2019年6月30日(日)
- 山形県
- 南陽市・長岡南森遺跡で古墳のくびれ部とみられる地景を確認。南陽市教育委員会6/29発表。[毎日新聞]
▼長岡南森遺跡関連記事→2018年5月29日 - 中国
- 湖南省 懐化市 溆浦県・溆浦古墓群は戦国時代から前漢時代。巴文化の西銅剣出土。巴と楚の文化交流を示す。[新華社]
- イスラエル
- エルサレム(Jerusalem)のダビデの町(City of David)で2000年前の巡礼路。[The Jerusalem Post]
- UK(北アイルランド)
- モナハン州(County Monaghan)キャッスルブレイニー(Castleblayney)で第二次世界大戦中のP-38双発戦闘機。1942年12月に墜落。アイルランド陸軍により撤去されたと考えられていたが、今年になって見つかる。[BBC]
- USA
- ジェファーソン郡(Jefferson County)ポートタウンゼント(Port Townsend)で昨夏に見つかった骨のうち1店がヒトの足であると確認。ネイティブアメリカンとみられる。[Peninsula Daily News]
▼ワシントン州(State of Washington)ジェファーソン郡(Jefferson County)
2019年6月29日(土)
- 富山県
- 富山市・願海寺城跡で、全長29m、幅9mの堀跡。逆L字状。土塁が崩落したとみられる斜めに堆積した土砂や焼けた石も発見され、落城の際に火を放たれて攻め込まれたことを示す。富山市埋蔵文化財センターの調査。[中日新聞]
▼願海寺城跡関連記事→2019年6月8日 - 愛知県
- 豊橋市・吉田城跡(よしだじょうあと)の石垣で、6/12夜の雨の影響とみられる落石。現在は崩落を防ぐ応急措置。以前から石垣のはらみや空隙が指摘されてきたが、豊橋市は「危険はない」として、特別な対策を講じてこなかった。[東日新聞]
▼吉田城跡関連記事→2018年7月11日 - 三重県
- いなべ市・四辻遺跡(よつつじいせき:第4次調査)で、縄文時代早期の竪穴建物2棟。押型文土器出土。三重県埋蔵文化財センターの調査。7/6現地説明会。[いなべ市]
- 大阪市
- 大阪城にエレベーターがついていることを、6/28G20サミット昼食会で安倍首相が「大きなミス」と発言したことに対し、バリアフリーへの認識欠如として異論の声。[朝日新聞]
- 堺市
- 南区・泉北ニュータウン泉ケ丘地区で堺市が計画する公園整備をめぐり、須恵器の窯跡が破壊されるとして地元住民が懸念し、「すえむら濁池の窯跡を守る会」を結成。[毎日新聞]
- 奈良県
- 奈良市・平城宮跡の第一次大極殿院で過去に見つかった柱穴が奈良時代前期に国家儀式で使われた旗竿「幢旗」を並べた跡である可能性。[産経新聞]
- 島根県
- 松江市・南外古墳群(なんげこふんぐん)の5号墳から6世紀前半ごろの横穴式石室。松江市と松江市スポーツ・文化振興財団6/27発表。6/29現地説明会。[朝日新聞]
- キプロス
- The Cyprus Instituteが、北キプロスにある教会をデジタル復元。
CyI News/The Cyprus Institute, in Collaboration with the Department of Antiquities and the Byzantine Museum, Applies Advanced Digital Technologies for Ecclesiastical Heritage Protection and Preservation[The Cyprus Institute] - イタリア
- 骨の中の分子ごとに異なる振動を測定し、骨が焼けた時の温度を絞り込む方法を開発。骨が焼ける温度が上がると、分子の構成や配置が変化する。従来、骨は焼けると形や大きさが変わり、考古学的な情報が失われると考えられていた。これにより、イタリア4つの遺跡から出土した、新石器時代、銅器時代、ローマ帝政期、中世の骨を分析。中世のものは400℃(頭蓋骨は600℃)。銅器時代のものは500℃で、家事に用いるものと同様の火で焼いていた。新石器時代の獣骨は、人骨に対比して500℃以下で焼かれたとわかる。ローマ時代の同一の墓で出土した骨4個は400℃以下から900°までの様々な温度で焼かれていた。この墓ではランプの近くに埋葬された骨の温度が異なり、屈葬であることもわかった。[Los Angeles Times]
論文 G. Festa et al. "First analysis of ancient burned human skeletal remains probed by neutron and optical vibrational spectroscopy" Science Advances 28 Jun 2019: Vol. 5, no. 6, eaaw1292 [Science Advances] - チェコ
- ブルノ(Brno)のカテジナ洞窟(Kateřinská jeskyně;Catherine Cave)で新石器時代・6200年前の洞窟絵画。チェコ国内では最古の洞窟絵画。[Radio Praha]
▼南モラヴィア州(Jihomoravský kraj;South Moravian Region) - ポーランド
