考古学のおやつ/NEWSLINK

2019年5月31日（金）

奈良県: 奈良市・平城宮跡の西宮に、二重の塀のうち外側の塀の跡。奈良時代の塀は1重だったため、退位後の平城天皇が住んだ「内裏」に当たると推定。奈良文化財研究所の調査。6/7現地説明会。[NHK]
奈良県: 奈良市・奈良教育大学の教育資料館が、耐震工事に伴う閉鎖から再開。[毎日新聞]
中国: 清華大学の構内で明・清時代の墳墓87基。完全な人骨出土。[新華社]
イスラエル: ドール海岸（Dor Beach）沖で2200年前の砦。セレウコス朝の王トリュフォン（Διόδοτος Τρύφων；Diodotus Tryphon）の西の防衛ラインを示す。[Haaretz]
トルコ: チャタル・ヒュユク遺跡（Çatalhöyük）の新石器時代・紀元前6410～前6150年の墳墓で、骨盤に相当する場所の堆積サンプルから糞石（coprolite）4点を検出。うち2点から寄生虫の一種・鞭虫（whipworm）の卵を発見。糞石は脂質の分析から雑食のヒトのものと確認。新石器時代に農耕の進展によって寄生虫による感染症が増加するとの仮説が立てられていた。[Forbes]
cf. Marissa L. Ledger, Evilena Anastasiou, Lisa-Marie Shillito, Helen Mackay, Ian D. Bull, Scott D. Haddow, Christopher J. Knüsel and Piers D. Mitchell. "Parasite infection at the early farming community of Çatalhöyük." Antiquity. [Cambridge Core]
ブルガリア: スヴィシュトフ（Svishtov；Свищов）のジシュトヴイ砦（Ziştovi）で、カルバリン砲の砲弾。ドラキュラ公（Vlad Drăculea）ヴラド・ツェペシュ（Vlad Țepeș；Vlad III）が1461年～1462年にオスマン帝国に勝利した時のもの。[Archaeology in Bulgaria]
UK: ザ・ロイヤル・ロンドン病院（Royal London Hospital）とケンブリッジ大学（University of Cambridge）の病院墓地で出土した19世紀後半の遺体99体（男性74体、女性25体）を調査。骨に残る解剖時のトゥールマークを詳細に記述し、記録と照合。解剖された遺体は男性が女性の2倍～3倍。ヘンリー8世が絞首刑を受けた重罪人の遺体の解剖を許可。1752年には殺人犯の解剖が許可されたが、解剖の対象は男性中心だった。[Forbes]
UK（イングランド）: リンカーンシャー州（Lincolnshire）サウス・ケスティーブン・ディストリクト（South Kesteven District）グランサム（Grantham）のセント・ピーターズ・ヒル（St Peter’s Hill）で13世紀のエドワード1世（Edward I；1239～1307年；在位1272～1307年；プランタジネット朝）時代の銀貨。マスケット銃の弾丸や土製パイプなども出土。[Grantham Journal]
UK（ウェールズ）: ケレディジョン（Ceredigion）タル＝サルン（Talsarn）のスランアレ（Llanllyr）で石器時代のフリント製の石斧。[BBC]
ケニア、タンザニア: ケニアやタンザニアの4000年前～1000年前の遺跡で出土した41個体のヒトの歯や骨からDNAを調査。アフリカの最初の牧畜民が、狩猟採集民との通婚によって牧畜法を狩猟採集民に広めた。単なる文化的な影響ではない。8000年前に中東から北東アフリカに入ったのち、6000年前から5000年前にかけて地元の狩猟採集民と遺伝子を交換。4000年前に東アフリカに至る。
Africa’s first herders spread pastoralism by mating with foragers[ScienceNews]
論文 "Ancient DNA reveals a multistep spread of the first herders into sub-Saharan Africa." Science 30 May 2019 [Science]
USA: メキシコ湾（Gulf of Mexico）で19世紀半ばの難破船。長さ37.8m。良好な保存状態。銅の覆いが木材を保存していた。アメリカ海洋大気庁（National Oceanic and Atmospheric Administration: NOAA）の調査船オケアノス・エクスプローラー（Okeanos Explorer）が発見。[FOX News]

