医 学 生 日 記  

'99年度 一年生/二学期

初解剖−ウシガエル−  第一日目、内蔵、内蔵血管系
生物室探訪  美人院生もいます
ゲジ発見  変な虫を見つけました。
ウシガエル解剖−2  神経系、後肢筋肉、血管、神経系。下半身骨格系。
必修物理化学  苦労してます
ウシガエル解剖−3  脳、脳神経系
ラット解剖 哺乳類は暖かい・・
女子トイレ盗撮未遂事件  おっとびっくり
人の血液  お馴染みのツブツブ
うずら−1  まずはマイルドな実験から
血筋?!  夢中になるのもちょっとコワイ
うずら−2  倒れた人もいました
'99お茶祭  大学祭に行ってみました
'99お茶祭・ビジュアル版  イラストで見るお茶祭
海の外のお話  世界を垣間見るとき new(←「あみだくじ」のページを新設)
期末試験  大忙し

初解剖−ウシガエル− 
一万円もする「解剖セット」(メス、ハサミ2種、ピンセット3種)を新調。カエルに慣れていない人、 嫌いな人も結構多い。はいじゃあ並んで〜配りまーすとビニールに元気なウシガエルを入れていく。 一同「で、でっかい・・」「目が合うよー」「かわいそう〜」とザワザワ。暴れるカエル入りの袋を 思い切り伸ばした腕の先に持って「いやぁ〜」と固まる女の子、思わず手を離して逃がして大騒ぎになる人。 きっと後に、大変初々しい光景として思い出されるのだろう。

先生は初めに「このカエル達は池にいたのに”何の因果か”捕まえられて、”何の因果か”お腹切られ ちゃう訳で・・命を取るのだという事を忘れずに大切に扱ってよく学ぶように」と言うようなことを話した。

  「因果」良いことをすればよい報い、悪いことをすれば悪い報いとして必ず帰ってくる。今現在ひどい目に 遭うのは前世の因果応報の結果であるという因果応報、輪廻転生の仏教思想の染みついたこの言葉。 まあ現在は言ってる方も、聞いてる方もたいして意識してないのが普通だが、留学生は聞き取れて意味 分かったのかなあ、とか、キリスト教圏ではこういう時、どんな表現をするんだろう等とさくさく皮を 切りながら、興味深く考えた。

後日この言葉の話をブルガリアの留学生にすると、「輪廻の考え方で全ての命を対等に取るなら、解剖など で矛盾は生じない?」「いや、今の人は信じているわけではなくて・・・でもキリスト教でも悪いことする と地獄に堕ちるっていうじゃない」「う〜んでもそれは古い考えで、今は言わない」「こっちでは言うけど 信じてはいないんだよ〜」「先生は何か仏教と関係のある人なの?」「多分関係ないと思う。みんな意味は 意識してないけど言葉だけは残っている。日本語には仏教の言葉は多い。言葉だけ残ってるのも多い。 でもそういうのは他の国にもあるよね・・」「Oh my God!!とか」そうそう・・・

いの一番に、これは残すようにと言われたお腹の真ん中の静脈をいきなり切ってしまって流血。真ん中に あるはずなのに、途中から曲がっているんですもの・・・「体は教科書通りに出来ていない」をいきなり 実感する羽目に。おかげでその後は慎重に丁寧になったので良かったとは言える。

じっくり観察しつつ何枚ものスケッチを描く。観察しながらそろそろと膜を剥がし、腑分けし書き写す 作業は数時間同じ姿勢で固まっていても全然気が散らない。未だかつて勉強で徹夜出来たことはないが、 縫い物及び手芸、又は絵を描いていれば簡単に徹夜が出来る私には、結構向いている作業といえる。 体というのが、やみくもにぐちゃぐちゃ詰まっているわけではなくて、実にきれいに合理的に独立しながら 繋がっている事にあらためて感心、よくこんなものができたなぁと感嘆。

動物の死体の、冷たいしっとりむにゅっとした感触は気持ち悪いに違いないが、これは台所仕事、料理に 携わる経験の有無でかなり変わると思った。料理って死体処理に他ならないもの。 同じ作業をするのでも、ピンセットとハサミでするのと、素手でわしづかみ&ハサミという方法と出来るが、 最後の頃に周りを観察すると、意外と女の子の方がわしづかみ派が多かった。「カエルと思わなければ・・」 (皮を剥ぐところで)「鳥に似てるよね・・」とのささやきがあちこちから聞こえた。

