2020年3月10日(火)
- 兵庫県
- 上郡町・辻ケ内遺跡で、奈良時代の瓦が捨てられた瓦溜。駅家で使われた古大内式の軒丸瓦出土。同遺跡を古代山陽道の高田駅家と確認。兵庫県立考古博物館3/9発表。[神戸新聞]
- 中国
- 山西省 運城市 聞喜県・邱家庄墓地で、晋晩期の大型墓。国君の夫人の墓と推定。[中国新聞網]
- スペイン
- バレンシア自治州(Comunitat Valenciana)アリカンテ県(Provincia de Alicante)コスタ・ブランカ(Costa Blanca)にあるベニドルム (Benidorm)のローマ時代・紀元前1世紀の砦が屋外博物館になる見込み。[Euro Weekly News]
- UK(イングランド)
- ポート・クラレンス(Port Clarence)のカウペン・ベウリー・ロード(Cowpen Bewley Road)沿いのガス火力発電所建設予定地で、ローマ時代のヒトの頭蓋骨や集落。[Teesside Live]
▼ダラム州(County Durham) - ガボン
- イルング洞窟(la grotte d'Iroungou;Iroungou cave)で、14世紀の洞窟埋葬。
Rare Gabon burial cave reveals clues to African history[Phys.Org] - レソト
- セホンホン(Sehonghong)やMelikaneで出土した旧石器時代(paleolithic)・33000年前のダチョウ(ostrich)の卵の殻のビーズについて、ストロンチウム(strontium)同位体(isotope)を分析し、ビーズの作られた場所を推定。80%のビーズについて、出土地付近ではなく、カルー砂漠(Karoo Desert)などから長距離交易により入手。高地にあるレソトにはダチョウは通常は棲息せず、レソトでビーズの未製品も出土しない。
Stone-age ‘likes’: Study establishes eggshell beads exchanged over 30,000 years[University of Michigan]
文献 Brian A. Stewart, Yuchao Zhao, Peter J. Mitchell, Genevieve Dewar, James D. Gleason, and Joel D. Blum "Ostrich eggshell bead strontium isotopes reveal persistent macroscale social networking across late Quaternary southern Africa" Proceedings of the National Academy of Sciences. first published March 9, 2020 [PNAS] - 狩猟採集社会での労働の性差
- 現代の狩猟採集社会で荷物の運搬の際、女性が体格に比して大きな負担をしていることに関して、ボランティア48人で実験。体格差を別とすれば、男女とも負荷に対する移動コストは同じように上昇。狩猟採集社会での仕事の分担は、性ごとの能力とはかかわりがない。女性の方が運搬の負担が大きいことは、女性の方がリスクの少ない仕事に従事することにかなわると推定。現在の狩猟採集社会では女性の方が男性よりも重い荷物を運んでいることから、一部の研究者は、女性の方が運搬に足してエネルギー効率が良いと考えていた。
英語リリースTask division in hunters-gatherers does not depend on the capacities of each gender
スペイン語リリース La división de tareas en cazadores-recolectores no depende de las capacidades de cada sexo[Centro Nacional de Investigación sobre la Evolución Humana, CENIEH]
文献 Olalla Prado‐Nóvoa, Jesús Rodríguez, Marco Vidal‐Cordasco, Guillermo Zorrilla‐Revilla, Ana Mateos "No sex differences in the economy of load‐carriage" American Journal of Human Biology First published: 01 November 2019 [Wiley Online Library]
2020年3月9日(月)
- 韓国
- 非武装地帯(DMZ)の矢尻高地一帯の昨年御調査で発掘された、朝鮮戦争の遺体のうち、韓国軍兵士の戦死者4名の身元、今年初めて判明。停戦の2週間前の矢尻高地第4次戦闘で戦死。[聯合ニュース]
- オーストラリア
- タスマニア島(Tasmania)ケンプトン(Kempton)のPicton Road Stationで、流刑囚の独居房(solitary cell)跡から流刑囚時代(convict-era)の遺物。多量のアルコールの瓶、陶磁器、屠殺された動物遺体など。ホバート(Hobart)とローンセストン(Launceston)の間の幹線道路ミッドランズ・ハイウェイ(Midlands Highway)は1838年〜1847年に建設され、Picton Road Stationに160人の流刑囚が拠点を置いた。独居房の大きさは2.4m×1.2m。[Australian Broadcasting Corporation]
