2020年1月10日(金)
- 神奈川県
- 逗子市郷土博物館を廃止へ。緊急財政対策で2018年4月から休館中。収蔵資料については、池子遺跡群資料館やコミュニティセンターでの展示が可能か検討。[タウンニュース]
- 奈良県
- 奈良市・法華寺庭園は、当初の庭園が江戸時代前半に造成された可能性が高い。法華寺と奈良文化財研究所1/9発表。[奈良新聞]
名勝法華寺庭園の調査(平城第618次調査)[奈良文化財研究所] - 岡山県
- 倉敷市・中津貝塚で縄文時代晩期の土壙墓と埋蔵人骨。倉敷市教育委員会1/10発表。[山陽新聞]
- 鹿児島県
- 龍郷町・半川遺跡(はんごーいせき)で2018年に出土した堅果類の植物遺存体は1万1400年前。同じ層から爪形文土器など出土。[奄美新聞]
- 韓国
- 国立益山博物館1/10開館。弥勒寺跡の舎利壮厳具や益山双陵木棺など、全羅北道西北部の文化財を展示。[聯合ニュース]
- インドネシア
- ジャワ島(Java)のサンギラン(Sangiran)にホモエレクトゥス(Homo erectus)が最初に登場した時期を130万年前と推定。従来説より20万年遅い。フィッショントラック法(fission-track)とウラン・鉛年代測定(Uranium-lead dating)による。
論文 Shuji Matsu’ura, Megumi Kondo, Tohru Danhara, Shuhei Sakata, Hideki Iwano, Takafumi Hirata, Iwan Kurniawan, Erick Setiyabudi, Yoshihiro Takeshita, Masayuki Hyodo, Ikuko Kitaba, Masafumi Sudo, Yugo Danhara, Fachroel Aziz "Age control of the first appearance datum for Javanese Homo erectus in the Sangiran area" Science. Vol. 367, Issue 6474, pp. 210-214 [Science] - アフガニスタン
- バーミヤン州(Bāmiyān)の文化遺産が気候変動のため危機に。[Agence France-Presse]
- スイス
- バーゼル=ラント準州(Basel-Landschaft)ライナハ(Reinach)で、初期中世・メロヴィング朝・550年ごろの墓地。[bz Basel]
- スイス
- ツーク湖(Zugersee)のシャム(Cham)の湖岸から160mに、5500年前の積石塚(Steinhügel)。直径36m。石材の間に木材も使用。[20minuten]
- ノルウェー
- トロンハイム(Trondheim)中心部のKjøpmannsgataで中世の墓地。個人墓15基と大型土壙墓3基。個人墓15基のうち7基は成人、5基は子供、3基は未発掘。大型土壙墓のうち一つでは人骨200体が出土し、17世紀に建設工事に伴って別の場所から改葬されたと推定。ノルウェー文化遺産局(NIKU:Norsk institutt for kulturminneforskning)の調査。[Life in Norway]
- UK(イングランド)
- コーンウォール(Cornwall)のMulfra Quoitが落書きの被害に。新石器時代・紀元前3500年〜前2500年の巨石墓(dolmen)。[FOX News]
2020年1月9日(木)
- 高知県
- 高知市・新堀川護岸(しんぼりがわごがん)で、江戸時代の豪商屋敷跡。公益財団法人高知県文化財団埋蔵文化財センターの調査。1/12現地説明会。[高知新聞]
- 長崎県
- 諫早市・五家原岳中腹で、第二次大戦中に墜落した軍民共用航空機「五竜号」とみられる破片。1944年2月12日に墜落。[長崎新聞]
- 中国
- 湖南省 岳陽市 平江県 南江鎮の幕阜山西麓にある童家遺跡は、石家河文化の集落。[中国社会科学院考古研究所]
- イラン
- サルマス(Salmas)のテペ・アフランジャン(Tepe Ahranjan)で、紀元前7千年紀に農耕や動物の飼育を行っていた。[Iran Front Page]
- UAE
- ドバイ(Dubai) サールーク・アル・ハディード遺跡(Saruq al-Hadid)で、鉄器時代・3000年前の金属器工房。壊れた土器を多様な用途に再利用。
Recycling in What is Now Dubai was Commonplace 3,000 Years Ago, Researchers Find[Nauka w Polsce] - イスラエル
- メトゥラ(Metula)のアベル・ベト・マアカ(Abel Beth Maacah)で、鉄器時代の建物から出土した紀元前9世紀の貯蔵用土器に、ヘブライ語の銘文「leBenayau」(ベナヤウのもの)。この地が紀元前10〜前9世紀に古代イスラエル王国の範囲内だったことを示す。従来説よりも北側。アベル・ベト・マアカは聖書に3回言及されているが、イスラエル、フェニキア、アラム、独立勢力のいずれであったか、論議の的だった。付近で出土した別の壺にはブドウの遺存体があり、この以降はベナヤウのワインセラーとみなされている。[Haaretz]
