2019年7月20日(土)
- 北海道
- 択捉島に、江戸時代後期の東北地方や松前藩の藩士の墓。[北海道新聞]
- イタリア
- ローマにある16世紀のアレッサンドリーナ街道(Via Alessandrina)で、白大理石のトルソー。2世紀はじめのトラヤヌスのフォルム(Foro di Traiano;Forum of Trajan)を装飾したダキア人戦士像の一つ。
Cultura, ritrovato nello scavo di via Alessandrina busto di guerriero Dace[Parco archeologico del Colosseo] - イタリア
- ナポリ(Napoli;Naples)のテッラチーナ通り(Via Terracina)のローマ時代の浴場の発掘中、プテオリ・ネアポリス街道(Via Puteoli-Neapolis)の一部と、3世紀のオプス・シグニーヌムの床。[Archaeology News Network]
- デンマーク
- ランゲラン島(Langeland)Bogøvejのヴァイキング墓地で、スラヴ人の女性戦士の墓。10世紀のアラブの硬貨とポーランド特有の斧を確認。この墓地で武器を副葬した唯一の墓。ヴァイキング社会で女性が武器を使用することは限られており、用いても儀式のためであり、護身のため用いることは稀。分析したボン大学(Universität Bonn)のレシェック・ガルデワ(Leszek Gardeła)博士は、武器が副葬されたヴァイキング女性について研究。
Polish researcher identified possible grave of Slavic warrior woman in Denmark[Nauka w Polsce]
▼南デンマーク地域(Region Syddanmark) - UK(スコットランド)
- レンフルーシャー州(Renfrewshire)ペイズリー(Paisley)の地下トンネル「アベイ・ドレイン」(Abbey Drain)は、ペイズリー修道院(Paisley Abbey)から、市内のカート川(River Cart)まで100mにおよぶ中世・14世紀の排水溝と判明。川への出口を発見。GUARD Archaeologyの調査。アベイ・ドレイン自体は19世紀に発見された。[The Scotsman]
- USA
- メイン州(State of Maine)沖の大西洋で2018年に発見された、第二次世界大戦中に沈んだ米国のイーグル級哨戒艇PE-56は、事故ではなくドイツ軍潜水艦の魚雷で沈んだことを確認。[BBC]
2019年7月19日(金)
- 奈良県
- 奈良市・平城京跡で、長屋王邸と同じ規模御持つ広大な宅地の跡。奈良市教育委員会の調査。[NHK]
- 奈良県
- 吉野町・宮滝遺跡で、正殿とみられる大型建物跡に付随する2つの建物跡を確認。都城の代理を模した計画的な建物配置。奈良県立橿原考古学研究所と吉野町7/19発表。[毎日新聞]
- 佐賀県
- 佐賀市・東名遺跡(ひがしみょういせき)の保存活用に関して、佐賀市教育委員会は遺跡隣接地に埋蔵文化財センターの機能を備えた展示解説施設を設ける方針。[佐賀新聞]
- 熊本県
- 山鹿市・鞠智城跡(33・34次調査)の、城域の南側にある堀切門跡で、堀切門を造る際に南東側の城壁を造成した積土の一部を確認。熊本県立装飾古墳館分館歴史公園鞠智城・温故創生館の調査。7/21現地説明会。[熊本県]
- イラク
- 古代都市ウル(Ur)の周縁で、古バビロニア・紀元前1835年ごろの、17部屋と庭を持つ大型建物。楔形文字の解読により、所有者は高位の司祭「Sîn-nada」で、ウルで2番目に重要な神殿を管理。妻も神殿の管理に携わる。また、24名を埋葬した墳墓も。ルートヴィヒ=マクシミリアン大学(Ludwig-Maximilians-Universität München)の調査。
Secrets of a Babylonian Villa in Ur[Ludwig-Maximilians-Universität München] - イスラエル
- ガリラヤ湖(Sea of Galilee)近くのエル・アラジ(el-Araj)でビザンティン時代の教会跡。725年の記述で言及された聖使徒聖堂(Church of the Apostles)の跡。[Haaretz]
- フランス
- オルレアン(Orléans)でガロ=ローマ時代の集落や中世の埋葬。Pôle d’archéologieの調査。[La République du Centre]
▼サントル=ヴァル・ド・ロワール地域圏(Centre-Val de Loire) ロワレ県(le département du Loiret) - ポルトガル
- マルヴァン市(Marvão)のサン・サルヴァドール・ダ・アラメーニャ(São Salvador da Aramenha)にあるローマ都市アマイア(Ammaia)で、ローマ時代の円形劇場(amphitheatre;anfiteatro)。ローマのルシタニア属州(Lusitania)内で5か所目の発見。
