2019年8月10日(土)
- 山形県
- 南陽市・北町遺跡で、縄文時代草創期の竪穴住居跡からマグロの骨と哺乳動物の骨。遺跡のある内陸部と、海岸部とに交流の可能性。[山形新聞]
- ギリシャ
- エウボイア島(Εύβοια;Euboea)のカリストス(Κάρυστος;Karystos)郊外のグリマディ(Γκουριμάδι;Gourimadi)で、後期新石器時代〜初期青銅器時代初めの集落。[Greek Reporter]
- ギリシャ
- ティノス島(ΤήνοςTinos)のエクソンヴルゴ山(Εξώμβουργο;Xobourgo)東南麓にあるクラシック時代の墓地で、彫刻をほどこした当時の墓碑。この墓地を利用した集落は紀元前1000年ごろに避難場所として始まり、巨大な城壁に囲まれ、クラシック時代に繁栄。紀元前4世紀末に廃絶した。アテネ大学(Εθνικό και Καποδιστριακό Πανεπιστήμιο Αθηνών;National and Kapodistrian University of Athens)の調査。[Greek Reporter]
- イタリア
- ミラノ(Milano)のサン・ヴィットーレ・アル・コルポ聖堂(Basilica di San Vittore al Corpo)の近くでローマ時代から16世紀までの墳墓250基以上と馬の全身骨格。ミラノでは初めて確認されたウマの埋葬。人骨には、結核を患ったものや、処刑されたとみられるものも。[Milano Today]
- ポーランド
- シロンスク県(Województwo śląskie)チェンストホーヴァ郡(Powiat częstochowski;Częstochowa County)オルシュティン(Olsztyn)の城にある洞窟を調査。ルネサンス時代以前にも利用されていた。ネアンデルタール人の使用した40000年前のフリント製石器数百点。ルヴァロワ技法(Levallois technique)による両面加工の石器など。また、洞窟内には、天井とその上の城を支えるため、13世紀にさかのぼる巨大な柱が作られていた。これは城の年代とも符合。昨年には15世紀の金属加工のための炉跡を発見。城はクラクフ=チェンストホヴァ高地(Kraków-Częstochowa Upland)にあり、石とレンガにより築かれた塔を持つ。
Silesia/ Hundreds of Neanderthal tools discovered in a cave at the castle in Olsztyn[Nauka w Polsce] - ドイツ
- バーデン=ヴュルテンベルク州(Land Baden-Württemberg)シュトゥットガルト(Stuttgart)のバート・カンシュタット(Bad Cannstatt)ローマ帝政期・2〜3世紀の集落
Wohnluxus statt Hinterhof[Archaeologie Online] - ドイツ
- テューリンゲン州(Freistaat Thüringen)ゼメルダ郡(Landkreis Sömmerda)ケレダ(Kölleda)で、民族移動時代〜初期中世・6〜8世紀の集落から、櫛づくり工房。青銅器時代・紀元前12世紀〜前11世紀の墓も。[Thüringer Allgemeine]
- UK(スコットランド)
- キルクレガン(Kilcreggan)のポートキル(Portkil)で、青銅器時代・4500年前〜3000年前の墓6基。うち4基は火葬墓。2基は石棺。North Clyde Archaeological Societyの調査。[Helensburgh Advertiser]
- メキシコ
- ユカタン州(Estado de Yucatán)・チチェン・イッツァ遺跡(Chichén Itzá)にある洞窟セノーテ(cenote)で出土したマヤ文明の生贄の頭蓋骨のうち、40人の歯のエナメル質に含まれるストロンチウム(Sr)、酸素(O)、炭素(C)を同位体分析して、出身地を推定。生贄となった人間は近隣だけでなくメキシコ各地から運ばれてきた。[Forbes]
論文 T. Douglas Price, Vera Tiesler, Carolyn Freiwald. "Place of origin of the sacrificial victims in the sacred Cenote, Chichén Itzá, Mexico." American Journal of Physical Anthropology. First published: 11 July 2019 [Wiley Online Library]
▼チチェン・イッツァ遺跡関連記事→2019年3月5日 - メキシコ
- ユカタン州(Estado de Yucatán)ウシュマル(Uxmal)で、3kmにわたる城壁。チチェン・イッツァ(Chichén Itzá)などとの戦いに備えたものか。メキシコ国立人類学歴史学研究所(Instituto Nacional de Antropología e Historia)の調査。[La Jornada Maya]
▼ウシュマル関連記事→2018年4月19日
2019年8月9日(金)
- 岩手県
- 宮古市・根井沢穴田IV遺跡(ねいさわあなた4)で、縄文時代の土坑のほか、戦後間もないとみられる、牛馬などの家畜の遺体を埋めた土坑。公益財団法人岩手県文化振興事業団埋蔵文化財センターの調査。
