2019年12月20日(金)
- 熊本県
- 天草市・天草ロザリオ館で、個人から寄託されていた史料に油性ペンで整理番号を書き込んでいた。寄託者の指摘で発覚。学芸員の配置不足や指導者の指示、管理が不十分だったことが原因。[西日本新聞]
▽学芸員をちゃんと配置すべきであるのは確かだが、たとえ学芸員でなかったとしても、個人の私有財産に勝手に書き込みをする職員は、どの部署でも使い物になるまい。 - 韓国
- 光州市 北区の旧・矯導所の敷地内にある無縁墓地から、法務部でも管理されていない身元不明の遺体40体が出土。1980年の5.18光州民主化運動で射殺され、臨時埋葬された遺体の可能性。[聯合ニュース]
- 韓国
- 江原道 旌善郡 楽同里・梅屯洞窟で旧石器時代の遺物が大量に出土。打製石器、漁網錘、化石など。放射性炭素年代により37000年前と推定。延世大学校博物館の調査。[聯合ニュース]
- ロシア
- ロシア極東(Russian Far East)で最も古い、最終氷期(Late Glacial)の土器に付着した有機物を分析。アムール川下流(Lower Amur)のオシポフカ文化(Osipovka culture)の早期の土器は、水産物の加工に使用。アムール川中流(Middle Amur)では、反芻動物の脂肪が多い。このような違いは、土器の製作技法の違いにも対応している。
論文 Shinya Shoda, Alexandre Lucquin, Oksana Yanshina, Yaroslav Kuzmin, Igor Shevkomud, Vitaly Medvedev, Evgeniya Derevianko, Zoya Lapshina, Oliver E. Craig, Peter Jordan "Late Glacial hunter-gatherer pottery in the Russian Far East: Indications of diversity in origins and use" Quaternary Science Reviews. Volume 229 [ScienceDirect] - ブルガリア
- スリヴェン州(Област Сливен;Oblast Sliven)のトゥイダ要塞(Крепост Туида;Tuida fortress)で、第一次ブルガリア帝国(Първа българска държава;First Bulgarian Empire)・10世紀の青銅製十字架や、クジャクを表した指輪など。
10th century Cross with Jesus Christ image, peacock ring seal found in Tuida Fortress in Bulgaria’s Sliven[Archaeology in Bulgaria] - スペイン
- アチュラ洞窟(Atxurra cave)で後期旧石器時代(Upper Palaeolithic)・後期マドレーヌ文化(Upper Magdalenian)のロックアート。動物像100体以上を描く。
文献 Diego Garate, Olivia Rivero, Joseba Ríos-Garaizar, Martin Arriolabengoa, Mª Ángeles Medina-Alcaide, Juan Francisco Ruiz-López, Iñaki Intxaurbe, Sergio Salazar, Iñaki Libano "The cave of Atxurra: A new major Magdalenian rock art sanctuary in Northern Spain" Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 29 [ScienceDirect]
▼バスク自治州(Comunidad Autónoma del País Vasco)ビスカヤ県(Provincia de Vizcaya) - UK(イングランド)
- ケンブリッジ(Cambridge)にある中世・アングロ・サクソン(Anglo-Saxon)の子供の墓で、子供の腰に下げたバッグから、シラカバの樹皮によるバーチタール(birch tar)が出土。また、ケント州(Kent)リングルミア(Ringlemere)の5〜6世紀の墓地で、土器の内面をコーティングしたバーチタールを検出。シラカバの樹皮によるバーチタール(birch tar)が中世のイングランドで用いられていたことを実証。従来英国では先史時代までの使用にとどまるとみられていた。
New archaeological discoveries reveal birch bark tar was used in medieval England[University of Bristol]
論文 Rebecca J. Stacey, Julie Dunne, Sue Brunning, Thibaut Devièse, Richard Mortimer, Stuart Ladd, Keith Parfitt, Richard Evershed, Ian Bull "Birch bark tar in early Medieval England - Continuity of tradition or technological revival?" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 29 [ScienceDirect] - エジプト
- ルクソール(Luxor)にあるアメンホテプ3世(Amenhotep III)の葬祭殿で、巨大な花崗閃緑岩(granodiorite)製のホルス神(Horus)の像。高さ1.85m。[Ahram Online]
- USA
- デラウェア州(State of Delaware)エイヴリーズ・レスト遺跡(Avery's Rest Site)で17世紀にさかのぼる墳墓11基。子供2名、成人女性2名、成人男性7名の人骨に対し、骨学的分析とミトコンドリアDNA分析。南側の8名はヨーロッパ系、北側の3名はアフリカ系。成人男性にはすべて重労働の証拠。ヨーロッパ系はいずれも北欧・英国出身だが、アフリカ系には親族関係がなく、奴隷貿易で連れてこられた可能性。17世紀にさかのぼる奴隷貿易の証拠。[Forbes]
論文 Raquel E. Fleskes, Karin S. Bruwelheide, Frankie L. West, Douglas W. Owsley, Daniel R. Griffith, Kathryn G. Barca, Graciela S. Cabana, Theodore G. Schurr "Ancient DNA and bioarchaeological perspectives on European and African diversity and relationships on the colonial Delaware frontier" American Journal of Physical Anthropology. Volume170, Issue2, Pages 232-245 [Wiley Online Library]
▼デラウェア州(State of Delaware)サセックス郡(Sussex County)レホボスビーチ(Rehoboth Beach) - メキシコ
- テオティワカン遺跡(Teotihuacán)の南の郊外に当たるトラヒンガ(Tlajinga)で、鮮やかに花や鳥を描いた彩色壁画や、大規模な黒曜石工房。ラ・ペンティージャ居住区(La Ventilla)では、テオティワカンの人口の90%以上が住んだ石造りの集合住宅があり、平等性が高かったことを示す。[Reuters]
- ペルー
- チクラヨ郡(Provincia de Chiclayo)プカラ(Distrito de Pucalá)のワカ・サンタ・ロサ遺跡(Huaca Santa Rosa)で、モチェ文化(Moche)・1000年前の墓11基。足が切断され場合あり。また、小児2人は、頭蓋骨の額部分に印。墓の中心には信仰上のリーダーとみなされる遺体。また、屋根付きの小部屋に納められた司祭とみられる人物。[Daily Mail]