2019年5月30日（木）

奈良県: 桜井市・纒向遺跡（まきむくいせき）で、3世紀前半～4世紀前半の遺構から陶硯に関連する木製品など。近くに武器の攻防があった可能性。[毎日新聞]
韓国: 慶尚南道陜川郡伽倻面梅岸里碑は6世紀大加耶の発展を伝える史料。「□亥年□月□日□□村廿六干支」。首長を意味する「干支」が561年に新羅が建立した昌寧碑に登場しないことから加耶のものと推定。1989年に発見。新羅の碑文か加耶の碑文かも決していなかった。[聯合ニュース]
ヨルダン: ペトラ博物館（Petra Museum）が再公開へ。[The Art Newspaper]
イスラエル: ケセム洞窟（Qesem Cave）で、40万年前の人類が、フリントを巧みに再使用して、動物の肉、皮、脂肪、骨を扱う特定の機能を持った小さく鋭い石器を作る。
Early Humans Deliberately Recycled Flint To Create Tiny, Sharp Tools[American Friends of Tel Aviv University]
アシュールヤブルディアン文化複合（Acheulo-Yabrudian Cultural Complex）の遺跡
論文 Flavia Venditti, Stella Nunziante-Cesaro, Yoni Parush, Avi Gopher, Ran Barkai. "Recycling for a purpose in the late Lower Paleolithic Levant: Use-wear and residue analyses of small sharp flint items indicate a planned and integrated subsistence behavior at Qesem Cave (Israel)" Journal of Human Evolution. Volume 131, June 2019, Pages 109-128. [ScienceDirect]
▼ロシュ・ハーイン（Rosh Ha'ayin）
ブルガリア: プロヴディフ（Пловдив；Plovdiv）でローマ支配下のトラキアのフォーラム（Forum）跡。柱頭など出土。トラキアのへロス神（Heros）に捧げる銘文など。西門をヘロス神が守っているというトラキア人の信仰を表す。[The Sofia Globe]
ポーランド: クヤヴィ＝ポモージェ県（Województwo kujawsko-pomorskie）ヴウォツワヴェック郡（Powiat włocławski）ボジャ（Bodzia）で2007年に調査された墓地は、最初は墓地ではなく、丘の上に設けられたミエシュコ1世（Mieszko I）のころ・10世紀末の武装エリートの単独の墓廟に始まる。この人物は人生の多くをスカンディナヴィアで過ごし、一部の遺物にはスカンディナヴィア由来の文様。[Nauka w Polsce]
フランス: ブルゴーニュ＝フランシュ＝コンテ地域圏（Bourgogne-Franche-Comté）ディジョン（Dijon）で中世末・15世紀の埋納銭。金銀貨33枚。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。[La Provence]
▼ブルゴーニュ＝フランシュ＝コンテ地域圏（Bourgogne-Franche-Comté）コート＝ドール県（Côte-d'Or）
フランス: ブルゴーニュ＝フランシュ＝コンテ地域圏（Bourgogne-Franche-Comté）ディジョン（Dijon）の旧サン＝ベニーニュ修道院（abbaye Saint-Bénigne）近くで、中世末・15世紀後半の金銀貨34枚の埋納。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
▼ブルゴーニュ＝フランシュ＝コンテ地域圏（Bourgogne-Franche-Comté）コート＝ドール県（Côte-d'Or）
ネアンデルタール人: ネアンデルタール人が時間の経過の中で、さまざまな要因（戦争、疫病、出生率低下など）によりいかに絶滅していったかをコンピューターモデルで推定。戦争や疫病などの破滅的事件や、生存率の低下、出生率の大幅な低下などでは、4000年～10000年にわたる現代人との共存の末に絶滅したことは説明できず。しかし、出生率が2.7％低下すれば10000年以内、8％低下すれば4000年以内で絶滅。気候変動の時代に当たっており、ネアンデルタール人は環境の悪化による出生率（fertility rates）のわずかな低下がもとで絶滅か。
ネアンデルタール人は最盛期にヨーロッパとアジアで7万人が居住し、ヨーロッパでは4万年前に滅亡したが、ネアンデルタール人の滅亡と現代人の拡散との関係が、直接的なもの（紛争など）か、間接的なもの（病気の蔓延など）か、長く議論されてきた。遺伝子研究で、両者が共存し、通婚すらあったことがわかっている。[LiveScience]
論文 Anna Degioanni, Christophe Bonenfant, Sandrine Cabut, Silvana Condemi "Living on the edge: Was demographic weakness the cause of Neanderthal demise?" PLOS One [PLOS One]
ギニア: ニンバ山地（Nimba Mountains）の熱帯雨林に住むチンパンジーが淡水産のカニを採って食べることを確認。従来、類人猿（anthropoid ape）は水を恐れ、水生生物を食べるのは避けると考えられていた。初期人類に関する考え方に再考迫る発見。[朝日新聞]

Chimps caught crabbing: Could some chimpanzees' crustacean crave yield clues about human evolution?[京都大学]
論文 Kathelijne Koops, Richard W. Wrangham, Neil Cumberlidge, Maegan A. Fitzgerald, Kelly L. van Leeuwen, Jessica M. Rothman and Tetsuro Matsuzawa. "Crab-fishing by chimpanzees in the Nimba Mountains, Guinea." Journal of Human Evolution. [ScienceDirect]
USA: フロリダ断崖（Florida Escarpment）沖160マイルのメキシコ湾の海底1460フィートで200年前の難破船。長さ124フィート。良好な保存状態。銅の覆いが木材を保存していた。アメリカ海洋大気庁（National Oceanic and Atmospheric Administration: NOAA）の調査船オケアノス・エクスプローラー（Okeanos Explorer）が発見。[Newsweek]
人類の移動: 後期更新世の人類はアジアまで北方のルートを通ってアジアに進出した。この時点では今より湿った環境だった。最小コスト経路（Least Cost Path）モデルにより分析。従来、インド洋沿いの南側のルートが強調され、北アジアや中央アジアは、砂漠や山などがあるため、初期人類の移動を研究する際には無視されがちであった。
Humans used northern migration routes to reach eastern Asia[Phys.Org]
論文 Feng Li , Nils Vanwezer , Nicole Boivin, Xing Gao, Florian Ott, Michael Petraglia , Patrick Roberts. "Heading north: Late Pleistocene environments and human dispersals in central and eastern Asia." [PLOS One]

