考古学のおやつ/NEWSLINK

2025年3月31日（月）

福岡県: 大野城市の第三者調査委員会は、副市長と部長、課長各1名によるパワハラを認定。[西日本新聞]
5年間でのべ60人の職員が精神的な不調で病気休暇や休職となっていた。[NHK]
▶ 大野城市ハラスメント事案に関する第三者調査委員会の調査報告書の提出について [大野城市]
韓国: 慶尚北道慶州市の新羅王京（신라 왕경）で出土する多様な石造施設の一部は、廁間（トイレ）の痕跡だった可能性。[聯合ニュース]
▼新羅王京関連記事→2003年5月29日
授賞: 第49回藤森栄一賞に、林直樹氏。縄文時代の石棒などを研究。顧問を務める岐阜関高校地域研究部の活動も評価。長野県考古学会3/30発表。[信濃毎日新聞]

2025年3月30日（日）

中国: 山東省曲阜市の前漢魯王墓M3号墳で出土した鍍金遺物14試料の微細構造を分析。
▶ Ruiwen Ma, Zhimin Li, Ming Tang, Tongxiu Zheng, Hui Fang & Qinglin Ma (2025) Microstructural characteristics and formation of the gilded artifacts excavated from Han Tomb situated in Qufu, Shandong, China. npj Heritage Science, volume 13, Article number: 93.

2025年3月29日（土）

USA: フロリダ州（State of Florida）セント・オーガスティン（St. Augustine）のリンカンヴィル（Lincolnville）で、英国統治時代・1781年に築かれた堡塁。七年戦争が終結した1763年のパリ条約以降、フロリダはアメリカ独立革命後の1783年のパリ条約まで20年にわたって英国の支配下にあった。[Heritage Daily]

2025年3月28日（金）

インドネシア: インドネシアの短剣クリス（kris）のうち、ウィーン世界博物館（Weltmuseum Wien）が所蔵する、ニッケルを豊富に含む5振について、鉄隕石を素材に用いたか検証。同じ鍛造手法で、カンポ・デル・シエロ隕石（Campo del Cielo）やギベオン隕石（Gibeon ）の素材を混合した模造品を作成し比較。オリジナルのクリスのうち1振のみ（no. 900382）は、プランバナン鉄隕石（Prambanan）を素材に混入した可能性。ニッケルやコバルトが多く存在することは必ずしも鉄隕石使用を意味しない。
▶ Franz Brandstätter, Niels J. de Winter, Alessandro Migliori, Roman Padillia-Alvarez, Dan Topa, Seerp Visser, Steven Goderis, Philippe Claeys, Christian Koeberl (2025) On the possible contribution of meteoritic metal to Ni-rich Indonesian kris daggers: Comparing original daggers and newly forged analog objects. Meteoritics & Planetary Science, Early View.
トルコ: ティグリス上流のバシュル・ホユク古墳（Başur Höyük）で出土した、青銅器時代・前3100年～前2800年の生け贄となった人骨のうち、9体のDNA分析。生け贄たちは互いに血縁関係がなく、大半が女性（少女）と判明。さまざまな集団から集められたか、集まった人たち。[LiveScience]
▶ David Wengrow, Brenna Hassett, Haluk Sağlamtimur, William Marsh, Selina Brace, Suzanne E. Pilaar Birch, Emma L. Baysal, Metin Batıhan, İnan Aydoğan, Öznur Özmen Batıhan and Ian Barnes (2025) Inequality at the Dawn of the Bronze Age: The Case of Başur Höyük, a ‘Royal’ Cemetery at the Margins of the Mesopotamian World. Cambridge Archaeological Journal, First View, pp. 1 - 12.
▼バシュル・ホユク古墳関連記事→2023年9月10日
トルコ: トロイ遺跡（Troy）でシュリーマンが発掘したデパス杯（δέπας ἀμφικύπελλον；depas amphikypellon）から残留物を化学分析。コハク酸とピルビン酸を検出し、ワインを飲むために使われていたと証明。同様の杯は多数出土しており、エリートだけではなく平民もワインを味わったと推定。
▶Even the common people drank wine in Troy [Universität Tübingen]
▶ Stephan W.E. Blum, Maxime Rageot, and Tobias Mühlenbruch (2025) The Question of Wine Consumption in Early Bronze Age Troy: Organic Residue Analysis and the Depas amphikypellon. American Journal of Archaeology, Volume 129, Number 2.
トルコ: エラズー県（Elazığ）のタドゥム城（Tadım Kalesi；Tadım Mound）で、6000年前の聖なる炉2基。[Anatolian Archaeology]
ハンガリー: ヴェスプレーム県（Veszprém megye）のショムローの丘（Somló Hill）で、後期青銅器時代～前期鉄器時代の埋納。
▶ Bence Soós, Tamás Péterváry, Gábor Mesterházy, Tamás Látos, Ákos Pető, Mihály Pethe, Zoltán Kis, Zsolt Vasáros and János Gábor Tarbay (2025) Later prehistoric hoarding and habitation on Somló Hill, western Hungary. Antiquity, First View, pp. 1 - 8. [Cambridge Core]
デンマーク: 南フュン群島（South Funen archipelago）のトーシンエ島（Tåsinge）で、600年ごろの印章。英国サットン・フー（Sutton Hoo）の7世紀初めのかぶとの文様モチーフとよく似る。サットン・フーのかぶとが南フュン群島で作られた可能性を示す。従来はスウェーデンのウップランド地方（Uppland）由来とみなされていた。
▶New Find Links the Sutton Hoo Helmet to Denmark [Via Ritzau]
USA: ワシントンなどにあるスミソニアン博物館の展示について、トランプ大統領は、米国や西洋の価値観は本質的に有害で抑圧的なものとして描かれているとし、「不適切なイデオロギー」の排除を命じる大統領令に署名。[朝日新聞]