▼ランバイエケ県(Departamento de Lambayeque;Lambayeque Region)
▼ワカ・サンタ・ロサ遺跡関連記事→2019年6月22日
2019年12月19日(木)
- 兵庫県
- 加西市・二又遺跡で弥生時代後期の溝や手焙形土器。加西市教育委員会の調査。12/21現地説明会。[神戸新聞]
- 愛媛県
- 松山市・松山城三之丸跡で、北御門の石垣を確認。三之丸御殿建築期・1680年代と幕末・1850年代のもの。松山市埋蔵文化財センター12/19発表。[愛媛新聞]
- 福岡県
- 直方市・光福寺で中世の居館跡の空堀。直方市教育委員会の調査。12/21現地説明会。[直方市]
- 長崎県
- 対馬市・円通寺から県指定文化財の銅造薬師如来坐像が盗難された事件で、逮捕・起訴された3人の男とは別に、共謀したとして逮捕された、神戸市の男性について、検察が12/17付けで不起訴。[NHK]
- 韓国
- 咸安 末伊山13号墳から、ヒスイ製勾玉と金銅透彫帯金具。勾玉は帯金具から垂らしたものか。武具、馬具、土器なども。5世紀の阿羅加耶の支配層の古墳。東亜細亜文化財研究院の調査。[聯合ニュース]
- 中国
- 河南省 南和県 河郭郷 趙牌村で、唐時代早期の白陶の胡人像。文官、武士、商人を表す。[新華社]
- 中国
- 湖南省 湘西 トゥチャ族ミャオ族自治州 永順県 霊渓鎮 司城村・老司城遺跡で、保存の良い建築群。新たに銅製の大砲出土。老司城で火器の出土は初。明・清時代の土司(軍事指揮官の称号を受けた諸民族の首長)、彭氏の遺跡。[湖南考古]
- インドネシア
- ジャワ島(Java)ガンドン遺跡(Ngandong)で1930年代に出土したホモエレクトゥス(Homo erectus)について、出土地点とその上下の地層を年代測定。117000年前から108000年前の間に絞り込まれる。
Researchers determine age for last known settlement by a direct ancestor to modern humans[The University of IOWA]
ウラン・鉛年代測定(Uranium-lead dating)。インドネシアへのホモサピエンス(Homo sapiens)の登場は73000年前なので、ホモエレクトゥスと直接会うことはなかった。
Homo erectus’ last known appearance dates to roughly 117,000 years ago[ScienceNews]
論文 Yan Rizal, Kira E. Westaway, Yahdi Zaim, Gerrit D. van den Bergh, E. Arthur Bettis III, Michael J. Morwood, O. Frank Huffman, Rainer Grün, Renaud Joannes-Boyau, Richard M. Bailey, Sidarto, Michael C. Westaway, Iwan Kurniawan, Mark W. Moore, Michael Storey, Fachroel Aziz, Suminto, Jian-xin Zhao, Aswan, Maija E. Sipola, Roy Larick, John-Paul Zonneveld, Robert Scott, Shelby Putt & Russell L. Ciochon "Last appearance of Homo erectus at Ngandong, Java, 117,000-108,000 years ago" Nature. Published online December 18, 2019. [Nature] - イスラエル
- カルメル海岸(Carmel Coast)のテル・ヘライツ遺跡(Tel Hreiz)でみつかった、新石器時代の防潮堤は、地中海の海面上昇への対処。長さ100m。短期間使用され、浸水で廃絶。世界最古。
Ancient seawall first known defence against sea level rise[Flinders University]
7500年前〜7000年前
cf. Ehud Galili, Jonathan Benjamin, Vered Eshed, Baruch Rosen, John McCarthy, Liora Kolska Horwitz (2019) A submerged 7000-year-old village and seawall demonstrate earliest known coastal defence against sea-level rise. PLOS One, 14(12): e0222560. [PLOS One] - ポーランド
- ピエルクノヴォ=ギジツコ(Pierkunowo-Giżycko)とボジナビエシ(Woźnawieś)の2遺跡で中石器時代・紀元前6815〜前5900年の虫歯を確認。淡水魚(freshwater fish)を基本とし、これに植物食を加えた食生活。
文献 J. Tomczyk, P. Regulski, A. Lisowska-Gaczorek, K. Szostek "Dental caries and stable isotopes analyses in the reconstruction of diet in Mesolithic (6815–5900 BC) individuals from Northeastern Poland" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 29 [ScienceDirect] - ドイツ
- ノルトライン=ヴェストファーレン州(Land Nordrhein-Westfalen)パーダーボルン郡(Kreis Paderborn)のバロック様式の建物地下で、12世紀の壁の痕跡。ドムブルク(Domburg)は従来の想定より大きい。
Domburg in Paderborn war größer als bislang angenommen[Archaeologie Online] - フランス
- ヌーヴェル=アキテーヌ地域圏(Nouvelle-Aquitaine) クルーズ県(Creuse)ラ・ストゥレーヌ(La Souterraine)で、中世・9〜13世紀の農村集落。建物跡のほか、岩盤を掘りぬいた地下通路、穀物貯蔵庫100基など。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。
Une occupation rurale atypique en périphérie de La Souterraine[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives] - USA
- オクラホマ州(State of Oklahoma)タルサ(Tulsa)のオークローン墓地(Oaklawn Cemetery)で、1921年のタルサ人種暴動(Tulsa Race Riot)の犠牲者を葬った大型墓を発見。白人が黒人を襲撃した事件。[FOX News]
- カリブ海
- カリブ海(Caribbean)の55の島にある遺跡について、厳密な放射性炭素年代2500件を再評価。移住の波は5800年前に始まるものと2500年前に始まるものがある。南アメリカからの植民は、北端にある最大の陸地である大アンティル諸島(Greater Antilles)に最初に植民。南から北へ少しずつ住み着いたという飛び石モデル(stepping-stone model)仮説を否定。
Caribbean settlement began in Greater Antilles, say University of Oregon researchers[EurekAlert]