などと考えつつ帰りに週刊誌を買うと、週刊朝日9月17日号に作家の桐野夏生のインタビューがあり、 肉は血が出るし、魚はばっと内蔵が出る、「あれって生身の肉ですよね。それを毎日調理している感覚は 男の人にはないんじゃないか、その中から何か違う度胸が生まれるんじゃないか、と言う発想はちょっと あったんです」という談話が載っていて、タイムリーで面白かった。
私自身、ウシカエルを最初に切るときはいやだったけど、その前日に、夕食の用意の時にアジのハラワタを つかみだしたら、その中から殆ど消化してない4センチぐらいの小魚が何匹もぞろぞろ「こんにちわー」 って感じで出てきたときの方が、はるかに怖かった・・。

生物室探訪

夏休みのアルバイトの時に会った院生の女性(←美人)の、いつでも見においで〜と言うお言葉に甘えて 生物室に見物に。先生も交え、研究対象のペンギンの羽や写真を見せてもらったり、研究生活よもやまを 聞かせてもらって、とても楽しかった。その時先生に「先日解剖の時「因果」という言葉が出て、留学生と こういう話をしましたが・・、潜在的にある輪廻転生的な流転の東洋思想は、 西洋の生物学者と何か解釈の違いのようなものを生じさせますか?」と尋ねると、先生もそれはよく考える、 確かにあると思うとのことだった。とても面白いテーマなのでゆっくり考えようと思った。

ゲジ発見

校舎の前の地面に、3〜4センチほどの不審なものが蟻に引かれているのを見つけた。しゃがみ込んで 見てみると「・・・シャコが落ちてる??」(触角や脚の一部が無くなってたので一層シャコに似てた) 一緒に歩いていた女性が「う〜ん、これは虫でしょう。」確かによく見ると虫のよう・・でも、本当に初め て見る虫だった。ムカデの足を長ーくして、体の節を少し長くしたような。「じゃあ、家で調べてみるわ」 とその女性がつまみあげて、ふっふっとアリを払った。 彼女は生物系学卒、だんなさんは昆虫学者。「わーい!じゃあ明日教えてね」「どうやって持って帰ろう かな〜」「シャーレ借りてきたら?」「そうね」とやっていると、もう一人の女の子が「やだぁもぉ 二人とも〜・・・・」

翌日、あれ何だった?と聞くと「ゲジだった。」「ゲジ?ゲジゲジのゲジ?それ正式な名称?」 「ゲジゲジは俗称みたいよ。細かくいうと多分カマクラオオゲジ。ゲジ目ゲジ!」 へぇぇぇ〜。なんだか見事な分類名・・。

「だんなさん(蜂が専門)は知ってた?」「帰ってきてから見せたら”あ、ゲジだね”って言ってた。」 さすが。専門外でも何でも知っているんだなぁと感心していると「それに、知り合いに”ゲジの大家”が いるんだって。」
”ゲジの大家”・・・この世は広い。

<追加>知人によると、所沢にはいっぱいいたらしく、がけの土壁を剥がすと、そこにぞぞっと いたりして、ゴキブリのように素早く走り回る・・らしい。

ウシガエル解剖−2

体の神経系の観察の後、足の血管、筋肉の観察。生身の前回と違ってホルマリンで固まっているので ちょっとやりにくい。それに夢中になって顔を近づけて作業していると喉が痛くなるし、目もしみる。 あの見事なジャンプや平泳ぎをするためにこんなにいろんな構造があるんだなぁとひたすら感心しつつ、 観察魔に。

最後に下半身を切り離して骨だけにするのだが、ここはどうなってるのかな〜?この継ぎ目はどんなかな?と 殆ど素手でわしわし夢中でむしっていると、先生がそれを持っていってモニターに映し、「はい皆さん、 この位むしって下さいね〜」一同「げ〜」。いつの間にかむしり魔にもなっていたらしい。