2025年3月27日（木）

滋賀県: 米原市・京極家墓所で、多度津藩5代高琢（たかてる）の墓からヒトの歯4本。分析の結果、高琢とは異なる歯とみられる。[中日新聞]
奈良県: 明日香村・甘樫丘遺跡群（あまかしのおかいせきぐん）で、7世紀後半の大型井戸跡や倉庫跡。乙巳の変で蘇我氏が滅亡した後、天武天皇が一体を大規模造成したとみられる。明日香村教育委員会3/27発表。[毎日新聞]
▼甘樫丘遺跡群関連記事→2023年5月26日
レバノン: 古代都市ポルピュリオン（Porphyreon）やシュヒーム（Chhim）で出土した初期ビザンティン美術の大理石66点を調査。大部分はマルマラ海のプロコンネソス（Προκόννησος；Prokonnesos）やプリュギア（Φρυγία；Phrygia）のドキメイオン（Δοκίμειον；Dokimeion）の大理石。ギリシャのレスボス島のものも少数見られる。[Greek City Times]
ウクライナ: メジボジA遺跡（Medzhibozh A）で、前期旧石器時代・更新世中期・40万年前に精巧な象牙加工。
▶ Vadim N. Stepanchuk, Oleksandr O. Naumenko (2025) The Earliest Evidence of Deliberate Ivory Processing Dates Back to Around 0.4 Million Years Ago. International Journal of Osteoarchaeology, Early View. [Wiley Online Library]
ドイツ: ニーダーザクセン州（Land Niedersachsen）シュターデ郡（Landkreis Stade）クーテンホルツ（Kutenholz）で、青銅器時代・紀元前1500年ごろの青銅製短剣2振。垂直に立てられており、奉納品と推定。[Landkreis Stade]