- UK(イングランド)
- ヨーク市(York)ヘスリントン(Heslington)で2008年に出土した鉄器時代・紀元前673年〜482年のヒトの脳が腐敗していなかったのは特殊なたんぱく質のため。認知症などの解明の手掛かりになる可能性。通常、ヒトの脳組織は急速に腐敗する。ヘスリントンの脳の持ち主は、殺されて斬首されて穴に埋められていた。
Scientists Probe the Mysteries of a Well-Preserved 2,500-Year-Old Human Brain[Vice]
論文 Axel Petzold, Ching-Hua Lu, Mike Groves, Johan Gobom, Henrik Zetterberg, Gerry Shaw and Sonia O’Connor "Protein aggregate formation permits millennium-old brain preservation" Journal of the Royal Society Interface. Volume 17,Issue 162 [The Royal Society] - UK(スコットランド)
- パース・アンド・キンロス州(Perth and Kinross)パースシャー(Perthshire)のLair in Glensheeで、初期中世・500〜1000年のピクト人の集落から錠前(padlock)。[BBC]
- 日本の研究
- 日本の研究.comは大変便利なのですが、「タイで発見された新属新種の大型肉食恐竜について」の推定分野の筆頭が「人文科学 / 人類・考古学」なのは残念でした。自動推定らしいんですけどね。推定分野一覧にある36分野には「古生物学」とかはないようです。
2020年1月8日(水)
- インドネシア
- 中部ジャワ州(Jawa Tengah;Central Java)ウォノソボ県(Wonosobo)ケジャジャール(Kejajar)のディエン・ウェタン村(Dieng Wetan)で巨大な安山岩製のガネーシャ神(Ganesha)の像。高さ140cm、幅120cm。[Antara News]
- オーストラリア
- クイーンズランド州(Queensland)カーナボン渓谷(Carnarvon Gorge)のバルーン洞窟(Baloon Cave)ロックアートが2018年の森林火災で被害。リサイクルされたプラスチックによる歩道が爆発したため。修復不可能。[Australian Broadcasting Corporation]
- イラン
- 米国のトランプ大統領は、イランの文化遺跡を攻撃するとした自身の1/4の発言を1/7撤回した。文化遺跡の破壊が国際条約で禁じられていることを認め、しぶしぶの撤回。イランに対する敵意のこもった発言はやまず。法的根拠は1954年のハーグ条約と2017年の国連安保理決議。[abc]
- スウェーデン
- エステルイェータランド県(Östergötlands län)に立つ、ヴァイキング時代・800年ごろのルーン文字(runic)によるレーク石碑(Rökstenen;Rök Runestone)に新たな解釈。光と闇、暖かさと寒さ、生と死の戦いを記す。過酷な気候への恐怖に由来。従来は、100年以上にわたる戦争に言及するとされていた。
The Vikings erected a runestone out of fear of a climate catastrophe[Phys.Org]
論文 Per Holmberg, Bo Gräslund, Olof Sundqvist, Henrik Williams, "The Rök Runestone and the End of the World" Futhark: International Journal of Runic Studies, Vol. 9-10, p. 7-38 [Uppsala universitet] - UK(イングランド)
- レスターシャー州(the county of Leicestershire)メルトン・モーブレー(Melton Mowbray)のスカルフォード・ロード(Scalford Road)近くで、7世紀の人骨。放射性炭素年代で635〜685年。[BBC]
- UK(ウェールズ)
- モンマスシャー(Monmouthshire)のウェントウッドの森(Wentwood Forest)にある青銅器時代・4000年前〜3000年前の墳丘墓(burial mound)が、オフロード車により深刻な損害。警察が捜査。[itv]
- エジプト
- ソハーグ県(Sohag Governorate)で、プトレマイオス1世(Ptolemy I)当時のオシリス神(Osiris)の神殿に関連する石灰岩ブロック5個。[Egypt Today]
- タンザニア
- オルドバイ渓谷(Olduvai Gorge)で、旧石器時代・180万年前〜120万年前の初期人類 最適化された石器を作る。それぞれの用途に合わせて最適な石材を選択。