根井沢穴田鍵篝[公益財団法人岩手県文化振興事業団埋蔵文化財センター] - トルコ
- ニーデ県(Niğde il) アルトゥンヒサル区(Altunhisar district) イェシルユルト村(Yeşilyurt)のクヌク古墳(Kınık)で見つかったヘレニズム時代・2100年前の神殿から、大理石製のワシの彫刻2体。下層には初期青銅器時代・紀元前3000年の地層も。[Daily Sabah]
- ジョージア
- ツツハバティ洞窟(Tsutskhvati)で、以前に出土した子供の歯は後期旧石器時代・5万年前と判明。現在の調査では、8万年前〜1万2000年前のヒトの痕跡を調査中。ジョージア国立博物館(Georgian National Museum)の調査。[Agenda.ge]
- ブルガリア
- ソフィア(София;Sofia)のエクザルフ・ヨシフ通り(Улица екзарх Йосиф;Exarch Yosif Street)で、古代都市セルディカ(Serdica)の北城壁。2世紀以降に築造。セプティミウス・セウェルス帝(Septimus Severus)の時の硬貨の型や、たいまつを持ったエロース神(Ερως;Eros)の小像。ブタの頭の衣装で飾られた把手付きの丸皿パテラ(patera)。[The Sofia Globe]
- ベラルーシ
- ウシャーチ郡(Ушацкі раён;Ushachy District)の湖畔で、12世紀のポロツク公の邸宅。[Belarus News]
▼ヴィーツェプスク州(Віцебская вобласць;Vitebsk Region) - ドイツ
- ヘッセン州マイン=キンツィヒ郡(Main-Kinzig-Kreis)エルレンゼー(Erlensee)で、新石器時代の集落と先ローマ鉄器時代のケルトの墳墓。ケルトの墓からは、意図的に曲げられた鉄剣が出土。
Steinzeitsiedlung und Keltengräber in Erlensee[Archaeologie Online] - フランス
- ヌーヴェル=アキテーヌ地域圏(Nouvelle-Aquitaine) ドルドーニュ県(Dordogne)のミランド城(château des Milandes)で、中世の礼拝堂の地下室から、5世紀の鉛製のハート形。最初の領主の心臓が入っている可能性。[Franceinfo]
- フランス
- 大西洋岸で40万年前の水牛の角。分布域を500km以上西に広げる。40万年前の温暖な時期にのみヨーロッパに水牛が生息。ビーレフェルト自然史博物館(Naturkunde-Museum Bielefeld)が分析。
Seltener Fund aus Frankreich[Archaeologie Online] - UK(イングランド)
- ダラム州(County Durham)ビショップ・オークランド(Bishop Auckland)にあるオークランド城(Auckland Castle)で聖ペテロ礼拝堂(St Peter’s Chapel)北側から、ダラム司教(Prince Bishops of Durham)の生活を表す遺物。中世の肉や魚の食事は地元産と判明。17世紀のものを含む調理用具や食器、13〜14世紀のフラン製エナメル製品ア、ヨーロッパ製のガラス製ゴブレットなど。ダラム大学(Durham University)の調査。ダラム司教は王に次ぐ地位で、軍隊を持ち、独自の貨幣鋳造も行った。[ChronicleLive]
- UK(スコットランド)
- パース(Perth)のテイ川(River Tay)近くで紀元前9800年〜前4000年の地元の紅玉髄製の石器700点。[The Scotsman]
▼パース・アンド・キンロス州(Perth and Kinross) - エジプト
- リビア砂漠のジェベル・ラムラ(Gebel Ramlah)で調査した末期新石器時代・紀元前4600年〜前4000年の墓地では、地点ごとに社会的地位の差が生じていた。2001年〜2003年の調査地点では女性の化粧道具や男性の石製武器などを副葬し、装飾的な土器や装身具を伴う。乳児死亡率が低く、比較的長寿命。一方、2009年〜2016年の調査地点では、体格も小さく幼児死亡率が高く寿命も短い。[Sputnik]
論文 Agnieszka Czekaj-Zastawny, Tomasz Goslar, Joel D. Irish, Jacek Kabaciński "Gebel Ramlah-a Unique Newborns’ Cemetery of the Neolithic Sahara" African Archaeological Review. September 2018, Volume 35, Issue 3, pp 393-405 [SpringerLink] - エチオピア
- バレ山地(Bale-Gebirge;Bale Mountains)の4000m以上の高地にあるフィンチャ・ハベラ遺跡(Fincha Habera)で旧石器時代の集落。マルティン・ルター大学ハレ・ヴィッテンベルク(Martin-Luther-Universität Halle-Wittenberg;Martin Luther University Halle-Wittenberg)の調査。
New study in “Science”: Why humans in Africa fled to the mountains during the last ice age[Martin-Luther-Universität Halle-Wittenberg]