- ルブシュ県(Województwo lubuskie;Lubusz)ジャガン(Żagań)で、絞首刑に用いる鎖2個。重大犯罪の犯人に用いたと推定。うち1点は1716年9月に宣告された死刑執行に使用。処刑の後大衆にさらすため、ロープでは耐久性が足らなかった。従来、同様の鎖の完全なものは、ポーランドでは2例のみ知られていた。また、ロープや鎖を絞首台につなぐための鉄釘も出土。斬首された遺体や、犯罪者ではないが自殺して教会に葬ることができなかった遺体も発見。ジャガンの絞首台は16世紀から18世紀まで使用された。[Nauka w Polsce]
- ドイツ
- バイエルン州(Freistaat Bayern)トラウンシュタイン郡(Landkreis Traunstein)ゼーオン=ゼーブルック(Seeon-Seebruck)で、古代ローマ時代ベダイウム(Bedaium)の中央広場。土器、金属器、238年に統治したバルビヌス帝(Balbinus)の硬貨、獣骨など出土。Bayerische Landesamt für Denkmalpflegeの調査。[Traunsteiner Tagblatt]
- フランス
- イル=ド=フランス地域圏(Île-de-France)アントニー(Antony)のサン=サテュルナン教会(Église Saint-Saturnin)で、カロリング朝(700〜900年)にさかのぼる埋葬跡を調査。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。[Ville Antony]
▼イル=ド=フランス地域圏(Île-de-France)オー=ド=セーヌ県(Hauts-de-Seine) - UK(イングランド)
- ノーサンバーランド州(the county of Northumberland) ヘクサム(Hexham)のヴィンドランダ遺跡(Vindolanda)で、3世紀のトイレの排水溝から紅玉髄、碧玉。宝石への彫刻は優れているが、接着剤の質が悪かったため指輪から脱落。またウシやヤギの革で作られた兵士の靴、ゲーム盤なども出土。Vindolanda Trustの調査。[BBC]
- エジプト
- サッカラ(Saqqara)の階段ピラミッド(Pyramid of Djoser)の近くの墓地から2000年前のミイラ。木棺にはヒエログリフに似せた銘文。ワルシャワ大学(Uniwersytet Warszawski)の調査。[The First News]
- ペルー
- カニェテ(Cañete)で植民地時代・1748〜1817年のアフリカ人奴隷とその子孫の墓。アフリカで一般的な歯の変形により識別。重労働と栄養不足など、健康状態も判明。[Andina]
2019年6月28日(金)
- 埼玉県
- 熊谷市・前中西遺跡(まえなかにしいせき)で、弥生時代中期後半の独立棟持柱形式の掘立柱建物跡。祭祀にかかる象徴的な建物か。[熊谷市文化財日記]
▼前中西遺跡関連記事→2015年10月12日 - 山梨県
- 甲州市・大木戸遺跡(おおきどいせき)から平安時代の集落跡。甲州市教育委員会の調査。7/6現地説明会。[甲州市]
- 山梨県
- 山梨県立考古博物館から縄文土器を盗んだ疑いで警察に逮捕された元県職員の男性が不起訴に。[NHK]
- 三重県
- いなべ市・四辻遺跡(よつつじいせき:第4次調査)で、縄文時代早期の竪穴建物2棟。三重県埋蔵文化財センターの調査。7/6現地説明会。[いなべ市]
- 奈良県
- 明日香村・飛鳥寺旧境内で、風鐸の一部が出土。国内最古級の可能性。奈良文化財研究所6/28発表。[毎日新聞]
- 中国
- 広州 大仏寺の大雄宝殿南側で、晩唐時期の陶器が多量に出土。[中国新聞網]
- ブルガリア
- ヴェリコ・タルノヴォ州(Област Велико Търново;Oblast Veliko Tarnovo)スヴィシュトフ(Svishtov;Свищов)の古代ローマ都市ノヴァエ(Novae;Нове)で3世紀前半の大理石製の子供の頭部や、寝室用の便器。[Archaeology in Bulgaria]
- スイス
- バーゼル=ラント準州で、ローマ人が巨大なため池(Stausee)を設けていたことを示す堆積層。アウグスタ・ラウリカ(Augusta Raurica)に水を供給。中世まで存在。Archäologie Basellandの調査。[Basler Zeitung]
▼アウグスタ・ラウリカ遺跡関連記事→2018年4月2日 - ドイツ
- ノルトライン=ヴェストファーレン州(Land Nordrhein-Westfalen)パーダーボルン(Paderborn)で、中世・12世紀の市壁の基礎。Landschaftsverband Westfalen-Lippeの調査。[Archaeologie Online]
- UK(イングランド)
- コーンウォール州(Cornwall)カルストック(Calstock)にあるローマ時代の砦で、正門である西門付近を調査。ローマ時代の道路と、鉱山らしき遺構、砦の外に築かれた木造の軍事施設の跡など。また、中世・8〜13世紀の木造のロングハウスも。エクセター大学(University of Exeter)の調査。[University of Exeter]
- UK(スコットランド)
- エディンバラ(Edinburgh)のカウゲート(Cowgate)で、10世紀にさかのぼる建物や、当時の市域を区切る溝や城壁。エディンバラ城(Edinburgh Castle)や、タウンバラ(town burgh)よりもさかのぼる建物。[Edinburgh Evening News]