論文 Matthew F. Napolitano, Robert J. DiNapoli, Jessica H. Stone, Maureece J. Levin, Nicholas P. Jew, Brian G. Lane, John T. O’Connor and Scott M. Fitzpatrick "Reevaluating human colonization of the Caribbean using chronometric hygiene and Bayesian modeling" Science Advances. Vol. 5, no. 12 [Science Advances] - 洞窟の炉と煙
- 空気循環のシミュレーションにより、洞窟内の煙の広がり方を研究。旧石器時代(Paleolithic)の洞窟や岩陰遺跡において、炉は行動領域や遺物分布、空間構成の中心にあるが、一方、炉から生まれる煙は厄介者。炉の位置、洞窟の開口部分の高さ、洞窟を使用した季節が煙の広がり方に大きな影響。炉の設置場所として中央と奥壁の間が好ましい。炉の位置は、洞窟遺跡の空間構成を分析するのに有用。
文献 Yafit Kedar, Gil Kedar, Ran Barkai "Setting fire in a Paleolithic Cave: The influence of cave dimensions on smoke dispersal" Journal of Archaeological Science: Reports, Volume 29 [ScienceDirect]
2019年12月18日(水)
- 島根県
- 松江市・山代原古墳(やましろはらこふん)は古墳時代後期の方墳である可能性。周溝の一部や石棺式石室の石材破片を発見。島根県埋蔵文化財調査センターの調査。12/22現地説明会。[島根県]
- 広島県
- 竹原市立たけはら美術館が2020年3月末で休館へ。空調機器の不調で改修が必要だが、厳しい財政状況で財源の確保が難しい。移転のめどが立つまで、所蔵作品の保管は専門業者に任せることを検討。[中国新聞]
- 韓国
- 京畿道 龍仁市 ・豁未山城で石積みの城壁を貫通するように作られた水口。[聯合ニュース]
- 韓国
- 慶尚北道 浦項市 興海邑・大蓮里遺跡のうち、横穴式石室墓である4号墳から、新羅・5世紀後半の太環耳飾1対。高句麗のものと類似しており、高句麗の製作技法を模倣して新羅で製作。4号墳の石室内では屍床が二重になっており、下の屍床では太環耳飾、細環耳飾、銀釧が、上の屍床では細環耳飾が出土した。墳墓の構造も、高句麗の影響を受けた横穴式石室とみられる。花郎文化財研究院の調査。[聯合ニュース]
- 中国
- 河南省 洛陽市 偃師市・偃師商城遺跡で、商(殷)時代の国家的な穀倉。8列で23基にのぼる円形建物の基礎。[中国経済網]
▼偃師商城関連記事→2004年7月24日 - 中国
- 陝西省 漢中市 寧強県 代家壩鎮 高家河村で宋時代の墓5基。この地域の北宋から南宋への移行期の重要資料。[中国新聞網]
- 中国
- 江西省 贛州市 大余県 南安鎮 新余村で北宋時代の窯跡。[中国新聞網]
- シリア、レバノン
- シリアとレバノンの青銅器時代・紀元前2800年〜前1200年の墓地に埋葬された嬰児、子供、母親の骨を安定同位体分析。母乳以外に補助的な食品が導入された年齢と、完全に離乳した年齢をモデル化。生後6か月までは母乳のみで育て、2歳半で完全に離乳しており、同時期の別の場所(1歳まで母乳のみ、3歳で完全離乳)よりも離乳が早い。離乳の時点が早いことが人口増加をもたらし都市を発展させた可能性。子供の骨は遺存しにくいが、中東では小児甕棺墓の風習があるため、分析に十分な小児人骨の出土例を確保できた。完全離乳の年齢はバビロニアの紀元前1000年ころの乳母の契約期間、マカバイ記(Maccabees)、歴代誌(Chronicles)、さらにクルアーンなどの記述とも対応。
How breastfeeding sparked population growth in ancient cities[The Conversation] - ギリシャ
- ピュロス(Πύλος;Pylos)で、青銅器時代・ミュケナイ文明(Μυκηναϊκός πολιτισμός;Mycenaean civilization)・3500年前のトロス墓(Tholos)2基。王族の墓と推定。豊富な副葬品。金のペンダントに、エジプトの女神ハトホル(Hathor)とみられる図像。バルト海の琥珀やエジプトの紫水晶も出土。グリフィン戦士の墓(Griffin Warrior grave)の近く。近隣には後にネストールの宮殿(Ανάκτορο του Νέστορα;Palace of Nestor)も作られる。
UC discovers princely tombs near 'Griffin Warrior'[University of Cincinnati] - ブルガリア
- プロヴディフ(Пловдив;Plovdiv)のレオナルド・ダ・ヴィンチ通り(Leonardo da Vinci Street)で、ビル建設の際の遺跡破壊について、地方検察庁の検察官が調査。考古学者や文化省の担当者が駆けつけても破壊はやまず、モザイクなどを破壊。遺跡では壁画や、色とりどりの幾何学文モザイク、金銀貨など出土。出土したモザイクは、近隣にあるプロヴディフの大バシリカ(Епископска базилика на Филипопол;Great Basilica)のそれに似ており、同一工房の作と推定。5〜6世紀。また、250年のゴート族に焼き討ちされた建物の中からは土製のヴィーナス像。[The Sofia Globe]
- イタリア
- アイスマン「エッツィ(Ötzi;Oetzi)」の矢筒(Köcher)の中から、世界最古の弓の弦(Bogensehne)を確認。植物繊維ではなく動物繊維。[derStandard]
Ötzi’s bowstring and the oldest hunting equipment from the Neolithic[South Tyrol Museum of Archaeology] - スイス
- アールガウ州(Canton of Aargau)ヴィンディッシュ(Windisch)のヴィンドニッサ(Vindonissa)で、ローマ帝政期の砦と北門を確認。
Frühes Nordtor des römischen Vindonissa entdeckt[Archaeologie Online] - ドイツ
- ノルトライン=ヴェストファーレン州(Land Nordrhein-Westfalen)バート・エーンハウゼン(Bad Oeynhausen)で17世紀の銅貨・銀貨19枚出土。2018年に盗掘犯が発掘。ヴェストファーレン=リッペ地方連合(Landschaftsverband Westfalen-Lippe (LWL))の調査。
Münzschatz in Bad Oeynhausen entdeckt[Archaeologie Online] - フランス
- オー=ド=フランス地域圏(Hauts-de-France)オワーズ県(Oise)シャンブリ(Chambly)のレ・マレー(Les Marais)で、中世・6〜15世紀の遺跡。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。
Des vestiges médiévaux à Chambly Les Marais[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives] - デンマーク
- 5700年前の、ガムのように噛まれたシラカバの皮からヒトのゲノムを復元。
文献 Theis Z. T. Jensen, Jonas Niemann, Katrine Højholt Iversen, Anna K. Fotakis, Shyam Gopalakrishnan, Åshild J. Vågene, Mikkel Winther Pedersen, Mikkel-Holger S. Sinding, Martin R. Ellegaard, Morten E. Allentoft, Liam T. Lanigan, Alberto J. Taurozzi, Sofie Holtsmark Nielsen, Michael W. Dee, Martin N. Mortensen, Mads C. Christensen, Søren A. Sørensen, Matthew J. Collins, M. Thomas P. Gilbert, Martin Sikora, Simon Rasmussen & Hannes Schroeder "A 5700 year-old human genome and oral microbiome from chewed birch pitch" Nature Communications volume 10 [Nature Communications]