論文 Götz Ossendorf, Alexander R. Groos, Tobias Bromm, Minassie Girma Tekelemariam, Bruno Glaser, Joséphine Lesur, Joachim Schmidt, Naki Akçar, Tamrat Bekele, Alemseged Beldados, Sebsebe Demissew, Trhas Hadush Kahsay, Barbara P. Nash, Thomas Nauss, Agazi Negash, Sileshi Nemomissa, Heinz Veit, Ralf Vogelsang, Zerihun Woldu, Wolfgang Zech, Lars Opgenoorth, Georg Miehe "Middle Stone Age foragers resided in high elevations of the glaciated Bale Mountains, Ethiopia", Science Vol. 365, Issue 6453, pp. 583-587 [Science] - USA
- カンザス州(State of Kansas)ダグラス郡(Douglas County)レコンプトン(Lecompton)の森林から、南北戦争中の墓石2基。うち1基は、クァントリル(Quantrill)が1863年8月21日にローレンス(Lawrence)の町で行った虐殺の犠牲者ジェームズ・オニール(James O’Neill)のもの。[FOX News]
2019年8月8日(木)
- 千葉県
- 船橋市・取掛西貝塚(とりかけにしかいづか)で、新たに縄文時代早期前半の竪穴住居跡10軒。都合52軒に。船橋市教育委員会8/7発表。8/10現地説明会。[東京新聞]
- 愛知県
- 設楽町・上ヲロウ・下ヲロウ遺跡(かみをろう・しもをろういせき)で、縄文時代前期から中期と思われる竪穴建物跡や土器、打製石斧、石錘など。愛知県埋蔵文化財センターの調査。8/10地元説明会。[愛知県埋蔵文化財センター]
- 奈良県
- 明日香村・飛鳥京跡苑池のうち北池から、7世紀後半の石組の溝と石敷きの遺構。湧水を流す流水施設。「水のまつり」の宮廷儀式を行っていた可能性。奈良県立橿原考古学研究所8/8発表。8/10現地説明会。[朝日新聞]
- 島根県
- 島根県立古代出雲歴史博物館が三木文雄氏の研究資料の目録を完成させ、公開。[毎日新聞]
三木文雄資料の公開について[島根県立古代出雲歴史博物館] - 愛媛県
- 大洲市・都谷遺跡(みやこだにいせき)で、弥生時代中期の、山の斜面を削り平たん面を造った「段状遺構」を初確認。大洲市教育委員会8/7発表。[愛媛新聞]
- 佐賀県
- 多久市・牟田辺遺跡(むたべいせき)で、前方後円墳の石室から出土した、獅子の顔が描かれた「帯金具」は、一式で出土したのは国内初。5世紀後半〜6世紀初め。多久市教育委員会の調査。[佐賀新聞]
- イスラエル
- エルサレム(Jerusalem)の神殿の丘(Temple Mount)付近で、第一神殿時代の地下の貯水池。[Jerusalem Center for Public Affairs]
- トルコ
- エスキシェヒル県(Eskişehir il)セイイットガズィ(Seyitgazi)のキュリュボア古墳(Küllüoba)から出土した初期青銅器時代・4500年前土器に、イヌ、ヒツジ、ウシの肉の痕跡。イヌは焼いたり煮たりされており、ヒトがさまざまに調理し食べた。植物化石から見て、当時は旱魃の時代だった。[Daily Sabah]
- トルコ
- アンタルヤ県(Antalya ili)Yağcaにあるカライン洞窟(Karain Mağarası;Karain Cave)で、35万年前の石斧。世界で2番目に古い。[Anadolu Ajansı]
- スペイン
- アンダルシア州(Comunidad Autónoma de Andalucía)マラガ県(Provincia de Málaga)で、地下鉄建設事業により、11世紀のムーア人の遺跡アル・タッバニン(Al-Tabbanin)が破壊される。州文化局による文化財指定を無視して業者が計画を強行。[Morocco World News]
- UK(ウェールズ)
- ポーイス(Powys)にあるヘイ城(Hay Castle)から中世・13世紀の巨大な弾丸。幅29cm、重さ28.5kg。第二次バロン戦争(Barons War)で使用か。巨大な木造投石機トレビュシェ(trebuchet)を用いて発射されたとみられる。英国では1217年ごろ初めてトレビュシェを使用。Hay Castle Trustの調査。[BBC]
- USA
- カリフォルニア州(State of California)サンタバーバラ郡(Santa Barbara County)ロンポク(Lompoc)のラ・プリシマ・ミッション(La Purisima Mission)でチュマッシュ族(Chumash)の遺物。巨大なアカネアワビ(Haliotis rufescens)の殻が出土。カリフォルニア大学サンタバーバラ校(University of California, Santa Barbara)の調査。[edhat]
- ジャマイカ