2019年6月27日(木)
- 中国
- 山西省 垣曲県の中条山で宋・金時代の磚石古墓。墓誌に「大金□□年」の文字。夫婦合葬墓。[新華社]
▼山西省 運城市 垣曲県 - インド
- アーンドラ・プラデーシュ州(Andhra Pradesh) プラカサム県(Prakasam)のガンドラカマ川(Gundlakamma)右岸で、石灰岩の柱など、3世紀の仏教遺物。[Deccan Chronicle]
- イラク
- クルド人自治区(Iraqi Kurdistan)ドホーク県(Dahuk)のチグリス川東岸に青銅器時代・紀元前15〜前14世紀のミタンニ王国(Mittani-Reich)の宮殿。日干しレンガ造りで。彩色壁画や楔形文字の粘土板も発見。テュービンゲン大学(Universität Tübingen)の調査。ミタンニ王国は北メソポタミアやシリアを支配していた。
Archäologen entdecken einen Palast aus der Zeit des Mittani-Reichs in der Provinz Duhok der Region Kurdistan-Irak[Universität Tübingen]
報道では、イラク北部の旱魃で露出。宮殿の規模は2000平米。[Kleine Zeitung] - オマーン
- アル・マジユーナ(Al Mazyoonah)のミタン地区(Mitan)で旧石器時代・新石器時代の石器と、狩猟対象の動物化石。[Times of Oman]
▼ドファール特別行政区(Dhofar Governorate) - イスラエル
- アインカシシュ遺跡(Ein Qashish)で中期旧石器時代後半・71000年前〜54000年前のネアンデルタール人の居住を確認。開地遺跡での短期間の多様な活動が繰り返されている。多くの開地遺跡は特定の目的のために短期間に使用されると考えられているが、アインカシシュ遺跡では、さまざまな目的のための繰り返し利用されており、従来よりも開地遺跡の重要性を認識。
Neanderthals made repeated use of the ancient settlement of 'Ein Qashish, Israel[EurekAlert]
論文 Ravid Ekshtain et al. "Persistent Neanderthal occupation of the open-air site of ‘Ein Qashish, Israel" PLOS One 14(6): e0215668. June 26, 2019 [PLOS One] - キプロス
- プロタラス(Πρωταράς;Protaras)沖でローマ時代の難破船。シリア(Syria)やキリキア(Κιλικία;Cilicia)からアンフォラを運搬。キプロスで見つかった、保存状態の良いローマの船としては初。キプロス大学(Πανεπιστήμιο Κύπρου;University of Cyprus)の調査。[in-Cyprus]
- イタリア
- フォッセッローネ洞窟(Grotta del Fossellone;Fossellone Cave)とサンタゴスティーノ洞窟(Grotta di Sant’Agostino;Sant’Agostino)で、中期旧石器時代・55000年前〜4000年前のネアンデルタール人が、石器に柄をつけるため松脂を接着剤として使用。石器に着いた有機物をガスクロマトグラフィー質量分析法(gas chromatography/mass spectrometry)で分析。コロラド大学(University of Colorado Boulder)の研究。[University of Colorado Boulder]
論文 Ilaria Degano, Sylvain Soriano, Paola Villa, Luca Pollarolo, Jeannette J. Lucejko, Zenobia Jacobs, Katerina Douka, Silvana Vitagliano, Carlo Tozzi. "Hafting of Middle Paleolithic tools in Latium (central Italy): New data from Fossellone and Sant’Agostino caves." PLOS ONE, 2019; 14 (6) [PLOS One] - スロバキア
- イェルシャヴァ(Jelšava)のコーブルク家(Coburg)の邸宅跡で、西側砦の南の部屋から古い城壁。北側砦と似た構造で、防御の機能を果たしたと証明。ごみ穴から17世紀の土器片。フィラコヴォ城(Fiľakovo Castle)の出土品と似ている。オスマン朝に支配されていた時代。[The Slovak Spectator]
▼バンスカー・ビストリツァ県(Banskobystrický kraj;Banská Bystrica Region)レヴーツァ地域(Revúca) - ドイツ