2019年12月17日(火)
- 福岡県
- 大野城市・牛頸須恵器窯跡(うしくびすえきかまあと:長者原地区)で新たに4基の窯跡。大野城市教育委員会の調査。12/21現地説明会。[大野城市]
- 長崎県
- 平戸市・崎方公園で、新たに3つの墓穴から日本人の男女とみられる人骨3体。[長崎新聞]
- 中国
- 陝西省 西安市 西咸新区で唐時代の墓。墓誌からみて、唐の太平公主の駙馬だった薛紹の墓。706年埋葬。[新京報]
- 中国
- 夏河県(Xiahe)のデニソワ人(Denisovan)と現代のアジア人の臼歯(molar)に類似点があるという説に異議。アジア人の歯根が3本ある臼歯が頻繁に登場するのは第一臼歯であり、第二臼歯ではない。夏河のデニソワ人とアジア人の歯の比較は誤っている。デニソワ人の臼歯の第3の歯根は位置や形状が異なり、現代アジア人とは遺伝的な由来が異なる。
A study refutes the similarities between the teeth of Denisovans and modern Asians[Centro Nacional de Investigación sobre la Evolución Humana, CENIEH]
論文 G. Richard Scott, Joel D. Irish, and María Martinón-Torres "A more comprehensive view of the Denisovan 3-rooted lower second molar from Xiahe" Proceedings of the National Academy of Sciences. first published December 17, 2019 [PNAS]
▼デニソワ人とアジア人の臼歯の比較関連記事→2019年7月9日
旧説の論文 Shara E. Bailey, Jean-Jacques Hublin, and Susan C. Antón "Rare dental trait provides morphological evidence of archaic introgression in Asian fossil record" Proceedings of the National Academy of Sciences. first published July 8, 2019 [PNAS] - インド
- ティルチラーパッリ県(Tiruchirappalli district)ムシリ郡(Musiri) パパパッティ(Pappapatti)で、17〜18世紀のタミル語の銘文。[The Hindu]
▼タミル・ナードゥ州(Tamil Nadu) - イスラエル
- ベト・シェメシュ遺跡(Beth Shemesh)で3100年前の神殿。聖書に記す「契約の箱」(Ark of the Covenant)が置かれていたとみられる石板出土。契約の箱は、モーセ(Moses)がシナイ山(Mount Sinai)で与えられた十戒(Ten Commandments)を納めていたとされる。[Haaretz]
- イスラエル
- 港湾都市カイザリア(Caesarea)で、中世イスラーム・10〜11世紀の裕福な商人の居住区やファーティマ朝(Fatimid Caliphate)・1055年ごろの金貨出土。また、ローマ時代・紀元前1世紀にヘロデ王(King Herod)が建てたローマとアウグストゥス神殿(Temple of Rome and Augustus)の外壁の一部。ヴァンダービルト大学(Vanderbilt University)の調査。
Vanderbilt archaeologists discover important medieval and Roman artifacts in ancient port city of Caesarea[Vanderbilt University] - エジプト
- 古代エジプトの女性内科医メリト・プタハ(Merit Ptah)は存在しなかった可能性。いたるところで言及されているが、古代エジプトには証拠がない。1938年に出版された医学史家ケイト・キャンベル・ハード・ミード(Kate Campbell Hurd-Mead)の著書、王家の谷(Valley of Kings)での墳墓の発掘に関連して言及したのが最初であるが、ハード・ミードは当時の発掘に関する2つの情報を混同していた。従来は最初の女医とみなされていた。
Celebrated Ancient Egyptian Woman Physician Likely Never Existed, Says Researcher[University of Colorado Anschutz Medical Campus]
論文 Jakub M Kwiecinski 'Merit Ptah, “The First Woman Physician”: Crafting of a Feminist History with an Ancient Egyptian Setting' Journal of the History of Medicine and Allied Science. Volume 75, Issue 1, Pages 83-106 [Oxford Academic] - USA
- ニューヨーク州(State of New York)モホーク川流域(Mohawk Valley)での初期のヨーロッパ製金属遺物の流通に関して放射性炭素年代と統計学で再考。従来の想定よりヨーロッパの金属製品は早く登場、16世紀初めにさかのぼる。米国ニューヨーク州とカナダのオンタリオ州南部に当たる北イロコワ(Northern Iroquoia)では、16世紀中ごろ、ヨーロッパ人の到着以前にヨーロッパ由来の金属遺物が出土し、編年に利用されていたが、これらの仮説は、北大西洋岸に1517年にヨーロッパ人が定着するまで、これらの金属が流通し始めなかったことを前提としていた。
文献 Sturt W. Manning, John P. Hart "Radiocarbon, Bayesian chronological modeling and early European metal circulation in the sixteenth-century AD Mohawk River Valley, USA" PLOS One Published: December 16, 2019 [PLOS One] - USA
- ノースカロライナ州(State of North Carolina)ユニオン郡(Union County)モンロー(Monroe)で1973年に出土した石器は紀元前3000年〜前1000年。[The Charlotte Observer]
- メキシコ
- ベラクルス州(Veracruz de Ignacio de la Llave)ビジャ・リカ海岸(Playa Villa Rica)沖の海底に鉄の碇2個。2018年に発見された碇は木質部分から16世紀と判明しており、新たな2点も同時期の可能性。保存状態良好のため、記録後に元の場所に埋め戻す。スペイン人征服者エルナン・コルテス(Hernán Cortés)の艦隊に関連と推定。メキシコ国立人類学歴史学研究所(Instituto Nacional de Antropología e Historia)の調査。
A 500 años del desembarco de Cortés, investigadores descubren dos anclas de hierro en la Villa Rica, Veracruz[Instituto Nacional de Antropología e Historia]
2019年12月16日(月)
- 岩手県