Investigadores do Centro de Arqueologia da FLUL participam na descoberta de novo anfiteatro romano em Portugal[Faculdade de Letras da Universidade de Lisboa] - UK(スコットランド)
- オークニー諸島(Orkney)・ネス・オブ・ブロッガー(Ness of Brodgar)で、新石器時代の文様で装飾された石材。[BBC]
▼ネス・オブ・ブロッガー遺跡関連記事→2018年8月8日 - エジプト
- アレクサンドリア(Alexandria)のコムエルディッカ(Kom el-Dikka)で、ローマ時代・4〜7世紀の大規模な居住区跡。住居のほか、劇場、浴場、講堂などからなり、大学跡の可能性。住居のうち1棟から装飾モザイク床。[Ahram Online]
▼コムエルディッカ関連記事→2014年4月30日
2019年7月18日(木)
- ミクロネシア連邦
- チューク諸島(Chuuk Lagoon)で、第二次世界大戦時の沈没船から金属が盗難され、荒らされる。[Inside Science]
- インド
- ケーララ州(Kerala) パラッカド県(Palakkad district) マランパザ(Malampuzha)のダム水没地域で鉄器時代・紀元前の鉄製の釘、ノミ、くさび、ナイフ、剣など。ヴィクトリア大学(Government Victoria College)の調査。[The Hindu]
- イスラエル
- ネゲブ砂漠(Negev desert)のラハト(Rahat)で7〜8世紀のモスク。南側に礼拝のための壁龕であるミフラーブ(Mihrab)を設ける。イスラームが現在のイスラエルに到達して間もない。マッカ(メッカ;Mecca)やエルサレム(Jerusalem)のモスクに匹敵する古さ。イスラエル古代遺跡管理局(Israel Antiquities Authority)の調査。[BBC]
- スペイン
- マヨルカ島(Mallorca;Majorca)カン・パスティーリャ(Can Pastilla)沖でローマ時代・3〜4世紀の沈没船。マヨルカ島とスペインの間でアンフォラを運んだ商業船。[Majorca Daily Bulletin]
- UK(スコットランド)
- ウェスト・ダンバートンシャー(West Dunbartonshire)のローモンド湖(Loch Lomond)の岸のダック・ベイ(Duck Bay)で、1640年〜1680年の金製指輪出土。サフォーク州(the county of Suffolk)ブレント・エリー(Brent Eleigh)のコールマン家(Colman family)のもの。イングランド王即位前のジェームズ2世(James II)に仕える。[BBC]
- 北欧
- 北海南岸地域の中石器時代・11000年前〜6000年前にの細石器の型式と、228件の放射性炭素年代の相関をベイズのモデル(Bayesian modelling)を用いて分析。石器の変化は中石器時代の人類の気候変動への対応を示す。
Stone tool changes may show how Mesolithic hunter-gatherers responded to changing climate[Phys.Org]
論文 Crombé P (2019) "Mesolithic projectile variability along the southern North Sea basin (NW Europe): Hunter-gatherer responses to repeated climate change at the beginning of the Holocene". PLoS ONE 14(7) [PLOS One] - カナダ
- ニューファンドランド・ラブラドール州(Newfoundland and Labrador;Terre-Neuve-et-Labrador) ランス・オ・メドー遺跡(L’Anse aux Meadows)でノルウェー人が築いた集落は、従来考えられていたより長期に及んでいた可能性。近隣の泥炭層で過去の環境の変遷を調査した結果、踏みつけられた泥や木工の痕跡、炭化物や昆虫の種類などが、グリーンランドやアイスランドのヴァイキング時代の集落の縁辺部に似た状況。有機物の放射性炭素年代は12世紀後半から13世紀前半。従来知られていた放射性炭素年代では、ランス・オ・メドー遺跡でのノルウェー人は910〜1030年に始まり1030〜1145年におよぶが、泥炭層での地検はこれよりも遅い。先住民はノルウェー人の居住時期よりもはるかに長期に居住し、両者の間に交流。
New archaeological layer discovered at L’Anse aux Meadows[ars technica]