- トルコ
- アンタルヤ(Antalya)で1972年に密輸犯から警察が押収し、アンタルヤ考古学博物館(Antalya Müzesi;Antalya Museum)に持ち込まれた肖像彫刻は、女性詩人サッポー(Σαπφώ;Sappho;紀元前630年〜前570年)を表す紀元前4世紀の作品。当初は男性像とみられていた。博物館はこの像がペルゲ(Πέργη;Perge)から出土したとしているが、実際にはカレイチ(Kaleiçi)から出土した可能性。[Daily Sabah]
▼ペルゲ関連記事→2017年7月21日 - エジプト
- デル・エル・バハリ(Deir el-Bahari)にあるハトシェプスト女王(Hatszepsut;Hatshepsut)の葬祭殿近くで、3500年前の石櫃の中に亜麻布に包まれた奉納品を発見。近くにハトシェプストの夫・トトメス2世(Totmes II;Thutmose II)の墓が所在する可能性を示す。ワルシャワ大学考古学研究所(Instytut Archeologii UW;Institute of Archaeology UW)の調査。
Egipt/ Polacy odkryli depozyt królewski sprzed 3,5 tys. lat koło świątyni Hatszepsut[Nauka w Polsce]
▼ルクソール(Luxor)
2020年3月8日(日)
- 東京都
- 江戸川区・北小岩コミュニティ会館に考古展示コーナーがオープン。[東京新聞]
2020年3月7日(土)
- 中国
- 中原地域(Central Plains)の2遺跡、西亜斯遺跡(Xiyasi)と暢馨苑(Changxinyuan)で出土した東周時代・紀元前771年〜前221年の23人の象牙質(dentin)と骨のコラーゲンの炭素(δ13C)と窒素(δ15N)による安定同位体分析(Stable isotope analysis)。女児は男児よりわずか早く離乳。子供時代はC3植物(コムギやダイズ)が中心、大人になるとC4植物(キビ)が多くなり、特に男性に顕著。ムギなどの植物は子供向けの食糧と考えられていたが、男児の方がC4植物を多く与えられていた。男女の扱いの違いが子供の養育の時点で始まっていた。以前から、骨のコラーゲン分析により、東周時代の成人男女の食生活の違いはわかっていた。
文献 Melanie J. Miller, Yu Dong, Kate Pechenkina, Wenquan Fan, Siân E. Halcrow "Raising girls and boys in early China: Stable isotope data reveal sex differences in weaning and childhood diets during the eastern Zhou era" American Journal of Physical Anthropology. First published: 06 March 2020 [Wiley Online Library] - フィリピン
- セブ島(Cebu)メデリン市(Medellin)のダグスンガン川(Dagusungan River)で、第二次世界大戦中の米軍の戦車。渡河中に日本軍砲撃で水没。[Cebu Daily News]
- シリア
- テル・アブ・フレイラ遺跡(Tell Abu Hureyra)の12800年前の集落で、2200℃移動で形成される溶融ガラス(meltglass)。溶融ガラス(meltglass)はバイオマス、土壌、堆積物が瞬時に溶解・蒸発しすぐに冷却した時にできる。彗星の衝突の時にはしばしばみられる。テル・アブ・フレイラ遺跡は、現在はタブカ・ダム(Taqba Dam)によりアサド湖(Lake Assad)に沈む。ヒトの集落に彗星のかけらが与えた影響を知りうる最初の遺跡。更新世(Pleistocene)末期に大気圏中で爆発した彗星は、マンモスなどの絶滅、クローヴィス文化の消滅、亜氷期ヤンガードリアス(Younger Dryas)をもたらした。
Fire from the Sky[University of California, Santa Barbara]
文献 Andrew M. T. Moore, James P. Kennett, William M. Napier, Ted E. Bunch, James C. Weaver, Malcolm LeCompte, A. Victor Adedeji, Paul Hackley, Gunther Kletetschka, Robert E. Hermes, James H. Wittke, Joshua J. Razink, Michael W. Gaultois & Allen West "Evidence of Cosmic Impact at Abu Hureyra, Syria at the Younger Dryas Onset (~12.8 ka): High-temperature melting at >2200 °C" Scientific Reports. volume 10, Article number: 4185 [Scientific Reports] - トルコ
