医 学 生 日 記  

'99年度 一年生/夏休み

NHKスペシャル/生命  図書館で借りたビデオ
八ヶ岳  貴重なお仲間達
国際女性技術者・科学者会議日本大会  幕張メッセにてadd
小児科のお医者さんに聞きました  沖永良部・徳之島MLオフ会にて。
子供自然科学公開講座  アルバイトでお手伝い。

NHKスペシャル/生命 
休み前に図書館で借りた図書やビデオは9月まで返さなくていいので、ただでさえ重いカバンに ビデオ3本詰め込んで帰った。NHKスペシャル/生命シリーズ。数年前の放映時も見たけど、前期 の生物の授業でも人体のシリーズ等をよく見た。予算も時間もかけて、よく作っているなぁ〜と、 とても好きなシリーズ。CGがとても効果的に視覚イメージをくれて、ますます生命にはまってしまう。 借りたのは「第一集 海からの創世」エネルギーを取り込むための仕組みをさんざんやった後なので、 それが出来ていく歴史がよりはっきりイメージできて嬉しい。一般向けにはしょっているんだな、と思う 場所が前よりはほんのちょっと分かる。あらためて、分子生物っぽいアプローチの面白さが感じられた気 がする。あとは「第2集進化の不思議な大爆発」「第3集 昆虫達の情報戦略」。

八ヶ岳

保育園の最年長クラスの有志11家族の大所帯で一泊旅行。子供同士はもとよりお父さんも含め、 お互いよーく知っている同士ながら年齢も職種もバラバラというつながりはとても面白い。 子供達を寝かせてから大宴会をしつつ(でも子供用大部屋には数人のお父さんが待機して保父さんに)、 それぞれの仕事とか、子供を育てていくための色々なこと、夫婦について、家族について、価値観について、 家事の分担や運営について、社会についてと延々話は弾み、朝4時まで!
現実に現場でキャリアを積み、長く試行錯誤していたい色々な立場、価値観、悩みや発見に触れられる、 大変貴重な、そしてとても楽しい機会だった。

国際女性技術者・科学者会議日本大会

幕張メッセにて。新聞記事で開催を知った。企業展示、パネル発表他、沢山の公開シンポジウムがあった。 女性だけの○○、と言うのはあまり趣味ではないが、そうは言ってられない現実もあるし、プロの雰囲気と 覗いてみたかったので行ってみた。関係者向けの催しではあるが、当日エントリーもできる。一般は15000円 だが学生は三分の一!

会場に行くと、スーツ、ワンピース、民族衣装(サリー等)、様々な衣裳にホルダーに入った名札を首から かけた女性が沢山行き来していた。あんなに沢山の、色んな国の、技術者、科学者の女性というものを いっぺんに見たのは初めてだった。プロ向けなので集っていた女性は皆中高年、中には白髪で背中の 曲がったおばあちゃんも結構いたが、みな華やかで、颯爽としていてとても素敵だった。そして、そこここ で、ニコニコと主に英語で難しそうな話を楽しそうにしていた。
エントリーしたら、私にも英表示のネームの下に”Japan”と入った名札を作ってくれたのだが、 素人の上、英語もろくにしゃべれないのに、これはこっぱずかしい・・と思いつつかけていた。

内容や雰囲気にも興味はあったが、その場にいたら、きっと英語をやらなきゃという気になるだろうと いう予想は的中。発表はみんな(日本人でも)英語だし、表示も、冊子もほとんど英語。(一般向けでは ないので日本語版をわざわざ作ってない)。こういう専門でやっている人達がいるんだなぁとそれぞれ 感心しつつ、OHPの図を必死に見ながら何とか骨子だけ拾って、いくつかの発表を聞いた。 アジアで英語が出来なくても良い医者は日本だけと聞いたものの、やっぱり英語出来ないとすごく狭く なってつまんないなーと思った。

調査発表や団体の紹介や、色々なパンフレットがずらーっと並んでいる部屋で、その一角には 「ベビーシッターサービス」「お掃除サービス」「ホームヘルパー紹介」「介護支援サービスのお知らせ」 のパンフレットが山と積まれていたのが、身につまされて涙モノ。
また、そこでもらった、「医学を志す若き女性へのメッセージ」という 沢山の人のエッセイ集の冊子が、とても良く、面白い充実した冊子だった。

add その夜、今日実は幕張メッセに行って来たんだよ〜と話すと、家人曰く「え?GLAY?」私「は?ぐれい???」 この数日後だか前だかに、幕張メッセではGLAYの十万人コンサートが開催されていたのだった。 そういえばそんなことを聞いたような。良く知ってるねぇと言うと「若者の常識だろ〜女子大生〜」