- テューリンゲン州(Freistaat Thüringen) ヴァイマラー・ラント郡(Landkreis Weimarer Land)エッタースブルク(Ettersburg)で、新石器時代・6000年前の墓地から屈葬された人骨2体。フリント製の石斧、骨器、鏃などを副葬。また、青銅器時代・紀元前2000年の墳墓15基からは土器が出土。Thüringer Landesamt für Denkmalpflege und Archäologieの調査。[Mitteldeutscher Rundfunk]
- ドイツ、ベルギー
- ヨーロッパでの8万年におよぶ遺伝的な継続性を証明。ドイツのホーレンシュタイン・シュターデル洞窟(Hohlenstein-Stadel Cave)とベルギーのスクラディナ洞穴(la grotte Scladina;Scladina cave)で出土した12万年前のネアンデルタール人2体は、いずれもより同時期のシベリアのヒトよりも、ヨーロッパの後の時代のネアンデルタール人に近い。
論文 Peyrégne, Stéphane, et al. "Nuclear DNA from two early Neandertals reveals 80,000 years of genetic continuity in Europe," Science Advances 26 Jun 2019: Vol. 5, no. 6 [Science Advances] - フランス
- パリのノートルダム大聖堂の火災の原因は特定できず。[時事通信]
- フランス
- オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏(Auvergne-Rhône-Alpes) イゼール県(Le département de l’Isère) グルノーブル(Grenoble)で中世末・13世紀の修道院の塀と、墳墓、人骨。[France 3 Auvergne-Rhône-Alpes]
- フランス
- コルシカ島のオート=コルス県(Haute-Corse)ヴェスコヴァト(Vescovato)で中期鉄器時代・紀元前5世紀の集落。ローマ時代・180〜300年の邸宅も。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。
Découverte d’une implantation du milieu de l’âge du fer à Vescovato en Haute-Corse[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives] - UK(イングランド)
- レスターシャー州(the county of Leicestershire)ブラッドゲート・パーク(Bradgate Park)で、石造りの建物。9日間だけイングランド王として在位したジェーン・グレイ(Jane Grey)の旧居と推定。レスター大学(University of Leicester)の調査。[LeicestershireLive]
- USA
- ニューヨーク州(State of New York) ベセル(Bethel)で、1969年のウッドストック・フェスティバル(Woodstock Music and Art Festival)の跡を考古学的に調査。[Gizmode]
▼ニューヨーク州(State of New York) サリバン郡(Sullivan County)
2019年6月26日(水)
- 福島県
- 会津坂下町・高寺山遺跡(たかでらやまいせき)で、古密教の祈祷で利用する修法壇や、湧き水をためる堰とみられる遺構。会津坂下町教育委員会の調査。6/30現地説明会。[福島民友新聞]
- 長野県
- 長野市・浅川扇状地遺跡群(あさかわせんじょうちいせきぐん)で、古墳時代から平安時代の竪穴建物跡や中世居館の堀跡など。長野県埋蔵文化財センターの調査。7/7現地説明会。[長野県埋蔵文化財センター]
- 佐賀県
- 佐賀市・柳町の思案橋で江戸時代〜明治時代の石垣護岸と、船に物資を積み下ろししていた雁木。佐賀市教育委員会の調査。6/29現地説明会。[佐賀市]
- 中国
- 成都市 青羊区・正府街遺跡で、明時代の郡王、慶符王府に関連する建物跡。竜文や鳳凰文の施釉瓦出土。晩唐五代〜南宋までの大型建物跡も。[中国新聞網]
▼四川省 - イスラエル
- カイザリア(Caesarea)で発掘された金属製品が、イスラエル古代遺跡管理局(Israel Antiquities Authority)の警備厳重な収蔵施設から盗まれる。[Haaretz]
- ロシア
- トゥヴァ共和国(Республика Тыва;Tuva Republic)のサヤン海で、干上がった湖底から青銅器時代〜チンギスハンの時代の遺構。フン族・2000年前の墳墓100基以上見つかり、女性被葬者は女司祭とみられていたが、革製品のデザイナーの可能性。革のかけら、糸、紡錘車、青銅製のウシ、ウマ、ヘビの像。また、中国・漢時代由来の絹、鏡、硬貨が出土し遺物も。[9News]
- ギリシャ
- アテネ(Αθήνα;Athens)のアクロポリス遺跡(Ακρόπολη;Acropolis)で、気候変動による浸食が過去にないほど進む。大気汚染や酸性雨が大理石を浸食。旱魃や豪雨などの異常気象が建築物に問題を引き起こす。1970年代以来保存対策が図られてきたが、屋外に露出する遺跡が国内に数百所在。[Reuters]
- フィンランド