- セント・キャサリン教区(Saint Catherine) ヘルシャー(Hellshire)で、岩陰からタイノ人(Taino)・500年前の人骨、土器、土偶「ゼミ」(Zemi)など。[The Gleaner]
2019年8月7日(水)
- 名古屋市
- 名古屋城に関し、市側が有識者会議に対して秘密主義を貫き、複数の有識者会議間を分断していることを千田先生がTwitterで指摘。[千田嘉博_城郭考古学(@yoshi_nara)]
- 愛媛県
- 大洲市・都谷遺跡(みやこだにいせき)で山の斜面を削り出して平坦にした「段状遺構」を検出。弥生土器や石器出土。大洲市教育委員会の調査。8/10現地説明会。
都谷遺跡の現地説明会を開催します![大洲市] - 北九州市
- 小倉北区・金田遺跡(かなだいせき)で見つかった長崎街道の道路遺構について、一部(幅3.5m、長さ1m)を切り取って移築保存へ。北九州市8/6発表。[毎日新聞]
▼金田遺跡の長崎街道関連記事→2019年6月14日 - 中国
- 山東省 済南市 済陽区 済陽街道で漢時代の画像石墓2基。うち1基(M1)は済南で最大規模の、墓道を二つ持つ画像石墓。[中国新聞網]
- イラン
- ケルマーン州(Ostān-e Kermān)マヌージャーン郡(Manujan) マヌージャーン砦(Manujan fort)で、初期の集落。[Tehran Times]
- ロシア
- クラスノダール地方(Краснодарский край;Krasnodar Krai)の古代ギリシャ都市ファナゴリア(Φαναγόρεια;Фанагория;Phanagoria)で、東墓地で戦士の墓地から、中身の詰まったガラス器。内部にヒトの涙を含む。また、石棺の中に同時期に死亡した女性と嬰児の遺体。また戦士の墓地多数。市街地では5〜6世紀のキリスト教会。
Открытия Фанагорийской экспедиции[Фонд Вольное дело(Volnoe-Delo Foundation)] - ギリシャ
- コザニ県(Περιφερειακή ενότητα Κοζάνης;Κοζάνη;Kozani) マヴロピギ(Μαυροπηγή;Mavropigi)でヘレニズム時代後期・紀元前1世紀の女性の墓。青銅製の葬送用ベッドの上で、遺体は装身具で飾る。口の中に金の葉。[H KAΘHMEPINH(Kathimerini)]
- イタリア
- レッチェ県(Lecce)ウジェント(Ugento)で大規模な共和政ローマの墓。墓穴の中に順次3人を葬る。硬貨4枚とランプを副葬。遺体を取り除くと4つの穴があり、さらに古い埋葬。紀元前3世紀のミニチュア土器や、ヘレニズム時代のオイノコエ出土。家族墓の造営において古い墓を再使用。中世の城壁も。[Telerama News]
- UK(スコットランド)
- オークニー諸島(Orkney)ラウジー島(island of Rousay)ウェストネス(Westness)のスケイル・ファームステッド(Skaill Farmstead)で、ヴァイキング・10〜12世紀の宴会場。
Norse Hall Discovered at Skaill, Rousay, Orkney[University of the Highlands and Islands Archaeology Institute]
2019年8月6日(火)
- 長崎県
- 島原市・島原城(しまばらじょう)の櫓台跡の石垣が取り壊され、文化財保護法に基づく発掘調査が行われないまま宅地化。埋蔵文化財包蔵地であり、島原市教育委員会は県史跡への追加も目指していたが、地権者側から工事の相談を受けたとき、調査が必要であると伝え忘れた。[西日本新聞]
- シリア
- カラートアルマディク(Qalaat al-Madiq)の古代都市アパメア(Απάμεια;Apamea)で2011年に発見・盗掘されたモザイク床の写真(盗掘犯が撮影)の分析からみて、アパメアが紀元前320年秋に、アレクサンドロス(Αλέξανδρος ο Μέγας;Alexander the Great)の将軍アンティパトロス(ΑντίπατροςAntipater)とその息子カッサンドロス(Κάσσανδρος;Cassander)によってペッラ(Πέλλα;Pella)として建設され、紀元前300年ごろセレウコス1世(Σέλευκος Α';Seleucus I)の妻アパメー(Ἀπάμα;Apama)にちなみアパメアと改名した。モザイクの実物は行方不明。ワルシャワ大学(Uniwersytet Warszawski)のマレク・T.オルシェフスキ(Marek T. Olszewski)教授の研究。以前、アパメアはアレクサンドロスによって紀元前330年ごろ建設されたと考えられていた。近年はアンティゴノス1世(Αντίγονος Α';Antigonus I)が紀元前307年〜前304年に建設したとの意見が出ていた。
Polish archaeologist determined the exact date of foundation of an important ancient city[Nauka w Polsce] - トルコ
- ペルガモン遺跡(Πέργαμον;Pergamon)で新たにアスクレピオス神殿(Ἀσκληπιεῖον;Asclepeion)の墓地を発見。