Early humans revealed to have engineered optimized stone tools at Olduvai Gorge[Heritage Daily]
論文 Alastair Key, Tomos Proffitt and Ignacio de la Torre "Raw material optimisation and stone tool engineering in the Early Stone Age of Olduvai Gorge (Tanzania)" Journal of Royal Society Interface [The Royal Society] - USA
- フロリダ州タラハシー(Tallahassee)のゴルフ場キャピタルシティ・カントリークラブ(Capital City Country Club)の7番ホールのティーグラウンド近くで、地中レーダー探査(Ground Penetrating Radar)により、南北戦争(Civil War)当時の40基からなる失われた墓地。プランテーションで働いていた奴隷のためのものと推定。[WFSU]
2020年1月7日(火)
- 岐阜県
- 岐阜市・岐阜城跡(ぎふじょうあと)の山上部で、天守閣西側から信長期の天守台石垣。1567年の信長入城後の石垣の特徴。安土城で完成したとされる天守の起源を考えるうえで重要な発見。二ノ門周辺と資料館南側で信長期の石垣。1/14-1/18現地公開。
令和元年度岐阜城跡山上部発掘調査で信長期の天守台石垣が見つかりました![岐阜市]
傾斜をつけて積む信長時代の特徴。岐阜市1/7発表。[共同通信] - 静岡市
- 葵区・駿府城跡(すんぷじょうあと)の、豊臣秀吉の天守台跡に隣接した場所で、新たな天守台跡。大規模な天守に連結した「小天守」の跡とみられる。江戸時代より前の城跡で連結型の小天守台の遺構が発見されたのは全国初。静岡市1/7発表。[静岡新聞]
- 静岡市
- 清水区・尾羽廃寺跡の西端で、塔の心礎を発見。塔の推定地から十数m離れた場所。白鳳時代・7世紀後半に創建、平安時代末ごろに廃絶。静岡市1/6発表。1/11現地で解説と出土品公開。[静岡新聞]
- 京都市
- 中京区・川井家住宅の跡地を調査した結果、同住宅が室町時代の建築であったことを実証。礎石の脇から出土した掘立柱跡が安土桃山時代・16世紀後半の土器を含む土で埋められていた。国内最古の町家であったが2018年に解体された。古代文化調査会の調査。[産経新聞]
- 岡山県
- 赤磐市・斎富遺跡(さいどみいせき)で、縄文時代晩期の土器が出土する河道や、弥生時代以降の建物や溝。赤磐市の調査。1/30現地説明会。
斎富遺跡発掘調査現地説明会を開催します[赤磐市] - 岡山県
- 真庭市で15世紀後半〜16世紀前半の中世城館跡。石積みで補強した堀の一部や、柱穴、集石遺構などを確認。時期の茶道具も出土。「作陽誌」に記す「阿波土居」にあたり、「粟ノ堀」「粟ノ表」といった地名も残っていた。真庭市教育委員会の調査。[山陽新聞]
- 沖縄県
- 北谷町・北谷城(ちゃたんぐすく)を含む米軍キャンプ瑞慶覧の施設技術部地区内の倉庫地区の一部、約11haが3/31返還へ。[沖縄タイムス]
- 中国
- 内モンゴル自治区 呼和浩特市 玉泉区 沙梁子古城遺跡で、漢代の官営の瓦磚窯8基、[新華社]
- 中国
- 太湖(Lake Tai)周辺での東周時代の原始瓷器(proto-porcelain wares)の流通を調べるため、北岸・東岸の集落や墳墓などから出土した43試料と、生産遺跡の15試料を分析。型式学的にA群とB群に分類。A群は東苕溪中流、B群は東苕溪下流の生産地の製品に近い。これらは太湖の水運を利用して流通し、無錫や蘇州が流通センターとして機能した。
文献 Zequn Li, Yingfei Xiong, Jianming Zheng, Xiaoqi Wang, Jianzhong Zhou, Jie Chen, Dongsheng Zhao, Zhaogen Zhang, Yongjun Li, Hansheng He, Hongwei Si, Dujun Huang, Liangren Zhang "Provenancing eastern Zhou proto-porcelain wares in the circum-Tai region" Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 29 [ScienceDirect] - 中国
- 雲南省 金平ミャオ族ヤオ族タイ族自治県 勐橋郷 卡房村・竜脖河遺跡で、春秋戦国時代の銅の採掘と精錬に関連する遺跡。雲南省内では最古。[新華社]
- イラン
- 米国のトランプ大統領が、イランの文化施設を標的にすると脅していることに対して、イラン各地の文化観光当局者、活動家、ファンなどが、国連への嘆願書に署名したり声明を発表。トランプの発言は世界文明に対する罪と指摘。[Tehran Times]
- イラン