- イスタンブル(İstanbul)のカドゥキョイ地区(Kadıköy)にあるハイダルパシャ駅(Haydarpaşa Garı;Haydarpaşa railway station)近くで、クラシック時代の都市カルケドン(Χαλκηδών;Khalkedon)以来、ヘレニズム、ビザンティン、オスマン帝国の遺構、遺物。[Anadolu Ajansı]
▼ハイダルパシャ駅関連記事→2018年7月29日 - モルドバ
- 後期ククテニ=トリポリエ文化・紀元前3500年〜前3100年の墳墓遺跡2か所で出土した女性人骨4体を分析。いずれも新石器時代に由来する成分を大規模に持ち、アナトリアの農耕民よりも線帯文土器文化(Linear Pottery culture)に近い。4体のうち3体にはステップ地帯、例えばウクライナの中石器文化に由来する先祖をかなり含む。
文献 Alexander Immel, Stanislav Țerna, Angela Simalcsik, Julian Susat, Oleg Šarov, Ghenadie Sîrbu, Robert Hofmann, Johannes Müller, Almut Nebel & Ben Krause-Kyora "Gene-flow from steppe individuals into Cucuteni-Trypillia associated populations indicates long-standing contacts and gradual admixture" Scientific Reports, volume 10 [Scientific Reports] - ルーマニア
- クルジュ=ナポカ(Cluj-Napoca)のフェルディナンド王通り(strada Regele Ferdinand)で、ローマ時代の神殿の石材。[Monitorul de Cluj]
- スペイン
- カタルーニャ州(Cataluña)タラゴナ(Tarragona)のローマ時代の劇場のステージ(scaena)の発掘調査で、劇場建築のため解体された紀元前1世紀の港の倉庫跡を発見。イタリア半島から運ばれたオリーブアイル、ワイン、土器などの物資を収めるため100年程度使われた推定。古代都市タラコ(Tarraco)に当たる。ローマ帝国のアウグストゥス帝(Augustus)がタラコを訪れた時にこの港を利用。[Catalan News]
- UK(イングランド)
- ケント州(the county of Kent)フォークストン(Folkestone)の聖マリアとエアンスウイズ教会(St Mary and St Eanswythe’s church)で1885年に発見された女性の人骨は、7世紀の聖人エアンスウイズ(St Eanswythe)のものと推定。アンスウイズはケント王エトバルド(Eadbald)の娘でエゼルベルト1世(Ethelbert)の祖母。[Kent Online]
2020年3月6日(金)
- 鳥取県
- 鳥取市・古代山陰道の平野部での調査地でも、道路跡と考えられる遺構。盛土で築かれ路肩や法面に補強するための石が貼り付けられ、平野側には側溝が掘られる。青谷上寺地遺跡と青谷横木遺跡の古代山陰道を結んだ中間地点に当たる。
平野部でも古代山陰道の発掘成果が出ました![鳥取県]
▼(2020年8月14日補足)養郷新林遺跡 - 鳥取県
- 米子市・米子城跡(よなごじょうあと)で、内堀の一部と水手御門郭の石垣を確認。米子市の調査。3/28現地説明会。
『史跡米子城跡発掘調査現地説明会 2020』を開催します[米子市] - タイ
- ヤラー県(Yala)ムアンヤラー郡(Muang)のカオヤラー山(Khao Yala)にある2500年前〜2000年前のフレスコ画について、タイ芸術局(The Fine Arts Department)に対して保存を求める声。2001年に遺跡として登録されていたが、昨年9月30日承認された取り消し命令で、遺跡の一部が、石灰岩採掘のために保存対象から外されていた。[Bangkok Post]
- インドネシア
- インドネシア核エネルギー庁(National Nuclear Energy Agency (BATAN) )とインドネシア考古学研究センター(National Archaeology Research Centre)が、放射線に関する技術を文化遺産のために利用する目的で博物館・美術館を支援する覚書に2/10調印。国際原子力機関IAEAが後援。
Indonesian Nuclear Scientists Support Archaeologists to Preserve Cultural Heritage[IAEA] - パキスタン
- シンド州(Sindh)バンボール遺跡(Bhanbhore)で、40kg以上の象牙。イスラーム時代・800年前の象牙工房。[Haaretz]
- アルジェリア、チュニジア
- アルジェリア、チュニジアの終末期旧石器時代(Epipalaeolithic)の石器に残る痕跡や石器のデザインから、これらで収獲・加工された植物を推定。マグリブ地域(Maghreb)の終末期旧石器時代(Epipalaeolithic)は野生植物資源の利用が盛んで、収穫や加工の痕跡が石器に残る。