- イソキューロ市(Isokyrö)・レヴェンルータ遺跡(Levänluhta)の鉄器時代・300〜800年の水中墳墓から出土した装身具は、フィンランドの鉄器時代に典型的な型式であるが、材料の銅はギリシャやブルガリアなどの南ヨーロッパ由来。地球化学的な分析と鉛同位体分析などから。ヘルシンキ大学(Helsingin Yliopisto;University of Helsinki)などの研究。[Heritage Daily]
論文 Elisabeth Holmqvist, Anna Wessman, Irmeli Mänttäri, and Yann Lahaye "Lead isotope and geochemical analyses of copper-based metal artefacts from the Iron Age water burial in Levänluhta, Western Finland," Journal of Archaeological Science: Reports Volume 26 [ScienceDirect]
▼レヴェンルータ遺跡関連記事→2019年6月11日 - UK(ウェールズ)
- ペンブロークシャー州(Pembrokeshire)で、ケルトの墳墓。後期鉄器時代のチャリオットや鉄剣を納める。[Western Telegraph]
2019年6月25日(火)
- 岩手県
- 岩手県立博物館で学芸部が自治体から預かった文化財の一部を切り取っていた問題で、日本文化財科学会が声明文「文化財の科学調査に伴う手続きの重要性について」を発表。[NHK]
文化財の保存修復を行うために必要な事前調査では、所有者に対し(1)必要性・正当性を提案し、(2)承諾を得て、(3)調査・分析の方法・結果を記録し、(4)それを所有者に報告し、(5)結果の公開などを経て論文等に使用。(6)分析に用いた試料やデータは再検証できるよう可能な限り保管・管理。声明文『文化財の科学調査に伴う手続きの重要性について』(pdf)[日本文化財科学会] - 大阪府
- 大東市・飯盛城跡で1560年ごろに築かれた石垣50か所。三好長慶の居城。織田信長が最初に石垣を導入した小牧山城(1563年)より早い。大東市教育委員会6/25発表。[毎日新聞]
- 奈良県
- 香芝市・平野塚穴山古墳(ひらのつかあなやまこふん)の墳丘で、二上山産の凝灰岩の切石。古墳の墳丘を飾るためにこの石材を用いた例は、天皇を葬ったとみられる2古墳(野口王墓古墳と牽牛子塚古墳)に続き3基目。同墳にも王族が葬られていた可能性。香芝市教育委員会5/25発表。6/30現地公開。[毎日新聞]
- 大分県
- 宇佐市・小部遺跡(こべいせき)で古墳時代前期の豪族居館内部から4間×3間の大型掘立柱建物。首長居館の中心的な建物。宇佐市教育委員会の調査。6/30現地説明会。[宇佐市]
- 韓国
- 慶尚南道 南海郡 昌善面の国道3号線工事中に、青銅器時代・紀元前5〜前4世紀の支石墓や琵琶形銅剣、無文土器など。南海郡での青銅器時代遺跡の発掘調査は初。三江文化財研究院の調査。[聯合ニュース]
- ロシア
- ノヴォシビルスク諸島(Новосибирские острова;New Siberian archipelago)のコテリヌイ島(Котельный;Kotelny Island)で出土したマンモスの牙に加工の痕跡。鋭い刃を作り出す。島は更新世には大陸と地続きだった。[The Siberian Times]
- イタリア
- プッリャ州(Regione Puglia) ブリンディジ(Brindisi)沖の海底で紀元前2世紀からローマ帝政期後期までのさまざまな型式のアンフォラ。フォルリンポポリ(Forlimpopoli)のアンフォラが出土し、同地がブリンディジの所在するサレント半島(Salento)と交易していたことを示す。また、17世紀の帆船の滑車とロープも。[LecceSette]
- フランス
- ノートルダム大聖堂に埋葬されていたルイ9世のものとされる下顎骨を、同王のものと確認。骨の死亡年齢と王の死亡年齢が一致し、形態は大聖堂に設置された王の肖像彫刻と酷似。放射性炭素年代は1030年〜1220年でルイにしては古すぎるが、ルイの食事は魚に偏っており、海洋では炭素14は少ないので、数値が古めに出たとみられ、矛盾せず。死亡時に重い壊血病(Scurvy)の証拠。ビタミンCの不足によっておこる病気。第8回十字軍としてチュニス(Tunis)を包囲中の1270年に死亡したが、遠征中は魚に偏った食事をしていたらしい。年代記にもルイの軍隊には壊血病が多かったと記載。従来はペストや赤痢で死んだと伝えられていた。[LiveScience]
論文 P. Charlier, A. Augias, N. Benmoussa, P. Rainsard, P. Froesch, P. Richardin, A. Froment, R. Bianucci, O. Appenzeller, A. Perciaccante, D. Lippi, L. Prades "The mandible of Saint-Louis (1270 AD): Retrospective diagnosis and circumstances of death" Journal of Stomatology, Oral and Maxillofacial Surgery [ScienceDirect]