論文 Paul M. Ledger, Linus Girdland-Flink, and Véronique Forbes "New horizons at L’Anse aux Meadows" Proceedings of the National Academy of Sciences. July 15, 2019 [PNAS] - USA
- フロリダ州(State of Florida)セント・オーガスティン(St. Augustine)のアヴァイルズ・ストリート(Aviles Street)で、市の中心地のはじめごろに当たる16世紀の土器などが出土。この地点の履歴のうち、印刷屋の証拠が出土。[The St. Augustine Record]
- プエルトリコ
- ナサリオ・コレクション(Nazario Collection)と呼ばれている、800個の岩偶を分析。放射性炭素年代で紀元前900年〜後900年。いずれにせよコロンブス以前。同位体分析や化学的特徴からみて、地元の蛇紋石製(serpentine)。プエルトリコにはベリーズかベネズエラから最初の人類が渡来したとされているが、同様な偶像はアメリカ大陸やそのほかの場所でこれまでに見つかった例がない。また像には線刻で文字のようなものがある(未解読)が、他の吉の文字体系には一致しない。1870年代に、修道僧ホセ・マリア・ナサリオ・カンセル(José María Nazario y Cancel)が、タイノ族(Taínos)の女性の臨終の際に所在を教えられ、入手したもの。ハイファ大学(University of Haifa)の研究。[Haaretz]
2019年7月17日(水)
- 韓国
- 公州市・宋山里古墳群で地表調査と地下物理探査。武寧王陵など現存7基の周辺の整備地域外に古墳41基、整備されている地域の地下に古墳6基が存在する可能性。国立扶余文化財研究所の調査。百済熊津時代(475〜538年)の王室の墓域。[聯合ニュース]
- イスラエル
- エルサレム(Jerusalem)近郊のモツァ遺跡(Motza)で、新石器時代・9000年前の大規模な集落。大型建物や公共施設、祭祀場、街路など、進んだ都市計画。床などには石膏を塗る。墓地やマメ類の貯蔵庫など。交易による輸入品出土。ヒツジの飼育が増加する一方で狩猟のウエイトが減少していったこともうかがわれる。2000人〜3000人が居住。イスラエル古代遺跡管理局(Israel Antiquities Authority)の調査。
Huge prehistoric settlement exposed near Jerusalem[Israel Ministry of Foreign Affairs]
拡大家族が都市の中の指定された場所に居住。政治的経済的指導者による組織化された社会を示唆。交易の中心地として1500年存続。特に家畜の採用により繁栄し、最後の300〜400年がピーク。1ヘクタールから30ないし40ヘクタールへ。[The Jerusalem Post] - ロシア
- 北コーカサス地方(Сискавказ;Ciscaucasia)スタヴロポリ(Ставрополь;Stavropol)のNovozavodennoeで紀元前5世紀のスキタイの墳丘墓。[Archaeology News Network]
- イタリア
- ポンペイ(Pommpei)で考古学者が、発掘の時にヴェスヴィオス山噴火の堆積層を破壊し火山学者を妨害しているとの指摘。[Newsweek]
論文 Roberto Scandone, Lisetta Giacomelli, Mauro Rosi & Christopher Kilburn "Preserve Mount Vesuvius history in digging out Pompeii’s" Nature 571, 174 (2019) [Nature] - オーストリア
- ウィーン(Wien)のヴェルダートルガッセ(Werdertorgasse)で、中世・14〜15世紀の護岸。柱を並べ石で埋める。古地図には中世の市壁の前に島が描かれてるが、護岸が見つかったのは初。Stadtarchäologie Wienの調査。[Heute]
- ベルギー
- モン=サン=ジャン(Mont-Saint-Jean)で、ナポレオン戦争末期のワーテルローの戦い(Bataille de Waterloo;Battle of Waterloo;1815年)の時の英国軍ウェリントン公爵(Duke of Wellington)の野戦病院跡から、人骨や砲弾、硬貨、軍服のボタンなど。Waterloo Uncoveredの調査。[The Guardian]
▼ブラバン・ワロン州(Province du Brabant wallon) - UK(イングランド)
- ケント州(the county of Kent)ラムズゲート(Ramsgate)沖で、ローマ時代のガラスやサミアン土器。難破船に由来と推定。[The Guardian]
- エジプト