文献 Bernard Gassin, Colas Guéret, Tiphaine Dachy, Juan F. Gibaja, David Lubell, Thomas Perrin "Lithic industries and plant processing in the Epipalaeolithic Maghreb: Evidence from use-wear analyses" Quaternary International, Available online 5 March 2020 [ScienceDirect] - チリ
- 北海岸のアントファガスタ(Antofagasta)のベルテデロ・ムニシパル墓地遺跡(Vertedero Municipal)で見つかった狩猟採集民の男性遺体にトレポネーマ症(Treponematosis)の病変。放射性炭素年代で1830±20BP。同位体分析で海産物を摂取と判明。
文献 Mario Castro, Aryel Pacheco, Ivo Kuzmanic, Alejandro Clarot, Pablo Díaz "Treponematosis in a pre-Columbian hunter-gatherer male from Antofagasta (1830 ± 20 BP, Northern Coast of Chile)" International Journal of Paleopathology. Volume 30, Pages 10-16 [ScienceDirect] - チリ
- イースター島(Rapa Nui;Isla de Pascua;Easter Island;ラパヌイ島)で、モアイ(Moai)像にトラックが衝突し、像と台座が損傷する事故。故意に衝突した疑いも。市長はモアイ周辺の車両制限を求める。[The Guardian]
2020年3月5日(木)
- 東京都
- 深川で出土した江戸時代後期の町人1人の古人骨に付着する歯石からDNAを抽出・解析。DNAメタバーコーディング法を用いる。
江戸の庶民は何を食べていた? 〜江戸時代の歯石DNAから当時の食物を復元〜[琉球大学]
文献 Rikai Sawafuji, Aiko Saso, Wataru Suda, Masahira Hattori, and Shintaroh Ueda "Ancient DNA analysis of food remains in human dental calculus from the Edo period, Japan" PLOS ONE Published: March 4, 2020[PLOS One] - 名古屋市
- 名古屋城の敷地内にある、幕末の米蔵の基礎の一部である遺構の石材を名古屋市の工事で誤って掘り起こして毀損。国の特別史跡。文化庁が学芸員の立会いを条件に工事を許可したが、当時は学芸員が立ち会っていなかった。[毎日新聞]
- 三重県
- 三重県埋蔵文化財センターの監督員を務める男性技師(30歳)が、2018年から2020年にかけて、他の職員の印鑑を無断で押印するなどして決裁および供覧文書4件を不正に作成。また、決裁を受けずに未決裁文書2件を委託業者に交付。
埋蔵文化財センター職員による公文書の不適正な取扱いについて[三重県] - 香川県
- 高松市・高松城跡で、瓦の屋根がついた塀「多聞塀」の跡。高松城跡での発見は初。高松市の調査。[朝日新聞]
- 韓国
- 盈徳郡・洋城里遺跡で、高麗が海から来る倭寇を防ぐため築いた城郭。鉢巻式と包谷式が混合した城壁を石と土で築く。木柵、建物、排水施設の遺構を確認。
盈徳洋城里遺跡で高麗の海岸防御施設確認[文化財庁]
▼文化財庁は2024年5月17日から国家遺産庁 - 中国
- 内モンゴル自治区 アルシャー盟(阿拉善盟;Alxa) アルシャー左旗(阿拉善左旗;Alxa)巴彦浩特鎮・水磨溝岩絵で岩絵172か所。周辺の石墻・石囲・墳墓などの遺構から判断して石器時代晩期〜鉄器時代。[新華社]
- インド
- マハーラーシュトラ州(Maharashtra)シンズダル県(Sindhudurg)のコロシ村(Koloshi)の洞窟で石器時代・40000年前〜1000年前の石器1500点。狩猟採集のみならず、野生の穀物も利用。[The Times of India]
- イラン
- ケルマーン州(Ostān-e Kermān)ジロフト郡(Jiroft)トム・ガバン村(Tom Gavan)で、印章など6000年前の行政システムを示す遺物。ハリール川(Halil River)沿岸の土器生産の中心地。[Tehran Times]
- イラン
- Köhne Shahar遺跡(KSH)から出土した、初期青銅器時代(Early Bronze Age)・クラ・アラクセス文化(Kura-Araxes culture)・紀元前3500年〜前2200年の動物遺存体を分析。KSH4期と5期・紀元前2800年〜前2500年の骨角器製作に関して、動物考古学を用い、製品と未製品の空間分布を分析し、遺構の性格を判定。分業化が行われている一方で、社会の階層化が進んでいないと推定。
▶ Siavash Samei, Karim Alizadeh (2020) The spatial organization of craft production at the Kura-Araxes settlement of Köhne Shahar in northwestern Iran: A zooarchaeological approach. PLOS One Published: March 4, 2020 [PLOS One] - イスラエル