- 米国のトランプ大統領がイランの文化財を攻撃することも辞さないと表明したことを受け、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)は6日、各国には国際条約によって文化財の保護が義務付けられており、イランと米国は条約を順守しなければならないと表明した。[Agence France-Presse]
- ギリシャ
- カヴァラ県(Νομός Καβάλας;Kavala prefecture)のパンガイオン山(Παγγαίο;Pangaion Hill)で3000年前の岩絵(rock carving)が削り取られる被害。[H KAΘHMEPINH(Kathimerini)]
- UK(イングランド)
- サマセット州(the county of Somerset)サマートン(Somerton)の学校予定地で、ローマ時代の高位の人物の墓地。大人や子供の人骨50体を葬る。うち女性人骨1体は、枕に頭を載せて埋葬。小さな釘が出土することから、多くの被葬者は鋲を打ったブーツ(hobnail boots)を着用。大半は石板で石棺を作り、石板で蓋をするが、ある1基の墓では蓋石をテントのような構造に組み立てる。スペインやイタリアの墓制の反映。Wessex Archaeologyの調査。[The Guardian]
- UK(イングランド)
- ケンブリッジ(Cambridge)とハンティンドン(Huntingdon)間の道路改良工事区間に位置するオフォード・クルーニー(Offord Cluny)で、ベッドフォードシャー州(the county of Bedfordshire)ハロルド(Harrold)産のローマ時代のタイル。近隣にローマ時代の邸宅や浴場があったことを示唆。ハロルドでは、270〜350年に英国・中南部に広範囲にタイルを供給した。
Tracing lost Roman bath houses and ancient tile trade networks on the A14C2H scheme[MOLA Headland Infrastructure]
▼ケンブリッジシャー州(the county of Cambridgeshire)ハンティンドンシャー(Huntingdonshire) - USA
- ウェストバージニア州(State of West Virginia)とバージニア州(Commonwealth of Virginia)のアパラチア山脈(Appalachian Mountains)で、ヨーロッパ人到来後の16〜7世紀にネイティヴアメリカンの人口が減少したのち、広範囲な森林再生(reforestation)が起こったとの仮説を、丸木造りの建物の年輪年代(tree-ring dating;dendrochronology)で検証。
IF TREES COULD TALK [West Virginia University]
論文 Kristen K. de Graauw, Amy E. Hessl "Do historic log buildings provide evidence of reforestation following depopulation of Indigenous Peoples?" Journal of Biogeography [Wiley Online Library] - USA
- コネティカット州(State of Connecticut)リッジフィールド(Ridgefield)で出土した、アメリカ独立革命(Revolutionary War)中のものとみられる人骨をX線やCTスキャンで調査へ。[The Milford Mirror]
▼リッジフィールドで出土したアメリカ独立革命時の人骨関連記事→2019年12月12日 - チリ
- アルトス・デ・アリカ(Altos de Arica)の円形遺構を分析。インカ帝国の首都クスコ(Cusco)の建物スントゥルワシ(sunturhuasi)に似る。3次元モデルによる分析で、同遺構が天文観測に用いられ、インカの農業暦に関連している可能性を示す。
cf. Thibault Saintenoy, Antonio César González-García and Marta Crespo Fernandez "The making of an imperial agricultural landscape in the Valley of Belén" Antiquity. Volume 93, Issue 372, pp. 1607-1624[Cambridge Core]
2020年1月6日(月)
- 北海道
- 函館市・垣ノ島遺跡が6月下旬から一般公開へ。[NHK]
- 香川県
- 高松市・池内古田遺跡で、鎌倉時代や江戸時代後期の溝や建物跡、柱穴跡。鎌倉時代の溝は農業用の水路と考えられる。香川県埋蔵文化財センターの調査。1/25現地説明会。
池内古田遺跡の現地説明会を開催します[香川県] - 韓国