- 古代エジプト第22王朝の女性と動物のミイラをスキャン。オランダのライデン国立古代博物館(Rijksmuseum van Oudheden)の所蔵品。2020年の日本での展覧会準備のため。[Rijksmuseum van Oudheden]
2019年7月16日(火)
- 岩手県
- 北上市・成田岩田堂館跡で戦国時代・16世紀の堀・土塁・掘立柱建物跡・門・炉など。公益財団法人岩手県文化振興事業団埋蔵文化財センターの調査。8/3現地説明会。[公益財団法人岩手県文化振興事業団埋蔵文化財センター]
- 栃木県
- 上三川町・城ノ内遺跡(じょうのうちいせき)で、奈良・平安時代の集落跡と多功城の大溝跡など。多功城の大溝跡が東西方向から南側に屈折することが判明。公益財団法人とちぎ未来づくり財団埋蔵文化財センターの調査。7/21現地説明会。[公益財団法人とちぎ未来づくり財団埋蔵文化財センター]
▼城ノ内遺跡関連記事→2018年6月28日 - 韓国
- 国立完州文化財研究所の設立が確定。7/23臨時事務所で業務開始。全羅北道の主要埋蔵文化財と文化遺産の調査・研究・保存とともに、歴史遺産コンテンツの活用と文化資源の提供を担う。2017年から設立が推進されてきた。[聯合ニュース]
- インド
- カルナータカ州(Karnataka)マイソール県(Mysuru;Mysore)アラシネーカー村(Arasinakere)の干上がった湖底から、ポスト・ヴィジャヤナガル王国(post-Vijayanagar)・16〜17世紀の牛神ナンディ(Nandi)の石像1対。[The Hindu]
- イスラエル
- エルサレム(Jerusalem)旧市街の城壁外側で11世紀の堀。1099年7月15日に、レーモン・ド・サン=ジル(Raymond de Saint-Gilles)率いる十字軍が、ファーティマ朝が支配するエルサレムを包囲した証拠。[The Times of Israel]
- ハンガリー
- バラドラ洞窟(Baradla cave)で、家形に組んだ岩の下に青銅器時代・キヤティツェ文化(Kyjatice culture)・紀元前1200年の儀式用衣服の装飾品。また、新石器時代・ビュック文化(Bükki kultúra;Bükk culture)・紀元前3000年の遺物も。エトヴェシュ・ロラーンド大学(Eötvös Loránd Tudományegyetem;Eötvös Loránd University)の調査。[Index]
ボルショド・アバウーイ・ゼンプレーン県(Borsod-Abaúj-Zemplén megye) - チェコ
- フラデツ・クラーロヴェー州(Hradec Kralové)センドラジツェ村(Sendraice)で、6世紀のゲルマン人の墓6基。ガラス玉、琥珀玉や、貴石象嵌のある金のバックル、紡錘車、骨製の櫛など出土。とくに当時の繊維は稀少。
Záchranný Výzkum v Sendraicích[Muzeum východních Čech v Hradci Králové] - フランス
- イル=ド=フランス地域圏(Île-de-France)エソンヌ県(Essonne) リナ(Linas)で、パリ(Paris)とオルレアン(Orléans)をつなぐ道路沿いに18世紀の旅館跡。暖炉、地下室、中庭などを確認。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。
Fouilles d’une ancienne auberge de voyageurs à Linas (Essonne)[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives] - 英領ジブラルタル
- ネアンデルタール人(Neanderthals)の頭蓋骨をDNA分析。フォーブス採石場(Forbes' Quarry)で1848年に出土したものと、デヴィルズ・タワー(Devil's Tower)で1926年に出土したもの。フォーブス採石場のネアンデルタール人は成人女性、デヴィルズ・タワーのネアンデルタール人は少年。女性の方は、スペインのネアンデルタール人よりも、12万年前〜6万年前のヨーロッパ・西アジアのネアンデルタール人に近い。
A new look at the Gibraltar Neanderthals[Natural History Museum] - 南アフリカ
- 200万年以上前のアウストラロピテクスアフリカヌス(Australopithecus africanus)の歯を化学分析。歯が木の年輪のように層をなしていることを利用し、食生活を解明。それによると、生後12か月まで母乳で育てるが、その後も幼いうちは周期的に母乳を与える。季節的な食糧の変化や不足に原因。子供が長期に母乳に依存するため、母と子の結びつきが強く、出産回数が少なくなる。
Maternal secrets of our earliest ancestors unlocked[Monash University]
