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第192回

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あ〜諸君、この私がドルードル学園の事務局長である。

紅葉まっさかりな季節をむかえている。
ひとつの山で、ふもとの緑から中腹の赤や黄色、そして山頂の白へとグラデーションを かなでているところもあるだろう。
移りかわっていく様子も山ごとに、そして おなじ山でも年ごとに 異なるおもむきを届けてくれている。
日ごと、年ごとの定点写真を見てみたいね。
四季のうつろいでも、秋といえる体感はどんどん短くなっていないだろうか。グラデーションをたのしめるわずかな期間で しっかり目に焼きつけよう。

(  名前の前の "◎" は生徒会長  ・ [ ] 数字は回答投票の番号   )


伸びしろはまだあるか

▼第192回出題の問題図


出題:広島市・カーツ稲川君

(問題図を押して別表示)
自由曲線にあふれた今回の問題図。

「今回の問題図は過去最難関だと思います」(群馬・夢眠君)
という声に同意する生徒諸君は多いだろう。
複数の回答がむずかしそうな問題図は会長選挙で活かすこともあるけど、この図は授業で生徒諸君にチャレンジしてもらった。

いつもとことなる戦略をたてた生徒もいて、

「恐らく誰もが真っ先に思いつくであろうのをいざ作ってみると微妙に違ってたので外しました」(徳島・後野まつりくん)
微妙くらいなら投稿するかも、と思う生徒もいるかもね。どちらの戦略もただしい。
妥協した回答がのって、これ中途半端なまま投稿したんだった、と思いだしたときの むずがゆさもわかる。

ではその、おおくの生徒諸君が見いだしたであろうモチーフの回答たちから紹介しよう。

【めちゃくちゃ獲物を狙っているネコちゃん】(北海道・旅人君)[1]
ふだんは三角定規くらいのとがりようだけど、上からひっぱられてるかのようなピーンっぷり。こころなし鼻先までとがってないか。
よほど食指をそそられるターゲットなのだろう。よだれがあふれて 獲物にきづかれるなよ。

【「猟銃は遠くは狙えるが近くは狙えない」ことを知っている歴戦のオオカミは、銃を構えた頃にはすでにその真下に潜り込んでいるという】(兵庫◎ryu君)[2]
より野生味あふれる種類をえらんだ。鼻先のかたちも似合ってきてる。
山でのピラミッドでは最上位グループに君臨するオオカミ。あらたな天敵への対処法を いちはやく会得しているところはさすがだ。

さらにシュッとした顔の持ちぬしを見いだした生徒もいて、

【首をかしげるキリン】(夢眠君)[3]
右上にニョキってる部分をツノとした。先っちょのまるっこさがぴったり。
キリンは上を向いているイメージがつよいので、下を向くポージングを指示したわけだ。
かしげてるわけもほしくなってくる。ライバルとたたかうまえ、首の骨をポキポキ鳴らしてるところかな。

さて今回の元凶、もとい出題者君はどう見たてたか。

【秘技!『キリン念力(回文)』】(広島市・カーツ稲川君)[4]
かしげてるわけを超自然力にもとめた。
首、ツノ、模様と うまれながら特殊装備が満載なうえ、テレキネシスまで身にまとうとは よくばりな。
地面ちかくの たべものを浮かせるためだとしたら ホントによくばりだよ。

【五代目火影の綱手が口寄せした大ナメクジ】(夢眠君)[5]
首をかしげるナメクジ でも回答になるところを、キャラクターを召喚してくれた。
マンガとしたおかげで、生生しさがまぎれたね。

ナメクジが登場ということは、

【わ、枠外に殻があるんですよね……?(後野まつりくん)[6]
そのあいかたにも登場の機会はあるわけだ。
しかしいかんせん、まるいパーツがないだけに その境遇はずいぶん水をあけられたてしまった。
めいっぱい伸ばしているところに、まさに血眼になってマイホームをさがす必死さがあらわれている。住まいを取りあげたのはだれのしわざだ。


たいじする心構え

ぬるぬる目ぐねぐね科な回答を さらに紹介しよう。

【討伐直前、断末魔の咆哮をあげてのけぞる大蛇】(神奈川・DA☆君)[7]
ツノのない 生きものが主人公になると、とらえ方もまったく変わる。
カエルの回答もあったらバランスをとれたけど なかったよ。一騎打ちではひとたまりもなかった。

【大蛇に丸呑みにされるシャーロック・ホームズ】(ryu君)[8]
強力なアゴのもちぬしだけど、それにしてもでっかいと思っていたら、なるほど捕獲したばっかりだったか。
その獲物。帽子が特徴のキャラクターのなかでも このシチュエーションをイメージしづらいだけに インパクトは大きい。
さいごまでトレードマークをのこしてるところに、自信と余裕すら感じてしまう。つぎの回ではきっと!