- 江原道 原州市 神林面 城南里・石南寺跡で、石造りの基壇跡、礎石、積心施設、排水施設。高麗時代と朝鮮時代の銘文瓦、青磁・白磁など出土。三国史記の記述に一致。出土遺物には特に11〜12世紀のものが多く、瓦の銘文には「石南寺」「大平」などがあり、「大平」は中国・遼王朝の元号とみられる。石南寺は、後三国時代の弓裔が駐屯し、高麗建国の出発点となった。江原文化財研究所の調査。[原州トゥデイ]
- 韓国
- 代表的な加耶古墳の出土品5点が新たに宝物指定。咸安 馬甲塚出土の馬甲や環頭大刀(宝物2041号)。陜川 玉田M3号墳出土の環頭大刀(宝物2042号)。陜川 玉田28号墳出土の金製耳飾(宝物2043号)。陜川 玉田M4号墳出土の金製耳飾(宝物2044号)。陜川 玉田M6号墳出土の金製耳飾(宝物2045号)。文化財庁1/6発表。[Asia Arts]
▼文化財庁は2024年5月17日から国家遺産庁 - カンボジア
- モンドルキリ州(Mondulkiri)Lum Mes村ブースラー(Bou Sra)にある数百年前の石柱を、武装した兵士の一団と村人が共謀して盗掘しベトナムに売り飛ばそうとした。直径40〜60cm。長さ最大4m。石柱はベトナムで家具や建築装飾に使われることがある。[The Phnom Penh Post]
- インド
- デリー(Delhi)の赤い城(Red Fort)のデリー門(Delhi Gate)前で、ムガル朝(Mughal)後期の、雨水の排水溝。デリー門と赤い城をめぐる堀を結ぶ。底は石張りで、アーチ形の天井はレンガ積み。インド考古調査局(Archaeological Survey of India:ASI)の調査。[Hindustan Times]
- イラン
- 米国のトランプ大統領は、イランの文化施設を標的とする攻撃の可能性に改めて言及。一方政府高官らによると、文化施設を攻撃することに対しては政権内部でも反対意見が強い。[CNN]
- イスラエル
- エルサレム(Jerusalem)のダビデの町(City of David)で、第二神殿時代(Second Temple Period)・2000年前の市場跡から計量テーブル(measuring table)。ワインやオリーブ油を計量。近隣で石製の分銅も出土。この地域は計量の監督官アゴラノモス(ἀγορανόμος;agoranomos)の役所に近い。[Arutz Sheva]
- イスラエル
- テル・モサ遺跡(Tel Moza)で、先土器新石器時代b・紀元前8千年紀の石灰岩製のヒツジの像や、ドロマイト(Dolomite)製のウシのような像。狩猟の成功を祈るための品か。[Archaeology - New Finding]
- トルコ
- イスタンブル県(İstanbul)クチュクチェキメジェ自治体(Küçükçekmece)にある古代都市バトネア(Βαθονεία;Bathonea)で1000年前の人骨。30〜40歳程度の男性。外傷などはなく、奴隷や召使などではない。同地のほかの70体の人骨とは特徴が異なる。イスタンブルで確認された最初のアフリカ系住民の可能性。商業目的で来航か。クチュクチェキメジェ湖(Küçükçekmece Gölü;Lake Küçükçekmece)はかつてマルマラ海(Marmara Denizi;Sea of Marmara)の入り江で、商業船の港としてに利用されていた。[Daily Sabah]
- スイス
- ベルン州(Kanton Bern;Canton de Berne;canton of Bern)のシャダウ城(Schloss Schadau;Schadau Castle)近くのトゥーン湖(Thunersee;Lake Thun)の湖底で、青銅器時代・3500年前の柱上住居(pile dwelling)。柱の年代は初期青銅器時代・紀元前1590年〜前1540年。浸食に先立つ水中調査。[swissinfo]
- ポーランド
- スヴァウキ(Suwałki)で、初期中世のヤトヴャク人(Yotvingians)の墓地から、1000年前の遺物500点。剣と槍、ナイフなどの武器を含む。火葬のための薪を遺体や副葬品とともに廃棄。あったはずの副葬品のうち1000点程度はすでに墓泥棒に盗まれたものとみられる。この地域は中世初期・11〜13世紀のヤトヴャグ族の土地。ヤトヴャク族は戦士として有名。リトアニア人(Lithuanians)やプロイセン人(Prussians)とともに中世のバルト人で、現在のポーランド、リトアニア、ベラルーシの一部に居住していたが、その後スラヴ人やゲルマン人に吸収された。[The First News]
▼ポドラシェ県(Województwo podlaskie;Podlasie) - デンマーク(グリーンランド)
- ヨーロッパ各地で11世紀から15世紀のセイウチ(walrus)について、DNAと安定同位体などを調査。数百年にわたり、中世ヨーロッパで取引されたセイウチの牙は、グリーンランド南西部のノルウェー人コロニー近くの海に由来。しかし、時とともに牙は小さいものになり、産地もより北に移っていく。13世紀には象牙貿易がヨーロッパ市場にあふれ、1400年以降はヨーロッパ本土でセイウチの牙は見られなくなる。ノルウェー人のグリーンランド植民が15世紀に挫折するのは、セイウチの乱獲のため。グリーンランドには、アイスランドを追放された赤毛のエイリーク(Eiríkr hinn rauði;Erik the Red)が985年にノルウェー人コロニーを作った。