- ネゲヴ砂漠(Negev desert)のシヴタ(Shivta)で、乾燥農業(dryland farming)の変遷を解明。ローマ時代・1〜2世紀に確立。ビザンティン時代・5〜6世紀に全盛期を迎えたのち、廃棄。最盛期には持続可能で集中的な農業も可能であったが前後の時代には見られない。
文献 Yotam Tepper, Naomi Porat, Guy Bar-Oz "Sustainable farming in the Roman-Byzantine period: Dating an advanced agriculture system near the site of Shivta, Negev Desert, Israel" Journal of Arid Environments Volume 177 [ScienceDirect]
▼シヴタ関連記事→2018年12月10日 - イスラエル
- ガリラヤ地方(Galilee)で、1世紀にユダヤ戦争(Jewish Great Revolt)でユダヤ人がローマ人と戦った洞窟を多数確認。この戦いにユダヤ人として戦い、のちにローマ市民となったヨセフ・ベン・マタティアフ(Yosef ben Matityahu)=フラウィウス・ヨセフス(Flavius Josephus)が著書で描写。[The Jerusalem Post]
Yinon Shivtiel Jewish Cliff Shelters and Hiding Complexes in the Roman Period Galilee[American Schools of Oriental Research] - ベルギー
- オースト=フランデレン州(Oost-Vlaanderen;East Flanders)ニノーヴェ(Ninove)で、ローマ時代・1世紀後半〜2世紀前半の鉄製錬工房。鉄鉱石から鉄を生産。これまでに後期新石器時代・紀元前2500〜前2000年と青銅器時代・紀元前2000年〜前1000年の墳墓、17世紀末と18世紀半ばの軍事キャンプ跡が見つかっていた。[The Brussels Times]
- フランス
- ストラスブール(Strasbourg)のコニッグショフェン(Koenigshoffen)でローマ時代の道路沿いに1〜2世紀の建物基礎。トイレ跡を確認。[Rue89 Strasbourg]
▼アルザス地域圏(Alsace)バ=ラン県(Bas-Rhin)ストラスブール(Strasbourg) - フランス
- パ=ド=カレー県(Pas-de-Calais)ブタン(Beutin)で2〜4世紀の浴場やスポーツジム。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。
Des thermes et une « salle de sports » à Beutin (Pas-de-Calais)[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
▼オー=ド=フランス地域圏(Hauts-de-France) - エチオピア
- アファール地域(Afar)のゴナ川(Gona)にある126万年前のBusidima North遺跡と160万年前〜150万年前のDana Aoule North遺跡で、ホモエレクトゥス(Homo erectus)の頭蓋骨とアシュール文化とオルドワン文化の遺物がともに出土。初期人類が一種一文化とする見方に疑義。また、Busidima Northの頭蓋骨は堅牢で大きく、Dana Aoule Northの頭蓋骨は小さく華奢。ホモエレクトゥスは性的二形(sexual dimorphism)の可能性。
cf. Sileshi Semaw, Michael J. Rogers, Scott W. Simpson, Naomi E. Levin, Jay Quade, Nelia Dunbar, William C. McIntosh, Isabel Cáceres, Gary E. Stinchcomb, Ralph L. Holloway, Francis H. Brown, Robert F. Butler, Dietrich Stout and Melanie Everett (2022) Co-occurrence of Acheulian and Oldowan artifacts with Homo erectus cranial fossils from Gona, Afar, Ethiopia. Science Advances. Vol. 6, no. 10. [Science Advances] - 北米大陸東部
- 7500年前〜5000年前、農耕の導入で、人々の間と協力とともに暴力も発展。理想自由分布モデル(ideal free distribution)に基づく分析。
As Farming Developed, So Did Cooperation - And Violence [University of Connecticut]