▽LiveScienceの記事では、ルイ9世の下顎骨と同定するところと、壊血病の傍証の両方で「魚に偏った食事をしていたらしい」と出てきますが、「魚に偏った食事」自体の証明は書かれていません。ちょっと都合よすぎる気が▽元の論文には書かれていると期待しますが、有料なので読めず。 - ノルウェー
- ヴェストフォル県(Vestfold)のヴァイキングの墳墓218基で出土した副葬品を分析。ヴァイキングの上位階層は、男女とも料理道具を含む共通の副葬品とともに埋葬された。当時、調理道具はもてなしを象徴し、重視されていた。従来、ヴァイキング性的な分業は明確で、女性は料理や子育て、男性は行動的で戦いに従事したと考えられていた。
Viking men were buried with cooking gear[Science Nordic] - UK(スコットランド)
- ダンフリーズシャー(Dumfriesshire)ダルズウィントン(Dalswinton)にローマ軍が存在したことを、航空写真、地球物理学、LiDARにより解明。
文献 W.S. Hanson, R.E. Jones and R.H. Jones "The Roman Military Presence at Dalswinton, Dumfriesshire: a Reassessment of the Evidence from Aerial, Geophysical and LiDAR Survey" Britannia Volume 50, pp. 285-320 [Cambridge Core] - フランス領ギアナ
- カイエンヌ島(Île de Cayenne)のルミール=モンジョリー(Remire-Montjoly)で、テミル複合(complexe Thémire)・11〜15世紀の廃棄物。大量のカイエンヌ彩色土器(Cayenne peint)や頭蓋骨など出土。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。
Découverte d'un dépotoir précolombien sur l’Île de Cayenne[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives] - ブラジル
- セラ・ダ・カピバラ国立公園(Serra da Capivara)のオマキザル(capuchin monkey;Sapajus libidinosus)の遺跡を、人類に対するのと同様の考古学的手法で調査。石のハンマーを用いることは知られていたが、用いる石の大きさ、壊れ方、別の石を台石として用いるかどうか、などに時間による変化が現れる。食生活の変化を反映。3000年前〜2400年前の石のハンマーは、現在のものより小さく軽い。現在のようなカシューナッツではなく、種などを食べていた。640年前〜565年前には台石が登場。257年前までには現在のものよりハンマーが大きく重くなり、台石の使用が一般的に。20世紀のある段階以降、丸い珪岩などを用いる。
Capuchin monkeys have a 3,000-year archaeological record[ars technica]
論文 Tiago Falótico, Tomos Proffitt, Eduardo B. Ottoni, Richard A. Staff & Michael Haslam "Three thousand years of wild capuchin stone tool use" Nature Ecology & Evolution (2019) [Nature Ecology & Evolution]
2019年6月24日(月)
- 東京都
- 出光美術館が、江戸絵画などの収集で知られるジョー・プライス氏の収集品の一部を購入。伊藤若冲の「鳥獣花木図屏風」など190点。[日本経済新聞]
- 京都市
- 南区・平安京左京八条二坊五町で、平重盛が平安時代末期に構えた邸宅「小松殿」の一部とみられる庭園の池跡。平安末期から鎌倉時代初期の瓦や土器が出土し、鎌倉初期ごろに一気に埋められたとみる。[京都新聞]
- インド
- カルナータカ州(Karnataka)ハレービド(Halebid)のParshvanath Basadiでジャイナ教の寺院。彫像10体出土。インド考古調査局(Archaeological Survey of India:ASI)の調査。[The Hindu]
- パレスチナ自治区
- ヨルダン川西岸地区のベツレヘム(Bethlehem)にある降誕教会(Church of the Nativity)で、新たにビザンティン時代の円形の洗礼盤(baptismal font)。これまで知られていた八角形の洗礼盤の中から発見。教会は4世紀にさかのぼる。世界遺産。[The Times of Israel]
- ドイツ
- ザクセン州(Freistaat Sachsen)シュライフェ(Schleife)で石造りの井戸。[sächsische.de]
▼ザクセン州(Freistaat Sachsen)ゲルリッツ郡(Landkreis Görlitz)シュライフェ(Schleife) - スペイン
- コスタデルソル(Costa del Sol)のミハス(Mijas)にあるフィンカ・デアセベド遺跡(Finca de Acebedo)で、ローマ時代の邸宅からオリーブ圧搾機。コスタデルソルでは初めて発見。[The Olive Press]