Over-hunting walruses contributed to the collapse of Norse Greenland[University of Cambridge]
論文 .James H. Barrett, Sanne Boessenkool, Catherine J. Kneale, Tamsin C. O’Connell, Bastiaan Star "Ecological globalisation, serial depletion and the medieval trade of walrus rostra" Quaternary Science Reviews, Volume 229 [ScienceDirect]
2020年1月5日(日)
- 愛知県
- 愛知県の2020年度組織改正で、現在教育委員会が所管している文化財保護業務を知事部局に移管へ。[毎日新聞]
- インド
- マハーラーシュトラ州(Maharashtra)ウスマーナーバード県(Osmanabad)のTerで、サータヴァーハナ朝(Sātavāhanas;アーンドラ朝)のレンガ積みの井戸。[The Times of India]
- イラク
- アメリカのトランプ大統領がTwitterへの投稿で、イランの文化遺跡を破壊すると脅迫。▽他国の領土内(イラク)で暗殺行為をさせることも、イランに戦争の脅しをかけることもどうかと思うが、文化遺跡の破壊は人類全体に対する罪だ。タリバーンやISと同じことをアメリカもやるというのか?タリバーンやISは、彼らなりの宗教観で、過去の文明や偶像を破壊した(ISの場合は売却して資金源にしたともいわれている)。しかし、彼らの行為をイスラームに一般化することはできない。ムスリムが異教の文化財を保護している例は珍しくない。▽トランプの場合は単なる嫌がらせだ。
- ポーランド
- ヴァルミア=マズールィ県(Województwo warmińsko-mazurskie)オルシュティン郡(powiat olsztyński)ドブレ・ミアスト(Dobre Miasto)の青銅器時代・紀元前2千年紀の墓地から3500年前のファイアンス製のビーズ12個。成分から見て、東地中海、おそらく古代エジプトの製品。当時の「琥珀の道」(Amber Road)の交易ルートを示す。ヴァルミア=マズールィ博物館(Muzeum Warmii i Mazur w Olsztynie;Museum of Warmia and Mazury in Olsztyn)の調査。[The First News]
- UK(スコットランド)
- オークニー諸島(Orkney)のスカラ・ブレイ遺跡(Skara Brae)で出土した獣骨の安定同位体分析(stable isotope analysis)により、ヒツジが海藻を食べたことを確認。紀元前3500年ごろ、海藻の利用がオークニー諸島への牧畜の導入に重要だった。
論文 Marie Balasse, Anne Tresset, Gaël Obein, Denis Fiorillo and Henri Gandois "Seaweed-eating sheep and the adaptation of husbandry in Neolithic Orkney: new insights from Skara Brae" Antiquity Volume 93, Issue 370 [Cambridge Core] - ペルー
- マチュピチュ(Machu Picchu)でごみ問題。観光客によるごみが1日5トン以上。[Al Jazeera]
2020年1月4日(土)
- 石川県
- 小松市・八日市地方遺跡(ようかいちじかたいせき)の出土品を展示する施設を、北陸新幹線小松駅の高架下に整備へ。小松市の方針。[北國新聞]
- 中国
- 河南省 周口市 淮陽県 大連郷 大朱庄村・平粮台遺跡の竜山文化の都市で、南城門付近からわだちの跡。放射性炭素年代で4200年前。[騰訊網]
- ロシア
- コテリヌイ島(Котельный;Kotelny Island)で出土したマンモスの骨にヒトによる解体の証拠。放射性炭素年代で21000年前。[The Siberian Times]
▼コテリヌイ島関連記事→2019年6月25日 - スペイン
- アタプエルカ山脈(Sierra de Atapuerca)のグラン・ドリーナ遺跡(Gran Dolina)の前期更新世(Lower Pleistocene)のヒトの肩甲骨を分析。木登りの能力をすでに喪失。習慣的に歩行していたことを示す。
What was the back of Homo antecessor like?[Centro Nacional de Investigación sobre la Evolución Humana, CENIEH]