文献 Elic M. Weitzel, Brian F. Codding, Stephen B. Carmody & David W. Zeanah "Food Production and Domestication Produced Both Cooperative and Competitive Social Dynamics in Eastern North America" Environmental Archaeology. Published online: 04 Mar 2020 [Taylor & Francis Online]
2020年3月4日(水)
- 静岡県
- 富士市・浅間古墳(せんげんこふん)で、後方部墳頂の深さ2〜2.5m地点に、石などで囲まれた構造物。埋葬施設の可能性高い。富士市の調査。4世紀中ごろの前方後方墳。[毎日新聞]
▼浅間古墳関連記事→2020年2月8日 - 奈良県
- 奈良市・平松廃寺で出土した瓦が、橿原市・田中廃寺の創建瓦と同じ木型を用いて作られていたと判明。奈良市埋蔵文化財調査センターの調査。[奈良新聞]
- 熊本県
- 益城町・平田遺跡で、甕棺から弥生時代中期の男性の人骨。[毎日新聞]
- 鹿児島県
- 屋久島町・安房城跡で、中国・宋の白磁や徳之島のカムィヤキの容器、長崎の滑石で作られた石鍋など。屋久島町教育委員会の調査。[屋久島経済新聞]
- フィリピン
- マニラ(Manira)のマラテ(Marate)で、第二次世界大戦中にレメディオス病院(Remedios Hospital)で戦争犠牲者を助けた人々の大規模墓地。[Manila Bulletin]
- 家畜化
- イノシシ(wild boar;Sus scrofa)の動きを制限することにより、踵骨(calcaneus)の形態に明らかな変化があることを実験的に示す。野生動物の行動を制限し、家畜化していく過程の手がかりとして、考古学に応用可能。
フランス語リリース Les sangliers mettent les archéologues sur la piste des débuts de la domestication
英語リリース Wild boars provide archaeologists with clues to early domestication[Centre National de la Recherche Scientifique]
文献 Hugo Harbers, Dimitri Neaux, Katia Ortiz, Barbara Blanc, Flavie Laurens, Isabelle Baly, Cécile Callou, Renate Schafberg, Ashleigh Haruda, François Lecompte, François Casabianca, Jacqueline Studer, Sabrina Renaud, Raphael Cornette, Yann Locatelli, Jean-Denis Vigne, Anthony Herrel and Thomas Cucchi "The mark of captivity: plastic responses in the ankle bone of a wild ungulate (Sus scrofa)" Royal Society Open Science. Volume 7, Issue 3 [The Royal Society]
2020年3月3日(火)
- 福岡県
- 本学教員らの「沖ノ島出土 ガラス製品」についての研究成果を、日本経済新聞・毎日新聞他が紹介[東京理科大学]
- 中国
- 青花白磁の顔料コバルトの出自を、残留顔料粒子の微細構造分析によって追跡する研究。宣徳磁器では輸入と国産のコバルトを混合。15世紀以降、輸入コバルトが不可欠な役割。
文献 Xiaochenyang Jiang, Yanjun Weng, Xiaohong Wu, Jianfeng Cui, Hongshu Lyu, Jianxin Jiang, Guodong Song, Hetian Jin, Dashu Qin, and Changsui Wang "Early globalized industrial chain revealed by residual submicron pigment particles in Chinese imperial blue-and-white porcelains" Proceedings of the National Academy of Sciences. first published March 2, 2020 [PNAS] - モンゴル
- モンゴル各地からの5000年間のヒトの歯石(dental calculus)から得た蛋白質を分析。紀元前3000年ごろ乳製品の消費が始まる。紀元前1200年ごろに馬乳の利用が始まり、乗馬のはじまりと合致する。青銅器時代には反芻動物の乳製品の利用で人口が増加。馬乳製品の起源は紀元前2千年紀後半の牧畜社会とも関連。