足の骨の真ん中辺りに小さな孔を発見。「先生これは何でしょう?」「なんだろうねー」「骨髄に行く 血管の道?」「そうかなー」「唐揚げの鳥の骨にも同じ孔があって、血管がつながってるのをよくみました けど」(子供の頃から骨って棒みたいなのに血なんか通ってるのね・・と思っていた)「よ、よく見てるね」 「これも同じ?」「さぁ調べてごらん」後日図書館へ。

終わった骨は欲しければ持ってっていいよとのことで、じゃぁと持ち帰る。家に帰り着いたとき、まだ 寝ついていなかった子供達が寝室から出てきたので、じゃじゃーん!カエルさんの骨です。と足だけで 20センチはある胸から下の骨を見せた。二人はいったん10センチほど下がったものの、まだ幼児。 興味深げにずいずいと寄って来て、股関節の球(すべすべ)を「真珠みたい(@。@)」。こうやってこの くぼみにはまってグリグリって動くんだよ。ほほー(@.@)。「(足の)爪、伸びてるねぇ」いや、これは 伸びてるって言うかこういうもので・・「ここ(ひざ)は?」「これはホルマリンってお薬で固まっちゃっ て動かないの」「ホルマリン?ポケモンの名前みたい」そ、そうねぇ・・

そうそう、大学院のお姉さんにウズラの孵化した後の殻ももらったの。ほらー小さいよー! 「ぴよぴよって、でたの?」かわいかったよ〜。「へぇ〜(@.@)(@.@)。他には?他には?」これでおしまい。 じゃぁおやすみー!
だんな:「毎回なんか得体の知れないもの持ってきそうだなぁ・・」

必修物理化学

物理(受験時に物理選択のクラス)は一学期合格者の発表があり、しっかり落ちてしまいました。しくしく。 2学期で挽回できるといいけど。合格者は半分いないぐらい。歯学部にいたっては一人しか受かってない クラスもあるし、東大Dr.も落ちてるぞ。も〜そんなに物理をさせてど〜すんの〜。それが2年生になって も続くらしく、最近は物理実験にてんてこ舞いで走り回っている2年生をよく見かける。

私はずっと物理が好きで、物理に進もうと考えたこともあり、Z会の物理添削員もしてたけど、そんなの ここではぜーんぜん役にたたない。ちゃんと出席して、膨大なノートを取ってもさっぱり分からないんですもの。 数学の適性がないというのは大きいが、熱力学はよく分からない・・。

化学は2学期で熱力学やら何やらになってますます難しく(;。;)生体の研究に関わる実践的な内容らしいと 思うものの、まともに理解するまでに至らないのでまた試験前に突貫工事をする羽目になるでしょう。

ウシガエル解剖−3

前回の実習の後、図書館の奧の薄暗い殆ど物置きのような書架で「蛙學」(市川衛/裳華房)という本を見つ けて、気になっていた骨の孔を調べたら動脈の入っていく「栄養孔」というものだと分かった。 その本は蛙について微に入り細を穿ちそりゃもう綿密に載っていて、その他にも解剖していて謎に思い、 教科書や、実習室にある参考図書を見ても???と思ったところが大変明解に分かって良かった。 ただ、全文旧仮名遣い!でちょっと目がちかちか。後書きを見ると、”昭和26年 著者記す”ふ、古い・・。 後で先生に「蛙學」っていうのを見たら分かった。と報告すると「市川さん?」京大の学者さんで、動物学の 草分けのとても偉い人だったらしい。

脳と脳神経を見ながら、あ〜もう一度やったら、あれもこれもうまく見れたのに・・と思っていると、 ふらりと後ろを通った先生が「もう一回やりたいでしょ」。う〜ん・・私は”あ〜もう一匹やりたいっ!” って顔をしていたんだろうか・・。 それにしても爬虫類両生類というと、脳が小さい、単純、下等,とよくいうけど、それでもすごいなぁ・・。 やっぱり、生き物って偉い。