論文 José María Bermúdez de Castro, Marina Martínez de Pinillos, Lucía López-Polín, Laura Martín-Francés, Cecilia García-Campos, Mario Modesto-Mata, Jordi Rosell, María Martinón-Torres "A descriptive and comparative study of two Early Pleistocene immature scapulae from the TD6.2 level of the Gran Dolina cave site (Sierra de Atapuerca, Spain)" Journal of Human Evolution. Volume 139 [ScienceDirect] - UK(イングランド)
- リンカーンシャー州(Lincolnshire) グリムズビー(Grimsby)のフレッシュニー川(River Freshney)とガース・レーン通り(Garth Lane)沿いで、ヴィクトリア朝の地下室など。コインのペンダント、土器、レンガ、タイルなど出土。中世のウェスト・ヘイヴン(West Haven)やその後のアレクサンドラ・ドック(Alexandra Dock)を調査する目的だったが、長い年月で地形が改変されており、中世のウオーターフロントの調査は困難。PCAS Archaeologyの調査。[Grimsby Live]
2020年1月3日(金)
- トルコ
- アドゥヤマン県(Adıyaman)キャフタ(Kâhta)でローマ時代の集落。石積みの城壁や監視塔の跡も。[TRT]
- ポーランド
- マゾフシェ県(Województwo mazowieckie) でのコンスタンチン(Konstancin)と(Karczew)付近のヴィスワ川(Wisła;Vistula)の氾濫原から、中世の集落を複数確認。ポモージェ(Pomorze)、オランダ、ドイツからの移住の痕跡も。
Mazowieckie: archeolodzy odkryli zaginione średniowieczne wsie[Nauka w Polsce] - UK(イングランド)
- ノースヨークシャー州(North Yorkshire)キャタリック(Catterick)の古代ローマ都市カタラクトニウム(Cataractonium)で、ローマ時代の道路脇の集落。[Current Archaeology]
▼カタラクトニウム関連記事→2017年4月7日 - エジプト
- ルクソール(Luxor)王家の谷(Valley of the Kings)のKV40号墓で出土した混在した人骨とミイラを分析。第18王朝・紀元前1370年ごろ、および第22〜25王朝・紀元前900〜前700年の生活などに関する手掛かり。
文献 Sabrina Meyer, Nakita Frater, Roger Seiler, Susanne Bickel, Thomas Böni, Patrick Eppenberger, Frank Rühli "Multidisciplinary studies of heavily fragmented and commingled ancient Egyptian human remains found in KV 40 (Valley of the Kings, Luxor, Egypt): A pragmatic workflow and first results" Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 29 [ScienceDirect] - 南アフリカ
- レボンボ山脈(Lebombo Mountains)のボーダー洞窟(Border Cave)で、炉跡の近くや灰の堆積の中から、17万年前のコキンバイザサ属(Hypoxis)の根茎(rhizome)とみられる炭化した円筒。根茎は繊維が固いが、熱すると食べやすく、澱粉が豊富。洞窟内で発見されたことは、共同体内で食べ物を分けあったことを示す。採集には木製の堀棒を用いたとみられ、同洞窟では実物(ただし4万年前)も出土している。
Early modern humans cooked starchy food in South Africa 170 000 years ago[University of the Witwatersrand]
論文 Lyn Wadley, Lucinda Backwell, Francesco d’Errico, Christine Sievers "Cooked starchy rhizomes in Africa 170 thousand years ago" Science. Vol. 367, Issue 6473, pp. 87-91 [Science]
▼ボーダー洞窟関連記事→2012年7月31日 - USA
- コロラド州とユタ州の州境にあるメサ・ヴェルデ(Mesa Verde)のネイティヴアメリカンによる13世紀の岩絵は、天文観測や夏至・冬至に関連し、農業暦に対応。ポーランドのヤギェウォ大学考古学研究所(Instytut Archeologii Uniwersytetu Jagiellońskiego)の調査。[Nauka w Polsce]