2019年5月29日（水）

福岡県: 太宰府市・大宰府展示館の入館が7/1から有料化へ。2010年以降全面無料化されていたが、4月以降、新元号「令和」ゆかりの地として入館者が大きく増加し、駐車場確保などの臨時支出もあったため。[西日本新聞]
韓国: 京畿道坡州市汶山邑臨津里で、鎮西門の正確な形態や構造を把握。幅4.55m、長さ7.4mで、朝鮮時代の城門としては大きい。南北交通の要所で、朝鮮時代の最初の亀甲船訓練場。財団法人韓白文化財研究院の調査。[聯合ニュース]
韓国: 忠清北道忠州市漆琴洞の製鉄遺跡で百済・3～4世紀に製錬炉5基を新たに発掘。3～4世紀の製錬炉が都合25基となる。国立中原文化財研究所の調査。[聯合ニュース]
▼国立中原文化財研究所は2024年5月17日から国立中原文化遺産研究所
中国: 安徽省合肥市長豊県下塘鎮で、規模の大きな北宋時代の家族墓。[中国新聞網]
アラブ首長国連邦: アル・アイン（Al Ain）のヒーリー2遺跡（Hili 2）でレンガに鉄器時代・3000年前の城壁建設労働者の指紋。[The National]
▼アブダビ首長国
シリア: 最近政府軍が反政府勢力から奪回した領域にあるハマー県（Hama Governorate）カラートアルマディク（Qalaat al-Maddiq）のヘレニズム都市アパメア（Apamea）で、テロリストによる破壊の状況が明らかに。重機を使って計画的に攻撃、略奪し、トルコに密輸していた。国営放送SANAが報道。[UrduPoint]
ロシア: ノヴォシビルスク（Новосибирск；Novosibirsk）ウスチ・タルタス遺跡（Усть-Тартас；Ust-Tartas）で、初期青銅器時代・オジノ文化（Odinov culture；Одино）の墓2基。5000年前の墓から、鳥のくちばしの襟飾と、青銅製の眼鏡状のもの。鳥の扮装をしたシャーマンか。従来、オジノ文化は紀元前18世紀～前16世紀ごろとみられていた。[The Siberian Times]
ブルガリア: ソフィア（София；Sofia）のスラティナ（Слатина；Slatina）で初期新石器時代・7600年前の母子の墓。[Archaeology in Bulgaria]
フランス: サン＝ローラン＝メドック（Saint-Laurent-Médoc）の「砂塚」（Le Tumulus des Sables）には、新石器時代・紀元前3600年から鉄器時代・紀元前1250年まで2000年間に30人以上を埋葬。歯の同位体分析によると、被葬者の大半は地元出身1人だけはより寒い気候の地から死後に搬送。[LiveScience]
▼ヌーヴェル＝アキテーヌ地域圏（Nouvelle-Aquitaine）ジロンド県（Le département de la Gironde）
論文 Hannah F. Jamesa et al. "Who's been using my burial mound? Radiocarbon dating and isotopic tracing of human diet and mobility at the collective burial site, Le Tumulus des Sables, southwest France." Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 24, April 2019, Pages 955-966. [Cambridge Core]
UK（イングランド）: 北海の海底のかつての陸地ドッガーランド（Doggerland）で、中石器時代・10000年前の化石化した森林。人類の居住の痕跡発見に期待。[LiveScience]
南アフリカ: ケープタウン（Cape Town）、グリーン・ポイント（Greenpoint）のコバーン通り（Cobern Street）で人骨。1800年代、居住地の近くで犯罪者が処刑されることに対する苦情のため、政府が遺体をグリーンポイントに埋葬した。Heritage Western Capeの調査。[Cape Times]
USA: フロリダ州（State of Florida）タンパ（Tampa）で、投げ槍、火打ち石、おもちゃなど、10000年間に及ぶネイティヴアメリカンや米軍兵士、アフリカ系アメリカ人の痕跡。[Tampa Bay Times]
製紙: 茨城県小美玉市の農家が、「トロロアオイ」の作付けを2020年にやめることを検討。生産者の高齢化などによる後継者不足のため。手漉き和紙の粘材として使用。[日本農業新聞]
授賞: 北海道考古学会奨励賞に洞爺湖町の三谷智広氏。洞爺湖町内の貝塚から出土した動物の骨から当時の人々の暮らしについて分析。[札幌大学]

2019年5月28日（火）

鳥取県: 倉吉市・両長谷遺跡（りょうながたにいせき：第2次調査）で弥生時代後期の集落跡。焼失した竪穴建物や直径約10mで市内最大規模の竪穴建物を含む9棟。倉吉市教育委員会の調査。6/1現地説明会。[倉吉市]
熊本市: 中央区・熊本城の飯田丸五階櫓の石垣は、上部の石がより遠くへ飛び出す「前倒れ」と呼ばれる状態で崩れた。熊本市熊本城調査研究センターの分析。[熊本日日新聞]
この記事に対し、千田嘉博先生がTwitterで、「会議では確かに熊本城調査研究センターから記事のような報告がありましたが、委員からデータ解釈に疑義が示され、もっと詳細な分析が必要と結論しました。」と指摘。[千田嘉博_城郭考古学（@yoshi_nara）]
韓国: 慶尚南道咸安郡・末伊山古墳群の45号墳（木槨墓）から阿羅加耶・400年ごろの象形土器が多数出土。家形土器、船形土器、動物形角杯など。馬甲、冑、大刀なども出土し、最上位階層の人物の墓。頭流文化研究院の調査。[聯合ニュース]
イラン: ハマダーン（Hamadān）でイルハン朝・800年前の地下都市サレー・アバド（Saleh Abad）。イスラーム時代の土器出土。従来は第二次世界大戦当時の隠れ家と考えられていた。[Iran Front Page]
トルコ: ハサンケイフ（Hasankeyf）で11000年前の都市が水没の危機。25マイル下流のウルスダム（Ilısu Dam）建設のため。[MSN]
▼バトマン県（Batman ili）
ブルガリア: ハスコヴォ州（Област Хасково；Oblast Haskovo）ディミトロヴグラト（Димитровград；Dimitrovgrad）のブロト（Врод；Brod）にある聖ネデリャ教会（Света Неделя；St. Nedelya Church）での盗掘がきっかけで墳墓5基を発見。[Archaeology in Bulgaria]
イタリア: ローマのフォーラム近くで、ローマ帝政期・2000年前のディオニュソス神（Διόνυσος；Dionysos）の大理石製の頭部。中世の壁に転用されていたが、保存状態は良好。もとは巨大な像の一部で、目の部分にはガラスか宝石がはめられていたと推定。[The Local]
フランス: モゼル県（Moselle）アルガンシー（Argancy）でカロリング朝・8～10世紀の人骨とガロ＝ローマ時代の建物2棟とかまどなど。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。[France bleu]
▼グラン・テスト地域圏（Grand Est）
フランス: パリのルーヴル美術館（Musée du Louvre）が、人員不足で大勢の来場者に対応できないとしてスト決行。美術館は臨時休館。[時事通信]
UK（スコットランド）: パースシャー（Perthshire）の「フォーティンゴールのイチイ」（Fortingall Yew）が、観光客が枝をお土産代わりに折り取ることで危機に。50年以内に枯死の可能性。樹齢3000年～5000年と推定され、英国で最も古い木（ヨーロッパ最古ともいわれている）とされる。[The Scotsman]
エジプト: トゥナ・エル・ゲベル（Tuna el-Gebel）でプトレマイオス朝の建物。紀元前1世紀と紀元後1世紀のアンフォラ、ウマヤロバの骨、ギリシャ語を記した陶片、プトレマイオス9世～プトレマイオス11世のころの銀貨。[Luxor Times]
▼ミニヤー県（Minya Governorate；Menia）
エジプト: マレア（Marea）の港で5～8世紀のバシリカの壁の裏側からエジプト最古級、4世紀の教会。ワルシャワ大学（Uniwersytet Warszawski）の調査。[The First News]