【ヘラクレスオオカブトソフトモヒカン】(茨城・藤のの乃くん)[9]
カブトそのものにしようとすると、下半分の見立てが難しい。
髪形とは いいキャンバスをみつけてくれた。美容師の手にかかれば、ムリめな造型もたやすく実現してくれる。
おでこ付近がボリューム不足でソフトになったのかな。素材不足ではいたしかたない。

【マスカラのまつげに ぽろりグレーの涙♪】(後野まつりくん)[10]
かっちり固める場所は、ここにもあった。しっかり
さらになみだで まつげが集まってしまった。さすがにキリン顔にはならなかったようだ。

授業の中盤だけど、このへんで 種あかしをしてしまおう。

「問題図は「影絵の狐」に見えますが合ってますでしょうか(狐に加え、キリンとかユニコーンとかしかのこのこのことか動物系は競争率高そう)」(DA☆君)
いい勘してるぞ。ただ鹿ととらえた生徒諸君はいなかったよ。

「今回のドルードルは『写真ドルードル・第2弾』でした。元ネタは何だったかというと…逆光を活かしたポートレート写真でした!2023年7月に、広島市内某所にて撮影しました。」(出題者君)
おなじ予想をした生徒もいただろう。カーツ稲川君撮影のオリジナル も紹介しよう。
第192回問題図の元写真
逆光で撮っていたので、問題図としてイメージしやすかったね。

【その二重の極みは突き指するだけだと思う】(後野まつりくん)[11]
このポーズのときは あまり手を動かさない。先をピーンってしてるほうがきれいだからね。
それを攻撃、それも究極奥義でに使おうとするものだから結果は目にみえている。突き指ですめばいいのだが。


危険をかえりみない

今回は 半身をとらえた回答も多く寄せられた。
どの回答も、まんなかの三角形のくずれようを うまくとりいれてくれている。

【ドレス姿でバク宙チャレンジ、失敗】(ryu君)[12]
ほそくて平行なパーツというと、さっき紹介した指にならんで、腕や脚があげられる。
ドレス と バク宙 という、ふだんの居場所がまったくことなる単語が融合したときの破壊力はすさまじい。
今まさに回転中で、失敗というにはまだ早くないか。でももし問題図の下の線が地面だったなら…ざんねん。

【魔女のほうきの手離し運転は危険です……ほらひっくり返った】(DA☆君)[13]
こちらは関連性のたかい単語で構成してくれた。
たしかにスカート、それも大きく広がるシルエットのイメージがつよいね。パンツのほうがだんぜん乗りやすいのに。
地につかない超キケンなのりものなのに、ヘルメットもベルトも義務化されてない。身をまもるのは自分自身のテクニックだ。

【ダチョウのモノマネ中に強風にあおられる琴吹ゆず】(ryu君)[14]
こちらはしっかり地に足をつけてるけど、いかんせんまわりが見えないので 身構える余裕がない。
物理的刺激への耐性を犠牲にしてまでリアルを追求する姿勢には敬服せずにはいられない。

ここからは、たべものの回答を紹介しよう。
登校期間が8月から10月始めということもあって、こちらも不規則なかたちを うまく回答にもりこめた。

【めちゃくちゃ溶けてるソフトクリーム】(旅人君)[15]
チョコレートをかけてるタイプかな…ってかんがえてる間もないぞ、もう45°くらい かたむいてるじゃないか。
夏に野外でいただくソフトはスピード勝負。写真なんて撮ってようものなら みるみる原型をとどめなくなる。

【かき氷のシロップが片寄ったぁ】(後野まつりくん)[16]
夏のデザートの双璧が出そろった。こちらはシロップがつきものなので 説明もはぶけるね。
氷をのせるのに失敗したな、中腹に こんなでっかい谷をつくってちゃ シロップもよけようがない。臨時バイトの作品にあたってしまったか。