Neue Nekropole am Asklepieion von Pergamon entdeckt[ドイツ考古学研究所(Deutsches Archäologisches Institut)] - ギリシャ
- レヴィタ島(Λέβιθα;Levitha)沖で複数の沈没船を調査。うち1隻からは、紀元前3世紀中ごろのクニドス(Κνίδος;Knidos)、コス島(Κώς;Kos)、ロドス島(Ρόδος;Rhodes)、フェニキア(Phoenicia)、カルタゴ(Carthage)に由来するアンフォラ。プトレマイオス朝とアンティゴノス朝がエーゲ海の制海権を争っていた時期。また、アルカイック時代・紀元前6世紀の大型船の碇(400kg)も。[Greek Reporter]
▼クニドス関連記事→2016年10月4日 - ポーランド
- ヴァルミア=マズールィ県(Województwo warmińsko-mazurskie)バルチェヴォ(Barczewo)にある、ドイツ騎士団の14世紀のイエスの弟子教会(Church of the Saint Andrew the Apostle)の内陣北西隅の床下で、硬貨数千枚。把手付きのマグカップの中やその周囲から、ジグムント3世(Zygmunt III;Sigismund III Vasa)の治世・17世紀の銀貨や、プロイセン、リトアニアの硬貨。グダニスク大学(Uniwersytet Gdański;University of Gdańsk)の調査。[The First News]
▼ヴァルミア=マズールィ県(Województwo warmińsko-mazurskie)オルシュティン郡(powiat olsztyński) - UK(イングランド)
- バークシャー州(the county of Berkshire) レディング(Reading)のシルバー・ストリート(Silver Street)で、中世・1250〜1500年のタイル窯と粘土採掘坑。リーディング大修道院(Reading Abbey)で使用されているタイルに関連。Thames Valley Archaeological Servicesの調査。[BBC]
- アイルランド
- ブルー・ナ・ボーニャ遺跡群(Brú na Bóinne)のニューグレンジ羨道墳(Newgrange)の近くで、これまで知られていなかった遺構40基。冬至の太陽の方向に並ぶ。石器時代のニューグレンジ羨道墳よりも200〜300年新しい。UCD School of Archaeologyの調査。[Irish Examiner]
- メキシコ
- メキシコシティー(Ciudad de México;Mexico City)のフスト・シエラ通り(la calle Justo Sierra)で、テンプロ・マヨール遺跡(Templo Mayor)に連なるアステカ皇帝モクテスマ2世(Moctezuma II)時代の建物跡と、エルナン・コルテス(Hernán Cortés)がテノチティトラン(Tenochtitlan)を滅ぼした直後、副王領時代に旧建物を再利用した跡。メキシコ国立人類学歴史学研究所(Instituto Nacional de Antropología e Historia)の調査。
Descubren restos de una vivienda construida poco después de la Conquista[Instituto Nacional de Antropología e Historia] - グアテマラ
- Laguna Ek’Naab湖の堆積物に、690〜700年ごろの炭化物の層。近隣のウィツナ遺跡(Witzná)での、自然のものではない大規模な火災を示す。火災の後は人間の活動が激減し、人口減少を示す。ウィツナ遺跡は2016年に出土した印章で当時の名称「Bahlam Jol」と判明。ライバルの都市ナランホ遺跡(Naranjo)の石柱銘文にある697年5月21日にBahlam Jolが焼けたという記載に合致。従来、マヤ文明においては戦争は儀式的なもので。後に旱魃や気候変動によって全面戦争に至り、1000年ごろに滅んだと考えられていた。今回の研究で、戦争が必ずしもマヤ文明滅亡の主要原因とはいえなくなった。カリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)の研究。
Maya more warlike than previously thought[University of California, Berkeley]
論文 David Wahl, Lysanna Anderson, Francisco Estrada-Belli & Alexandre Tokovinine "Palaeoenvironmental, epigraphic and archaeological evidence of total warfare among the Classic Maya" Nature Human Behaviour. Published online August 5, 2019. [Nature]
▼ペテン県(Departamento de Petén)
2019年8月5日(月)
- 名古屋市
- 名古屋城に関し、名古屋市が新たに「埋蔵文化財部会」を年内にも設ける方針。現天守の解体をめぐって有識者会議「石垣部会」は、現天守を解体する前に地下遺構を調査する必要性を指摘し、「埋蔵文化財石垣部会」と改組するよう求めていた。名古屋市は新部会を石垣部会とは別に設け、石垣に関係するものを除く名古屋城の発掘調査を審議する予定。[朝日新聞]