▼アンダルシア州(Comunidad Autónoma de Andalucía)マラガ県(Provincia de Málaga)
2019年6月23日(日)
- 北海道
- 厚岸町・厚岸湖の北東岸で1987年に発見された、アイヌ民族の外洋向け丸木舟「板綴舟(イタオマチプ)」が、白老町に来春開館するアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」の中核施設「国立アイヌ民族博物館」に貸し出されることに。[北海道新聞]
- 中国
- 山西省 晋中市 寿陽県 朝陽街で千年前の木結構式磚石墓。内部に彩色壁画。[新華社]
- ポーランド
- ポトカルパチェ県(Województwo podkarpackie)ドゥクラ(Gmina Dukla)で青銅器時代・紀元前1000年のこん棒の頭部。有力者の権威を象徴。中東由来。ポーランドでの出土は初。アマチュア考古学者が第二次世界大戦時の遺物を探索していて発見。ドゥクラ峠(Przełęcz Dukielska;Dukla Pass)はカルパチア山脈(Munții Carpați;Carpathians)をスロバキアからポーランドに抜ける経路。[The First News]
- UK(ウェールズ)
- ベール・オブ・グラモーガン(Vale of Glamorgan)で紀元前3500年〜ローマ時代・1〜4世紀の遺構。青銅器時代の墳墓、鉄器時代の集落、ローマ時代の金属加工場など。[BBC]
- エジプト
- ツタンカーメン王(Tutankhamun)の天蓋は同王のチャリオットに取り付けられていた可能性。天蓋とチャリオットの双方をX線調査した結果から推測。河合望・金沢大学教授の研究。[Ahram Online]
2019年6月22日(土)
- 福岡県
- 太宰府市・大宰府展示館を有料化する条例改正案を太宰府市議会が可決。[西日本新聞]
- 佐賀県
- 佐賀県内の窯跡の盗掘対策のため、佐賀県、県内12市町、県警担当者らの合同会議が6/20開かれた。[佐賀新聞]
- 中国
- チベット高原へのヒトの継続的な居住は、華北からのキビ農耕民が寒さに耐えるオオムギを導入したことにより始まったことを実証。5200年前〜3600年前にチベット高原北東部の比較的低い高度では大規模なキビ農耕が行われていたが、紀元前4000年ごろにはオオムギも栽培。現代のチベット人8277人と周辺の58514人のミトコンドリアDNAを調査し、キビ農民の移動説に合致する2つのハプログループを認識。
論文 Yu-Chun Li Jiao-Yang Tian Feng-Wen Liu Bin-Yu Yang Kang-Shu-Yun Gu Zia Ur Rahman Li-Qin Yang Fa-Hu Chen Guang-Hui Dong Qing-Peng Kong, "Neolithic millet farmers contributed to the permanent settlement of the Tibetan Plateau by adopting barley agriculture" National Science Review [Oxford Academic] - UK(イングランド)
- ノーサンプトンシャー州(the county of Northamptonshire)ラウンズ(Raunds)のウォース・パーク(Warth Park)で、ローマ時代の井戸の底から木の枝を彫って作った腕。放射性炭素年代で86〜240年、井戸から出土した土器の年代に一致。接続した痕跡はなく、全身像の一部ではない。神への供物と推定。[BBC]
- ペルー
- ランバイエケ県(Departamento de Lambayeque;Lambayeque Region) プカラ(Distrito de Pucalá)にあるワカ・サンタ・ロサ遺跡(Huaca Santa Rosa)で中期ホライズン(Horizonte Medio;Middle Horizon)末・サンタロサ4期(Santa Rosa 4)・900〜1000年の、モチーカ文化(cultura Mochica;Mochica culture)末期の高位の女性の埋葬。昨年9月に発見された「D」字形の建物の崩壊後に埋葬。モチェ(Moche)の滅亡後もモチーカ文化が存続していたことを示す。[Andina]
▼ワカ・サンタ・ロサ遺跡関連記事→2018年12月21日
2019年6月21日(金)
- 埼玉県
- 朝霞市博物館の臨時休館の期間が7/19までに延長。[朝霞市教育委員会]
- 名古屋市
- 名古屋城天守の木造復元事業について、コンクリート製現天守の解体申請が文化審議会の6/21会合で許可されず継続審議へ。2022年末の木造天守完成は不可能に。文化審議会は、解体工事で石垣などの遺構にどんな影響があるかを発掘調査によって評価すべきだと指摘。[中日新聞]
- 韓国
- 忠清南道 唐津市・沔川邑城(ミョンチョンゆうじょう)で「刻字城石」3個。築造時期や賦役郡県などを記す。築城年「己未年」は、朝鮮時代・1439年に倭寇の略奪を防ぐため築城したとする朝鮮王朝実録の記事に合致。[聯合ニュース]
- 中国
- 鄭州市・青台遺跡で発掘された「北斗九星」は仰韶文化中期・5000年前の天文遺跡。[]