エントリーした時にもらった紙袋には企業提供の化粧品のサンプルなどもけっこう入っており、ラッキー! と思いつつ開けてみると、「年齢を重ねたお肌に」関係が多かった。「ま、お肌の曲がり角も 曲がりきってることだし、丁度いいか〜」と言っていたら、「挙げ句それを”学割”でもらってきたわけ・・」 とあきれられた。

小児科のお医者さんに聞きました

新宿の南国料理店「島の人」(おいしい!)にて、家人の故郷、鹿児島県沖永良部島&徳之島関係のMLの 東京オフ会。出身者もいれば、昔、日本の最南端(沖縄返還前)に行こう!と沖永良部を訪ねて以来の縁と いう方、縁あって演奏で訪れたのが縁のジャズピアニスト、月に一回、島の病院に行っている小児科医、 といった多彩な顔ぶれ15人ほど。

小児科医さん(男性)はちょうど同い年(一学年上)キャリア7年。そうか〜初めっからその道に進むと、 もうそんなになるんだねーとしみじみ。小児科やらない?結婚してて、子供を育てた経験が最大に生きるの はこの分野だよ〜。と言われ、う〜ん。
まだ全然決まらないんですねえ。一年生だから時間はいっぱいあるんだけど。現時点で、小児科は 「儲からない」「きつい」のを承知で「子供好き」な人が来るという所で割とぎらぎらしてない素朴系が 多いといわれるが、その先生もそんな感じの人だった。(でも東大!)何で小児科を?と尋ねると、 とにかく子供が大好きだから、とのこと。

私自身は、研究も面白そうだし、臨床でずっと働けたらいいなぁとも思うし、どの科がどんな風かもろくに 知らないし、家庭とのバランスも模索中だし・・と、分からない事だらけなので、色々な先輩に話を聞ける 機会は大変ありがたい。

大学に残って、臨床と研究平行するってのもありますよね?と聞くと、確かにそう言う道もあるが、両立と いうより半分ずつになってしまうので個人的には今一つ・・とのこと。「あと2時間ぐらいは保ちそうだから、 小さい実験一つ出来るなーと考えて、あとを他の人に任せてラボにいって、そろそろ死んじゃうかなーと いう頃戻ってきて、ご臨終ですっていって、さあ終わったとまたラボに戻って・・って人もいますけど・・」 まあ、色々なバランスでやっている人がいるだろうから、一概には言えないとは言っていたし、私もそう思う けど悩みます。やるからにはちゃんと極めたいし・・。 ずっと研究畑で、引退して途中で臨床になって開業する人もいますね?と聞くとそれは臨床医のプロとしては 論外と自分は思う。医者のようなもの、になるだけで、紹介状書きばかりが上達する。との事。

また、以前、大先輩のベテラン内科医の女性に「国立大学はやはり研究が命の場所なので、臨床医で あろうとせっせっと研究&論文書きをすることは必須条件で、極端な話、100人の患者を救っても だれも誉めてくれないけれど、100編の論文を書けば優遇される場所ではあります(なぜか臨床科でも 臨床研究よりも基礎研究の方が評価が高いのがフシギ?!)」とのお話を伺ったこともある。

自分にとっていい結論を出せるように、広い範囲の勉強、情報収集に労を惜しまず、沢山の人に 色々教えてもらう機会を大切にしていかなきゃと再認識した。

ところで、話していてた時、「僕もね、よく”先生”の言うようなことは考えるんですよ。それで、 このホームページに・・」(?!・・私まだ”先生”じゃないんだけど・・。)
単にお医者さん同士で話すときの癖なんでしょう。そういえば家庭教師を始めたとき「先生」って言われ て変な感じがしたのを、今まできれいさっぱり忘れていた。すぐに慣れたという事なんだろう。 今度は忘れないようにしようっと。と思った。

と言うのも、昔ツアーコンダクターをしている知人に、どんな団体が一番イヤ?と聞いたら、 「そりゃーもう「先生」よ!教師、医者、弁護士、議員、なんでもとにかく「先生」と付くのはやだよー。 信じられないような非常識な事したり,わがまま通したり、命令したりするんだよー」と力強く訴えられた のが印象に残っているので・・・。

子供自然科学公開講座(「なぜ?」から始める理科の自由研究)