論文 Renaud Joannes-Boyau, Justin W. Adams, Christine Austin, Manish Arora, Ian Moffat, Andy I. R. Herries, Matthew P. Tonge, Stefano Benazzi, Alistair R. Evans, Ottmar Kullmer, Stephen Wroe, Anthony Dosseto & Luca Fiorenza "Elemental signatures of Australopithecus africanus teeth reveal seasonal dietary stress" Nature (2019) [Nature]
2019年7月15日(月)
- 中国
- 湖北省 十堰市 房県 城関鎮で後漢の磚室墓。[中国新聞網]
- トルコ
- アダナ県(Adana il)アナバルザ(Anavarza)の古代都市アナザルブス(Ἀναζαρβός;Anazarbus)にある円形競技場に石造りの玉座。観客に貴族を含んでいたことを示す。[Daily Sabah]
- イタリア
- ポルトゥス(Portus)で堆積層を分析し、人類の行為による影響を分析。[ラトローブ大学(La Trobe University)]
- リトアニア
- ビリニュス(Vilnius)の大シナゴーグ(Great Synagogue)で、柱の基礎2基を確認。説教座席ビーマー(bimah)の一部。『創世記』(Book of Genesis)に登場する人名や都市名など、旧約聖書に言及した壁の銘文も。大シナゴーグは1633年に建てられ、東ヨーロッパで最も重要なユダヤ信仰の拠点であったが、ナチスに破壊された。[The Baltic Times]
- ドイツ
- ベルデ郡(Landkreis Börde)マリーエンボルン(Marienborn)で古い教会跡。長さ13.75m、幅9.75mで、12世紀にはより小さい教会に建て替えられる。また、2200年前の土器片。同地はローマ帝政期から初期中世にかけての重要な集落。[Süddeutsche Zeitung]
▼ザクセン=アンハルト州(Land Sachsen-Anhalt)ベルデ郡(Landkreis Börde) - UK(イングランド)
- ウィルトシャー州(the county of Wiltshire)・ダーリントン・ウォールズ(Durrington Walls)から出土した刻文土器(Grooved Ware)に付着したブタの脂肪の遺存物は、近隣にあるストーンヘンジ(Stonehenge)の石材を運ぶそりの潤滑剤とするために集められていた可能性。従来これらの土器にみられるブタの脂肪は、ストーンヘンジの建設労働者をもてなす料理のためのものと考えられていたが、ブタのサイズが大きく、調理のためにブタを細かく切った痕跡もなかく串焼きにされたとみられる。遺存体への脂質の保存の良さと量の多さもこの想定を支持。
Stonehenge may have been built using lard[Newcastle University]
論文 Lisa-Marie Shillito "Building Stonehenge? An alternative interpretation of lipid residues in Neolithic Grooved Ware from Durrington Walls", Antiquity 15 July 2019 [Cambridge Core] - UK(イングランド)
- カーライル(Carlisle)でローマ時代の貨幣。68年の内乱当時のデナリウス銀貨。[News & Star]
▼カンブリア州(Cumbria) - UK(イングランド)
- サフォーク州(the county of Suffolk) クックリー(Cookley)で、ローマ時代・紀元前153年〜紀元後61年におよぶデナリウス硬貨60枚。大半は共和政期のものだが、アウグストゥス帝、ティベリウス帝、カリグラ帝、ネロ帝の治世のものも含む。ケルト人の女王ブーディカ(Boudicca)がイケニ族(Iceni)を率いて起こした61年の反乱のときに埋納されたか。[BBC]
- USA
- ロングアイランド(Long Island)のロイド・ネック(Lloyd Neck)にある、アメリカ独立戦争中の1781年に起こったフォート・フランクリンの戦い(Battle of Fort Franklin)の跡地で、独立戦争時のマスケット弾や日用品など。[Newsday]
▼ニューヨーク州(State of New York)
2019年7月14日(日)
- 韓国
- 慶尚南道 咸安郡 末伊山の阿羅加耶45号墳から、振り返るシカを表した象形土器。加耶土器の最高傑作。[ハンギョレ]
- イタリア