文献 Shevan Wilkin, Alicia Ventresca Miller, William T.T. Taylor, Bryan K. Miller, Richard W. Hagan, Madeleine Bleasdale, Ashley Scott, Sumiya Gankhuyg, Abigail Ramsoe, S. Uliziibayar, Christian Trachsel, Paolo Nanni, Jonas Grossmann, Ludovic Orlando, Mark Horton, Philipp W. Stockhammer, Erdene Myagmar, Nicole Boivin, Christina Warinner, Jessica Hendy "Dairy pastoralism sustained Eastern Eurasian steppe populations for 5000 years" Nature Ecology & Evolution. volume 4, pages346-355 (2020) [Nature Ecology & Evolution]
紀元前3000年ごろに利用した乳は反芻動物のもの。青銅器時代・前1200年に馬乳の利用と乗馬が始まり、モンゴル帝国・1200〜1400年ではでラクダの乳が利用された。
ドイツ語リリース 5000 Jahre alte Milchproteine weisen auf die Bedeutung der Molkerei im Osten Eurasiens hin
英語リリース 5000 year old milk proteins point to the importance of dairying in eastern Eurasia[Max-Planck-Institut für Menschheitsgeschichte] - モンゴル
- 紀元前4400年〜紀元後1300年の人骨137体が含む、炭素と窒素の安定同位体から食生活を分析。紀元前800年からC4植物の消費が増加しており、考古学証拠からも、キビの消費が増加したとみなされる。モンゴル帝国は経済戦略の多様化によって支えられていた。
文献 Shevan Wilkin, Alicia Ventresca Miller, Bryan K. Miller, Robert N. Spengler III, William T. T. Taylor, Ricardo Fernandes, Richard W. Hagan, Madeleine Bleasdale, Jana Zech, S. Ulziibayar, Erdene Myagmar, Nicole Boivin & Patrick Roberts "Economic Diversification Supported the Growth of Mongolia’s Nomadic Empires" Scientific Reports volume 10, Article number: 3916 (2020) [Scientific Reports]
ドイツ語リリース Wie Hirse die Steppenreiche der Mongolei ernährte
英語リリース How Millets sustained Mongolia’s Empires[Max-Planck-Institut für Menschheitsgeschichte] - カンボジア
- ポーサット州(Pursat)Koh Chumで、寺院のリンテル(楣;lintel)2個。掘りこまれた文様は、州内で過去に例のない様式。コンポントム州(Kampong Thom)にある先アンコール時代(pre-Angkor)のサンボープレイクック寺院(Prasat Sambor Prei Kuk)と彫刻の様式が一致し、同寺院から戦時に略奪され、Koh Chumに隠蔽されていたものと推定。[The Phnom Penh Post]
- インドネシア
- 東ジャワ州(Jawa Timur;East Java)クディリ県(Kediri)グロゴル(Grogol)で、クディリ王国(Kerajaan Kediri;Kediri Kingdom)・11〜13世紀の温泉浴場(hot spring bath)に関連したレンガ積み遺構。4月に工事が始まる空港用地内にあり、考古学者から、古代の遺構の保存を求める声。空港建設に全額出資しているたばこメーカー、グラン・ガラム社(Gudang Garam)と計画変更について交渉へ。[The Jakarta Post]
- クロアチア
- ポレッチ(Poreč)で、15世紀のウオーターフロントとローマ時代の船。[Morski]
▼イストラ郡(Istarska upanija) - UK(スコットランド)
- オークニー諸島(Orkney)ニューアーク(Newark)にあるピクト(Picts)とヴァイキング(Viking)・550年〜1450年の墓地から、暴風雨の後に人骨が露出し、考古学者が発掘と保存に尽力。Orkney Research Centre for Archaeology (ORCA)の調査。[The Scotsman]
- ケニア
- イレレット(Ileret)で、153万年前〜151万年前の人類パラントロプス・ボイセイ(Paranthropus boisei)の上肢(upper limb)。初めて確認された腕の構造からみて、木登りが得意で、石器を作って使うこともできる。
The ancient hominid species that includes ‘Nutcracker Man’ may have made tools[ScienceNews]