- 平泉町・柳之御所遺跡(やなぎのごしょいせき)から出土した重要文化財2点についても、岩手県立博物館の赤沼英男上席専門学芸員が無断で切り取っていた。岩手県教育委員会が、重要文化財について12/6公表。[毎日新聞]
- 東京都
- 東久留米市・川岸遺跡(かわぎしいせき)で、縄文時代前期・中期の竪穴建物跡や江戸時代以降の溝跡、柱穴列など。東京都埋蔵文化財センターの調査。1/25現地説明会。[東京都埋蔵文化財センター]
- 岡山県
- 真庭市・阿波土居跡で戦国時代・15世紀後半〜16世紀前半の城館跡。石積を伴う堀や、土壙墓、集石、溝・柱穴など。真庭市教育委員会の調査。1/5現地説明会。[真庭市]
- 中国
- 陝西省 西安市 新寺遺跡で、前漢中晩期の道路跡。轍が密集しており、前漢時代の長門宮と密接な関連。[新華社]
- イスラエル
- アシュケロン(Ashkelon)でローマ時代・2000年前の魚醤ガルム(garum)の工場跡。同じ地点は5世紀には修道院になり、近隣はワイン生産のための圧搾場や窯。7世紀にイスラームに征服されて廃絶。[The Jerusalem Post]
- トルコ
- ディヤルバクル県(Diyarbakır)シルヴァン郡(Silvan)のハスニ洞窟(Hasuni Caves)で、岩に彫り込まれた墓からシリア文字(Syriac script)の墓碑銘2面。アラム語の方言を記す。墓の主は司祭モノハ(Monoha)。[Daily Sabah]
- ポーランド
- クラクフ(Kraków)のストラドム通り(Ulica Stradomska;Stradomska Street)で、建物「大修道院長の家」の改装工事中に、地下から亜麻布の袋に入った18世紀の硬貨約1万枚を発見。多くはスタニスワフ2世アウグスト(Stanisław Poniatowski II)治下の銅貨。[The First News]
- フランス
- サントル=ヴァル・ド・ロワール地域圏(Centre-Val de Loire)ロワレ県(Loiret)ボワニー=シュル=ビオンヌ(Boigny-sur-Bionne)でガロ=ローマ時代の集落。大規模な邸宅や貯蔵施設、井戸など。大型墓からは成人2体、小児5体の人骨。また、中世の穀物貯蔵庫。[La République du Centre]
- スウェーデン
- ストックホルムの王立公園(Kungsträdgården)で、1500年代の船「サムソン号」(Samson)の船体。マツ材で作られ、長さ30m。年輪年代で1590年代。17世紀初めに海岸に放置され、そのまま埋没。コイン、パイプ、陶磁器、ガラスなどが出土。年代、構造から、ヘルシングランド(Hälsingland)で建造された王室の船と推定され、該当するのは1598年に建造されたサムソン号(Samson)。造船技術の発展過程を示す。Arkeologikonsultの調査。
Pressmeddelande: Kronans skepp Samson från 1500-talet funnet vid Kungsträdgården[Arkeologikonsult]
2019年12月15日(日)
- 富山県
- 高岡市・中曽根遺跡(なかそねいせき)で弥生時代後期〜古墳時代の土器や、土器づくりのための粘土採掘坑。公益財団法人富山県文化振興財団の調査。12/14現地説明会。[北國新聞]
- 中国
- 青海省 玉樹チベット族自治州 称多県 拉布郷 達哇村で、3000年前の洞窟壁画。長江の源流・通天河の流域では最古の洞窟壁画。[中国新聞網]
- スペイン
- サンタ・マイラ洞窟(coves de Santa Maira)で出土した、中石器時代(Mesolithic)・10000年前と9000年前の人骨30個に、石器によるカットマークや、焼けた跡、ヒトの歯型。同様の痕跡を持つ獣骨も出土。ヒトが人肉を調理し食べた食人(Cannibalism)の証拠。[Stock Daily Dish]
▼バレンシア自治州(Comunitat Valenciana)アリカンテ県(Provincia de Alicante)カステル・デ・カステルス(Castell de Castells) - エジプト
- ミニヤー県(Minya Governorate;Menia)トゥナ・エル・ゲベル(Tuna el-Gebel)で、スフィンクス像(Sphinx)。高さ35cm、幅55cm。石灰岩製。ほかに護符や土器も出土。[Ahram Online]
2019年12月14日(土)
- 千葉県
- 市原市・稲荷台1号墳の出土品を、調査団の元メンバーが無断で持ち去り、占有を続けているとして、市原市が市内の七十代男性を提訴へ。[東京新聞]
- 愛知県
- 豊橋市・境松遺跡(さかいまついせき)で、市内最大規模となる弥生時代の竪穴住居跡。豊橋市文化財センターの調査。12/15現地説明会。[東愛知新聞]
- 中国
- 河南省・関家遺跡で出土した、新石器時代晩期・仰韶文化の骨格に骨系統疾患(skeletal dysplasia)とみられる発育の異常。下垂体機能低下症(hypopituitarism)または甲状腺機能低下症(hypothyroidism)によると推定。
論文 Siân E. Halcrow, Melanie J. Miller, Anne Marie E. Snoddy, Wenquan Fan, Kate Pechenkina "Growing up different in Neolithic China: A contextualised case study and differential diagnosis of a young adult with skeletal dysplasia" International Journal of Paleopathology Volume 28,, Pages 6-19 [ScienceDirect] - オーストリア
- シュタイアーマルク州(Steiermark)内の鉄道コーラルム線(Koralmbahn)の建設で、考古学的発見。ラ・テーヌ文化(La Tène)・紀元前1世紀第4四半期の土器焼き窯(Töpferofen)。ラスニッツタール(Laßnitzthal)でローマ時代の集落、墓、道路。ドイチュランツベルク(Deutschlandsberg)のライベンフェルト(Leibenfeld)で紀元前15〜前14世紀の直径23mの墳丘墓(Grabhügel)。[derStandard.at]
- フランス
- プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏(Provence-Alpes-Côte d'Azur)マルセイユ市(Marseille)第7区のカタラン通り(rue des Catalans)で、16世紀から20世紀までの重複した建物跡3棟。16世紀中ごろの検疫所(Lazaret)跡とみられる石積み。17世紀後半のガレー船員のための病院。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。
Des « infirmeries » des Catalans à Marseille[国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)]
▼プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏(Provence-Alpes-Côte d'Azur)ブーシュ=デュ=ローヌ県(Bouches-du-Rhône) - USA
- テキサス州(State of Texas)サンアントニオ(San Antonio)のアラモ(Alamo)で、人骨3体。[USA Today]
- ドミニカ共和国
- ラ・カレタ国立公園(Parque Nacional Submarino La Caleta;La Caleta Underwater National Park)で、沈没したスペインの商業船「ベゴニャの聖母」(Nuestra Señora de Begoña)をめぐる水中博物館。
New ‘Living Museum of the Sea’ Established in Dominican Republic Waters[Smithsonian Magazine]
2019年12月13日(金)
- 愛知県