【ウエハースとスプーンを添えた金時かき氷】(夢眠君)[17]
こちらは うまく氷の山をつくれたね。トッピングも色が濃いものを選んでくれている。
スプーンも差さった状態で登場するのはあたらしい。食べられる素材でできてるならうれしい。
添えものの配置が気になる。やっぱ小さいほうがスプーンであってほしいぞ。

【あんこを入れすぎて破裂した生八つ橋】(DA☆君)[18]
三角で くろい具が入ってるたべものから選んでくれた。おにぎりだと ここまで勢いつかないね。
前回の体温計につづいて、和菓子が限界突破。工場見学の つくってみようイベント のあるあるだろうね。
本物をいただくときは もっとあんこがほしいと思うけれど、控えめで 栄養的にも物理的にもバランスがとれているのだろう。


そのアプローチはただしいか

授業も終盤だ、ここからスケールが大きくなってくよ。

【車が入れるのはここまで。駐車場の先は細い登山道です】(DA☆君)[19]
自然を題材にした回答にはうってつけだ。
けわしい山の中腹、ちょっぴりあった平らな土地で なんとか駐車場をつくれた。車道の幅からみつもるに 3台も入れば満車だね。
手前の行き止まりルートはトイレ道か、それとも帰ってこられない第二の登山道なのか。

地形の視点でとらえると、細長パーツは半島ととらえられる。

【スリムになった北海道】(旅人君)[20]
半島をいっぱい装備してる場所といえば。ダイエットでほそくなり、さらに半島が目立ったね。
そうなると、やせてったわけがほしくなる。まさに最大の特徴をそぎ落としてまで 実現したかったこととは。

【五輪招致に向けて上半身を絞った北海道】(夢眠君)[21]
東側や南側の半島がきわだってるところを、ダイエットとからめて表現してくれた。
しぼるというと、骨格はたもってるはずなんだけど、もはや見あたらない。北にもいい場所はいっぱいあったのに。
そんな必死さを目にして まわりが引いてしまったか、ざんねんな結果におわってしまったよ。

細長さに定評のある場所をもうひとつ。

【能登半島のハンドマークアイラブユーバージョン】(藤のの乃くん)[22]
先のほうをクローズアップ、まさに被害がおおきかった地域だ。みずからILYを演じてくれたら応援せずにはいられない。
先端から さらに細い半島がとびだした。津波を打ち消す防波堤になってほしいぞ。

今回の授業はこれにておしまい。
トップ賞の選定にうつろう。今回はこの回答だ。

◆◆◆ トップ賞 ◆◆◆
【魔女のほうきの手離し運転は危険です……ほらひっくり返った】
(神奈川・DA☆君)

手が問題図に描かれてなく、そのいっぽう 見えている足の描写を回答から外しているたところが心にくい。
ハンズフリー状態で180°くるり。絶体絶命にみえるけど、スカートや風のちからがうまく作用して 航行をつづけられるのだろう。

DA☆君のトップ賞は およそ2年ぶり。
獲得歴がおおいがゆえにペースは上がらないけれど、ハードルをのりこえての栄誉だ。
ますますの精進をねがおう。おめでとう!


第190回授業の投票

▼第190回出題の問題図


(問題図クリックで授業を表示)
第190回授業のなかから、生徒諸君が気になる回答をひとつ投票してもらった。
人気をあつめたのは回答を紹介しよう。

2票:【七宝柄の急須の蓋】(DA☆君)
  • ものすごく「うわっ」て思ったので

1票:【お弁当を付けたパタリロ】(後野まつりくん)
  • パタリロが懐かしいですね

1票:【「ケツだけ星人で勝負だゾ!ブリブリ〜」「負けないゾ!ブリブリ〜」「しんのすけのお尻にこんな大きなホクロはない!こっちがニセモノだ!」】(ryu君)
  • 一番ぽく見えたので

1票:【修学旅行の夜、ぼくが最後に見たものは、留学生のボブ君が投げた枕だった】(ryu君)

1票:【丸に人が10人ぐらい入るギガツイスター】(旅人君)
  • 発想の勝利

1票:【ボツ箱の中にはブラックホールがあるらしい】(後野まつりくん)