2020年1月2日(木)
- 韓国
- 全羅北道 長水郡 山西面 五聖里にある烽火峰(海抜606m)で、三国時代の烽燧臺(のろし台)。花崗岩系統の石材を6段程度積んで壁を作る。基礎部分の長さ8m、残存高さ1m。南20mに生活空間とみられる平坦地。近隣にある淳昌郡 柳等面・山城烽燧や、長水郡・元帥峰烽燧とともに、通信ルートとして使われた可能性。長水郡と群山大学校加耶文化研究所による地表調査。[聯合ニュース]
- 韓国
- 釜山市 水営区・左水営城跡の近隣で、工事中に三国時代の陶質土器、朝鮮時代の磁器・瓦破片出土。東洋文物研究院の調査。[聯合ニュース]
- イラク
- メソポタミア(Mesopotamia)のウルク遺跡(Uruk)で出土した、粗製土器・外斜傾口縁鉢形土器(Bevel Rim Bowl;BRB)について、実験考古学の手法により、機能と社会的役割を推定。外斜傾口縁鉢形土器の厚い器壁と円錐形の形状が、盛り上がった形のパン作りに適し、製品は拡大する行政に携わった人々への報酬として支払われた。
論文 Jill Goulder "Administrators' bread: an experiment-based re-assessment of the functional and cultural role of the Uruk bevel-rim bowl" Antiquity. Volume 84, Issue 324, pp. 351-362 [Cambridge Core] - UK(イングランド)
- ケンブリッジシャー州(the county of Cambridgeshire)ソウトリー(Sawtry)で鉄器時代・紀元前350年〜前50年の遺物。土器やガラス。Oxford Archaeologyの調査。[The Hunts Post]
- UK(ウェールズ)
- カーディフ(Cardiff)のスランダフ(Llandaff)で、中世・570年前の暖炉とタイル床を持つ建物。蹄鉄出土。近隣のスランダフ大聖堂(Llandaff Cathedral)の関係者の住まいか。また、14世紀初めのパリからもたらされたジェトン(jetton)出土。ジェトンは13〜17世紀のヨーロッパで、そろばん玉のように計数に用いたり、ゲームのトークンとして用いられた。[Daily Mail]
▼スランダフの15世紀の建物跡関連記事→2019年11月12日
2020年1月1日(水)
- USA
- アイダホ州(State of Idaho)のバッファロー洞窟(Buffalo Cave)で1979年と1991年に発見された人骨は、ジョセフ・ヘンリー・ラヴレス(Joseph Henry Loveless)のものとDNA鑑定で同定。妻殺しで逮捕されたのち脱獄した男。1916年ごろに殺されたとみられ、殺害後にバラバラにされていた。[CNN]
- USA
- コネティカット州(State of Connecticut)グリズウォルド(Griswold)で1990年に19世紀の墓地から発見された人骨のうち、棺につけられた真鍮の銘板に「JB55」と記された人骨は、頭蓋骨に交差した骨を配しており、埋葬当時に吸血鬼(vampire)扱いされ、吸血鬼(vampire)が復活させないための骨の配置で葬られていた。遺体には結核(tuberculosis)とみられる慢性の肺感染症。被葬者JB55は、この病気のために吸血鬼(vampire)とみなされていた。被葬者「JB55」について、DNA分析と、歴史記録により、ジョン・バーバー(John Barber)に同定。ジョンの息子のネーサン・バーバー(Nathan Barber)は1826年に埋葬されたが、「JB55」に隣接する「NB13」に合致。
DNA analysis revealed the identity of 19th century “Connecticut vampire”[ars technica]
論文 Jennifer Daniels-Higginbotham, Erin M. Gorden, Stephanie K. Farmer, Brian Spatola, Franklin Damann, Nicholas Bellantoni, Katie S. Gagnon, Maria de la Puente, Catarina Xavier, Susan Walsh, Walther Parson, Timothy P. McMahon and Charla Marshall "DNA Testing Reveals the Putative Identity of JB55, a 19th Century Vampire Buried in Griswold, Connecticut" Genes. Volume 10. Issue 9. [MDPI]
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