- 奈良県
- 橿原市・藤原宮跡で、一部施設の造営前に強い地震の痕跡。南海トラフで起きた684年の白鳳地震よりのちの地震の可能性。[毎日新聞]
- ニュージーランド
- マーオリ人(Māori)の社会関係を、黒曜石の産地と出土地の関係から分析。オークランド(Auckland)と北島のマーオリ人にとって、最も豊富な黒曜石の産地はコロマンデル半島(Coromandel Peninsula)沖35kmのメーヤー島(Mayor Island)で、北島の各地に分布。北島の15遺跡2404例の黒曜石のうち、915例がメイヤー島産。第2位の2倍以上。近隣に黒曜石の産地があっても、はるかに遠いメイヤー島の黒曜石を入手。背景に何らかの社会的な理由。[Stuff]
論文 Thegn N. Ladefoged, Caleb Gemmell, Mark McCoy, Alex Jorgensen, Hayley Glover, Christopher Stevenson, Dion O’Neale "Social network analysis of obsidian artefacts and Māori interaction in northern Aotearoa New Zealand" PLOS One Published: March 14, 2019 [PLOS One] - トルコ
- エウロモス遺跡(Εὔρωμος;Euromus)で墓室から出土した成人男性の頭蓋骨は割られており、ドリルによる穿孔。頭痛をなおすための2200年前の脳外科手術。このほか、大半の人骨は、健康状態が良い。エウロモスはゼウス神(Ζεύς;Zeus)の神殿で名高い古代ギリシャ都市。[The Sun]
▼ムーラ県(Muğla il) - モロッコ
- サレ(Sale)のDar El Baroudで12〜14世紀の土器作り工房や窯。[Morocco World News]
2019年8月4日(日)
- パレスチナ
- ナハル・ミシュマル(Nahal Mishmar)で1961年に出土した銅器時代・ガッスール文化(Ghassulian)・紀元前4300年の銅器に、文字の可能性のある記号。ナハル・ミシュマルの銅器は、失蝋法で製作された鉢、こん棒、冠、笏など。[Haaretz]
- トルコ
- エスキシェヒル県(Eskişehir il)セイイットガズィ(Seyitgazi)キュリュボア(Küllüoba)で紀元前3000年の合葬墓。13歳程度の少女と30代後半の男。[Daily Sabah]
- UK(イングランド)
- ケント州(the county of Kent) ファヴァシャム(Faversham)でパブ「Market Inn」の庭から、ローマ時代とアングロ・サクソンの遺物。Faversham Society Archaeological Research Groupの調査。[Kent Online]
- UK(イングランド)
- ハンプシャー州(the county of Hampshire)ウィッカム(Wickham)で第二次世界大戦中の1940年11月に墜落したホーカー・ハリケーン戦闘機(Hawker Hurricane)。ウィンチェスター大学(University of Winchester)の調査。[Southern Daily Echo]
2019年8月3日(土)
- 千葉県
- 君津市・上湯江遺跡で奈良時代後期〜平安時代初期・8世紀の水滴とみられる小型平瓶。識字層の存在を示す。周辺に官衙や寺院が存在した可能性。君津市教育委員会の調査。[東京新聞]
- 中国
- 山西省 運城市 垣曲県で、金時代の木造建築になぞらえた磚室墓。[中国新聞網]
- インド
- オリッサ州(Odisha)カタック県(Cuttack)ジャラルプール村(Jalalpur)Bharati Hudaで銅器時代・3600年前の集落。インド考古調査局(Archaeological Survey of India:ASI)の調査。[The Hindu]
- トルコ
- ビトリス県(Bitlis ili)アフラト(Ahlat)旧市街の砦Kubbetul-Islamでシャー・アルメンス朝・883年前(1136年)の銘文。5000年前の土器片も。[Anadolu Ajansı]
- ブルガリア
- ルセ州(Русенска област;Rucenska Oblast)ルセ(Русе;Ruse)で、ドナウ川の要塞から、オスマン帝国末期・18〜19世紀の砲弾359個。1877年〜1878年の露土戦争で使用か。ルセは1864年〜1878年にオスマン帝国のトゥナ州(Vilâyet-i Tuna;Дунавски вилает;Danube Vilayet)の首都。要塞はブルガリアがオスマン帝国から独立する1878年まで利用された。[Archaeology in Bulgaria]
- 出版
- 奄美の考古学研究の第一人者で「シマ学」の提唱者・中山清美さんの追悼論集『中山清美と奄美学』を刊行。[奄美新聞]
2019年8月2日(金)
- 鳥取県
- 鳥取市・青谷上寺地遺跡(第18次調査)で古墳時代前期前半・4世紀の大規模な土地の造成跡。中心域を海に向かって拡張。従来は同遺跡の衰退期と考えられていた。鳥取県8/1発表。8/4現地説明会。[日本海新聞]
- 山口県