- 「あいちトリエンナーレ2019」に対する文化庁の補助金交付中止に対し撤回を求めたキャンペーンに対し、署名サイト「Change.org」が「カルチャー賞」に選出。[美術手帖]
- 韓国
- 密陽・Sinan遺跡の新石器時代・5000年前の赤色磨研土器に漆の成分を確認。2400年前の巨済Nongsomyeon遺跡や咸安道項里遺跡の赤色磨研土器にも同様の物質。赤色顔料を土器に着色するため漆を混ぜたと推定。国内最古の漆塗り痕跡は青銅器時代・2500年前とされていたがはるかにさかのぼる事例。国立金海博物館と韓国伝統文化大学校が赤外線分光分析やガスクロマトグラフィーなどにより調査。[聯合ニュース]
- 中国
- 内モンゴル自治区ドロンノール県(多倫県)小王力溝・黄土坑遺跡で、遼時代の大型の宮殿遺構。遼時代の貴妃の墓から東南1.5km。[中国新聞網]
- イタリア
- ローマのオスティア(Ostia)で、ローマ帝政期・1600年前のミトラ教寺院(Mithraeum)の跡。遺物と銘文からみて、ミトラ神(Mithras)と古代ギリシャの神クロノス(Κρόνος;Kronos)を両方ともまつる。最も重要な部屋「spelaeum」は、さまざまな色で飾った大理石の床。
Dazzling 'Temple of Colored Marbles' Honoring Roman God Discovered in Italy[LiveScience] - ドイツ
- ノルトライン=ヴェストファーレン州(Land Nordrhein-Westfalen)ミンデン(Minden)のグルント川(Grundbach)沿いで、2000年前の墓地。墓の中からは火葬骨を発見。また、紀元前300年ごろの集落跡。ヴェストファーレン=リッペ地方連合(Landschaftsverband Westfalen-Lippe (LWL))の調査。[Radio Westfalica]
2019年12月12日(木)
- 仙台市
- 太白区・長町駅東遺跡(第14次調査)で、飛鳥・奈良時代の竪穴住居跡が150軒以上。仙台市の調査。12/21遺跡見学会。[仙台市]
- 和歌山県
- 和歌山市・府中遺跡で奈良時代の大型建物跡。紀伊国府がおかれた場所と伝わっているが、国府があったとされる時期の遺構は初。公益財団和歌山市文化スポーツ振興財団埋蔵文化財センターの調査。[毎日新聞]
- 日本
- 科学技術基本法が、対象分野を「科学技術」に絞り、「人文科学のみに係るものを除く」としている規定をやめようという議論が本格化。現代社会の課題を解決していくには人文科学の研究も不可欠になっているという意見。来年の通常国会で改正案が提出される見通し。[朝日新聞]
- インドネシア
- 南スラウェシ州(South Sulawesi)の石灰岩カルスト地域にある洞窟芸術遺跡レアン・ブルシポン4(Leang Bulu’ Sipong 4)で、旧石器時代・44000年前の洞窟絵画。半人半獣(therianthropes)の一団が、大型哺乳類を槍やロープで狩る様を描く。ヒトが超自然の存在を表現する能力を示した最古の証拠。旧石器時代の芸術は、必ずしも単純なものから複雑なものに発達したわけではない。a href="https://www.griffith.edu.au/">グリフィス大学(Griffith University)などの調査。
Indonesian cave art overturns thinking on the roots of human spirituality[Griffith University]
論文 Maxime Aubert, Rustan Lebe, Adhi Agus Oktaviana, Muhammad Tang, Basran Burhan, Hamrullah, Andi Jusdi, Abdullah, Budianto Hakim, Jian-xin Zhao, I. Made Geria, Priyatno Hadi Sulistyarto, Ratno Sardi & Adam Brumm "Earliest hunting scene in prehistoric art" Nature Published: 11 December 2019[Nature] - キプロス
- ネアパフォス(Νέα Πάφος;Nea Paphos)で古代の劇場を調査。紀元前3000年ごろ建造され、365年の地震で崩壊。ローマ時代の都市のレイアウトを明らかに。[in-cyprus]
- ギリシャ
- サントリニ島(Σαντορίνη;Santorini)のアクロティリ遺跡(Ακρωτήρι;Akrotiri)にある青銅器時代(Bronze Age)・ミノス文明(Μινωικός πολιτισμός;Minoan civilization)の壁画に描かれたサルは、インダス川流域(Indus Valley)などに生息するハヌマンラングール(grey langur、Semnopithecus)と同定。当時ギリシャにサルは生息せず、従来、壁画のサルはエジプトのものとみられていた。
Ancient monkey painting suggests Bronze Age Greeks travelled widely[New Scientist]
論文 Marie Nicole Pareja, Tracie McKinney, Jessica A. Mayhew, Joanna M. Setchell, Stephen D. Nash, Ray Heaton "A new identification of the monkeys depicted in a Bronze Age wall painting from Akrotiri, Thera"Primates pp 1-10 [SpringerLink] - ルーマニア
- ピアトラ・ネアムツ(Piatra Neamț)にあるピアトラ・ネアムツ1遺跡(Piatra Neamț 1)で旧石器時代・17000年前、ルーマニア最古のヴィーナス像。砂岩製。ほぼ完存。[Radio România]
▼ネアムツ県(Județul Neamț) - ドイツ
- ノルトライン=ヴェストファーレン州(Nordrhein-Westfalen)バート・ドリーブルク(Bad Driburg)で産業遺産の調査。19世紀にさかのぼるガラス工房(Glashütte)「ベッカー」(Becker)の遺構。ヴェストファーレン=リッペ地方連合(Landschaftsverband Westfalen-Lippe (LWL))の調査。
Glasmachertradition in Bad Driburg[Archaeologie Online]
▼ノルトライン=ヴェストファーレン州(Nordrhein-Westfalen)ヘクスター郡(Kreis Höxter) - フランス
- ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏(Pays de la Loire)ヴァンデ県(Vendée)フォントネー=ル=コント(Fontenay-le-Comte)で、中世・13〜15世紀の風車跡。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。
Des moulins à vent d’époque médiévale à Fontenay-le-Comte[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives] - フランス
- オクシタニー地域圏(Occitanie) ニーム(Nîmes)、ニーム円形闘技場(Arènes de Nîmes)で、トラックの下の十字形の部屋(salle cruciforme)を発掘。競技のための設備や、雨水の排水の問題を調査。ローマ帝政期・1世紀に建造。国立予防考古学研究所(INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives)の調査。
Nouvelle campagne de fouille archéologique aux Arènes de Nîmes[INRAP: Institut national de recherches archéologiques préventives]