2019年5月27日（月）

北海道: 国後島のヤンベツ砂丘遺跡で続縄文文化などの竪穴住居跡100軒。オタトミでは17～18世紀のものとみられるアイヌ民族のチャシ跡5か所を発見。北方四島歴史・文化学術交流訪問団の報告。[北海道新聞]
群馬県: 高崎市・保渡田古墳群で仮面ライダージオウの撮影。[セギパバレンサギザザ（@segipabaren）]
パパイヤ鈴木さんそっくりの仮面ライダーが登場し、古墳で戦うらしい。[ねとらぼ]
中国: 雲南省昭通市巧家県・段家坪子古墓群で青銅器時代・2000年以上前の550基の墳墓。土器、石刀、貝貨など出土。[雲南網]
ブルガリア: ソフィア（София；Sofia）で、20世紀のアレクサンドル・ネフスキー大聖堂（Храм-паметник Свети Александър Невски；St. Alexander Nevsky Cathedral）と聖ソフィア教会（църква Света София；St. Sofia Basilica）の近くの敷石の下から、古代トラキアとローマ時代の都市セルディカ（Serdica）の東墓地からローマ時代・2～4世紀の石造りの墓。[Archaeology in Bulgaria]
フランス: オード県（Aude）ナルボンヌ（Narbonne）でヴィクトル・ユーゴー中学校（collège Victor-Hugo）の敷石の下から、壮厳な古代ナルボンヌ市庁の遺構。国立予防考古学研究所（INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives）の調査。[L'Indépendant]
▼オクシタニー地域圏（Occitanie）
UK（イングランド）: ケント州（the county of Kent）ニューイントン（Newington）で、18エーカーにおよぶ古代ローマ都市。神殿、幅7mの主要道路など。43年ごろの硬貨や宝飾品出土。[Mirror]

2019年5月26日（日）

京都市: 中京区・平安京跡の左京四条四坊一町で、高倉小路の西側溝に沿って塀とみられる柱跡の列。柱穴2か所はひとまわり大きく。門跡の可能性。11世紀ごろの中級貴族の邸宅のものとみられる。[産経新聞]
ブルガリア: ヴィディン（Видин；Vidin）のババ・ヴィーダ砦（Баба Вида；Baba Vida）でオスマン朝の火薬庫が修復を終える。オスマン朝のスルタン・バヤズィト2世（Bayezid II）の治世に火薬の自給を始めたこととかかわる。[Archaeology in Bulgaria]
ドイツ: ノルトライン＝ヴェストファーレン州（Land Nordrhein-Westfalen）・ヒュルスホフ城（Burg Hülshoff）の始まりは中世・11～12世紀と判明。LWL-Archäologieの調査。[Archaeologie Online]
▼ノルトライン＝ヴェストファーレン州（Land Nordrhein-Westfalen）コースフェルト郡（Kreis Coesfeld）ハヴィックベック（Havixbeck）
ノルウェー: オップラン（Oppland）で、2006年夏以降の猛暑で氷河が融け、3000点近い遺物。鉄器時代の衣服や1500年前の矢、3400年前の靴など。一方で遺物の保存の問題も。[CNN]
UK（イングランド）: コーンウォール州（the county of Cornwall）クラントック（Crantock）で青銅器時代・鐘状ビーカー文化（Bell Beaker culture）の遺物。墳墓とみられる土坑2基。紀元前2400年～前2000年のビーカー土器（Beaker vessels）出土。South West Archaeologyの調査。[CornwallLive]
アルジェリア: ティパサ（Tipasa）にある古代マウレタニアの王廟が公開。ユネスコの世界文化遺産。[Algérie Presse Service]
ペルー: ワシ・ワチュマ遺跡（Wasi Huachuma）のモチェ文化（Moche culture）・600～850年の建物の地下に納められた鍋にリャマの顔のシチュー。モルモットやトウモロコシ、マメ、カボチャ、ジャガイモ、、トウガラシ、カニ、ボラ、コカを含む。器の正面は東側、日の出の方向を向く。通常はチチャ（トウモロコシから作った酒）を醸造する容器。チチャは祭祀に重要な酒なので、チチャの容器を用いたシチューも特別なものと推定。テキサス大学リオグランデバリー校（University of Texas Rio Grande Valley）の調査。
Moche Cauldron Contained Llama Face Death Stew, With A Mild Chili Crab Bisque![Ancient-Origins]
論文　Guy S. Duke ‘Doing’ Llama Face Stew: A Late Moche Culinary Assemblage as a Domestic Dedicatory Deposit" Cambridge Archaeological Journal [Cambridge Core]