- 山口市・大内氏関連遺跡(第115次調査)で「大内氏館跡」と「築山跡」との間から室町時代の建物跡など。山口市の調査。10/5現地説明会。[山口市]
- 熊本市
- 中央区での7/5遺跡発掘調査で臨時職員3名が生き埋めになった事故で。8/2に第1回目の検証委員会。[テレビ熊本]
- 製鉄
- 製鉄などの人間活動が哺乳類の地理的分布を説明する重要な要因。小型哺乳類で、古墳時代と近世での製鉄による強い負の影響。29属の動物の13属において統計的に意味のある影響を確認。帯広畜産大学と国立環境研究所の研究。
製鉄が野生動物に与えた影響は千年紀を超えて残る−生物と遺跡の地理的分布から見えたこと−[国立環境研究所]
論文 Fukasawa, K., Akasaka, T. (2019) Long-lasting effects of historical land use on the current distribution of mammals revealed by ecological and archaeological patterns. Scientific Reports 9: 10697. [Scientific Reports] - 中国
- 雲南省 玄謀県 江辺郷 竜街村・蠟甸遺跡で土坑墓と石板墓など。石板墓は雲南では初めての発見。[国際在線]
- トルコ
- カラビュック県(Karabük il)の古代都市ハドリアノポリス(Hadrianopolis)で2世紀にさかのぼる墓(rock tomb)1基。従来この墓地は4〜5世紀くらいまでしかさかのぼらないとみられていた。また、ガラス工房の遺構も。同遺跡は8世紀まで初期キリスト教の巡礼の重要拠点。[Daily Sabah]
- イタリア
- サレルノ県(Salerno)カゼッレ・イン・ピッタリ(Caselle in Pittari)で、紀元前4世紀の集落。[La Repubblica]
- スペイン
- ブルゴス県(Provincia de Burgos)トレビーニョ(Treviño)のシエラ・デ・アライコ(Sierra de Araico)にあるポサラテ遺跡(Pozarrate)で、新石器時代・6000年前のフリント採石場。イベリア半島最古。石材や石器製作時の剥片、採掘道具として使われた草食動物の肩胛骨や、シカの角出土。Centro Nacional de Investigación sobre la Evolución Humana, CENIEHの調査。
La X Campaña de excavación de Treviño confirma el hallazgo de la cantera más antigua de la península ibérica
The 10th Excavation campaign in Treviño confirms the discovery of the oldest quarry of the Iberian Peninsula[Centro Nacional de Investigación sobre la Evolución Humana, CENIEH]
▼カスティーリャ・レオン自治州(Comunidad Autónoma de Castilla y León) - UK(イングランド)
- エセックス州(the county of Essex) コルチェスター(Colchester)でローマ時代の浴場。Colchester Archaeological Trustの調査。[East Anglian Daily Times]
- UK(スコットランド)
- キルクレガン(Kilcreggan)のポートキル(Portkil)で、青銅器時代・3000年前の小児墓地。North Clyde Archaeological Societyの調査。[The Lochside Press]
- USA
- フォートエドワード(Fort Edward) ロジャーズ島(Rogers Island)で18世紀のまさかり、磁器、兵士の制服の一部とみられる鉄や真鍮のバックル、レンガ造りの炉など。[The Post Star]
▼ニューヨーク州(State of New York)ワシントン郡(Washington County) - USA
- ミシガン州(State of Michigan)マッキノー市(Mackinaw)・コロニアル・マイキリマックノー・パーク(Colonial Michilimackinac)の建物跡から、英国製の銃につけるヘビ形の側板。[Cheboygan Daily Tribune]
- トリニダード・トバゴ
- フリーポート(Freeport)のアリーナ・ロード(Arena Road)で、先住民の貝塚。西インド諸島大学(University of the West Indies)の調査。[Trinidad & Tobago Guardian]
2019年8月1日(木)
- 長崎県
- 南島原市・原城跡(はらじょうあと)の本丸跡と二ノ丸跡などの斜面4か所が7月下旬の大雨の影響で崩落。南島原市7/31発表。[長崎新聞]
- 韓国
- 忠清南道 唐津市・城山里山城で、北側城壁とその内側の一部を調査。城壁の高さは外側で5.3m、内側に建物跡6棟。4世紀後半〜5世紀はじめに百済が高句麗に備えた防御拠点の可能性。築城技法を把握。築造時に木柱を1.1m間隔で立て、粘土を積み上げるが、城壁が折れる部分では石を積んで粘土で固め、内外に土を積む。鉢巻式山城。建物跡は大部分が方形で、1基のみ凸字形。城壁と隣接して列をなす。三足器、高杯、鶏卵形土器、甑、紡錘車、鉄斧など出土。錦江文化遺産研究院の調査。[聯合ニュース]