ラット解剖

朝、生物室の前の廊下を通ると、横が網になった段ボールがあり、見ると沢山の真っ白い大きなネズミが。 (わぁかわいい〜!大きい〜!あぁ今日までの命とも知らずに・・・・)と複雑な気持ちで覗き込んで いると、運んできたおじさんが、「先生まだ来てないんだよねー受け取りが要るんだよ。あなたでいいから ここにサインしてよ。」えっ?そんなん通りすがりの生徒が受け取っちゃまずいのでは?と困っていると 「あれっ?生徒さん?何だーじゃあダメだよね・・」・・・私は職員ではありません。

二人で一匹。ラットがドブネズミのアルビノだとは初めて知った。道理で大きいと思ったら・・。 顔やしぐさのかわいいこと、暖かいこと。今日の様子は、かわいいネズミやリスさんの大好きな娘には とても言えない・・と思った。先生曰く「あまり大人になると内蔵に脂肪がいっぱい付いて見にくいから、 今日のは若い、生殖年齢でいうとあなた方ぐらいのネズミです」ふーん。私は脂肪がいっぱい付いてるってわけね・・。

用はないけど見事なので寸断せずに剥がしたきれいな毛皮を見て、竹取物語に出てくる火鼠のカワゴロモ (漢字が出ない)ってこういうのかなぁ・・と妙にその場面が浮かんだりした。今回もホルマリン漬けと 生身の違いがよく分かる。用心していても本当にほんのちょっと手元が狂うだけで、あっ血管傷つけちゃ った、あ〜大出血〜。となるので、外科手術はつくづく上手な人にやってもらいたいものだと思った。

7時間以上かかって一山の肉片を築き、やれやれと家宅。一息つくと翌日は保育園の運動会なので、お弁当 の準備。唐揚げの下味を付けるべく一山の鶏肉をもみもみ。あ〜肉片だらけの一日だ・・と思った。 (ちゃんと手は厳重に洗ってます)

女子トイレ盗撮未遂事件 

9月30日の朝7時頃、朝の食卓を整えていると、テレビから「・・東京医科歯科大学の・・」と聞こえた ような気がして、ふと目をあげた。そこに写っていたのは、非常に見づらい映像だったが、ほとんど日の 落ちた暗がりの中に、見たような水色の建物が。えっ?これって教養部の校舎だよね?と驚いていると、

「昨日、教養学部校舎一階の女子トイレから出たところを職員に取り押さえられ・・・ビデオカメラを 持っており、外に止めた車にはそれを受像できる機材も積んでおり、盗撮目的でビデオを仕掛けようと したとして逮捕・・犯人は高校教諭で・・」

がーん!いつも使ってるトイレじゃないの。そう言えば昨日の夕方トイレに入ろうとしたらロープが張って あって「故障中・立入禁止」ってあったのは検証のためか!個室がいっぺんに壊れるなんて事あんのかと 不思議に思ったんだけど・・。あ、4限のとき窓から門のところにパトカーが見えて、あれ〜パトカーだ! なんか事故でもあったんじゃない?等と友達と呑気に話していたんだけど、それもか!未遂で良かった・・ けど気持ちわるーい・・・(18歳を狙って子持ち主婦が写っていたら向こうもショックだろうけど〜)

家でその話をすると、家人曰く「しかし、すぐ隣に和洋女子(高校、短大、大学のお嬢様方の園)があるのに、 何でわざわざ・・・」わざわざで悪かったね〜。まぁ門に守衛いないし、校舎は門からすぐだし、 第一おっさんが歩いていてもあまり目立たないしね・・。女子大とはガードの堅さが違うと言うだけの理由 では。実家の母曰く、「中には普通じゃない変わったのがいいって好みの人もいるんじゃない?」こらこら。

ニュースというのはたいてい繰り返すからまたやるかと思って見ていたけど、その日は下関通り魔大量殺傷 事件と、何かオウム関連の大きなニュースがあったので、そういうしょぼいニュースは全く繰り替えすことなく、 午後になると東海村のウラン工場の臨界事件で大騒ぎで全くそれどころではなくなっていた。