2025年3月26日（水）

韓国: 慶尚北道義城郡・孤雲寺（고운사：コウンサ）の建築が、山林火災のために焼失。[聯合ニュース]
韓国: 慶尚北道の山林火災による被害を避けるため、国家遺産庁が寺院の宝物10件、市・道の指定遺産10件を緊急移送完了。[仏教新聞]
韓国: 釜山市機張郡・長安寺（장안사）が、所蔵する文化財を博物館に移送へ。山火事被害に遭っている蔚山市蔚州郡から2km。[聯合ニュース]
ポーランド: イワヴァ（Iława）で中世・1000年前の剣の鞘の部品。プロイセン人の戦士の持ち物と推定。当地が古プロイセン人の領域だった時期。[Heritage Daily]
▼ヴァルミア＝マズールィ県（Województwo warmińsko-mazurskie）イワヴァ郡（powiat iławski；Iława County）
ベルギー: オースト＝フランデレン州（Oost-Vlaanderen；East Flanders）ゾッテゲム（Zottegem）のフェルゼーケ（Velzeke）で、ローマ時代のイヌの埋葬。[Ancientist]
スペイン: ハエン県（Provincia de Jaén）ポルクーナ（Porcuna）にあるオブルコ遺跡（Obulco）で、共和政ローマ・紀元前189年～前165年の貨幣鋳造のための石型。石材は地元産。内面に銅鉛合金が出土し、現地出土の銅銭と成分も一致。在地での貨幣鋳造を証明。[La Brújula Verde]
▶ María Isabel Moreno-Padilla, Mario Gutiérrez-Rodríguez, Manuel Molinos-Molinos, Rosa Fernández-Casado, Ginés de Gea Guillén (2025) Dealing with the archaeological invisibility of the Iberian mints: A technological and contextual analysis of the first stone mould for blank coin production found in Hispania. Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 63, May 2025, 105083.
▼オブルコ関連記事→2015年1月3日
UK（イングランド）: ノース・ヨークシャー州（North Yorkshire）メルソンビー（Melsonby）で、鉄器時代・2000年前の埋納品800点以上。英国最大級の埋納。多くは焼かれたり壊されている。あえて破壊することで富の大きさを誇示した。
▶The Melsonby Hoard [Durham University]
モザンビーク: キリンバス諸島（Quirimbas Islands）のイボ島（Ibo Island）の初期スワヒリ貿易の遺跡で11～12世紀の住居跡から出土した硬貨と青銅遺物について鉛同位体分析。現在のコンゴ民主共和国のキンシャサ（Kinshasa）の銅を使用。キンシャサの銅の出土としては最も遠い。リンポポ川中流域（Middle Limpopo Valley）を経由した交易ルートを推定。
▶ Ignacio Montero-Ruiz, Marisa Ruiz-Gálvez, Victor Fernández, Hilario Madiquida, Darío Herranz & Cezar Mahumane (2025) Lead isotopic provenance of some coins and other bronze items from an early Swahili site in Ibo Island (northern Mozambique). Azania: Archaeological Research in Africa.

2025年3月25日（火）

埼玉県: 本庄市・雉岡城跡（きじがおかじょうあと）で、意図的に崩されたような多数の石積みが。秀吉による落城か、あるいは家康の時の廃城にともなうものか。本庄市の調査。[東京新聞]
徳島県: 徳島県立近代美術館が所蔵する、フランス人画家ジャン・メッツァンジェの油彩画「自転車乗り」とされた所蔵作品は贋作。[朝日新聞]
韓国: 忠清北道忠州市中央塔面 塔坪里（탑평리：タプピョンニ）で百済支配層の古墳群。石室墓や石槨墓、土壙墓など95基。環頭大刀、鉄剣、土器など出土。忠州で百済古墳の発見は初。[NEWSIS]
韓国: 慶尚南道金海、京畿道楊平などで出土した鋳造鉄斧、鏃、鉄槍など鉄器31点を、発掘調査に参加して入手し、申告せずに自宅に隠匿していた、文化財研究院の60代の前地方所長を、文化遺産法違反容疑で京畿北部警察庁が在宅のまま立件。[聯合ニュース]
イスラエル: ユダ砂漠（Judean Desert）のナハル・ゾーハル（Nahal Zohar）で、ヘレニズム時代・2200年前の石造りのピラミッド形の遺構。ギリシャ語で書かれたパピルス文書、プトレマイオス朝アンティオコス4世の治世の銅貨、武器、木器、織物など出土。プトレマイオス朝とセレウコス朝との間の交易ルートを守るために築かれた。[Heritage Daily]
フランス: オーヴェルニュ＝ローヌ＝アルプ地域圏（Auvergne-Rhône-Alpes）ローヌ県（le département du Rhône）サント＝フォワ＝レ＝リヨン（Sainte-Foy-Lès-Lyon）で、中世～近代の砦と、教会墓地跡
▶ L’évolution d’un quartier fortifié de Sainte-Foy-Lès-Lyon (Rhône) au Moyen Âge et à l’Époque moderne [INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]