2019年5月25日（土）

熊本市: 熊本城小天守の石垣内側から、幕末の慶応年間につくられたとみられる滴水瓦。熱を受けて変色しており、天守が焼け落ちた1877年の火災の時に屋根にあったとみられる。[朝日新聞]
鹿児島県: 伊佐市・高熊山で塹壕跡や銃弾など、西南戦争の遺構・遺物。鹿児島県立埋蔵文化財センターの調査。[南日本新聞]
韓国: 朝鮮半島の非武装地帯（DMZ）のアローヘッドリッジ（Arrowhead Ridge）で、朝鮮戦争時の遺体や米軍の鎧、中国のガスマスク、フランス軍の認識票（dog tag）など。米国国防省発表。[Military.com]
ミャンマー: タニンダーリ地方域（Thanintaryi）で国際的な調査団が東南アジア最古の海のシルクロードの港を調査。2000年前にローマと中国をつなぐ。[The Myanmar Times]
サウジアラビア: ビール・ヒマー（Bir Hima）の岩絵の年代を、表面に形成されたロックバーニッシュ（rock varnish）により正確に計測する方法を開発。最古のものは7000年前、最新のものは数百年前。マックスプランク科学研究所（Max-Plank-Institut für Chemie）の研究。
Das Alter der Felsbilder[Archaeologie Online]
ヒマー（Hima）地域の岩絵（petroglyphs）や砂岩表面に形成されたロックバーニッシュ（rock varnish）を、蛍光X線分析（x-ray fluorescence）やフェトム秒レーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析法（femtosecond laser-ablation inductively coupled-plasma mass spectrometry）により調査し、年代測定の方法を開発。
論文 "Rock varnish on petroglyphs from the Hima region, southwestern Saudi Arabia: Chemical composition, growth rates, and tentative ages" [SAGE journals]
トルコ: カッパドキアのネヴシェヒル県（Nevşehir il）ギュルシェヒル（Gülşehir）で石積みの馬小屋に用いられた石材に、タバル王国（Tabal Kingdom）・3500年前に刻まれた新ヒッタイト（Neo-Hittite）の象形文字。[Daily Sabah]
▼何人かの方がネット上でご意見を示されており、どうやらDaily Sabahの記事の記述や年代観にはいくらか不正確な部分があるようです。
ドイツ: ノルトライン＝ヴェストファーレン州（Land Nordrhein-Westfalen）パーダーボルン（Paderborn）で中世・13世紀後半の壁。修道院が建設された1245年～1260年に一致。ヴェストファーレン＝リッペ地方連合（Landschaftsverband Westfalen-Lippe (LWL)）の調査。[Archaeologie Online]
UK（スコットランド）: エアーシャー州（Ayrshire）エア（Ayr）でローマ部隊のキャンプ跡。30m離れて2列並ぶ大型のパン焼きカマド26基。2015年に発掘されていたが、発掘終了後に進めた分析（post-excavation analyses）で、放射性炭素年代によりローマ時代・1世紀後半と判明。ローマの将軍アグリコラ（Agricola）による79年～88年のスコットランド征服に合致。従来、ローマ軍のスコットランド南部への侵略ルートはもっと東側に2ルート知られていたが、今回新たなルートが判明。スコットランド南西端の、アイルランドが見える場所に向かうルートで、タキトゥス（Tacitus）が描写した、アグリコラの進軍ルートに合致。GUARD Archaeologyの調査。
New Evidence for Roman Conquest of Scotland[GUARD Archaeology]
エジプト: カイロ（Cairo）・古代ヘリオポリス（Heliopolis）太陽の神殿で、前2千年紀後半の墓地など。[Archaeologie Online]
▼ヘリオポリス関連記事→2019年5月20日

2019年5月24日（金）

宮城県: 栗原市・入の沢遺跡（いりのさわいせき）の古墳時代前期の大規模集落から、大溝跡や材木塀跡。栗原市教育委員会5/23発表。5/25現地説明会。[河北新報]
▼入の沢遺跡関連記事→2019年5月23日
宮城県: 加美町の縄文芸術館を今年12月末で閉館へ。加美町5/23発表。[毎日新聞]
山形県: 米沢市・新田館跡から土塁や箱堀。田沢郷土史編集委員会の調査。5/26現地説明会。[山形新聞]
いわき市: 東日本国際大学エジプト考古学研究所の展示室「メル」を公開。[福島民報]
千葉県: 野田市郷土博物館・市民会館の指定管理者だったNPO法人野田文化広場が1/9指定管理者の指定返上を申し出、3/31までに正式返上し団体自体も解散。学芸員を野田市が直接雇用できないために、学校給食を扱う野田業務サービスが代わりの指定管理者となり学芸員を雇用。[野田市の指定管理者制度を良くする会]
韓国: 全羅北道長水郡天川面・三顧里古墳群（第2次調査）で竪穴式石槨墓3基、土壙墓1基を調査。規模がもっと大きな石槨墓の三顧里8号墳から、加耶の長頸壺・筒形器台と百済の横瓶が出土。両勢力の交流を示す。三顧里9号墳では銀環2個、鉄斧、鉄鏃、轡など出土。長水郡と全州文化遺産研究院の調査。1995年の群山大学校の調査で、錦江上流域が加耶の文化圏であることが判明した遺跡。[聯合ニュース]
▼三顧里古墳群関連記事→2018年9月19日
中国: 吉林省集安にある高句麗遺跡に保存状態の問題。広開土王陵とされる太王陵に、頂上に登るための観覧客用の石段が設置され、ところどころが崩れるなどの毀損。将軍塚でも変形・崩壊の憂慮。保存対策が急務。[聯合ニュース]
ブルガリア: ヴァルナ（Варна；Varna）にある古代都市オデッソス（Одесос；Odessos）の砦のビザンティン時代・5～6世紀の城壁で、南西の門を初めて発見。また、門から古代の市街をつなぐ石敷き道路の始点も発見。[Archaeology in Bulgaria]
ドイツ: バイエルン州（Freistaat Bayern）ケールハイム郡（Landkreis Kelheim）アルンホーフェン（Arnhofen）で紀元前6千年紀にフリント鉱山の開発が始まる。フリントは鋭い刃を生み出す石材で、「新石器時代の鋼」とも呼べる交易品。アルンホーフェン産のフリントの分布範囲が新石器時代・7000年前の貿易帝国の勢力範囲を示す。[Archaeologie Online]
ドイツ: バイエルン州（Freistaat Bayern）デッゲンドルフ郡（Landkreis Deggendorf）ニーダーペーリング（Niederpöring）で2015年に出土した、新石器時代・紀元前5500年～前5000年の「ニーダーペーリングの死者」（Die Tote von Niederpöring）の頭蓋骨から復顔。先祖はアナトリア出身。[derStandard.at]
エルサルバドル: ラ・リベルター県（Departamento de La Libertad）サン・ファン・オピコ市（San Juan Opico）ホヤ・デ・セレン遺跡（Joya de Cerén）で、倉庫とみられる新たな建物跡。土器や炭化した種子、トウモロコシの軸、黒曜石、獣骨など出土。イヌの骨に石灰化がみられ、関節炎を患っており、家畜とみられる。土地が平坦に成形されており、長期間の居住がうかがわれる。ロマ・カルデラ（Loma Caldera）火山の噴火で650年ごろ灰に埋まった集落。遺構の下にも居住の痕跡があり、これはイロパンゴのカルデラ（Caldera de Ilopango）の535年ごろの噴火後も集落が残っていたことを示す。イロパンゴのTBJ火砕流（Tierra Blanca Joven）の下層には後期先古典期・紀元前400年～後300年のウスルタン式土器（Usulután）も出土。さらに、後古典期（Post-Classic period）・900～1524年の赤色土器も出土。[Elsalvador.com]
▼ホヤ・デ・セレン遺跡関連記事→2018年11月23日
ペルー: ワシ・ワチュマ遺跡（Wasi Huachuma）の、モチェ文化（Moche culture）・600～850年の建物の床下に納められた土器に、リャマの顔のシチューの入った土器。チチャを醸造するときに用いるのと同様の容器で、土器の口が東側を向く。テキサス大学リオグランデバリー校（University of Texas Rio Grande Valley）の調査。[Forbes]
訃報: 柳宗玄氏1/16死去。101歳。美術史家。[朝日新聞]