人の血液

指に針を刺して血を出し、それをプレパラートにこすりつけて薬品処理し固定標本にして観察、スケッチ。 自分を傷付けるのは結構大変で、あちこちで大騒ぎが持ち上がる。本などでお馴染みのドーナツのような 赤血球がうじゃうじゃ見える。「先生!今までで、こうやって見てみたら”あぁっ!私は鎌形赤血球!”って 事なかったですか?」「・・ないでしょ〜日本では」「やっぱりマラリアのあるとこじゃないとダメですか」 「まあアメリカはアフリカ系の血を引く人が結構いるから少しはいるらしいけどね・・・それでも少しだから、 日本じゃなぁ・・メリットない遺伝だし」う〜ん、やはり。せっかくだから丸くないのも見てみたかったけど、 標本はないようだった。

いくつかの血球を見つけなければいけないのだが、なかなか無いのもある。「俺の体にはリンパ球がないっ」 「東海村の人じゃあるまいに」といった会話がされる。先日のウラン燃料工場の事故で被爆した作業員は 血中にリンパ球がほとんどない状態で重体が続いている。このツブツブはすごく働いているんだなぁ・・・と、 大変不思議な気持ちで観察した。

帰って「今日自分の血を見たんだ〜。血ってねぇツブツブが入ってるんだよ」というと、5歳児曰く 「知ってるよ。赤いドーナツみたいなの。周りは黄色いんだよね(血漿のことか)」えぇ〜!! 「体のご本で見たもん!!」保育園の絵本棚おそるべし。

後日「小さいものを見る機械って、何て言ったっけ?」「顕微鏡のこと?」「そうそう。私も見たい。」 「じゃーこの間作ったママの血があるよ」ってことで小さなmy顕微鏡(小中学生が使うようなの)を 引っぱり出して見た。「おもしろーい。でもご本のと違う。ご本のは丸(赤血球)が赤いのに・・。」 (標本は殆ど透明)などと楽しんでいた。

うずら−1

6人に5羽のウズラが割り当てられ、飼育を始める。もう一つのクラスと合わせて班で10羽使い,なんか 行動に関する実験をしなさい。と放り出される。なんか??みんな最初のうちはやたら複雑だったり、 統計を出せるような結果がちゃんと取れないようなへんてこな案を大量に出して没の嵐。予備実験の日も 全然思うように行かなくやり直し続出。素朴な疑問を形にすること、実験が無意味にならないよう テーマを絞ること、方法、手順を洗練させること、検定しやすいような測定法を考えること、初歩の初歩 ながら学ぶこと大。

私の班は初め鳥の嫌いな目玉模様はどれかを調べようと箱の中に色々な目玉を張って入れてみたが、 行動の差を観察できるまでには行かず、断念。色々やっている内に目隠しをするとケンカをしなくなるとか、 目隠しを取った後もしばらくケンカをしなくなるという事が分かり、ストレスの与える戦意喪失の時間と いったテーマでやってみた。他の班は、迷路の学習や、ぐるぐる回して目が回るか、甘い餌辛い餌どれが 好きか,色は・・と色々。

テープで目隠しされたウズラを見た他の班の人が「うわ〜女の子ばかりの班(女5人男1人)なのに、 一番ひどいことしてる〜」私もウズラはかわいいんですけどね・・。
結局、すごくはっきりした結果が出て、統計による仮説の検定もばっちり!の予定が、1つだけとんでもない 予想外の数値結果を出した組があり、わずか5組の実験だったのでそれで一気に覆され、統計処理の結果、 仮説は正しいとは言えない、になってしまった。あ〜この一件のせいでっ!都合の悪いデーターを 捏造してまう輩の気持ちがちょっぴり分かった私達だった。

血筋?!

台風による高潮で熊本県松合地区に大きな被害が出た。そこには遠縁の寺がある。(都会の人なら一生 お互いに接触がないような遠い親戚も、田舎ではひとまとめに親戚付き合いがある。たとえ長年会うことが 無くてもある程度の動向は伝わる)母に電話し、「松合のお寺は大丈夫だった?」と尋ねる。一通りの話を したところで、「そうそう、あそこの次男(多分会ったことはないが、もうかなり年配)はお医者よ」あ、 そうなの?初耳。「飼ってたウサギが死んだ時、それを解剖して、家族にいやがられてね〜」・・・・・ 私にはヤギで同様のことをしたヤギのおじさんがいるのだが、 まだ他にもいたとは・・・・・。