- シチリア州(Regione Siciliana)メッシーナ県(Provincia di Messina)トゥーザ(Tusa)の古代都市ハラエサ・アルコニデア(Halaesa Archonidea;Alesa Arconidea)で、神殿3か所とギリシャの劇場。[La Repubblica]
- エジプト
- ダハシュール(Dahshur)にあるスネフェル王(Sneferu)の屈折ピラミッド(Bent Pyramid)を7/13一般に公開。4600年前の遺跡。[Reuters]
2019年7月13日(土)
- 福島県
- 川俣町・前田遺跡で縄文時代中期後葉の木胎漆器。丸い取っ手がつく珍しい例を含む。竹などによる編組製品や、ヒョウタンとみられる実、大型のクルミなども出土福島県教育委員会7/12発表。[福島民報]
- 静岡市
- 葵区・駿府城跡(すんぷじょうあと)で戦国時代の遺構が見つかったことで、静岡市は同地に2021年開館予定だった歴史文化施設の計画を変更し、遺構を保存して展示に生かす方針。[朝日新聞]
- 中国
- 雲南省 昭通市 巧家県 蒙姑鎮 蒙姑社区の金沙江中下流で、青銅器時代早期から春秋戦国時代の古墓群。[新華社]
- トルコ
- ブルサ県(Bursa il)イズニク郡(İznik)ヒサルデレ(Hisardere)でローマ時代後期の土器棺墓。人骨2体が見つかったが副葬品はなし。墓地が広がっている可能性。土器やタイルの生産で有名な地域。お玄前4世紀以降のローマのビテュニア属州(Bithynia)に当たる。[Daily Sabah]
- ブルガリア
- プロヴディフ(Пловдив;Plovdiv)で、ローマ時代・2〜4世紀の建物跡と、3〜4世紀の30歳程度の女性の墓。[Archaeology in Bulgaria]
- ドイツ
- ヘッセン州(Land Hessen)ラーン=ディル郡(Lahn-Dill-Kreis)ロイン(Leun)で初期中世・7〜9世紀の集落。竪穴建物、貯蔵穴、建物の壁跡など発見。資料に言う「Mitte」「Loynmitte」「Lomitte」にあたるか。[Deutsche Presse-Agentur]
- USA
- ニューハンプシャー州(State of New Hampshire)ドーヴァー(Dover)のドーヴァー・ポイント(Dover Point)で1654年の集会場跡の粘土張りの床。粘土は近隣の川から丘の上に運んだ。[Fosters]
2019年7月12日(金)
- 静岡市
- 葵区・駿府城跡(すんぷじょうあと)で、戦国末期・天正時代の駿府のまちの道と武家屋敷の石垣。歴史文化施設建設予定地。静岡市の調査。7/20現場説明会。[静岡市]
歴史文化施設の整備予定地。施設の設計を再検討へ。開館が遅れる可能性も。[静岡新聞] - 高知県
- 土佐清水市沖の海底から引き揚げた柱の形をした石は、沿岸の集落で使われている石材と特徴が同じ。江戸時代の津波で集落から流された可能性。[NHK]
- 福岡県
- 大牟田市が国登録有形文化財の大牟田市庁舎本館を解体する方針であるのに対し、大牟田市文化財保護審議会委員で九州歴史資料館学芸員の井形進氏が、7月発行の季刊誌「西日本文化」への寄稿文で異議。[西日本新聞]
- 文化庁
- 政府は消費者庁の徳島県への全面移転を見送る。中央省庁の全面移転は文化庁のみに。[日本経済新聞]
- 韓国
- 全羅北道 高敞郡・茂長県官衙・邑城で2018年に発掘した「飛擊震天雷」で、蓋の実物を初めて確認。朝鮮時代の時限爆弾。財団法人湖南文化財研究院が発掘。国立晋州博物館が保存処理中に確認。[聯合ニュース]
▼飛擊震天雷関連記事→2018年11月15日 - 中国
- 広州市 解放中路 で晩唐の陶磁が大量出土。晩唐五代から宋の建物跡も。[中国社会科学院考古研究所]
- ベトナム
- フーイエン省(Tỉnh Phú Yên;富安)フーホア県(Phú Hòa;富和)フーホア社(Phú Hòa;富和)でチャンパ・4世紀の、レンガ積みのリンガと石製のヨニ、チャム塔などが出土。[Vietnam News Agency]
- メソポタミア
- 過去のウシ科のサンプル67個の遺伝子を調査し中東・レバントのウシの家畜化の過程を研究。家畜化最初の数千年には多様な起源。4000年前、南アジアのコブウシ(zebu)のDNAを大量に持った個体が現れる。気候変動や長期の旱魃、メソポタミア、エジプト、インダスの帝国の崩壊の時期に一致。人類が環境変化に対処するため旱魃に強いコブウシを意図的に導入した可能性。ウシはヨーロッパのオーロックス(aurochs)に起源するが、中東のウシのDNAに南アジアのコブウシのDNAが多く含まれている理由は不明だった。[Gizmode]
論文 Marta Pereira Verdugo et al. "Ancient cattle genomics, origins, and rapid turnover in the Fertile Crescent" Science 12 Jul 2019: Vol. 365, Issue 6449, pp. 173-176 [Science] - ブルガリア