2019年5月23日（木）

宮城県: 栗原市・入の沢遺跡（いりのさわいせき）で集落全体を囲む塀跡、大溝、盛土遺構の一部を確認。栗原市教育委員会の調査。5/25現地説明会。[栗原市]
▼入の沢遺跡関連記事→2018年6月8日
山形県: 米沢市・大南遺跡（おおみなみいせき）で2017年度に出土した僧形神像は15世紀前半。放射性炭素年代法で1421～56年。同遺跡の建物の柱や井戸枠も14世紀で、中世の遺構と確認。山形大学5/23発表。[毎日新聞]
▼大南遺跡関連記事→2019年2月7日
滋賀県: 栗東市・下鈎遺跡（しもまがりいせき）で20年前に出土した弥生時代後期後半の青銅遺物は、リング状の分銅「環権」の可能性高い。栗東市教育委員会5/23発表。[共同通信]
▼下鈎遺跡関連記事→2016年12月2日
島根県: 松江市・西百塚山古墳群のうち、19号墳で墳端を確認。墳丘は地山を削り出し、削り出した土を墳頂部分に盛土として利用していること、葺石は持たない構造であることが確定。大型円墳。島根県埋蔵文化財調査センターの調査。5/25現地説明会。[島根県]
▼西百塚山古墳群関連記事→2018年5月23日
韓国: 京畿道水原市・華城行宮で、朝鮮王朝第22代王・正祖の母である恵慶宮洪氏の還暦祝いの準備のために1795年に設置された「別厨」の跡を発見。26m×20m。[聯合ニュース]
韓国: 慶尚北道蔚珍郡・聖留窟の第8広場で、新羅第24代・真興王（在位540～576年）が560年に船で行幸したことを記す銘文。隷書の雰囲気を持つ楷書。真興王が生前から「真興」と呼ばれていたことを示す最古の例。「庚辰六月日/柵作榏父飽/女二交右伸/眞興/王擧/世益者五十人」。「眞興王擧」の字は大きめ。「庚辰の年（560年）6月、桟橋を作り、船頭に食事を与えた。女性2名に交互に補佐させた。真興王が行幸した。補佐したものは50名」。[聯合ニュース]
▼聖留窟関連記事→2019年4月11日
オーストラリア: ヴィクトリア州（Victoria）バジ・ビム（Budj Bim）で、先住民グンディッジマラ族（Gunditjmara）の6600年前にさかのぼるウナギの罠が世界遺産登録間近。[The Guardian]
オマーン: ドファール特別行政区（Dhofar Governorate）ワーディー・ガドゥーン（Wadi Ghadun）にあるマタファ遺跡（Matafah）で、33000年前～30000年前の幾何学形細石器。
論文 Jeffrey I. Rose ”30,000-Year-Old Geometric Microliths Reveal Glacial Refugium in Dhofar, Southern Oman” Journal of Paleolithic Archaeology pp 1-20 [SpringerLink]
サウジアラビア: アッ・セリアン港遺跡遺跡（Al Serrian；塞林）で、中国陶磁などを発見して中東と中国との海上交通を実証したマハディ・アル・カラニ（Mahdi al-Qarani）は、中国に留学して海のシルクロードの歴史や海底地形の研究法、文化財の保存などについて学び、何よりも研究者としての心構えや技術を身に着け、サウジと中国の共同調査のリーダーとなった。[CGTN]
ブルガリア: モンタナ州（Област Монтана；Oblast Montana）メドコヴェツ（Медковец；Medkovets）ラソボ（Расово；Rasovo）で、後期青銅器時代・Orsoya-Baley文化・紀元前1200年の集落。トラキア・紀元前5～前4世紀、ローマ時代・3世紀にも居住。第一次ブルガリア帝国（Първа българска държава；First Bulgarian Empire）・10世紀の小さな建物や、オスマン帝国以降の遺物も。[Archaeology in Bulgaria]
チェコ: 中央ボヘミア州（Středočeský kraj；Central Bohemia）スラニー（Slanýで新石器時代から初期鉄器時代の墓地。人骨、土器、鏃、銅剣など出土。[Radio Praha]
UK（イングランド）: レスターシャー州（the county of Leicestershire）のソア川（River Soar）近くで2015年に見つかった木製盾は鉄器時代・紀元前390年～前250年の盾。裏側に木片を当てて強化した、樹皮製の盾。縁はハシバミ、裏側の把手はねじったヤナギ。ヨーロッパでこれまで例なし。実験的に再現したところ、厚さ3mmでも充分戦闘に使用可能。19世紀半ばにテムズ川で発見された、鉄器時代の装飾盾「バタシーの盾」（Battersea shield）と同一の形態。レスター大学考古学サービス（University of Leicester Archaeological Services）の調査。[The Guardian]
外面は彩色で装飾。槍先によると思われる傷あり。年代は放射性炭素年代による。
Unique Iron Age shield found by Leicester archaeologists [University of Leicester Archaeological Services]
UK（ウェールズ）: ボース（Borth）海岸で、暴風雨ハンナ（Storm Hannah）の後、青銅器時代・4500年前の森林が露出。[Metro UK]
▼ケレディギョン州（Sir Ceredigion）
USA: メリーランド州（State of Maryland）ドーチェスター郡（Dorchester County）ケンブリッジ（Cambridge）で、「地下鉄道」（Underground Railroad）沿いに奴隷小屋（slave cabin）の可能性のある遺構。「地下鉄道」は北方に亡命する奴隷の支援ルートを比喩的に呼んだもので、奴隷小屋はその拠点となる収容施設。[The Baltimore Sun]
USA: アラバマ州（State of Alabama）モービル（Mobile）で、モービル川（Mobile River）のトウェルブマイル島（12 Mile Island）近くの難破船を、奴隷船「クロチルダ」（Clotilda）と確認。西アフリカのベニン（Benin）から黒人奴隷を輸送し、米国に到着した最後の奴隷船として知られた船。Alabama Historical Commissionなどの調査。
The ‘Clotilda,’ the Last Known Slave Ship to Arrive in the U.S., Is Found[Smithsonian Magazine]
奴隷船「クロチルダ」による最後の奴隷輸送は南北戦争中の1860年。
Last American slave ship is discovered in Alabama[The National Geographic Society]