2025年3月24日（月）

富山県: 富山市・飯野小百苅遺跡（いいのこひゃっかりいせき）で、発掘調査が完了していないのに富山河川国道事務所が工事を発注し、奈良時代～平安時代の集落の土器や水路が損壊。[チューリップテレビ]
▶ 埋蔵文化財調査本発掘調査未了地における工事施工について[富山河川国道事務所]
韓国: 慶尚北道義城郡で起こった大規模な山林火災により、文化遺産が危機に。有形文化遺産を博物館に移送。[聯合ニュース]
韓国: 蔚山市の天然記念物、蔚州目島常緑樹林（울주 목도 상록수림）に山林火災の被害が及ぶ。[聯合ニュース]
韓国: 慶尚南道金海市・鳳凰洞遺跡（봉황동유적：ポンファンドンいせき）で、弁韓・2000年前の銘文漆器など、儀礼用の漆器15点。国立加耶文化遺産研究所の調査。[聯合ニュース]
▼鳳凰洞遺跡関連記事→2024年10月22日
韓国: 慶尚南道咸安郡・・伽倻里遺跡（가야리 유적：カヤリいせき）の阿羅加耶王宮推定地で、貯水施設を確認。[聯合ニュース]
▼伽倻里遺跡関連記事→2024年11月11日
インド: アーンドラ・プラデーシュ州（Andhra Pradesh）ヴィシャーカパトナム（Visakhapatnam）のペッダ・ルシコンダ海岸（Pedda Rushikonda）で、13～14世紀の花崗岩製のヴィシュヌ神の神像。[Arkeonews]
イスラエル: エルサレム（Jerusalem）のムスララ地区（Musrara）でモザイク床、墓石、土器などに6～7世紀のアルメニア語の銘文4件を発見。ダマスカス門の北側に6～7世紀にアルメニア人キリスト教徒がいたことを示す。[The Jerusalem Post]

2025年3月23日（日）

2025年3月22日（土）

ブルガリア: パザルジク州（Област Пазарджик；Oblast Pazardzhik；Pazardjik）レシチョヴォ市（Лесичово；Lesichovo）ボリメチコヴォ村（Боримечково；Borimechkovo）で、後期ローマ時代・1500年前の広大な集落。347年以降の火災で廃絶。ゴート戦争と関連か。[Arkeonews]
イタリア: カンパーニャ州（Regione Campania）ジュリアーノ（Giugliano）の古代ローマ植民市リテルヌム（Liternum）で、墓廟と、剣闘士の墓碑を伴う墓地。[La Brújula Verde]
ドイツ: シュレースヴィヒ＝ホルシュタイン州（Land Schleswig-Holstein）ラーデルント（Ladelund）で、後期青銅器時代、ローマ帝政期、ヴァイキング時代・10世紀の集落。ヴァイキング時代の竪穴住居は20棟あり、鍛冶工房や手工業工房を含む。
▶Eine Siedlung durch die Jahrhunderte in Ladelund[Archaeologie Online]
フランス: ブルターニュ地域圏（Région Bretagne）フィニステール県（Finistère）モルレー（Morlaix）で、ジャコバン修道院（couvent des Jacobins）の漆喰層の下から多彩色の中世の絵画。
▶À Morlaix (Finistère), l’archéologie du bâti révèle des peintures médiévales au couvent des Jacobins [INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
UK（イングランド）: ダービーシャー州（the county of Derbyshire）マトロック（Matlock）のファーリーの森（Farley Wood）で、森の中に立つ石材は、青銅器時代・3700年前のストーンサークルの一部。[BBC]

2025年3月21日（金）

北海道: 帯広市・落合遺跡で、旧石器時代～縄文時代の石器など1800点。帯広市の調査。[北海道新聞]
フランス: オー＝ド＝フランス地域圏（Hauts-de-France）ノール県（le département du Nord）オネン（Onnaing）で、後期青銅器時代～前期鉄器時代の農村集落。大型建物をはじめとして建物が密集。手工業生産の証拠。
▶ Un village de l’âge du Bronze à Onnaing (Nord) [INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
エジプト: イスマイリア県（Ismailia Governorate）Tell Roud Iskanderでラメセス3世の時代の軍事指揮官の墓。[Ahram Online]
南アフリカ: スワークランズ洞窟（Swartkrans）で、2百万年前の最小の人類パラントロプス・ロブストス（Paranthropus robustus）の女性人骨。成人の慎重103cm。二足歩行だけでなく、木にも登る生活。彼女自身はヒョウに噛まれて死亡した可能性。[LiveScience]
▶ Travis Rayne Pickering, Marine Cazenave, R.J. Clarke, A.J. Heile, Matthew V. Caruana, Kathleen Kuman, Dominic Stratford, C.K. Brain, Jason L. Heaton (2025) First articulating os coxae, femur, and tibia of a small adult ＜i＞Paranthropus robustus from Member 1 (Hanging Remnant) of the Swartkrans Formation, South Africa. Journal of Human Evolution, Volume 201, April 2025, 103647.
▼スワークランズ洞窟関連記事→2021年7月26日

キーワード検索日付検索
最新ニュース

ニュース編年表

きまぐれNEWSLINK：2025年3月下旬