市川の教養学部校舎にて、小学生高学年を対象に二日にわたって開かれた科学の公開講座のお手伝い。 二人の子供に一人学生が付き、一緒に実体顕微鏡で身近なものを観察、光学顕微鏡で田んぼや池の水の プランクトンを見たり、校庭で虫取りをし観察、みんなでお弁当を食べ、午後からは化学実験(の様な 遊び)。硝酸銀と銅片でシャーレで銀樹を作り、カラフルな金属化合物でケミカルガーデンを作って みたり、ph試薬の入った液にレモンやドライアイス、息を入れて色を変える実験,色々な水の味を比べ、 残留塩素や硬度を測って比較。サインペンのインクをペーパークロマトグラフィーで分離、果物に 金属片を差し込んだ電池の制作。と大変盛りだくさんながら、どれも目で見て触って楽しめるプログラム。 しかもまとめる用紙とファイルが付いて,好きなものをまとめる指導付きなので夏休みの自由研究が一つ 片付き、帰りにはポータブルの実体顕微鏡がもらえるというなかなかお得な講座だった。

子供達は初めて見る顕微鏡の映像にうわーっと声を上げ、先生の質問に首をひねり、網を握って走り回って 虫を獲りまくり、色とりどりの化学の実験に興味津々だった。私はというと、見せて見せてとしょっちゅう 顕微鏡に割り込み、一緒に図鑑を開き、虫取りではそらっアゲハだ!シオカラトンボ!あそこにミンミンゼミ がっ!!と陣頭指揮して楽しんでいた。特に初日の男の子達は虫好きだったために、どの班よりも大量の虫 を獲った。が、足には二日で実に80を越す蚊の刺され跡がついた。かゆいよ〜。

午後、麻酔をして観察したが、あまりにもうじゃうじゃ虫が入っているので、ちょっと手を突っ込 むのがためらわれるカゴを持って、このセミだけ麻酔したいんですけど・・とスタッフの院生の女性に言うと、 その大人しそうな女性は平然と、虫かごにガッと手を突っ込み、わしっと目当てのをわしづかみにしていたので さすが〜と感心した。この女性はそのあとも、羽がぼろぼろになって、鱗粉も落ちて色がぼんやりしてしまった 蝶を、これは何でしょう?と持って行くと即座に「キタテハでしょう」と教えてくれた。

化学の実験は色がきれいなのが受けていたが、それとは別に5種類の水の飲み比べはみんな真剣。美味しいの は意見が分かれたが、二人揃ってまずーい!変な味!と口をゆがめたのは、やはり水道水。鋭い! インクの分離と果物電池は時間が押して全員は出来なかったし、ゆっくり説明する時間がなかったので忙しく ちょっと惜しかった。

終わってからその場でビールとスナックで打ち上げをした。そのあと近所のガストに移動してご飯 (先生のおごり)二年生や、先生方、院生の人達に色々なお話を聞けて、大変面白かった。 この企画はどこが立てたのかと聞くと、先生方の企画だった。補助は出るが、赤字とのことだった。 学生の(というか日本人の)理科離れが言われる今日この頃、せっかく楽しい面白い理科、科学がつまらない モノとして遠くなるのはとても勿体なくて悲しい、何とかしたいとのことで、それは大変共感できる。 いつも、もっと色々やりたいな〜顕微鏡ってどこで見られるんだろう。プランクトンってどんななんだろう? と思っていた私としては、子供の頃これがあったらどんなに良かっただろうと思った二日間だった。

余談だが、夏休み前、生物室に「掲示の公開講座のことで・・」と先生を訪ねていくと(その先生はまだ 習ったことのない先生)これはこういう講座でこういう内容で、とプリントをくれて説明してくれた。 「で、バイトは何をするんでしょう?」と尋ねると「えっ?!学生さん?」・・・・申し込みの父母と 思ってくれたのだった。「小学校高学年の親に見えましたかぁぁ〜??」「いや、えっと、悩んだんだけど、 2年生じゃないし、指輪してるし、えっと、だから〜」
まーそりゃ確かに学生よりは父兄にいくらか近いですけどね・・・・。

家では、こういうお仕事に行くから、その日見た虫さんの絵を描いてあげるからね、と約束していた5才の 娘に、画用紙にクレヨンで、ミカズキモにゾウリムシとミジンコとミドリムシと得体の知れないミミズの ような透明のプランクトンの絵,それに、みんなこんな風に見たのよ、と顕微鏡を覗く子供の絵を描いて あげた。「あたしも大きくなったらこういうのやりたい〜」となんだかとても喜んでいた。 しかし3才の息子の方は今のとこ、微生物のクレヨン画にはあまり好意を持っていないようだった。


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