2019年5月22日（水）

北海道: むかわ町・穂別博物館で、海生爬虫類の化石を展示していたガラス製ケースが壊される事件が発生。[北海道新聞]
鹿児島県: 指宿市・敷領遺跡（しきりょういせき）で、奈良～平安時代の層から古代の占い「亀卜」の道具とみられる五角形の鉄製品。指宿市教育委員会の調査。5/25現地説明会。[南日本新聞]
▼敷領遺跡関連記事→2008年9月10日
愛媛県: 大洲市・大洲城跡で、大洲城の前身とされる中世の地蔵ケ嶽城の曲輪を囲んだ石積み遺構。大洲城跡で中世城郭の明確な遺構は初。大洲市教育委員会5/22発表。5/25現地説明会。[毎日新聞]
台湾: 新北市立十三行博物館の横に新北考古公園5/25オープン。原始集落の雰囲気の中で、古代の衣食住などを無用で体験できる。[聯合新聞網]
ヨルダン: アンマン（Amman）郊外のキルベット・エス・サル（Khirbet es-Sar）にある、古代の神殿に2基の建物。1基は紀元前7世紀の一辺20mの正方形建物。もう1基は石灰岩のアーケード2列を伴うローマ時代・1世紀の長方形建物。祭神は不明。初期中世・9～10世紀には、ローマ時代建物の少なくとも一方が商店や住居に改造される。13～15世紀には工房や商店に。ワルシャワ大学（Uniwersytet Warszawski）の調査。
Jordan / Archaeologists study the changing history of ancient temple complex[Nauka w Polsce]
イスラエル: 北ネゲブ砂漠のエジプト人の遺跡アイン・ベソル（Ein Besor）や、テルアビブ（Tel Aviv）のエジプトの醸造遺跡で出土した土器など、紀元前4千年紀末以来の、ビールやワインに関係するとみられる土器の内面からイースト菌（yeast）を検出。[Haaretz]
トルコ: ブルドゥル県（Burdur il）アウラスン郡（Ağlasun）の古代サガラソス（Σαγαλασσός；Sagalassos）から出土した古代市民2人を復顔。2016年に発見されたローマ時代・3世紀初めの男性「ロードン」（Rhodon）と、1995年に発見されたビザンティン時代中期・11～13世紀の女性「エイレーネー」（Eirènè）。ただし本名は不明。ルーヴァン・カトリック大学（Katholieke Universiteit Leuven）の事業。
Gezichtsreconstructie blaast eeuwenoude inwoners van Sagalassos nieuw leven in
Facial reconstruction breathes new life into ancient citizens of Sagalassos[Katholieke Universiteit Leuven]
▼古代サガラソス関連記事→2015年7月25日
スロバキア: トルナヴァ県（Trnavský kraj；Trnava）ガランタ郡（Okres Galanta）で青銅器時代・ニトラ文化（Nitra culture）・紀元前2510年～前1930年の墓から人骨と銅のヤナギの葉形のこめかみリング（temple rings）、骨角製の管玉。女性の墓に典型的な副葬品。[The Slovak Spectator]
フランス: プロヴァンス＝アルプ＝コート・ダジュール地域圏（Provence-Alpes-Côte d'Azur）アルプ＝マリティーム県（Alpes-Maritimes）カンヌ（Cannes）沖で紀元前3世紀のアンフォラ17個。ワインを入れて船で運搬中に沈んだと推定。[France 3 Provence-Alpes-Côte d'Azur]
UK（スコットランド）: ルイス島（Isle of Lewis）ストーノウェー（stornoway）で17世紀の砦。厚さ3mの石壁。[BBC]
アイルランド: 南ダブリン市（south Dublin）ノックライオン（Knocklyon）のスカラーズタウン・ロード（Scholarstown Road）にある元首相リーアム・コスグレイヴ（Taoiseach Liam Cosgrave）の旧居近くで、中世の円形の防御性集落（ring-fort settlement）や墳墓83基。鉄製ナイフや砥石、ピン、土器など出土。聖パトリックの時代からノルマン人の時代におよぶ（450～1200年）。以前の報道で青銅器時代の墓もあるとしていたが、実証されず。[The Irish Times]
エジプト: 3500年前の墓でミイラの上に置かれていたスイカの葉のDNAを調査。苦みのもととなるククルビタシン（cucurbitacin）の生成が抑制されていたので味は甘い。また果肉は赤。スーダンのダルフール（Darfur）にある品種に近い。
Ancient Egyptians feasted on sweet watermelons at least 3500 years ago[New Scientist]
論文 Susanne S. Renner, Oscar Perez, Martina V. Silber, Mark Nesbitt, Michaela Preick, Michael Hofreiter, Guillaume Chomicki　"A 3500-year-old leaf from a Pharaonic tomb reveals that New Kingdom Egyptians were cultivating domesticated watermelon." [bioRxiv]
USA: 過去2000年間の花粉と炭化物と人口の研究により、アメリカ東部の森林は、気候の変動よりもむしろ、一部のネイティヴアメリカンが繰り返し焼いたことによって形成された。ネイティヴアメリカンらは、食用になる植物や、狩猟対象の動物が食べる植物などの好ましい植生を回復するために定期的に森林の下層を焼いた方がよいことを知っていた。気候と人為のどちらの影響が大きいかの議論は続く。なお、西部ではむしろ気候変動の影響が大きく、東部での研究は一般化できない。ペンシルバニア州立大学（The Pennsylvania State University）の研究。
Eastern forests shaped more by Native Americans' burning than climate change[The Pennsylvania State University]