- プロヴディフ(Пловдив;Plovdiv)のエウフラシウス聖堂(Епископска базилика на Филипопол;Episcopal Basilica)で、アトリウムの床に用いられていたローマ時代・3世紀の巨大な大理石の石板。古代ギリシャ語でディオニュソス神(Διόνυσος;Dionysos)を信仰する44名の名を刻む。聖堂自体は5世紀に建てられ、以前の建物の石材を再利用した。[The Sofia Globe]
- アルバニア
- カラブルン半島(Gadishulli i Karaburunit;Karaburun peninsula)沖で紀元前7〜前5世紀のアンフォラ22個。コリントA型。[The Republic]
- ハンガリー
- ペーチ(Pécs)のペーチ大聖堂(Pécsi székesegyház;Cathedral of Pécs)の地下室で、ハンガリー王国の第2代の王オルセオロ・ペーテル(Orseolo Péter;Péter Orseolo)の最初の墓を発見。遺骨は見つからず。遺骨は地下室内の別の場所に移動されたか。王は2度即位した。ローマ時代の墓地と、オルセオロ・ペーテルによって築かれた最初の大聖堂の壁も。[Hungary Today]
▼バラニャ県(Baranya) - ノルウェー
- オスロ湾のビョルヴィカ(Bjørvika;Bispevika)で、新たに難破船3隻。このうち、Bispevika 20は16世紀中ごろ。Bispevika 21は18世紀。2019年に見つかった船の合計は6隻に。
More shipwrecks discovered: Two close neighbours with different stories in the old harbour of Oslo[Norsk Maritimt Museum] - スーダン
- ドンゴラ(Dongola)のナイル川東岸で18世紀〜19世紀初めの都市の全体像を解明。[The First News]
2019年7月11日(木)
- 韓国
- 扶余 花枝山遺跡の西側斜面で、百済の礎石建物跡3棟を新たに発見。昨年発見された3棟と回廊で連結。6棟はいずれも西向き。階段状に土地を造成した痕跡も確認。昨年度調査の土坑内の土壌資料を調査。回虫と鞭虫。植物の種も多く出土。トイレ、または肥料貯蔵庫か。百済古都文化財団の調査。花枝山遺跡では2000年以降調査、百済から朝鮮時代まで建物跡、墳墓、木柵が出土。『三国史記』義慈王15年(655)に記す王宮の南側に建てた「望海亭」の場所か。[聯合ニュース]
- 中国
- 広州市 解放中路で唐時代の木靴や、晩唐・五代の木造建築跡。そのほか、唐、五代、宋、明、清の遺構。[東方網]
- カンボジア
- シエムリアップ州(Siem Reap Province)Ov Lork村のプリア・コー寺院(Preah Ko)で、砂岩製の彫像の胴部。1.14m。頭部と四肢を欠くため断定できないが、ヴィシュヌ神像の可能性。[Khmer Times]
- ヨルダン
- ザルカ渓谷(Zarqa Valley)のダウカラ層(Dawqara Formation)は、古地磁気(paleomagnetic)、アルゴン・アルゴン法(40Ar/39Ar)、ウラン・鉛年代測定法(U-Pb)により252万年±1万年前と、松山・オルドバイ地磁気逆転(Matuyama-Olduvai geomagnetic reversal)・195万年前の間。同層からオルドワン文化の石器や哺乳類化石が出土しており、アフリカの外の最古の人類の証拠。これまで北アフリカや中国では200万年余り前の人類の証拠が発見されていたが、間の地域では未発見だった。
論文 Giancarlo Scardia, Fabio Parenti, Daniel P. Miggins, Axel Gerdes, Astolfo G. M. Araujo, Walter A. Neves "Chronologic constraints on hominin dispersal outside Africa since 2.48 Ma from the Zarqa Valley, Jordan" Quaternary Science Reviews Volume 219, 1 September 2019, Pages 1-19 [ScienceDirect] - ロシア
- ダゲスタン共和国、デルベント(Derbent)のナリン・カラ要塞(Naryn-Kala citadel)の北西部をミューオンラジオグラフィー(muon radiography)により調査。300年ごろにキリスト教の教会として使われたという仮説。その場合、世界最古級のキリスト教会。[EurekAlert]