追加add
もう一人発見。遠縁の寺の息子。と前回書いたけど勘違いでした。寺の親戚ではあるが親は僧では なく「政治ゴロ」とのこと。私:「政治ゴロって何?」A:「政治家の腐敗なんかをしつこく取材して追い つめてく新聞記者っているでしょ。あれ。」ふーん。これは標準語?それはともかく、その医者は岡山大学 の病理の教授だったそう。病理・・・解剖が好きだったんでしょうね・・・以上3人に共通しているのは 素朴で身の回りに構わないタイプであること・・らしい。

うずら−2

行動の観察から一週間、毎日世話をし、翌週は去勢手術、翌翌週は去勢が行動に及ぼす変化を観察した後、 断頭して殺し、解剖。翌週個人的に追加の解剖。 命ってなんだろう、とか、何かの目的のために殺すということはとか、実験動物って、等と色々な考えが 頭に浮かぶと思いますので、それをそれぞれよく考えて下さい、と先生の談。 ウズラ(に限らず)がとてもかわいいと思う私。元気になるとうれしくなり、苦しそうだと悲しくなる私。 助けてあげられるとほっとする私。被験体として貪欲に使おうと思う私。食材として料理を作る私。

血が嫌いな人、小鳥好きな人などには余り向かないので詳細は別ページにしました。
こちらです→うずら−2 詳細編へ 

'99お茶祭 

土日に行われた大学祭に家族4人でぞろぞろと初めて行ってみた。都合により土曜の午前中という 一番空いていそうな時間帯のみだったのも大きいが、4日間で10万人の人出を数える日本最大の学祭 (でもこの数年もめて中止続き)の怒濤の雰囲気しか知らなかった私達にはちょっとしたカルチャー ショック!!う〜ん、こういう慎ましくひっそりした学祭というのもありなんだねぇ・・。 もともと、病院の裏の方にごちゃごちゃっと大学部分が病院との境界も曖昧に生息しているので、いわゆる 「キャンパス」って雰囲気からは遠い大学なのだ。

もっとも、あとでパイレーツが来たり各種イベントや公演で盛り上がってはいたらしい。

展示を見物。まず付属の歯科技工士学校の入れ歯が出来るまでの展示。そして骨の動物園。リスから象まで の様々な動物の頭蓋骨展示。最後に目玉でもある「解剖展」。入った瞬間、ほんのわずかにだがホルマリン の臭いが漂っているのに気付く。階段教室で、カエルの脚の筋肉に刺激を与えて収縮させる実験の公開。 組織片が見られる顕微鏡。様々な人の骨の展示。机の上の紙の上に、説明板と共にことりと置かれている。 手に取ってみると人の骨は、とても白くて軽やかで、さらさらと美しい物だなぁと思った。

最後に、筋肉の様子を見られるように一部切り開いたホルマリン標本になった遺体が丸ごとケース内に 横たわっている。生身とはかなり様子が変わっているのでミイラっぽい。それに見入る人達は皆それぞれ 色々な想いで見ていたのだろうが、どう反応し、感想を述べれば適当なのか困惑といった風にも見えた。 私達もそれに近かったかも。子供達は今一つ生きた人間と結びつかないのか、あまり反応無し。

他に、受験生のための進路相談や、アルコールパッチテスト等の医学部っぽいものの他に、バザー、 各種芸術系の発表なども色々あったのだが時間がなかったのでそこで帰った。

イラストで見る'99お茶祭・ビジュアル編

海の外のお話 

前の大学時代、世界史を専攻していた妹が卒論のテーマに選んだのはブルガリア。彼女は高校時代に新体操 をやっていて、ため息の出るような花形選手達を輩出するブルガリアに親しみと興味を持ったのが縁だった。 私も資料整理や論文に添える図(断片的な写真をつなげて再現した伝統的な町並みのスケッチや、古い居間 の様子=大ざっぱな妹尾河童風)を描いたりと協力しているうちに、すっかり身近な国になった。

それから早○年。次に入った大学で、実験の指定席で「ヨロシクー」とお隣になったのが、ブルガリアから 来た美女のZ嬢。一生、実際にブルガリアの人と知り合いになることなど無いと思っていたのに、縁とは面白い。 世間話や勉強のことから、国、音楽、文化、おもしろかった本や日本のこと、話していると実にいろんな 発見がある。また、夏にご馳走になったヨーグルトのスープはとても美味しかった(昔妹が作ったのはちょっと 変だった)