複数票をあつめたのが七宝柄の回答だ。
読んだ瞬間、柄が問題図のそとへひろがっていくのを感じたね。


おバカ回答投票

2024年度は「おバカな回答を投票で選ぼう」というイベントを開催している。
あらためて 会長がこのイベントを提案した意気ごみ を読んで、投票するときの心がまえを復習しておこう。
いよいよ今回から生徒諸君の投票が入ってきた。さっそく紹介しよう。

3票:【ブルーレイ版には「謎の光」が乳首からずれている特典映像を収録!】(夢眠君)

2票:【じゃんけんでつまみ食いの犯人を決めようとしたドラえもんズ……だが、手に証拠が】(後野まつりくん)

1票:【丸に人が10人ぐらい入るギガツイスター】(旅人君)

1票:【NASA「太陽フレアの影響が大きすぎる。よしここは、新開発の太陽風バリアを宇宙空間に展開!!」 地球上の人々「うわっ、空が真っ暗に!?」】(地中海刑事)

もっとも票をあつめたのが 謎の光。次点のドラえもんズも、思わず光景を想像してしまう。
総じて、このイベントのすべりだしは上々と言えるだろう。


おまけアンケート「子どものころ、将来何になりたかったかな」

アンケートの定番質問のひとつだ。これも意外ときいたことがなかったよ。

「なんかピザ屋さんとか言ってた記憶が・・・この時から食いしん坊だったということですね(笑)」(旅人君)
どの時代も、たべもの屋さんは なりたい職業の上位常連だね。
動機は2種類かんがえられる。活躍してる姿のカッコよさにあこがれて の方じゃなく、たらふく食べたいから だったか。
現実は、たえず窯に向き合ったりと そうとうハードだろう。本格的なお店じゃなくても、配達にまわったりと大変だ。

「本屋」(DA☆君)
ビルまるごとの どでかい店舗から、地方の国道沿いで怪しさをかもしだしまくりのお店までさまざま。どんな書店を構えたかったかな。
どのタイプにせよ 生きのこり競争のまっただなか。知恵をしぼって うまく軌道にのっても、いつまでつづくかわからない過酷な業界だ。

「将棋の棋士です。それほど上手くなかったので、部活で適当に楽しむ程度でしたが」(夢眠君)
ここ数年、脚光をあびている将棋プロ。
超特殊な業界だろうから、マイペースにたのしむくらいがいちばんだね。

「実は覚えてないんだな〜。そもそもその時から「何になりたいのか?」がハッキリしなかったし」(カーツ稲川君)
小学生のころ、文集とかに書かなかったかな。それも忘れちゃったか。
その仕事について、一線をしりぞくまで続けられた人って、クラスに1、2人くらいじゃなかろうか。

「小さい頃は家業を継ぎたかった(単に親の真似をしたがるアレですが)んですが、うちは弟が継ぐからとこんこんと諭されましてね、継いでない父親に。いろんな意味で理不尽に破れました」(後野まつりくん)
もっとも身近な大人とおなじことをしたい、という願いがめばえるのは自然だね。
その願望をリアル説得で はがされるとはヘビーな。まさかの豆腐屋さん?

局長はタクシーの運転手にあこがれていた。
料金とかが表示される箱に日本中の道路情報が入っていて、最適ルートを自動でたどるものと思っていたよ。そんなかっこいい車を乗りこなしたかった。
何年かのち、そんな大量の情報をしまえるわけもなく、ましてやルート検索なんてできっこないと気づいて、夢はついえたのだった。

「「なるほど・ザ・ワールド」のレポーターというニッチなものでした」(藤のの乃くん)
これこそニッチ、棋士以上にせまき門だ。
だからこそ、クイズにするくらい めずらしい場所につぎつぎと行けるのは とっても魅力的。
マイルもため放題だ。

「承認欲求の塊みたいな人間なので、お笑い芸人とか漫画家とか、誰かを楽しませる仕事につきたかったですね
まぁ仕事ではないですが趣味で小説書いたりウミガメのスープとか作ったりはしてますが…」(ryu君)

根っからのエンタテイナーだね。
この世界も、副業なく暮らしていられるのは ほんのひとにぎりなのだろう。
趣味で ぞんぶんに楽しむ方が しあわせだ。

おさないころ、いま、その両方と さまざまなアンケートを読めて楽しかった。
何十年ごしに ひょっと実現するかもしれない。幼いことの夢をおぼえてる生徒諸君は、ずっと持ちづづけていよう。

今回の授業はこれまで!

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