▼河南省 - オーストラリア
- オーストラリアを含むサフル大陸(Sahul)への最も可能性が高い渡来ルートを推定。5万年前に最初に到達した人類は、大人数で、目的をもって渡来。少なくとも1300人以上の大人数、または130人以上を70年ごとに700年間。計画的で組織的でなければできない数字であり、船の建造技術も優れていたはず。
Retracing ancient routes to Australia: Modelling reveals First Australians arrived in large groups using complex technologies[ScienceDaily]
論文 Michael I. Bird et al. "Early human settlement of Sahul was not an accident" Scientific Reports volume 9, Article number: 8220 (2019) [Scientific Reports]
論文 Corey J. A. Bradshaw, et al. "Minimum founding populations for the first peopling of Sahul" Nature Ecology & Evolution (2019) [Nature Ecology & Evolution] - ギリシャ
- コザニ市(Κοζάνη;Kozani)のグラツァーニ(Γρατσάνη;Gratsani)でビザンティン時代の土器窯2基と倉庫跡。土器作り工房と推定。[Αθηναϊκό-Μακεδονικό Πρακτορείο Ειδήσεων;Athens-Macedonian News Agency]
- イタリア
- ラティウム地方(Latium)のフォッセッローネ洞窟(Grotta del Fossellone;Fossellone Cave)とサンタゴスティーノ洞窟(Grotta di Sant’Agostino;Sant’Agostino)で、石器に着いた有機物をガスクロマトグラフィー質量分析法(gas chromatography/mass spectrometry)で分析。針葉樹の樹脂を接着剤として使用。蜜蝋と混合する場合も。イタリアのネアンデルタール人が中期旧石器時代の石器に柄をつけていたことを実証。民族例では、空気に触れて固まった樹脂を火で温めて柔らかくするので、両遺跡での樹脂の使用は、焼けた石器の出土とも相俟って、日常的な火の使用を示唆。
論文 Ilaria Degano, Sylvain Soriano, Paola Villa, Luca Pollarolo, Jeannette J. Lucejko, Zenobia Jacobs, Katerina Douka, Silvana Vitagliano, Carlo Tozzi. "Hafting of Middle Paleolithic tools in Latium (central Italy): New data from Fossellone and Sant’Agostino caves." PLOS ONE, 2019; 14 (6) [PLOS One] - ドイツ
- ニーダーザクセン州(Land Niedersachsen)シュターデ郡(Landkreis Stade)フレーデンベック(Fredenbeck)で、4世紀のローマ皇帝コンスタンス1世(Constans I)の金貨。
Weltweit einzigartiger Fund bei Stade: 1600 Jahre alte Goldmünze ab sofort im Schwedenspeicher[Landkreis Stade] - スペイン
- マドリード郊外の古代都市レコポリス(Reccopolis)で、地下を地磁気によって探査し、1400年前には従来の想定よりはるかに広範囲な都市であると判明。他の建物とは方向を異にする大型建物を発見。中東のモスクに類似し、ヨーロッパ最古のモスク遺構の可能性も。ゲルマン人の西ゴート王国が578年に建設した都市。711年にイスラームに征服され、800年ごろに廃絶。[LiveScience]
▼カスティーリャ=ラ・マンチャ州(Castilla-La Mancha)グアダラハラ県(Provincia de Guadalajara)ソリタ・デ・ロス・カネス村(Zorita de los Canes) - UK(イングランド)
- ダービーシャー(Derbyshire)チェスターフィールド(Chesterfield)ボルソーバー(Bolsover)でオックスクロフト・レーン(Oxcroft Lane)近くからローマ時代の建物跡、畑、墳墓6基。土器、宝飾品、銅貨など出土。銅貨はローマ帝国のコンスタンティヌス大帝(Gaius Flavius Valerius Constantinus;272〜337年;在位306〜337;コンスタンティヌス朝)の治世のもの。青銅器時代・紀元前2500年〜前800年の畑も。Archaeological Research Servicesの調査。[Derbyshire Times]
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