▼オクシタニー地域圏(Occitanie) ガール県(Gard) - UK(イングランド)
- プリマス(Plymouth)バックランド・アビー(Buckland Abbey)で、中世にさかのぼる遺構。バックランド・アビーは1278年に創立。16世紀に住居となっていた。
Medieval structure found at Buckland Abbey[Current Archaeology]
▼デヴォン州(county of Devon) - エジプト
- ギザ(Giza)のミート・ラヒーナ(Mit Rahina)のプタハの大神殿(temple of Ptah)近くの私有地から、古代エジプト第19王朝ラメセス2世(Ramesses II)の「カー」(Ka)の印を持つ像出土。花崗岩製。もとはアメンホテプ3世(Amenhotep III)の像だったものを再利用と推定。[Egypt Museum]
カーとは人や神の生命力を表す古代エジプトの概念。[時事通信] - USA
- コネティカット州(State of Connecticut)エイヴォン(Avon)のドクター・ブライアン・D・ジョーンズ・パレオインディアン遺跡(Dr. Brian D. Jones Paleoindian Site)で、パレオインディアン(Paleoindian)・12500年前の石器。遺物15000点、柱穴や炉跡などの遺構27基。コネティカット州最古のヒトの居住の証拠。遺跡名は7月に死去した州の考古学者ブライアン・D・ジョーンズ氏(Brian D. Jones)の名にちなむ。[Hartford Courant]
- USA
- コネティカット州(State of Connecticut)リッジフィールド(Ridgefield)で、1790年に建った建物の基礎の下から、アメリカ独立革命(Revolutionary War)中の1777年リッジフィールドの戦い(Battle of Ridgefield)を戦った兵士とみられる人骨。[The Wilton Bulletin]
- USA
- オレゴン州(State of Oregon)のコロンビア川(Columbia River)河口近くの海岸にあるパー・ティー貝塚(Par-Tee shell midden)で1960年代〜1970年代の調査により出土した投槍器(Atlatl)90点以上を分析。投槍器(Atlatl)は鯨骨製で、一端を手に持ち、他端を槍をひっかける鉤とする。大きさ、特に握りの部分の大きさが多様であり、子供も使用したと推定。子供のころから使用法を教授されていた。
Tiny, Ancient Native American Weapons May Have Been Used to Train Children to Fight[LiveScience]
cf. Robert J. Losey and Emily Hull "Learning to use atlatls: equipment scaling and enskilment on the Oregon Coast" Antiquity Volume 93, Issue 372, pp. 1569-1585 [Cambridge Core] - メキシコ
- オアハカ州(Estado de Oaxaca)・ラ・コンセンティーダ遺跡(La Consentida)で出土した形成期前期(Early Formative Period)・紀元前2000〜前1000年の土器や石器に付着した澱粉(starch grains)とプラントオパール(phytoliths)を調査。トウモロコシ(maize)の様々な部分のプラントオパールと、調理により火を受けた痕跡。墳墓ではトウモロコシと野生のマメ類の証拠。食生活や農耕社会の発展過程を表す。
Digging into diets[McMaster University]
論文 Éloi Bérubé, Guy David Hepp, Shanti Morell-Hart "Paleoethnobotanical evidence of Early Formative period diet in coastal Oaxaca, Mexico" Journal of Archaeological Science: Reports. Volume 29 [ScienceDirect] - メキシコ
- ウシュル遺跡(Uxul)の貯水池の底から2013年に出土したマヤ文明・7世紀の人骨約20人分のうち、13人の歯のエナメル質を調査。ストロンチウム(Strontium)の同位体分析(IsotopeAnalysis)により、13人のうち大半は150km以上離れた土地の出身。少なくとも大人1人と子供1人はウシュルの地元出身。ストロンチウムは食物とともに摂取され、骨や歯に蓄積するが、岩石や土壌の中のストロンチウムの同位体比は地域によって異なるので、子供のうちに完成される歯のエナメル質のストロンチウム同位体比を調べれば、その人物が育った場所がわかる。ウシュルの人骨の大半は高い地位の人物。殺されて切断され、できるだけ同一人の体がバラバラになるよう、水中に配置。火を受けた痕跡はあるが、ヒトの歯型はない。武力紛争の結果、戦争捕虜を殺害したと推定。
Isotope analysis points to prisoners of war[Universität Bonn]
▼カンペチェ州(Estado de Campeche) - メキシコ
- ユカタン州(Estado de Yucatán)・ウシュマル(Uxmal)の総督の館(Palacio del Gobernador;Governor’s Palace)で、新たに壁でふさがれた通路、長さ25mを発見。マヤ文明・プウク式(Puuc Style)・670〜770年ごろ。雨神チャク(Chaac)の顔や、階段3か所も発見。メキシコ国立人類学歴史学研究所(Instituto Nacional de Antropología e Historia)の調査。[The Yucatan Times]
▼ウシュマル関連記事→2019年8月10日
2019年12月11日(水)
- 福岡県
- 行橋市・長井遺跡で発見された弥生時代の箱式石棺墓の一部を行橋市歴史資料館などに移設・保存へ。[西日本新聞]
- 韓国
- 慶州市・皇南大塚北墳から出土した新羅・5世紀のヤコウガイの杓子は、貝殻を丸く削り、表面を整えたのちに金銅の覆輪をつける。覆輪には水銀アマルガム技法で鍍金。日本の南西諸島以南に生息するヤコウガイを日本で加工し、韓国で覆輪をつけたと推定。[聯合ニュース]
- 韓国
- 慶州・皇南大塚南墳で出土した、新羅の用途不明の貝殻製品2点は、オウムガイで作った鸚鵡杯。金銅製と金製がある。新羅と中国の交流を示す。[聯合ニュース]
- カンボジア
- Tonle Bak遺跡で、アンコール朝(Angkor)の鉄溶解炉に関する技術、鉄滓の冶金学的特徴、地域の鉄製錬組織や関連する儀式などの手がかり。アンコール朝の国家的な交換ネットワークに組み込まれていた。
cf. Mitch Hendrickson, Stéphanie Leroy, Cristina Castillo, Quan Hua, Enrique Vega and Kaseka Phon (2019) Forging empire: Angkorian iron smelting, community and ritual practice at Tonle Bak. Antiquity, Volume 93, Issue 372, pp. 1586-1606 [Cambridge Core] - トルコ
- トロス山脈(Toros Dağları;Taurus Mountains)北部・中部やカッパドキア(Cappadocia)南西部などの高地では、中期銅石器時代に居住が拡大。
論文 Abdullah Hacar, Murat Tektaş, H. Simge Egeci and Michael Johnson "Middle Chalcolithic expansion into the highlands of the north-central Taurus, south-western Cappadocia" Antiquity. Volume 93, Issue 372 [Cambridge Core] - ギリシャ