最近話していて発見したこと。日本では仏教系の「因果」といった言葉はよく使うが宗教 的な意識はない。じゃんけんはアジアのもの、あみだくじ new(←「あみだくじ」のページを新設)は日本独特のもの。 (これで班の順番を決めていたら彼女は面白がっていた。順番を決めるとき、線に番号を引いてそれを 隠して引かせることはするが、あのようにはしご状にはしない、じゃんけんにあたるのは、コインの裏表や、 色違いの石を使った勝ち負けだそう) ブルガリアの畑にはウズラがいっぱいいる。鳥よけに目玉マークは使わない。スケアクロー(かかし)だけ。 etc.etc.

クラスが同じ中国から来たR君(東大院卒、賢い!)。私が、「前の大学の時、ちょうど天安門の事件があって、 うちの大学の留学生も随分デモしてたんだよ〜。ニュースの映像すごかったよね。まだよく覚えてる。」と 話すと、「僕も、あそこにいたよ。」えぇぇ〜!ただ、まだ大学の一年生で、何が何だかよく分から ないうちにかり出されて、よく分からない内に追われて汽車で移動したりした、あのときは市民の大半もデモに 出ていて大騒ぎだった、と言うようなといった話をしてくれた。あの頃のブラウン管の向こうの世界の ニュースの一片が今、目の前に!すごく面白い不思議な感覚。

その後も何かというと唐突に得体の知れない質問をする私。パスカル(気圧の単位)って向こうでどう描くの? (→すごく難しい漢字だった。ひらがなみたいなの無いからね,とのこと)ペットボトルを持っているのを 見つけて、中国の人は冷やしたウーロン茶飲まないって聞いたけど?「お茶は殆ど熱い緑茶だけ。 ウーロン茶は福建省の人だけじゃないかなぁ。」じゃあ学生は普段何飲むの?コーラとか?「う〜ん・・水かな」etc.

期末試験

必修、語学の他に、前期にはテスト等の無かった一般科目のレポートなどが立て込み忙しい。往復4時間 弱の電車の中の時間&夜の数時間をせっせと使う。そんな中でもテーマがフリーの文系科目のレポート作り や資料調べは楽しくて、つい時間を使ってしまう。特に面白かったもの。芸術:小沢健二の「今夜はブギー バック」とポルノグラフィティの「アポロ」を軸に「満たされた子供達の時代」。文学:「宮沢賢治の世界」。 民俗学演習:日本人特有の携帯ストラップの発達と伝統のマスコット飾り、根付けとの関連を軸に紐飾り を好む文化を探った「根付けと携帯ストラップ」。

週末は保育園のバザーがあったりでばたばた。更に娘に微熱が続き体に独特の薄い赤い発疹が出だした。 ん?いつも出る蕁麻疹と違うなぁ。ハシカにしちゃ熱が低すぎるけど、軽い症状ってのもあるかもしれない? とりあえず抗生剤を飲ませると引いたが、症状が散発するので医者に。すると、「あ、猩紅熱だ!」。 昔は死亡することが多かったので法定伝染病だけど、今は薬ですぐ治る。「猩紅熱って言うと保健所から 消毒の人来ちゃうから溶連菌感染症って言うと、法律に引っかからないんだよ。同じものなんだけどね。」 という昔の事情による法律への対策の現状などを聞く。初めに抗生剤やったら治まったんですけど。 「あ、それ正解。あとはしばらくそれ続けて根治しましょう。」とのことだった。

定期試験ごとに誰かしら何かあって、保育園をどれぐらい休むか、夜は寝れるかと冷や冷や、ばたばた。 しかしこの数年で子供の発疹には結構詳しくなったぞ〜。これがまた家庭の医学に載ってる典型例と 結構違うことも多いのだ。だから貴重な経験ともいえる。手足口病、突発性発疹、アトピーの湿疹、 乳児性湿疹、蕁麻疹の色々、とびひ、水疱瘡、そして溶連菌感染症!


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