2004.11.13
誤字等No.121
Google検索結果 2004/11/13 マニュキア:5,720件
「シュミレーション」「コミニュケーション」に続く、正統派外来語系の替誤科誤字等、「マニュキア」の登場です。
日本人は、「ニュ」とか「ミュ」といった発音が関わると、なぜか間違いが増えるようです。
手の爪に施す化粧を意味する英単語は「manicure」、カタカナ読みすれば「マニキュア」です。
これが「マニュキア」に変化している様子は、小さい「ュ」の位置が移動しているあたりが上記の二例と似ています。
今では手の爪に塗る化粧液自体の名称として使われている「マニキュア」ですが、本来は「爪磨き」なども含む「手の爪に対する手入れ」全体を指す言葉だったようです。
一般に「ネイルケア」と呼ばれているものが、それに相当しているでしょうか。
直接の語源となったフランス語での表記は「manucurer」。
さらにその大元であるラテン語では、「manus (手)」+「cura (世話)」だとか。
そう考えると、前半が「マニュ」になるのは、ある意味「先祖がえり」のような現象です。
また、「manus」からは、他にも「manual」や「manufacture」などの言葉が派生しています。
それぞれ、「マニュアル」「マニュファクチュア」と読むのが一般的です。
同じ「manus」から派生しているはずの「manicure」が「マニュ」ではなく「マニ」なのは、むしろ「異端」なのかもしれません。
「マニュキア」と表記してしまう人の中に、こういった知識が災いしている人がいても不思議ではありませんね。
どちらが正解か、どうしても覚えられない人は、後半の「キュア」の部分を意識すると良いでしょう。
「治療する」という意味の英単語、「cure」です。
爪にマニキュアを塗る姿を、指に傷薬を塗る姿と重ねてみれば、そのシーンから「キュア」という言葉への連想が働くようになるかもしれません。
さて、今回表題として採用したのは「替誤科」らしい変化を見せた「マニュキア」ですが、使用されている件数でこれを上回っているのは、「マニュキュア」です。
マニュキア:5,720件
マニュキュア:6,630件
発音を捻じ曲げた外誤科か、あるいは余計な文字が入った過不科か。
いずれにしても、なんとも「発音しづらい言葉」という印象です。
書いている本人は、「何か変だ」とは思わないのでしょうか?
全く気にもしていないのか、なんとなく気にはしつつも「これで正しい」と思い込んでしまっているのか。
それとも、表記が異なること自体に気づいていないのか。
色々な原因がからんでいそうですね。
ではここで、最近恒例のバリエーション探しをやってみましょう。
まずは、本家「マニキュア」から「ニ」が変化したパターン。
マヌキュア:200件
マネキュア:9,250件
「マネキュア」の件数は、予想外の多さでした。
確かに、英単語としての「manicure」をカタカナ発音するだけなら、「ネ」でも間違いとは決め付けられません。
はっきり「ニ」と発音されるわけでもありませんので、「ヌ」でも「ナ」でも構わないとも言えます。
しかし、既に日本語化した「外来語」としての表記は「マニキュア」で事足りると思うのですが、そう解釈しない人もいるということでしょうか。
この「ニ」の部分は、「ナ行」以外の文字に変わることもあります。
マミキュア:8件
マミュキア:2件
「ュ」が増えた「マニュキュア」とは逆に、「ュ」が消えたものもありました。
マニキア:1,640件
そこから、さらに変化。
マヌキア:13件
マネキア:80件
後半の「cure」が、現代の英語で「世話」を意味する「care」になると、こうなります。
マニケア:4件
マニュケア:505件
中には、小さい「ィ」を使って「何か」を主張したがっているものも。
マニィキア:9件
マニキィア:8件
マニュキィア:10件
マニィキュア:39件
とりあえず、こんなところでしょうか。
これ以外での変化パターンを見つけた方は、ご一報ください。
ところで、手の爪の化粧が「マニキュア」ならば、足の爪の化粧は「ペディキュア」ですね。
当然、こちらにも「ペデュキア」「ペデュキュア」などといった誤字等があります。
いくつか、「亜種」の項にご紹介しましょう。
個人が書いた文章に誤字があるのは、仕方ありません。
「マニュキア」で正しいと思い込んでいても、責められるようなことではありません。
しかし、「ショッピングサイト」で、自らが扱う商品の名称を間違えているのは、納得いきません。
「商売人としての誇り」なんてものを持ち出す気はありませんが、もう少し、真面目に仕事をした方が良いのではないかと。
それとも、「マニュキア」で検索する人をページに呼べるように、わざとそう書いているのでしょうか?
日本人とは、かくも「入れ替え」に弱いのでしょうか。
このような「入れ替え」が原因と思われる誤字等の品種を、「替誤科(かえごか)」と命名しました。
manucire:4件
manucure:32件
peducure:59件
ペデュキア:546件
ペデュキュア:728件
ペディキア:85件