- イオニア諸島ケファロニア島(Κεφαλλονιά;Kefallinia Island)近くで、ローマ時代・紀元前1世紀〜後1世紀の商業船。長さ30mの船体に土器6000個を確認。近隣のフィスカルド港(Φισκάρδο;Fiscardo)の重要性を示す。
Fiscardo shipwreck, near Kefallonia, yields incredible finds from the time of Jesus Christ[ΝΕΟΣ ΚΟΣΜΟΣ]
論文 George Ferentinos, Elias Fakiris, Dimitrios Christodoulou, Maria Geraga, Xenophontas Dimas, Nikos Georgiou, Stavroula Kordella, George Papatheodorou, Michalis Prevenios, Makis Sotiropoulos "Optimal sidescan sonar and subbottom profiler surveying of ancient wrecks: The ‘Fiskardo’ wreck, Kefallinia Island, Ionian Sea" Journal of Archaeological Science. Volume 113 [ScienceDirect] - ギリシャ
- アトス山(Όρος Άθως;Mount Athos)のパントクラトール修道院(Παντοκράτορος;Pantokratoros Monastery)の礼拝堂内の墓地から、女性の人骨。16世紀の領主バルブール(Barboul)またはバルブーリ(Barbouli)の妻でスタシャ(Stasha)と呼ばれる人物の可能性。アトス山では修道院20か所があり、女人禁制とされており、382年以来、公式記録では禁令が12回破られたことがある。[Tornos News]
- UK(イングランド)
- ハンプシャー州(the county of Hampshire)ポートマス(Portsmouth)沖に沈む戦艦インヴィンシブル(HMS Invincible)で、銃、モップ、酒の瓶がダイバーにより発見。インヴィンシブルは、1747年に英国軍がフランス軍から奪うが、ソレント海峡(The Solent)で1758年に座礁。[Daily Mail]
- UK(イングランド)
- ランカシャー州(the county of Lancashire)クリザーロー(Clitheroe)のリブル川(River Ribble)の氾濫原で、初期青銅器時代(Early Bronze Age)・紀元前1950年〜前1500年の円形環濠。中心には9基の埋葬。蔵骨器として襟付土器(collared urn)出土。人骨には老若男女があり、血縁に基づく葬送と推定。Archaeological Research Servicesの調査。
Early Bronze Age ring-ditch at Clitheroe[Current Archaeology] - UK(スコットランド)
- ハイランド地方(Highlands)で18世紀の家畜商人の宿ウィルクハウス・イン(Wilkhouse Inn)を発掘調査。GUARD Archaeologyの調査。[Current Archaeology]
- エジプト
- アマルナ(Amarna)で出土した紀元前14世紀の20代の女性人骨が、円錐形の帽子のようなものを頭に載せて埋葬。エジプト人の頭上の円錐形は、、3500年前〜2000年前の画像に頻繁に表現されたが、実物の出土は初。赤外線とX線により、円錐形は中空で、蠟、おそらくは蜜蠟(beeswax)でできていることがわかる。従来想定されているような、脂肪や香料は認められず。来世への導きの意味のあるものか。
Archaeologists have finally found ancient Egyptian wax head cones[ScienceNews]
論文 Anna Stevens, Corina E. Rogge, Jolanda E.M.F. Bos and Gretchen R. Dabbs "From representation to reality: ancient Egyptian wax head cones from Amarna" Antiquity. Volume 93, Issue 372, pp. 1515-1533 [Cambridge Core] - エチオピア
- ベタ・サマティ遺跡(Beta Samati)で古代都市を発掘。放射性炭素年代で紀元前771年〜後625年。アクスム帝国(Empire of Aksum:紀元前80年ごろ〜後825年)以前から、帝国台頭の時期まで存続しており、アクスム帝国は先帝国期の社会を継承していることを示す。多くの住居跡や工房跡のほか長方形の大型建物バシリカ(basilica)。アクスムは4世紀にキリスト教化したので、このバシリカもキリスト教会だった可能性。銅合金に金をかぶせ、紅玉髄をあしらった指輪や、ヨルダンのアカバ(Aqaba)由来のアンフォラ、東地中海製のガラス玉も出土。
Lost Ethiopian town comes from an ancient empire that rivalled Rome[New Scientist]
論文 Michael J. Harrower, Ioana A. Dumitru, Cinzia Perlingieri, Smiti Nathan, Kifle Zerue, Jessica L. Lamont, Alessandro Bausi, Jennifer L. Swerida, Jacob L. Bongers, Helina S. Woldekiros, Laurel A. Poolman, Christie M. Pohl, Steven A. Brandt and Elizabeth A. Peterson "Beta Samati: discovery and excavation of an Aksumite town" Antiquity. Volume 93, Issue 372, pp. 1534-1552 [Cambridge Core] - ケニア
- トゥルカナ湖(Lake Turkana;Lac Turkana)周辺では、牧畜への以降に際し、地域で均質な石器製作技術。実用性と柔軟性を重視。
cf. Steven T. Goldstein (2019) Lithic technological strategies of the earliest herders at Lake Turkana, northern Kenya. Antiquity, Volume 93, Issue 372, December 2019, pp. 1495 - 1514 [Cambridge Core] - USA
- サウスカロライナ州(State of South Carolina)コロンビア(Columbia)のフォート・ジャクソン(Fort Jackson)で、ベトナム戦争時当時・1960年代半ば〜1970年代初めの陸軍の模擬戦闘訓練場。文献記録なし。[ABC Columbia]
- USA
- カリフォルニア州(State of California)・サンタローザ島(Santa Rosa Island)など、北米太平洋岸では、後期更新世(Late Pleistocene)・11800年前11100年前に、河口の貝類や海岸湿地帯の資源を利用し始める。
論文 Jon Erlandson, Torben Rick, Amira Ainis, Todd Braje, Kristina Gill and Leslie Reeder-Myers "Late Pleistocene estuaries, palaeoecology and humans on North America's Pacific Coast" Antiquity. Volume 93, Issue 372 [Cambridge Core]
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