▼唐津市 高大面 城山里と石門面 通丁里の境界にある - 中国
- 湖北省 随州 義地崗古墓葬の棗樹林墓地で、春秋時代早期・2600年前の曾侯求の夫婦墓。[新華社]
- トルコ
- チャナッカレ県(Çanakkale il)の古代都市アッソス(Assoss)は、建設された3000年前から継続的に居住されていた。[Daily Sabah]
- ブルガリア
- ブルガス州(Област Бургас;Oblast Burgas) カメノ(Камено;Kameno)・ルソカストロ砦(Русокастро;Rusokastro)で、ヴェネツィアのマタパン銀貨(matapan)3枚。うち2枚はヴェネツィア総督レニエロ・ゼノ(Raniero Zeno)とジョバンニ・ソラント(Giovanni Soranto)の治世に製作。[The Sofia Globe]
- イタリア
- シチリア島の古代ギリシャ植民地ヒメラ(Ἱμέρα;Himera)のうち、ピアノ・デル・タンブリーノ(Piano del Tamburino)で聖域2か所。祭壇や供物、祭祀に用いた土器など。アルカイック時代後期の大規模な地震跡。文献には記載なし。その後再建し、紀元前409年にカルタゴにより破壊。ベルン大学(Universität Bern;University of Bern)の調査。[Teletermini]
- ドイツ
- ザクセン=アンハルト州(Land Sachsen-Anhalt) ザルツラントクライス郡(Salzlandkreis) ツァックミュンデ(Zackmünde)にあるペンメルテ円形祭祀場(Ringheiligtum Pömmelte)で、初期青銅器時代・ウーニェティツェ文化(Únětice culture;Aunjetitzer Kultur)・紀元前2300年〜前1600年の集落跡。また、新石器時代・ビーカー文化(Glockenbecher-Kultur;Beaker culture)・紀元前2500年〜前2050年の建物基礎や墳墓。さらに縄目文土器文化(Schnurkeramische Kultur;Corded Ware culture)・紀元前2800年の〜前2350年の墳丘墓。マルティン・ルター大学ハレ・ヴィッテンベルク(Martin-Luther-Universität Halle-Wittenberg;Martin Luther University Halle-Wittenberg)、サウサンプトン大学(University of Southampton)、Landesamt für Denkmalpflege und Archäologie Sachsen-Anhaltの調査。
Pömmelte, Stonehenge, Avebury[Landesamt für Denkmalpflege und Archäologie Sachsen-Anhalt] - スペイン
- バルセロナ県(Provincia de Barcelona)バダロナ(Badalona)の古代ローマ時代都市バエトゥロ(Baetulo)で、大邸宅とワイン圧搾機や貯蔵庫の跡。石碑にポルキウス(Porcius)の名。古代バエトゥロでワインの生産と貿易に従事したマルクス・ポルキウス(Marcus Porcius)を指すと推定。
Aparece una gran villa romana en Badalona, cerca de Barcelona[National Geograpgic España] - UK(スコットランド)
- ハイランド地方(Highlands)のグレンコー(Glen Coe)で、3つのムラInverigan、Achnacon、アックトリオークタン(Achtriochtan)を調査。18世紀の軍事地図では6つの集落を表記するが、19世紀までに記録から消え、ヒツジの飼育のため更地に。このうちアックトリオークタンで古い宿屋の跡を発見。マンガン釉陶器やガラス瓶出土。建物に小さな庭。酒を飲むときにウマをつないでおく場所。[STV]
- アイルランド
- ミーズ州(Contae na Mí;County Meath)ビーモア(Beamore)のボーベック遺跡(Beaubec)で、中世フランス風の建物や土器や瓦。ムギを乾かす窯、乾燥したマメ。中世・13世紀の修道院の農場と推定。フランスのシトー修道会(Cistercian)の修道士がいたことを証明。[Irish Mirror]
- USA
- コネティカット州(State of Connecticut)グリズウォルド(Griswold)で30年前出土した18〜19世紀の人骨を分析。埋葬後に神像を燃やし、骨の配置を変えて改葬しており、かつては吸血鬼と見なされていた。棺に打ち込まれた真鍮の鋲で表した「JB55」は、彼の本名ジョン・バーバー(John Barber)の頭文字と死亡時の年齢を示す。ジョンは農夫で、上の前歯き、吸血鬼ではない。鎖骨が折れて、正しく治癒せず。膝に関節炎。結核で死亡。Armed Forces Medical Examiner Systemの調査。[The Washington Post]
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