleva, Svetlana Panina, Svetlana Savchenko, Svetlana Skochina, Thomas Terberger, Viktor Zakh, Mikhail Zhilin, Aleksey Zykov "The emergence of hunter-gatherer pottery in the Urals and West Siberia: New dating and stable isotope evidence" Journal of Archaeological Science. Volume 116 [ScienceDirect] - ドイツ
- エスリンゲン郡(Landkreis Esslingen)ケンゲン(Köngen)で、ローマ時代の石敷きの道路や、履物に用いたとみられる鉄釘。[Süddeutsche Zeitung]
▼バーデン=ヴュルテンベルク州(Land Baden-Württemberg) - スペイン
- カナリア諸島(Islas Canarias;Canary Islands)グアヤデケ渓谷(Barranco de Guayadeque)にある洞窟から8〜11世紀のミイラ72体。[La Razón]
- ネアンデルタール人とデニソワ人
- ネアンデルタール人(Neanderthal)とデニソワ人(Densovan)は、70万年前にアフリカを出て、それ以前からアフリカを出ていた人類と通婚した可能性。
The earliest known hominid interbreeding occurred 700,000 years ago[ScienceNews]
文献 Alan R. Rogers, Nathan S. Harris and Alan A. Achenbach "Neanderthal-Denisovan ancestors interbred with a distantly related hominin" Science Advances Vol. 6, no. 8 [Science Advances] - エジプト
- アスワン(Aswan)のアーガー・ハーン3世(Aga Khan III)廟近くで1年前の調査(EIMAWA2019)のとき発見された紀元前7世紀〜紀元後3世紀の墓地の画像公開。石棺の木蓋に彩色で描かれた魔除けのヒョウなど。[ANSAmed ]
- カナダ
- ヌナブト準州(Nunavut)沖の難破船エレバス号(HMS Erebus)から、英国ジョン・フランクリン(John Franklin)の19世紀半ばの北極圏探検に参加した下士官の持ち物。Parks Canadaの調査。[CBC]
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