論文 Askerkhan Abiev, Alexander Bagulya, Mikhail Chernyavskiy, Aigerim Dashkina, Alexey Dimitrienko, Alimurad Gadjiev, Murtazali Gadjiev, Vladimir Galkin, Alexey Gippius, Ludmila Goncharova, Victor Grachev, Nina Konovalova, Alexander Managadze, Natalia Okateva, Natalia Polukhina, Tatiana Roganova, Tatiana Shchedrina, Nikolai Starkov, Abdulgamid Teymurov, Valeri Tioukov, Svetlana Vasina and Pavel Zarubin "Muon Radiography Method for Non-Invasive Probing an Archaeological Site in the Naryn-Kala Citadel" Applied Sciences Volume 9 Issue 10 [MDPI] - ギリシャ
- アピディマ洞窟(Σπήλαιο Απήδημα;Apidima Cave)から1970年代に出土した頭蓋骨2点をコンピューター断層撮影(CT)スキャンとウラン年代測定法で調査。Apidima1はホモサピエンスの特徴があり、21万年前。Apidima2はネアンデルタール人の特徴があり、17万年前。ホモサピエンスがアフリカから分散した時期がこれまでよりはるかに早かった証拠。[ars technica]
論文 Katerina Harvati, Carolin Röding, Abel M. Bosman, Fotios A. Karakostis, Rainer Grün, Chris Stringer, Panagiotis Karkanas, Nicholas C. Thompson, Vassilis Koutoulidis, Lia A. Moulopoulos, Vassilis G. Gorgoulis & Mirsini Kouloukoussa "Apidima Cave fossils provide earliest evidence of Homo sapiens in Eurasia" Nature. Published online July 10, 2019. [Nature] - ブルガリア
- プロヴディフ(Пловдив;Plovdiv)のディミトロフ通り(GM Dimitrov Street)でローマ時代・2〜4世紀の住居跡。土製のパイプラインや墓地も。[The Sofia Globe]
- マルタ
- タ・シルク遺跡(Tas-Silġ)で2000年前のアスタルト神(Ashtart)の神殿の床。キケロ(Cicero)のスピーチで言及された神殿。信仰に用いられた4000年前の遺構も。[Times of Malta]
▼マルサシュロック(Marsaxlokk) - フランス
- ヌーヴェル=アキテーヌ地域圏(Nouvelle-Aquitaine)ポワティエ(Poitiers)で、ローマ帝政期・1世紀の古代都市リモヌム(Limonum)のモザイク2面。また中世・14世紀第1四半期以降の遺構。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。
Deux sols de mosaïque antiques au cœur de Poitiers[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
▼ヴィエンヌ県(Vienne) - USA
- ニューメキシコ州(State of New Mexico;Estado de Nuevo México)チャコ・キャニオン(Chaco Canyon)は、大小多数の建物遺構からみて1050年〜1130年ごろに2300人のアナサジ族(Anasazi)が居住した大都市とみられていた。しかし、農業生産性を推計すると、2300人の住人を養うことはできない。農地が狭く、夏の洪水による制約を受けるため。たんぱく質の必要量からみて、キャニオンとその周辺の哺乳動物はすぐに消費しつくしてしまう。実際の人口は数百人だったか、または大量の食糧を外部から輸入していた。
Food may have been scarce in Chaco Canyon[University of Colorado Boulder]
論文 Larry V. Benson, Deanna N. Grimstead "Prehistoric Chaco Canyon, New Mexico: Residential population implications of limited agricultural and mammal productivity" Journal of Archaeological Science Volume 108, August 2019, 104971[ScienceDirect]
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