文献 B. G. Richmond, D. J. Green, M. R. Lague, H. Chirchir, A. K. Behrensmeyer, R. Bobe, M. K. Bamford, N. L. Griffin, P. Gunz, E. Mbua, S. R. Merritt, B. Pobiner, P. Kiura, M. Kibunjia, J. W. K. Harris, D. R. Braun "The upper limb of Paranthropus boisei from Ileret, Kenya" Journal of Human Evolution. Volume 141 [ScienceDirect] - ペルー
- エル・カスティーリョ・デ・ウアルメイ遺跡(El Castillo de Huarmey)のワリ(Wari)・750〜1000年の土器の生産と流通を研究。土器の多くは在地生産。ウアルメイ流域と、隣接するクレブラス流域に工房が存在した。両工房の原料は成分がほぼ等しく、素地のレシピも共有していた。集約的な生産は行われなかった。在地産以外の土器もあったが、すべて異なる地域のもの。
文献 Isabelle Druc, Miłosz Giersz, Maciej Kałaska, Rafał Siuda, Marcin Syczewski, Roberto Pimentel Nita, Julia M. Chyla, Krzysztof Makowski "Offerings for Wari Ancestors: Strategies of ceramic production and distribution at Castillo de Huarmey, Peru" Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 30 [ScienceDirect]
2020年3月2日(月)
- イラン
- ケルマーン州(Ostān-e Kermān)ジロフト郡(Jiroft)トム・ガバン村(Tom Gavan)で、6500年前〜紀元前3千年紀の集落跡と、ハカーマニシュ朝・紀元前550〜前330年の建物。[Tehran Times]
- イタリア
- ヴルチ遺跡(Vulci)のポッジェット・メンガレッリ墓地(Poggetto Mengarelli)で、紀元前4世紀〜前3世紀初めのエトルリア人(Etruscans)の墓。男女2名を埋葬し、多量の副葬品。[Il Messaggero]
- アイルランド
- ミーズ州(Contae na Mí;County Meath)・ブルー・ナ・ボーニャ遺跡群(Brú na Bóinne)を流れるボイン川(The River Boyne)の河床で、丸木舟や波止場とみられる遺構。[The Irish Times]
- ナイジェリア
- にメキシコから に返還された青銅遺物は偽物 。メキシコシティの空港で密輸品として押収され、古代ヨルバ人(Ọmọ Yorùbá)のイフェ王国・6世紀のものとメキシコ国立人類学歴史学研究所(Instituto Nacional de Antropología e Historia)が認定していた。[The Art Newspaper]
2020年3月1日(日)
- 福岡県
- 宗像市・沖の島から出土したガラス製品はサーサーン朝ペルシャ・5〜7世紀のメソポタミア由来。宗像大社3/1発表。[共同通信]
- 中国・ロシア
- 中国東北地方からロシア極東へのキビ農耕の拡散に関して研究。考古資料と言語学、遺伝学の成果を利用し、中国東北地方経由と、遼東半島・鴨緑江経由の2ルートを比較。中国東北部の中期〜晩期紅山文化・紀元前4000年〜前3000年の農耕社会の拡大と、黒龍江東部やロシア沿海州へのキビ農耕の到達は同時期。中国東北地方ルートでの伝播とヒトの移動を示す。中国の西遼河流域の紀元前6千年紀にキビ農耕が行われていた。
文献 Tao Li, Chao Ning, Irina S. Zhushchikhovskaya, Mark J. Hudson, Martine Robbeets "Millet agriculture dispersed from Northeast China to the Russian Far East: Integrating archaeology, genetics, and linguistics" Archaeological Research in Asia. Volume 22 [ScienceDirect] - インド
- コナーラク(Konark)のスーリヤ寺院(Konark Sun Temple)にある拝堂(Jagmohan)に満たされた砂を117年ぶりに除去すると、インド考古調査局(Archaeological Survey of India:ASI)が計画。拝堂は13世紀に建立。ベンガル州副知事(Lieutenant Governor of Bengal)の英国人ボーディロン(J A Bourdillon)の指導により1903年に砂で埋められた。[The Times of India]
▼オリッサ州(Odisha) - ニカラグア
- マナグア(Managua)第3地区のサン・イシドロ・リベルタドール(San Isidro Libertador)で、スペイン人による征服前の、葬送に用いる小児用の土器棺6個。マナグア流域の住民とサン・イシドロの住民との混合を表す図像を持つ。[La Voz Del Sandinismo]
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