2019年5月21日（火）

さいたま市: 中央区・与野西遺跡で和同開珎2枚出土。さいたま市教育委員会5/20発表。[毎日新聞]
京都府: 向日市・五塚原古墳（いつかはらこふん）と寺戸大塚古墳（てらどおおつかこふん）を、向日市が調査・活用のため買い上げへ。[毎日新聞]
高知県: 高知市・浦戸城で、長宗我部元親が築いたと見られる畝状竪堀群。公益財団法人高知県文化財団埋蔵文化財センターの調査。[NHK]
フィリピン: アグタ族（Agta）の狩猟採集社会では、農耕に従事することで余暇が減少。狩猟採集民より農耕民の方が重労働で、より多くの時間を労働に費やしているという長年の仮説を実証。
Farmers have less leisure time than hunter-gatherers, study suggests[University of Cambridge]
論文 Mark Dyble, Jack Thorley, Abigail E. Page, Daniel Smith & Andrea Bamberg Migliano. "Engagement in agricultural work is associated with reduced leisure time among Agta hunter-gatherers." Nature Human Behaviour (2019) [Nature]
イラン: シスタン・バルチスタン州（Ostān-e Sīstān-o Balūchestān）・「燃えた街」（Burnt City）で紀元前3千年紀のサルの骨。5歳程度。この地域にサルはおらず、東アジアまたは東南アジア由来。水を飲むために用いたガラス容器も副葬され、ペットと推定。ヒトと同様の埋葬方法であり、ヒトの子供と同じように扱われていた。サルは古代社会で貴族の象徴。[Iran Front Page]
▼シャフリ・ソフタ遺跡（Shahr-i Sokhta）
イタリア: マテーラ（Matera）で紀元前4世紀の古代ギリシャ墳墓。盗掘されておらず、プーリア地域で作られた一連の酒宴用食器を副葬。[Archaeology News Network]
UK（イングランド）: ケント州（the county of Kent）ファヴァーシャム（Faversham）のアビーファーム（Abbey Farm）で、ローマ時代の長さ150フィート×幅50フィートの建物。石壁と、磨いたテラコッタの床。床暖房。西の端に浴場やかまど。東側は農業に関連。5世紀にキリスト教の祭壇を持つ15m分を拡張。Kent Archaeological Field Schoolの調査。[Kent Online]
USA: ユタ州（State of Utah）ワシントン郡（Washington County）ワシントン市（Washington City）のシノブ・キブ遺跡（Shinob Kibe）がスプレーによる落書きで毀損される。現地のパイユート族（Paiute）の聖地に対し、ワシントン市の蔑称を書き込む。犯人の検挙に協力した人に1000ドルの懸賞。[Deseret News]
ベリーズ: エクワイナル（Ek Way Nal）の古典期（Classic Period）マヤ・300～900年の製塩遺跡で、水中からヒスイ製の石器。シタン製の柄がついたまま発見。古典期マヤの市場経済で、製塩労働者が重要な役割を果たし、富を得ていたことを示す。遺跡はマングローブ林に囲まれた海面のラグーンに所在するが、海面の上昇のため完全に水没している。ルイジアナ州立大学（Louisiana State University）の調査。
High-Quality Jadeite Tool Discovered in Underwater Ancient Salt Works in Belize[Louisiana State University]
cf. Heather McKillop, George Harlow, April Sievert, C. Wayne Smith and Michael C. Wiemann "Demystifying jadeite: an underwater Maya discovery at Ek Way Nal, Belize" Antiquity, Volume 93, Issue 368, April 2019, pp. 502 - 518 [Cambridge Core]

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